☆☆警視庁戦隊!サクラダモン・NEO!!~第一章~☆☆
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☆☆警視庁戦隊!サクラダモン・NEO!!~第一章~☆☆
昼食時、警視庁。
全員
「いただきます!」
明智
「はい、召し上がれ」
緊急特命捜査室ではいつものように、室長の明智が作って来た弁当を広げて、全員が両手を合わせていた。
一人一人の好みと栄養バランスを考え、それぞれの弁当箱に彩りよく詰められた昼食。
外回りや遠出の時には持って行く事も出来るが、メンバーたちは、可能な限り、捜査室へ戻ってきて食べたがる。
こうして座ればいつでも、明智が、給湯室でこしらえた汁物と、香り高くて飲みごろのお茶を出してくれるからだ。
藤守
「うまー!室長、このハンバーグうまー!」
小笠原
「シャキシャキ感はレンコンかな。ソースがまた絶品」
翼
「室長、これも、後でレシピ教えて下さいね」
明智
「喜んでもらえて良かったわ。はい、今日はオニオンスープ」
如月
「あー、幸せー!」
如月が満面の笑みでポテトサラダを頬張った、その時。
ばーん、と音を立てて捜査室のドアが開き、いつものように、高飛車な態度で藤守兄が入ってきた。
藤守兄
「今日もコマネズミのように働いているか、雑用室の諸君!」
大声で言った後、室内をぐるりと見渡して、ふん、と鼻を鳴らす。
藤守兄
「なんと、全員揃って昼飯か。相変わらず緊張感の無い職場だな」
藤守兄はせせら笑うが、全員そのまま箸を止めない。
中断されていた会話も、一拍おいて再開された。
明智
「……でね。あんかけや煮込みにしても美味しいのよ。櫻井は、ナツメグは好き?」
藤守兄
「おいこら明智!」
藤守兄が手近な机を叩く。
藤守兄
「ハンバーグの作り方はいい!それより、俺がわざわざ検察庁から出向いて来たんだ!理由を聞かんかい!理由を!」
小笠原に肘で小突かれて、ようやく、面倒臭そうに如月が尋ねた。
如月
「アニさん、今日は何のご用ですかぁ?」
アニ
「おおチビ、聞きたいか?まあ、お前らがどうしてもと言うなら、聞かせてやらんでもない」
アニが胸を張る。
全員
「……」
藤守
「すまん、如月。こんな兄で、みんな、ホンマすまん」
弟である藤守が肩身を狭めるが、アニは一向に気にしない。
アニ
「俺がここに来たのは!もちろん!『山田太郎窃盗団』の野望を食い止めるためだ!」
ぐう。
足を踏ん張って大声を出した途端、アニのお腹が鳴った。
藤守
「お約束やなあ。さすがアニキ」
明智
「昼食がまだでしたか」
小笠原と如月は肩を寄せ合い、声を殺して笑っている。
翼
「藤守検察官、よろしければご一緒にいかがですか?」
アニ
「いらん!可哀想な子を見る目で俺を見るな!」
アニが叫んだ時、ドアにノックの音がして、大きな黄色い塊が入って来た。
ピーポ
「♪ピーポ、ピーポ、ピーポ……♪はいはーい、お手紙だよー♪」
現れたのは警視庁広報課のアイドル、ピーポ。
最近は空き時間に庁内の郵便配達もしているらしい。
藤守
「あ、ピーポ。お前も一緒に昼飯食うか?」
ピーポ
「ありがとう、藤守さん」
ピーポは笑顔でお辞儀をし、ポーズをとって返事をする。
ピーポ
「でも、僕のお腹は、いつも愛と勇気でいーっぱいだから、大丈夫。それより、櫻井さんにお手紙だよ。えーと、『しょうたいじょう』」
全員
「『招待状』ーーー?!」
翼
「……うわあ」
終業後、招待状に記されていた住所に辿り着いた翼たちは、息を飲んだ。
そこは銀座。
高級クラブの建ち並ぶ華やかな街の一角に、地下へ降りる細い階段がある。
階段を降り切ってからさらに通路を進むと、意外にも、煌びやかな入口が見えて来た。
《「大人の秘密基地」ホストクラブ・J》
明智
「……本当に、銀座にもホストクラブがあるとは」
歩きながらの独り言のような明智の呟きに、全員が頷く。
小笠原
「歌舞伎町や新宿の方が、ホスト遊びをしたいような女性客が大勢集まると思うんだけど」
如月
「ですよね。あ、でも、銀座のクラブのママさんとかが来るのかも。なんか上品な店だし」
アニ
「セレブ御用達か。しかしそれで経営が成り立つのか、こんな家賃高そうな場所で」
藤守
「『大人の秘密基地』ってフレーズ、めっちゃ気になるわ……」
ひそひそ言い合いながら入口まで行くと、案内係なのか、扉の前に立っていた、黒いスーツの男性が話し掛けてきた。
長い黒髪のニコニコした若い男性で、左の口元に小さな黒子がある。
男
「いらっしゃいませ、《「大人の秘密基地」ホストクラブ・J》へようこそ!」
翼はその男性に、自分に届いた招待状を差し出した。
男性は恭しく招待状を受け取り、礼儀正しく一礼すると、翼の右手をとって、手の甲にキスをした。
男
「お待ちしておりました、櫻井翼様。さ、どうぞ」
そのまま繋いだ手を引いて、店内への扉を開けようとするのを、明智の手が制する。
明智
「ちょっと待って」
男
「何でしょう?当店では、他店の同業者様のご入場はお断りしているのですが」
藤守
「俺らホストちゃうわ!」
男
「おや、それは失礼。しかし、でしたら余計にお断りです。当店は至ってノーマルな店でして」
アニ
「男が好きなわけでもない!」
男
「これまた失礼致しました」
喚く藤守兄弟に口では慇懃に謝罪しながらも、男はけろりとしている。
男
「しかし困りましたねぇ。当店から招待状をお送りしたのは櫻井様だけ。他の方には外でお待ち頂くか、有料でお入り頂くかのどちらかになりますが」
小笠原
「いくら?」
男
「初回ですから、お一人様5,000円で遊んで頂けますよ。次回からは、ホストの指名料込みで5万円程度のご用意をお願いしまぁす」
如月
「高っ!」
小笠原
「そう?」
アニ
「まあ、一般的なホストクラブと比べて、特別高いとは言えないな」
明智
「ええ。銀座という立地条件を考えたら、むしろ良心的じゃないかしら」
男
「さすが、検察官どのや室長さんはよくお分かりのようで」
男の言葉に、明智とアニは首を傾げた。
明智
「わたしたちの事をご存知?」
男
「おぉっと!僕とした事が、お招きしておいて、いつまでも立ち話とは。ささ、皆様、中へどうぞ」
男はさりげなく明智の言葉への返答を避けると、全員を促した。
男
「ご心配なく。男性のお客様の為には、美人の女性接客係も用意しておりますよ。楽しんで頂けること請け合い」
明智
「……」
小笠原
「……」
男に連れられて扉をくぐる翼と、ほとんど並ぶようにして、明智と小笠原も《ホストクラブ・J》の中へと続く。
藤守
「聞いたか?女性の接客係もおるそうやで」
如月
「しかも美人!」
アニ
「お、俺は別に接客係などいなくてもいいのだがな」
そんな事を言いながら、残りの三人も、何となくソワソワした様子で後を追うのだった。
男
「6名様、ご案内ー!」