★★ 仮面ライダー☆HOZUMI-episode 3- ★★
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大喜びの子供たちに混じって、ぱちぱちぱちぱち、と拍手をしたのは、当のジョン・スミス。
JS
「素晴らしい!」
賛美の声を上げた後、ジョンスミスはぱちん、と指を鳴らした。
JS
「それではこちらも。行け!怪人『クロデメキンデス』!」
クロデメキンデス
「デメデメ!」
ジョンスミスからの命令を受けて、クロデメキンデスが、矛先をHOZUMIに変えて襲い掛かってきた。
攻撃体制に入ったクロデメキンデスの動きは、子供たちを追い回していた時とはまるで別人(魚)だ。
右手(ヒレ)を器用に使って、左手(ヒレ)から無尽蔵に湧いてくる黒いピンポン球を、まるでマシンガンのように連続スマッシュで打ち込んで来る。
HOZUMI
「くっ……!」
次々と向かって来るピン球の勢いに押されながら、HOZUMIはベルトに手をかざした。
HOZUMI
「……ブルーモード、発動!」
ベルト(藤守の声)
『高速道路を走行中の車から飛び降りてもびくともしない、鋼の強さの防御の盾。堅実堅固な守りの青色。プロテクト・ブルーモード!』
HOZUMIのスーツが閃光を発し、爽やかなスカイブルーへと変化した。
防御力が上がってピン球の衝撃が減り、HOZUMIが反撃に転じる。
HOZUMI
「『特殊警棒!』」
右手に握った銀色の特殊警棒を、HOZUMIは一気に引き伸ばした。
警棒自体は警察官の標準装備のひとつだが、HOZUMIの膂力は常人の7倍だ。
怯んだのか、クロデメキンデスの攻撃が緩む。
藤守
「室長、ちゃうHOZUMI!あのクロデメ、もしかして」
HOZUMI
「分かっているわ。藤守、アレを買って来て!」
気勢を上げて飛び掛かってくるクロデメキンデスの攻撃を警棒でいなしながら、HOZUMIが藤守に命じる。
HOZUMIの意図を察した藤守が、近くの商店街に走った。
HOZUMI
「目を覚ましなさい、クロデメキンデス!」
クロデメキンデス
「デメデメ!」
HOZUMIの警棒をかわす為に、クロデメキンデスのピンポン球攻撃が止んだ。
代わりにその手(ヒレ)に現れたのは、分厚い六法全書。
クロデメキンデス
「デメ!」
HOZUMI
「しまった!」
クロデメキンデスが、振り下ろしたHOZUMIの警棒を、六法全書でバタンと挟み込んだ。
双方、力が拮抗して攻防が止まる。
その時!
藤守
「アニキ!ごめんやで!!」
HOZUMIの後方から、クロデメキンデスに向かって何かが飛んできた。
お持ち帰りの紙の皿ごと藤守が投げたそれは、狙い違わず、クロデメキンデスの顔面にヒットする。
クロデメキンデス
「デメー!」
JS
「何だ?どうしたんです、クロデメキンデス!」
慌てて怪人に駆け寄るジョンスミスの目の前で、もんじゃ焼きをぶつけられて気を失ったクロデメキンデスが、その姿を変えてゆく。
溶けてゆく黒出目金の中から現れてきたのは、眼鏡をかけたスーツの男。
藤守の兄、検察官の藤守慶史だ。
藤守兄
「……う……む……」
JS
「検察官どの、大丈夫ですか?あああ……、お兄さんの顔面に大嫌いな食べ物をぶつけるなんて!あなたには人の心とMOTTAINAI精神が無いのですか?!」
後半は藤守に向かって、ジョンスミスが喚いた。
意識を取り戻したらしい藤守兄は、しかし、まだ朦朧としている。
そのままふらふらと立ち上がると、再び、HOZUMIに向かって来るではないか!
HOZUMIは、隣で踏み出そうとした藤守を制すると、ベルトに手をかざした。
HOZUMI
「……変身!」
ベルト(翼の声)
『フェロモンを放出し、愛と癒しで敵を鎮める。桜田門の桜色。ヒーリング・チェリーピンクモード!』
穂積を包む光が消えた時、さっきまでブルーだったライダースーツは、全身華やかなピンク色に変化していた。
マフラー、ベルト、裾の白色が可憐さを添える。
ベルト(翼の声)
『臨場!』
子供たち
「りんじょうっ!!」
おお、と声を上げたのは、今度は捜査室のメンバー。
明智
「室長、あんなに嫌がっていたのに……」
小笠原
「成長したね」
涙ぐむ明智、淡々とツッコむ小笠原。
翼
「でも、なぜ……」
翼たちが見守る視線の先では、すでにHOZUMIがベルトに手を当て、集中力を高めていた。
丹田に練り込まれた『気』が最高点に達した、その時。
HOZUMI
「『フェロモン・アタック』!」
HOZUMIが両腕を開いて、限界まで蓄えた『気』を解き放った。
ベルトの風車が勢いよく回転し、錯覚ではなく一瞬、辺りの空気がピンクに染まる。
藤守兄
「うぁあああーっ!」
真正面からHOZUMIの『気』を浴びたアニが、弾かれたように倒れた。
続いてジョンスミスが、全身タイツの部下たちが、さらには、観客の女性が男性が翼が。
強烈なフェロモンを浴びて、HOZUMIを中心とする同心円状に、人々がばたばたと悩殺されてゆく。
全員が目をハート型にして悶絶する中、新たな一団が駆けつけて来た。
小野瀬率いる処理班だ。
小野瀬
「今だ!犯人グループを全員捕らえろ!」
隊員たち
「はいっ!!」
小野瀬の部下たち、そして、翼を除く捜査室メンバーが、めろめろになっているネオ・ジョンスミスの構成員たちを、次々に検挙してゆく。
藤守
「アニキ、しっかりせえ!」
藤守兄
「……む……愚弟……なぜ、俺はこんな場所に……?」
藤守
「操られてたんやな。目を覚ましてくれて良かったで!」
藤守はがっちりと、兄を抱き締めた。
HOZUMI
「大丈夫か、翼」
HOZUMIは地面に倒れている翼に駆け寄り、抱き起こす。
HOZUMIの姿を確かめると、翼は、くたりと力の抜けた腕を、恋人の肩に伸ばした。
HOZUMIがそれを受け止める。
翼
「……泪、さ……、んっ、……何ですか、今の……」
HOZUMI
「恥ずかしいから説明させるな。……変身の時に、お前が言ったじゃないか」
翼
「……『愛と癒しで敵を鎮める』……?」
穂積
「俺は、アニを傷つけたくなかった。その思いをベルトが増幅し、フェロモンに変換して放出した、らしい」
翼
「……そっか、それで……まるで、泪さんに抱かれてる時みたいに……身体から力が……、きもちよくて……もう、私……」
HOZUMI
「そんなエロい顔をするな。俺の方がやられる」
翼の頬を指先で撫でながら、マスクの下で、穂積は苦笑いした。