☆☆警視庁戦隊!サクラダモン・NEO!!~第二章~☆☆
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翼は咄嗟に、ブラウスの上から指環を握り締めた。
翼
「助けて、お祖母ちゃん!」
するとその瞬間、ぎゅっと指環を握り込んだ翼の拳が、閃光を放った。
目の眩むような白い光が辺りを包み、崖の上にいるスミスデスとアオイデスが、思わず身を乗り出す。
スミスデス
「あれは、間違いなく『第一の指環』の輝き」
アオイデス
「やはり、身に着けていましたね」
閃光が消えた時、翼はパールピンクに輝くバトルスーツを装着し、仲間たちも同様に、フルフェイスのマスクを被り、五色のバトルスーツに身を固めた、サクラダモンの姿に変身していた。
説明しよう!
櫻井翼の持つ『第一の指環』は、持ち主である翼に危機が迫ると、彼女の身を守るため、バトルスーツを装着させるのである!
その不思議な力は彼女の味方である捜査室のメンバーにも及び、全員にバトルスーツを装着させる!
このバトルスーツを身につける事によって、彼女たちの身体は、常人の七倍以上の身体能力と、常識では有り得ない不思議な力を発揮する事が出来るのである!
全ては指環の魔力であるがゆえに、その力の全貌は明らかではない!
人類には解明されない謎が残されていてもいいのである!
翼改めリング・ピンク
「えい!」
ピンクが、親指を握り込んだ可愛い拳でショベルカーを叩く。
ショベルカーが一瞬怯んだ隙に、翼はバケットから飛び降り、仲間たちの元に駆け戻った。
明智改めレッド
「全員整列!」
全員
「了解!」
明智レッド
「警視庁戦隊!サクラダモン!!」
どどどどどどーん!
サクラダモンたちの背後で、爆発音とともに大地から六色の噴煙が立ち昇った。
本日は類焼の心配の無い採石場が舞台であるせいか、心なしか爆発の規模も大きいようだ。
足を肩幅に開いて立ち、拳銃を構える姿勢になった明智を先頭に、二列目左右に如月と小笠原、さらに、三列目の左右に藤守兄弟が同じ姿勢で身構える。
明智レッド
「レッド・リング!」
明智の声に、彼の胸から、赤い光の環が生まれる。
如月改めイエロー
「イエロー・リング!」
続いて、如月の胸からも黄色いリング状の光が。
小笠原改めパープル
「パープル・リング」
藤守改めブルー
「ブルー・リング!」
アニ改めグリーン
「グリーン・リング!」
藤守アニも、さすがに今回はフライングしない。
藤守グリーン
「見たか愚弟!」
藤守ブルー
「はいはい」
祈りを込めて組まれた翼の両手から、ひときわ大きなピンクの光が生まれた。
翼ピンク
「お願い、お祖母ちゃんの指環を守って!」
全員が意識を集中させると、それぞれの抱く光が指先に集まる。
明智レッド
「届け!『乙女の祈り』!」
明智の号令に合わせて撃ち出された光は上空で混ざりあってから分散し、サクラダモンたちを囲んで唸りを上げていた、重機の一台一台に降り注いだ。
光を浴びた重機たちは振り上げていたアームや鳴らしていたクラクションを止めて、おとなしくなってゆく。
アオイデス
「くっ!」
風はさらに強くなり、戦闘員たちを吹き飛ばし、凄まじい勢いでアオイデスとスミスデスをなぎ倒す。
アオイデス
「うわぁっ!」
転倒した勢いで、アオイデスの仮面が岩に当たって砕けた。
スミスデス
「アオイデス!」
アオイデスは意識を失ったのか、そのまま起き上がらない。
スミスデスは唇を噛んだ。
スミスデス
「アオイデス!……おのれ、サクラダモン……」
スミスデスも身動きが取れない状態だが、こちらは屈み込んで石の壁に張り付き、かろうじて仮面を守っていた。
そこへ、斜面を駆け登ってきたサクラダモンたちが、崖の上に到着する。
藤守グリーン
「山田太郎、お前の負けだ!観念して櫻井の指環を諦め、今までの罪を認めた上で、山田太郎窃盗団を解散しろ!」
徐々に突風の治まる中、グリーンの声に、スミスデスが振り返った。
スミスデス
「一度に欲張りですね、検察官どの」
六人の姿を見据えて立ち上がりながら、スミスデスは、土埃にまみれた顔で不敵に笑う。
スミスデス
「それに、我々は『秘密結社ジョン・スミス』ですよ」
藤守グリーン
「貴様、この期に及んで、まだ……!」
スミスデス
「我々の望みは、世界に散らばる稀有なお宝を集め」
???
「この世の全てを手中におさめる事」
スミスデスの言葉の後半は、サクラダモンたちの背後から聞こえた。
ハッとして、全員が振り向く。
が、それよりも速く、翼ピンクを除くサクラダモン全員の身体が宙に舞い上がった。
藤守グリーン
「うわっ!」
藤守ブルー
「何や、これっ?」
如月イエロー
「身体が、思うように動かせない!」
上空でじたばたするサクラダモンたち。
その状況に、翼ピンクは既視感を覚えた。
同時に、前回、手も足も出せずに失神させられた、苦い記憶が蘇る。
翼ピンク
「……ルイデス!」
辺りを見回した翼ピンクの目に、黄金のローブに白龍の刺繍を背負い、顔の上半分を覆う仮面を着けた金髪の男の姿が映った。
倒れたままのアオイデスの傍らに膝をついていたルイデスは、翼ピンクの声に面を上げると、ゆっくりと立ち上がった。
中空で身悶えしているサクラダモンたちへ目線を向け、無表情で腕を空に向けたルイデスを見て、翼ピンクはハッとする。
翼ピンク
「やめて!」
が、ルイデスが大きく腕を振ると、吊られていた糸を断ち切られるようにサクラダモンたちの身体は支えを失い、無情にも、あっという間に断崖の下に堕ちていった。
明智レッド
「うわあぁー!」
高い岩の崖から転げ落ちた衝撃はバトルスーツが受け止めたものの、脳震盪でも起こしたのか、次々と全員の変身が解けてゆく。
翼ピンク
「きゃあっ!室長!みんな!」
次の瞬間、連動している翼ピンクのバトルスーツも消え失せ、いつもの仕事のスーツに戻った。
その首筋にルイデスの手が触れたかと思うと、翼の首から、鎖もろとも『第一の指環』が抜き取られる。
翼
「あっ!」
ルイデス
「スミスデス様の夢が叶ったら、必ず返す」
指環を奪われる刹那、翼は、ルイデスの声を聞いた。
ルイデス
「すまない」
翼
「……えっ?」
ルイデスの手に渡った指環は、銀色の光を放つ。
ルイデスはそれを、悠然と近付いて来たスミスデスに捧げた。
スミスデス
「ありがとう、ルイデス」
ルイデス
「身に余るお言葉」
スミスデス
「これで、僕の夢が叶う」
スミスデスは第一の指環を手にすると、それを、恭しく右手の小指に嵌めた。
他の九本の指にはすでに指環が嵌まっていて、翼の指環が加わったスミスデスの両手には、十個の指輪が揃った事になる。
スミスデス
「僕は『ファウストの指環』の力を使って、この世の全ての宝を手に入れる!それによって絶対的な権力を持ち、永遠の平和を実現させる!」
スミスデスはうっとりと、歌うように高らかに宣言した。
スミスデス
「さあ。指環よ、見せてくれ!僕が造り出す、満たされた世界の未来を。この世を統べる、王の王たる僕の姿を!」