★★ 仮面ライダー☆HOZUMI-episode 2- ★★
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
仮面ライダー☆HOZUMIは警察官である。
秘密結社ネオ・ジョンスミスは首都圏制覇を企む悪の秘密結社である。
仮面ライダー☆HOZUMIは迫り来る陰謀から人々を守る為、特命を帯びてネオ・ジョンスミスと戦う!
これは、公務という名の試練に立ち向かう一人の男と、彼とともに巨大な敵に挑む仲間たちの物語---
その、第二話である。
★★ 仮面ライダー☆HOZUMI-episode2- 臨場!★★
穂積泪は不本意であった。
数日前、警視庁グラウンドで行われた、一般市民への公開デモンストレーション。
その場で、穂積は初めて仮面ライダースーツの装着に挑戦し、そして、見事変身に成功した。
ついに、『仮面ライダー☆HOZUMI』が誕生したのである。
だが、しかし。
本来なら歓迎すべき状況でありながら、当の穂積は美しい顔に浮かない表情を浮かべて、溜め息を繰り返している。
なぜなら。
事前の説明で、HOZUMIへの変身には本人の声紋と掌紋とをベルトが認識する作業が必要で、それによって、内蔵された空中元素固定装置が作動し、ライダースーツが装着される仕組みなのだと穂積は聞かされていた。
だが。
事実は、そうではなかった。
いや、厳密には説明の通りなのだが、問題は、その後だった。
無事に変身を終えた穂積の仮面ライダースーツは、ポリスブルーの蒼を基調に、穂積をイメージした碧眼、それに、ロングコートを表現する、銀白色の長い裾。
その見た目と機能は、外部からの衝撃に対抗する防御力を備え、穂積自身の身体能力を通常の7倍に増幅する、それだけの為にあるはずだった。
ところが、だ。
なんと、変身直後、開発スタッフからの無線コントロールによって、スーツの色が、ポリスブルーからパステルピンクに変化したのだ。
穂積は、ライダースーツが外部からコントロール出来るという事も、色が変わる事も、それによってHOZUMIの能力が様々に変化する事も、聞かされていなかった。
スーツの色がパステルピンクに変わると同時に、エメラルドグリーンの目がルビーレッドになる事も、知らなかった。
直前まで憧れの眼差しでHOZUMIを見つめ、『ライダーかっけえ!』と連呼し、暖機運動を兼ねた決めポーズとともに、『臨場!』のセリフを真似していた少年たち。
その彼らが、ピンクに変わったHOZUMIを見た途端にどっと笑って『オカマだ!』『オネエライダーだ!』と叫んだ、あの声が耳から離れない。
恋人である翼が『イチゴのケーキみたいで可愛かったですよ』と言ってくれたが、むしろ傷口に塩を塗り込まれたようなものだ。
元々高い矜持を持つ穂積にとって、自らの能力以前の問題でのこの仕打ちは、耐え難いものだった。
『フェロモンを放出し、愛の力で敵を鎮める。桜田門の桜色、チェリーピンクモード!』
そんな変身したくなかった。
『変身モードには他に、武器と連動したガングレーモード、スピードに特化したイエローモードなど、七色の機能をラインナップする予定!』
そんなお得情報、聞きたくなかった。
開発スタッフに操られ、ベルトから出る小野瀬の声に命じられて、変身する。
真っ平だった。
穂積の胸の内に、ようやく生まれつつあった仮面ライダーとしての自覚と使命感は、皮肉にも、仮面ライダーに変身した事によって、失われてしまったのだった。
穂積
「はあ……」
辺りを憚らず溜め息をつき続け、ついには頬杖どころか頬を机に突っ伏してしまった恋人の姿に、見ている翼の胸も痛む。
けれど、室長席から漂う重たいオーラに接近を阻まれて、誰も穂積に近寄れずにいた。
捜査室の隅に身を寄せ合いながら、メンバーたちは途方に暮れる。
翼
「……あんな室長、見ていられません」
小笠原
「誰か何とかしてよ」
藤守
「俺が代わりにライダーになれたらええのに」
如月
「藤守さんはメンタルが弱いから落選したんでしょ」
藤守
「ううう。ほな、如月がもっと頭良かったらええのに」
如月
「ううう」
藤守
「ううう」
小笠原
「何やってるんだよもう」
先輩二人の不毛なやり取りに小笠原が呆れるが、この男にしても妙案があるわけではない。
全員の顔を見渡した明智が、上司の溜め息が移ったように、はあ、と大きく息を吐いた。
明智
「気は進まないが、室長と付き合いの長い小野瀬さんに相談するしかないか……」
その時。
翼
「あっ!」
翼が、突然声を発した。
一同の目が集中する。
明智
「ど、どうした、櫻井?」
翼
「はい。『小野瀬さん』で閃いた事があります。皆さん、協力してもらえますか?」
全員がきょとんとした顔を見合わせて頷く中、翼は凹む穂積を遠目に見ながら、ぎゅっ、と拳を握りしめた。