☆☆警視庁戦隊!サクラダモン・NEO!!~第二章~☆☆
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翼
「穂積さん!穂積さんっ!」
意識を失った穂積の周りを、竜巻のような渦が包む。
近付けない翼は泣きながら叫ぶが、伸ばそうとする腕を明智たちが引き止める。
明智
「櫻井、危ない!落ち着きなさい!」
翼
「でも!」
目の前で竜巻に巻き上げられた穂積の身体は、やがて、横たわるアオイデスの隣にゆっくりと下ろされた。
二人の男は、ぴくりとも動かない。
……いや。
アオイデスの方が、ううん、と、身体を伸ばして猫のようなあくびをしたかと思うと、瞬きを始めた。
アオイデス
「……うん?……ここはどこ?」
間延びした声で独り言を言ったアオイデスが、半身を起こしながら、辺りをぐるりと見回す。
気のせいか、スミスデスを見ても、捜査室のメンバーたちを見ても、反応が薄いような。
アオイデス
「……こんにちは」
気のせいではなかった。
アオイデスは立ち上がると身体の埃を払い、一同に向かって笑顔で軽く会釈した。
アオイデス
「ええと……俺、小野瀬葵。千葉の科学警察研究所にいたはずなんだけど……ここがどこか、教えてくれるかな?出来れば、穂積が隣で寝てる理由も」
明智
「……え……?」
小笠原
「……あっ!」
急に大声を出した小笠原に、驚いた全員が注目する。
如月
「どうしたんですか、小笠原さん?」
小笠原
「思い出したんだ。何年か前、科警研から突然行方不明になったエリート技官がいるって話」
藤守兄
「そう言えば……」
今度はアニが声を出した。
藤守兄
「警察庁でも、数年前、キャリアで入庁したエリートが失踪したという噂を聞いた事がある。科警研でも警察庁でも捜索したが見つからず、結局、迷宮入りになったはずだが……」
アオイデス、いや……、小野瀬はきょとんとしている。
アオイデス
「え、そんな話になってるの?じゃあ、俺と穂積は、今までどこで何をしていたの?」
翼
「覚えてないんですか?」
うん、とアオイデスが頷いた。
アオイデス
「全然。さっきも言ったけど、千葉の職場にいたはずなんだよ」
アオイデスの言葉に、翼はぞくりとした。
覚えていない?
「お前とは、もっと違う形で会いたかった」
では、穂積は、翼と、全くの初対面からやり直す事を望んだのだろうか。
スミスデス
「い、痛い!痛い痛い痛い!」
物思いに耽りかけた翼を、スミスデスの悲鳴が引き戻した。
指環が、スミスデスの指を締め付けていた。
スミスデス
「痛い、ああぁっ!」
明智
「お、小笠原……」
スミスデスを助ける手段が分からず、明智がおろおろしている。
小笠原
「この指環は持ち主を選ぶと言われているんだ。と言う事は、逆に、不当な持ち主には制裁を与えるのかも……」
如月
「じゃあ、スミスデスが、一旦、全部の指環を手放す、って言えば?」
藤守兄
「山田太郎!指環を手放すと言え!」
跪いて脂汗を流し、苦痛に呻きながら、スミスデスが頷く。
その両手の指は既に鬱血して、色が変わり始めていた。
スミスデス
「僕が……浅はかだった……『隷属の仮面』の力で、優秀な人材を味方につけ……効率的に指環を集める方法を選んでしまった……指環がチャンスをくれるなら……もう一度、今度は自分自身の手で……誓う……」
スミスデスの懺悔は、聞き届けられたのか。
仮面が割れた。
同時に、スミスデスの指から全ての指環が抜け落ちた。
全員が成り行きを見守る中で、十個の指環は眩い光を放ちながら上空高く舞い上がる。
そして、行き先を探すかのようにくるくると数度旋回したかと思うと、やがて、美しい対角線を描いて、十の方角へ飛び散って行った。