Pure Love
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『Pure Love』をお読み頂き、ありがとうございます。
お礼の代わりに、ささやかですが、その後の話をお贈りします。
*声*
~小野瀬vision~
穂積の遺影に手を合わせた後、閉じていた目を開いた俺は、隣で同じように祈りを捧げている秋が、くすくす笑っているのに気付いた。
……いくら相手が父親でも、不謹慎じゃないのか?
訝しい思いで眺めていると、やがて、秋が目を開いた。
俺が隣から見つめているのに気付いて、ちょっと頬を染める。
秋
「どうしたの、おじ様?」
小野瀬
「いや……秋が、笑ってたから」
俺と秋の会話に気付いて、お茶の支度をしていた翼さんが振り返る。
翼
「何か聴こえた?」
小野瀬
「えっ?」
俺はぎょっとした。
ところが、秋の方はけろりとして、それどころか、また、くすくすと笑い出した。
秋
「お父さんがね。『小野瀬が、《時が全てを別つまで》なんて、クサイ事言ってる』って」
俺は今度こそ仰天した。
秋
「おじ様、言った?」
嘘をつくわけにもいかず。
小野瀬
「い、言った」
秋
「やっぱり。それでね」
うわあ。
普通にスルーされた!
秋
「『小野瀬は寂しがりだからなあ。その時が来たら、うちの墓に入れてやれよ』だって」
小野瀬
「はあ?!」
翼
「あ、名案。さすが泪さんね」
秋
「そうしようよ、おじ様。みんなで一緒のお墓に入ろう、ってお父さん言ってる」
小野瀬
「ち、ちょっと待って!翼さん、驚かないの?!秋が、穂積と普通に会話してるんだけど!」
翼さんは湯呑みにお茶を注ぎながら、そうなのよねえ、と呟いた。
翼
「小さい頃から、秋と霜には時々、泪さんの声が聴こえるらしいんです。羨ましいですよね」
小野瀬
「……」
いや、羨ましいかどうかは置いておいて……
初耳なんですけど!!
俺は、秋の顔を真っ直ぐに見つめた。
もちろん、こんな冗談を言う子ではない。
……すると、本当に聴こえるのか。
魔界の娘はやはり魔力を秘めていたのか。
俺はもしかして、とんでもない相手に恋をしてしまったんじゃないのか。
小野瀬
「……他にも、何か言ってる?」
恐る恐る訊いてみると、秋は、少しだけ首を傾げた。
それはちょうど、遠い声に耳を澄ましているようにも見えて。
幸せになれよ。
秋
「幸せになれよ、って」
どうしよう。
俺も、聴こえた。
翼
「あれ?今、私も聴こえたみたい」
……穂積。
お前、向こうの世界に帰って、前よりパワーアップしてるんじゃないのか。
秋
「お父さん、『楽しみに待ってるぞ』って。……聴こえた?」
そう言って秋は、天使のように笑った。
~END~