☆☆警視庁戦隊!サクラダモン・NEO!!~第二章~☆☆
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~いつもの採石場~
とある有名な採石場。
入り口まで捜査車両で乗りつけたメンバーたちは、山田太郎窃盗団の姿を探しながら、採石場の奥まで歩いて来ていた。
石を切り出す為に垂直に穿たれた絶壁を見上げ、運搬の為に拓かれた広大な平地を見渡し、掘削されて深い口を開けている断崖を見下ろす。
幸いにも晴天と無風に恵まれているが、なんとも寂寞とした石の荒野が広がっているだけで、休抗日なのか廃坑になったのか、それとも山田太郎の貸し切りなのか、彼らの他には人影も無い。
いったい、どこに、山田太郎窃盗団が、そして、穂積がいるのだろうか……。
翼が不安に駆られた、その時。
???
「あっはっはっはっはっ……来たね、サクラダモン!」
不意に聞こえてきた高笑い。
その声は周囲の岩壁に反響しあって、どこから発せられているのか分からない。
明智
「あそこだわ!」
元狙撃手であり、眼の良い明智が、真っ先に相手の姿を捉えた。
それは青い空を背に絶壁の上に立ち、黒いローブをはためかせるスミスデス、さらに、緑色の全身タイツでスミスデスの後ろに並ぶ、数十人の戦闘員たちの姿。
スミスデス
「櫻井さん、指環を差し出す気持ちになってくれたかな?」
翼は、首から下げた鎖の先にある指環を、ブラウスの上から握り締めた。
翼
「これは、祖母の形見です!あなたに差し上げる事は出来ません!」
スミスデス
「おや。……やれやれ、頑固だなあ」
スミスデスが肩をすくめる。
スミスデス
「ねえ、櫻井さん。その指環は本来、十個揃えてこそ意味のあるものなんだよ。失礼だけど、それ一つだけでは、宝の持ち腐れだ」
翼
「……そんな事、関係ありません。私にとっては、これ一つで充分なんですから!」
スミスデスを見上げて気丈に言い返す翼だが、その足は震えている。
翼
「ですから……ですから、絶対にお渡しする事は出来ません!今日は、それをお伝えするために来たんです!」
スミスデス
「なるほど。ただの可愛いお嬢さんかと思っていたけれど……さすが、穂積が好きになるだけの事はある」
穂積の名を聞いて、翼の胸がどきりと音を立てた。
穂積さん……穂積さんは?
アオイデスは、ここに来れば、穂積さんに会えると言ったはず……。
スミスデス
「残念ながら、交渉は決裂だね。出来れば、こんな野蛮な方法は取りたくなかったんだけど」
スミスデスが、パチン、と指を鳴らす。
すると、崖の上にいるスミスデスの傍らに、アオイデスが姿を現すのが見えた。
銀の仮面で顔の右半分を隠し、黒龍の刺繍された白銀のローブを纏ったアオイデスは、いつものように、口元に微笑みを浮かべている。
翼
「アオイデス……!」
アオイデス
「やあ、聞き分けの悪いお嬢さん」
優雅に一礼する麗王アオイデスの所作はその名の通り柔らかで美しいけれど、仮面の奥の眼差しは、ぞっとするほど冷たい。
アオイデス
「どうしても指環を差し出してくれないのなら、少し怖い目に遭ってもらうしかないな」
アオイデスが視線を向けた先には、採石の為の掘削機やパワーショベル、ダンプカーといった重機や車両がある。
アオイデス
「さあ、俺の可愛い子猫ちゃんたち。頑張ってお手伝いをしてくれるかな」
まさか、と思った次の瞬間、それらの機械にエンジンがかかり、無人のままゴトゴトと動き出した。
アオイデスの指図に応えるようにクラクションを鳴らし、地響きを立てて迫ってくる、大きな重機たち。
翼は驚いて明智に縋りつき、その周りに、他のメンバーたちが輪を作った。
藤守兄
「ど、どういうトリックだ?!」
明智
「小笠原」
土煙から翼を庇いながら、明智が小笠原を見る。
小笠原
「『隷属の仮面』の魔力だよ」
藤守
「れいぞく?」
小笠原が、崖の上のアオイデスを指差した。
小笠原
「あいつらの仮面は、持ち主の潜在的な能力をより強める働きをしているんだ。つまり、アオイデスはその魅力によって、重機やダンプを手懐けてるって事」
藤守
「ショベルカーや掘削機にまで効くって、どんなフェロモン出してんねん!」
翼
「……何だか、私もおかしな気分に」
明智
「櫻井、しっかりしなさい!」
小笠原
「だから、あいつらの仮面を壊す事が出来れば……」
轟音に紛れてスミスデスとアオイデスの高笑いが響く中、黒い影が頭上を覆ったかと思うと、ショベルカーの巨大なバケットが降りてきて、あっという間に翼を掬い上げた。
如月
「しまった!」
すぐに如月がバケットに飛び付くが、振り落とされてしまう。
翼
「きゃあっ!」
明智
「櫻井!」