ポケット穂積
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小野瀬
「痛たたた……」
翼
「すみませんでした、小野瀬さん」
小野瀬
「本気で殴られるとか聞いてないよ」
小野瀬さんの綺麗な顔に湿布を当てながら、私は平謝りしていた。
穂積
「幼稚園児の前で、櫻井にいかがわしい事をするからだ」
当の室長は、室長席の椅子でふんぞり返っている。
小野瀬
「お前に頼まれたんだよ!」
穂積
「俺は何も知らん」
小野瀬
「……納得いかない……」
小野瀬さんは、まだぶつぶつ言っている。
如月
「そんな事より、翼ちゃん!ほら、見て見て!」
如月さんが手をひらひらさせながら私に示して見せたのは、ミーティングテーブルに乗せられ、あの『おうじさまセット』を身につけて真っ赤になっている、小さな泪さん。
翼
「あっ!!」
私は歓声を上げて、テーブルに駆け寄った。
王冠と、靴まで真っ白なスーツのセットアップに、水色のベスト。
明智さんの手が加わっているだけあって、まるで誂えたような仕上がり。
金色のボタン輝く『おうじさまセット』は、金髪碧眼の泪さんに完璧に似合っていた。
私は惚れ惚れしながら、泪さんを見つめた。
翼
「素敵です……」
藤守
「それだけやないで」
笑顔で近付いて来た藤守さんが、後ろ手から取り出して見せてくれたのは、白銀に煌めくウェディングドレスを着た、私のフィギュア。
翼
「!」
私は声も出せないまま、明智さんを振り返った。
明智
「元気の無いお前を励まそうと準備してたんだが……」
小笠原
「新郎が帰ってきてくれて良かったね」
私の肩越しに、小野瀬さんが覗き込んできた。
小野瀬
「あーあ、櫻井さんのフィギュアの隣に並び損ねちゃったな」
翼
「えっ?」
小野瀬
「ふふ」
小野瀬さんは、にやにやしながら室長の方に行ってしまった。
立ち尽くす私の後ろで、みんなが口々に泪さんに声を掛けている。
藤守
「もう、どこへも行ったらあかんで」
如月
「そうですよ。いなくなった時は、本当に心配したんですからね」
明智
「近いうちに、また三つ揃いを作ってきますよ」
小笠原
「でも結局、小さい室長の謎は解けないままなんだけど」
小野瀬さんが笑った。
小野瀬
「これは最初から最後まで、全部穂積の夢なんだよ。ねえ、穂積?」
室長は笑って答えない。
全員
「えー?そうなんですかー?」
私は、両手に泪さんとウェディングドレスの自分のフィギュアを抱えたまま、室長を見た。
本当にそうなんだろうか。
今までの事が、全部夢?
今のこの気持ちも、夢?
室長が目を覚ましたら、全てが消えてしまうの?
翼
「……」
しゅんとしていると、小さい泪さんが背伸びをして、私の唇に、ちゅ、とキスしてくれた。
泪
「結婚式しようぜ、翼」
翼
「えっ?」
私は思わず聞き返していた。
翼
「泪さんと?」
泪
「バーカ」
穂積
「俺とに決まってるだろ」
声とともに顎を持ち上げられ、唇を奪われた。
穂積
「夢から覚めないうちに、な」
返事の前に抱き寄せられ、もう一度、さらに深く口づけされる。
全員
「わー!」
穂積
「うるせえぞ、お前ら。いいだろ?ここは俺の夢の中なんだから」
ぎゅうっと抱き締められながら、私の胸はまだドキドキしている。
小笠原
「し、室長の夢の確率……」
藤守
「早く出せや!0%やろ?……いや、むしろ夢やと言うてくれ!!」
明智
「それならタキシードにすれば良かったかな」
如月
「明智さん、そこはいいから!」
泪
「俺にもちゅーさせろー」
小野瀬
「あ、じゃあ俺にも♪」
小さな泪さんが帰って来て、一段と賑やかになった捜査室。
小野瀬さんの言う通り、全部夢なのかもしれない。
全部現実なのかもしれない。
夢なら覚めないで。
そして、現実なら。
こうしてみんなで、いつまでも、いつまでも、幸せに暮らせますように。
~END~