☆☆警視庁戦隊!サクラダモン・NEO!!~序章~☆☆
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明智
「待ちなさい!」
翼の叫ぶ声を聞いて、噴水の陰から、明智以下、待機していた捜査室のメンバーたちが駆けつけた。
明智
「櫻井を離しなさい!」
藤守
「離さんと逮捕するで!」
小野瀬
「おや、仲間がいたとはね。まあ、想定内だけど。……それではこちらも。出でよ戦闘員!」
戦闘員
「eeeeeee!!」
きゃああっ、とショッピングモールに悲鳴が沸き起こる。
突如、広いロビーの植え込みの陰や吹き抜けの二階、フードコートなど、大勢の買い物客で賑わうモールのあちこちから、全身を緑色のタイツで包んだ怪しい男たちが、次々と飛び出して来たのだ。
その数、ざっと三十人。
翼は青ざめながら、自分の手を掴んでいる小野瀬を見上げた。
翼
「あなたたちは、いったい……?!」
にっと笑って翼の手を離した小野瀬は、まるでフィギュアスケートのように、その場で優雅に数回転した。
すると、小野瀬の姿は一瞬で、銀のスーツに白銀のローブをまとった、アオイデスの姿に変身した。
顔の右半分を仮面が覆い、小野瀬の美しい顔は、急に冷ややかな怪人の表情に変わる。
アオイデス
「俺の名は、麗王アオイデス」
翼
「アオイデス……」
アオイデス
「闇王スミスデス様の元、世界に散らばる稀有なお宝を集め、この世の全てを手中におさめるのが我々の使命!」
藤守兄が叫んだ。
アニ
「『山田太郎窃盗団』!」
アオイデス
「『秘密結社ジョン・スミス』と呼べ!」
自尊心を傷つけられたのか、アオイデスが怒鳴り返す。
アオイデス
「櫻井翼、きみには一緒に来てもらおう。心配は無用だ。指環を渡してくれれば、すぐに解放してさしあげる」
再び、アオイデスの手が翼に伸びる。
翼は咄嗟に、ブラウスの上から指環を握り締めた。
翼
「いやーっ!」
するとその瞬間、ぎゅっと指環を握り込んだ翼の拳が、閃光を放った。
目の眩むような白い光が辺りを包む。
至近距離にいたアオイデスは思わず翼の手を離し、腕で目を庇った。
アオイデス
「な、なんだ、今の光は?!」
閃光が消え、再びアオイデスが目を開いた時、そこには、パールピンクに輝くバトルスーツをまとった翼と、同様にフルフェイスのマスクを被り、五色のバトルスーツに身を固めた、捜査室のメンバーたちの姿が忽然と現れていた。
説明しよう!
櫻井翼の持つ『第一の指環』は、持ち主である翼に危機が迫ると、彼女の身を守るため、バトルスーツを装着させるのである!
その不思議な力は彼女の味方である捜査室のメンバーにも及び、全員にバトルスーツを装着させる!
このバトルスーツを身につける事によって、彼女たちの身体は、常人の七倍以上の身体能力と、常識では有り得ない不思議な力を発揮する事が出来るのである!
全ては指環の魔力であるがゆえに、その力の全貌は明らかではない!
人類にはまだまだ謎が残されているのである!
アオイデス
「そんな設定聞いてないけど……」
翼改めリング・ピンク
「アオイデスさん、すみません。この指環をお渡しするわけにはいきません!室長!……じゃなかった、リング・レッド!」
明智改めレッド
「了解!全員整列!」
全員
「了解!」
明智
「警視庁戦隊!サクラダモン!!」
ざざーん!
彼らの背後で、噴水が六色の水を勢いよく噴き上げた。
足を肩幅に開いて立ち、拳銃を構える姿勢になった明智を先頭に、二列目左右に如月と小笠原、さらに、三列目の左右に藤守兄弟が同じ姿勢で身構える。
レッド
「レッド・リング!」
明智の声に、彼の胸から、赤い光の環が生まれる。
如月改めイエロー
「イエロー・リング!」
続いて、如月の胸からも黄色いリング状の光が。
小笠原改めパープル
「パープル・リング」
藤守改めブルー
「ブルー・リング!」
アニ改めグリーン
「ぐ、グリーン・リング?」
次々に現れた光に、藤守兄の光も加わる。
グリーン
「おお!俺からも出た!」
翼
「お願い、お祖母ちゃんの指環を守って!」
祈りを込めて組まれた翼の両手から、ひときわ大きなピンクの光が生まれた。
全員が意識を集中させると、それぞれの抱く光が指先に集まる。
レッド
「届け!『乙女の祈り』!」
明智の号令に合わせて撃ち出された全ての光がアオイデスの前で音を立てて溶け合うと、大地に風が生まれた。
その風は徐々に強くなり、戦闘員たちとアオイデスの体を浮かせる。
アオイデス
「?!」
それはやがて風の渦となり、凄まじい竜巻に姿を変えて、あっという間に、秘密結社の男たちを上空高く巻き上げた。
アオイデス
「なんという力……!くっ、覚えているがいい、櫻井翼!ルイデスはきみには渡さない!そして、その指環は、必ず我々が手に入れてみせる!」
アオイデスの捨て台詞が終わるか終わらないかのうちに、ごうっ、という一陣の風が、全ての脅威を彼方へ吹き飛ばしていった。
アオイデスの姿が見えなくなると同時に変身が解け、翼は呆然とする。
捜査室のメンバーたちも目を白黒させていたが、ひとまずは翼の無事と互いの勇姿を喜んだ後、手分けしてショッピングモールの混乱を鎮めるため、一旦解散となった。
翼
「……」
いったい、自分たちの身に何が起きたのだろう?
ぼんやりと歩き出した途端、翼は腕を掴まれて、物陰に引き込まれた。
翼
「!」
穂積
「しっ」
人目を避けたところで手を離した相手の姿を見て、翼は息を飲んだ。
金髪と見紛うばかりの淡い色の髪に、完璧に整った顔立ち。
碧色の目に見つめられて、翼の胸はたちまち高鳴る。
……誰?
でも、その男の眼差しは驚くほど優しい。
穂積
「……やっぱり可愛いな」
翼
「えっ?」
穂積
「指環は貸金庫に戻せ。暗証番号も変えて、鍵は捨てろ」
翼
「えっ……」
また、指環。
けれど、さっき、指環の力の一端を身をもって知った翼には、ようやく、『ファウストの指環』を狙う人々の気持ちが分かってきた気がした。
自分は警察官だ。
大切な祖母の形見ではあるけれど、指環が原因で騒動が起き、周囲の人々を危険に巻き込んでしまうのなら、この人の言うように、封印してしまうのが唯一の方法なのかもしれない……。
穂積
「封印してしまえば、少なくとも、今後、お前自身が襲われる事は無くなるはずだ」
穂積の指先が、翼の頬に触れた。
穂積
「……そうすれば、俺とお前が会う事も、二度と無いだろう」
寂しげな、けれど、翼の身を案じている事が伝わって来る声に、翼の胸が疼いた。
どうしてだろう。
初めて会った人なのに、二度と会えないと言われて、どうしてこんなに悲しいのだろう?
穂積
「……一度だけ、指環を見せてくれないか」
翼
「……」
翼は素直に頷き、鎖を引いて、ブラウスの中から指環を取り出した。
鎖を首から外そうとすると、穂積はそれを制した。
穂積
「そのままでいい」
そう言って、広げた掌の上に、翼の指環を乗せた。
穂積
「……間違いない、『第一の指環』だ」
指環は穂積の手の上で輝く。
穂積は翼の顔を見つめた。
穂積
「……お前は指環に選ばれた。たとえ金庫の中にあっても、この指環はお前を守るだろう。俺がお前を忘れないように」
翼
「……あなたは誰?どうして、そんなに私に優しいの?」
穂積
「お前とは、もっと違う形で会いたかった」
翼の問いには答えず、独り言のように呟くと、指環から離した手で、穂積は翼の頬を包んだ。
穂積
「……」
唇が、触れた。
翼は拒まなかった。
求められるままに、唇を重ねる。
翼
「……」
深い口づけを交わした後、穂積は静かに翼を離し、穂積のシャツを握っていた、翼の手をほどいた。
翼は泣きたいような気持ちになる。
誰かが遠くで翼を呼んだ。
その声に気を取られた瞬間、現れた時と同じように、穂積は翼の前から姿を消した。
穂積
「指環を大事にしろ」
翼の目に、一瞬だけの笑顔を焼きつけて……。
警視庁戦隊サクラダモン・NEO!
その全貌は未だ謎に包まれている!
スミスデスは『ファウストの指環』で何をしようというのか?
アオイデスの嫉妬に狙われた翼の運命は?
翼と穂積は、リング・ピンクとルイデスとして、再び相見える日が来るのか?
そしてこの序章に続きはあるのか?!
今回のナレーションは、期待したより出番が少ない、謎の首領ジョン・スミスがお送りしました。
警視庁戦隊サクラダモン・NEO!
&、
秘密結社ジョン・スミス!
本当の戦いはまだ始まらない!
~END~