いつか大人になる日まで
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明智誠臣
~翼vision~
明智・翼
「ただいまー」
子供たちの声
「あ、パパ!」「ママだ!」「おかえりー!」
一緒に帰宅した私と誠臣さんが玄関を入ると、可愛らしい歓声とともに、小さな足音が三人分、リビングから飛び出して来た。
今年の春に四歳の誕生日を迎えたばかりの、三つ子の娘たちだ。
娘たち
「パパ!ママ!おかえり!」
廊下に背を向けて座り、靴を脱いでいる誠臣さんを待ちきれないように、長女は、広い背中にぺたりと抱きつく。
まき
「パパ、おかえり!」
靴を脱ぎ終えた誠臣さんは優しく微笑み、背中にまわした片腕で長女の身体を支えると、おんぶするようにしながら立ち上がった。
明智
「ただいま、まき」
きゃあ、と笑いながら、嬉しそうにしがみつく長女をそのままに、誠臣さんは、傍らで「パパ」「パパ」と足踏みしていた次女と三女の頭を、一人ずつ丁寧に撫でる。
明智
「まみ、まり、いい子でお留守番、ありがとうな」
まみ・まり
「はーい!」
褒められた二人は頬を染めてにこにこしながら、これまた誠臣さんの腕や腰にくっついた。
普段から身体を鍛えている誠臣さんは、三人の保育園児が手足にまとわりついたくらいではびくともしない。
きゃっきゃっとはしゃぐ三人を抱えるようにしてリビングに行くと、誠臣さんはソファーに腰を下ろした。
誠臣さんの両膝と背中にくっついて、娘たちは、仲良く一日の報告を始める。
まき
「あのね、きょうね、保育園のせんせいがね、パパの事、かっこいいって」
明智
「え、そうなのか?……明日、お礼を言っておいてくれ」
まみ
「わたしね、今ね、パパの絵をかいてるの。かけたら見せてあげる!」
明智
「ありがとう。楽しみにしてるぞ」
まり
「パパ、パパ、わたしにクッキーのつくりかたおしえて」
明智
「分かった、今度の休みの日にな」
娘たちは誠臣さんに頬を擦り寄せたり、こしょこしょ内緒話をしたり。
三つ子の娘たちは三人とも、妬けちゃうぐらいパパが大好きだ。
誠臣さんのコートと荷物を受け取り、私もコートを脱いでいると、奥から、三番目のお義姉さんが出て来た。
翼
「お義姉さん、いつもありがとうございます」
三番目の姉
「いいの、いいの。このちびたち可愛いから!」
お義姉さんは目を細めた。
私と誠臣さんは、明智家に隣接する土地に小さな家を建て、そこに住んでいる。
もともと亡くなったお義父さんの道場があって、道場を畳んだ後は、駐車場として貸していた場所だ。
同じ敷地の中でもあり、お義姉さんたちは私たちが居ても居なくても自由に出入りする。
食事の時間は特に。
「これじゃあ実家にいるのと変わらない」と誠臣さんは嘆くけど、一人っ子の私には、賑やかでとても嬉しい。
三つ子の娘たちが産まれてから、お義姉さんたちは常に私を助けてくれ、娘たちにも心を配ってくれる。
産休の期間の終わりが近付いた時、退職を考えた私に、仕事に復帰するよう勧めてくれたのも、三人のお義姉さんたちだった。
それからは自分たちの仕事を調整してまで保育園の送り迎えをしてくれ、空いた時間は極力、娘たちと一緒に過ごしていてくれる。
勤務の不規則な私たちからすれば、いつでも安心して娘たちを任せられる、大切で有り難い存在だった。
三番目の姉
「じゃあね、ちびっこたち。お姉ちゃん、隣に帰るぞ」
娘たち
「お姉ちゃん、ありがとう!」
「お夕飯の時間になったら来てねー!」
「ばいばーい!」
ふふ。
娘たちも、お義姉さんたちと一緒にご飯を食べる事が当たり前だと思っている。
お義姉さんが帰るのをみんなで見送った後は、全員で夕食作りの時間だ。
翼
「今日はママ、ハンバーグを作りまーす!お手伝いしてくれる人ー?」
娘たち
「はーい!」
三つ子が揃って、元気よく小さな手を挙げる。
まき
「ママのハンバーグ大好き!わたし、たまご割るひと!」
まみ
「わたしパン粉を入れるひと!」
まり
「わたし、こねるひと!」
エプロンを着けて、着替えた誠臣さんが入って来た。
明智
「じゃあ、パパはサラダとスープを作るぞ」
娘たち
「やったー!」
まり
「パパ、わたしドレッシングまぜるひと!」
まみ
「わたし盛りつけるひと!」
まき
「じゃあ、わたしスープをよそうひと!」
明智
「よーし。みんなで美味しいご飯を作るぞ!」
全員
「おー!」
子供たちにそれぞれエプロンを着せてあげながら、私は微笑む。
忙しく働いていてなかなか会えないけれど、理解があって優しいお義母さん。
いつも元気で賑やかで、何かと世話をやいてくれる三人のお義姉さん。
明るく素直で可愛らしい三人の娘たち。
そして、一家を支えてくれる、思いやりがあって頼もしい誠臣さん。
私は今、とっても幸せ。
明智
「翼」
二組の三つ子と私たち夫婦、八人での賑やかな食事を終えた後、キッチンで並んで洗い物をしながら、誠臣さんが私に囁いてきた。
娘たちは、リビングで、お義姉さんたちとトランプに夢中だ。
翼
「なあに?」
振り向けば、何故かしら、誠臣さんは真っ赤だ。
明智
「……実は、さっき、『弟が欲しい』って言われたんだが……どうする?」
翼
「!」
明智
「俺は正直複雑なんだが……まあ、考えておいてくれ」
誠臣さんは赤い顔のまま、身体を屈めて、私の唇に軽くキスした。
どうしよう。
私、今、本当に幸せ。
~明智編END~
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