小野瀬と穂積(♀)
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幸せそうな顔で倒れたままピクリとも動かない明智の頬をぺちぺち叩いて覚醒させようとしていた穂積の腕を、いつのまに近付いたのか、膝立ちになった小野瀬が掴んだ。
「あっ」
「明智くんの看護はみんなに任せて、さ、穂積。……いや、泪。……おいで。一緒にシャワー浴びて、俺の部屋に行こう」
「……」
「天国を、見せてあげるよ」
明智を気にしつつも、腕を引かれるまま立ち上がる、穂積。
「室長(泣)」
「室長が小野瀬さんの魔の手に……(泣)」
「ああ、こいつらが不甲斐ないばかりに」
「アンタも五十歩百歩だよ、メガネ」
「(……泪さん、やだぁっ……)」
勝ち誇った顔の小野瀬と、肩を落とした穂積が、道場の一角にあるシャワールームの中に消えて、数分。
シャワーの湯が床を叩く水音に混じって、どちらのものとも分からない荒い息遣いと、微かな声が漏れ聞こえてきた。
翼が耳を塞ぐ。
が、その直後。
ばたーん。
シャワールームの扉が開いて、タオルで裸の上半身を拭きながら出て来たのは、いつもの濃紺のスラックスを穿いた、穂積だった。
「泪さん!」
思わず恋人を名前で呼んでしまった事にも気付かず、駆け寄って飛びついた翼を、穂積が抱き締める。
「男性に戻ったんですね!」
そう。
さっきまでの妖艶な姿はすでになく、穂積は、男性の穂積泪に戻っていた。
「心配かけたわね、櫻井」
ついでに口調も、オカマに戻っている。
それでここが職場だという事を思い出して、翼は、慌てて穂積から離れた。
「室長、小野瀬さんは?」
「中で昇天してるわよ」
「……室長、小野瀬さんに、奪われちゃったんですか?」
おずおずと尋ねる如月に、穂積は微笑みを返した。
「ご想像にお任せするわ……と言いたいところだけど、まさか」
「まさか?」
「返り討ちにしてやったわよ」
シャワールームに視線だけを向けた穂積は、不敵な笑みを浮かべた後、ふん、と鼻を鳴らした。
「口ほどにも無い」
そう言ってから、改めて、翼の肩を抱く。
「さあ、イベントは終わりよ。シャワーを浴びて、着替えてらっしゃい。今日はワタシが全員に豪華な夕飯をおごるわ」
ぱんぱん、と手を叩いた穂積に、わあっ、と歓声が上がる。
目を覚ました明智を含む全員がシャワールームに消えると、二人きりになった道場で、穂積は翼を抱き寄せた。
「今夜は俺の部屋に泊まれ」
「……」
言葉の意味を悟って、頬を染めた翼はこくんと頷く。
「男に戻った俺の初めてを、お前にやる」
甘いキスを受け入れながら、翼は心の中で頷く。
……泪さんは、やっぱり男の人の方がいい。
~END~