天上のセレナーデ *せつな様からの頂き物
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アオイエル
「ほら、あそこにいるよ。お目当ての天使は」
眼前一面に広がる、花園の中央で、
花を世話してるのか花に埋もれてるのかわからない、小さな姿を指さす。
ここに天使として生きる、かつて「翼」と呼ばれた少女の魂。
まだまだ天使としては幼いながらも、天界で遣えている。
姿は、人間の5~6歳の少女といった感じだろうか。
白く小さな翼を背に持ってはいるが、ここ、天に召された人間の魂を癒す花園でしか飛ぶことができない。
隣に立つルイデスが、碧い眼を見開き、息を飲んだのが分かった。
俺たちの視線に気づいたのか、ヨクはこちら見ると、花のような笑顔で飛んで来た。
ヨク
「アオイエルさま」
アオイエル
「やぁ、ヨク。元気で頑張ってるね」
俺はそっとかがみこみ、ヨクと目線を合わせながら、その柔らかな頬をなでる。
ヨクが、俺の隣に立つ美女を見上げて、聞いてきた。
ヨク
「だぁれ?」
ルイデス
「あ、あ~ら、可愛い子ねぇ、ちょっとこっちへいらっしゃい?」
声をかけられ、ようやくルイデスが、少し裏返った声でヨクに近づいたと思ったら、その腕に小さな身体を抱き上げた。
『この、ロリコンが』
『黙れ、マザコン野郎』
『おい、それは今関係ない話だろう』
ヨク
「つばさ・・・」
ルイデス
「え?」
ヨク
「大きなつばさ・・・すてき」
しまった・・・。
理性で制御できなくなったルイデスの背には
大きな翼が顕現していた。
・・・しかも、真っ黒・・・。
ヨクには、天界にあってはならないその翼の意味が、まだ分からなかったらしい。
そっと翼に手を伸ばした。
ルイデス
「ああ、アンタの翼も、いつか大きくなるわ。遠くまで飛べるように・・・ね」
ヨクはルイデスにポンポンと頭を撫でられ、くすぐったそうに微笑む。
ルイデス
「ワタシは、このタラシ・・・いえ、天使の友達よ。ルイっていうの」
ヨク
「ル、イ・・・?」
すると、ヨクは、小首をかしげ、何かを思い出そうとするような表情を見せた。
ルイデスはスッとヨクの身体を地に降ろす。
ルイデス
「いいのよ、名前なんか覚えなくって。それより、仕事しなさい。ぽやぽやしてると、・・・食べちゃうわよ」
妖しく凄まれて、さっと俺の後ろに隠れるヨク。
でも、その視線はルイデスから離れない。
泣き笑いの表情を隠す様に、ルイデスの方が背を向けてしまった。
自分のことを思い出して欲しい。
けれど、思い出してはいけない。
いや、魂になった時点で、それ以前の記憶は無くなっているはずだ。
ルイデスが無言で噛みしめた唇から、あの日、翼を失った時の、時空を超えた慟哭が、再び聞こえて来るような気がした。
アオイエル
「ヨク、ほら、もうお行き。あっちの花をもう少し世話してやって」
ヨク
「はい」
ヨクの姿が指示した方向へ消えたあと、俺はルイデスの肩を抱いてその耳元に囁いてやった。
アオイエル
「ふふ、可愛いでしょ。彼女が、オトナの女性の姿に成長したら・・・楽しみだね」
すると、勢いを取り戻し、元能天使、現悪魔特有の、殺気溢れる眼差しを俺に向け、
ルイデス
「貴様、手出しやがったら・・・!」
拳を向けるから。
アオイエル
「なら、見張りに来ればいい。どうせお前にとっちゃ、ここの門にはられた結界なんて有ってないようなもんだろ」
ルイデス
「アオイエル・・・」
アオイエル
「そうすれば、悪魔の動向を見張るのも簡単だ。何しろ、お前のほうから顔を出してくれるんだから手間が省けて一石二鳥ってね」
俺はようやく安心して、かつてと同じように友の背を叩くのだ。
ルイデス
「すまない・・・。彼女を、・・・翼を、頼む」
アオイエル
「誰に言ってるんだ、エセ悪魔」
ルイデス
「・・・そうだったな」
ルイデスは、ようやく不敵に笑い、天空の狭間へと姿を消した。
ルイデスとヨク。
二人が邂逅してから、
ヨクが、ルイデスの立っていた場所を見つめ、
時折何かを探すような視線を巡らせる。
それに気づくたび、俺の胸は、奥底をかき乱されるように苦しくなる。
何の痛みなのか、答えを探してはいけない気がした。
理由はいずれ嫌でも分かる日が来る。
今は取り戻すことだけを考えればいいのだから・・・。
「ほら、あそこにいるよ。お目当ての天使は」
眼前一面に広がる、花園の中央で、
花を世話してるのか花に埋もれてるのかわからない、小さな姿を指さす。
ここに天使として生きる、かつて「翼」と呼ばれた少女の魂。
まだまだ天使としては幼いながらも、天界で遣えている。
姿は、人間の5~6歳の少女といった感じだろうか。
白く小さな翼を背に持ってはいるが、ここ、天に召された人間の魂を癒す花園でしか飛ぶことができない。
隣に立つルイデスが、碧い眼を見開き、息を飲んだのが分かった。
俺たちの視線に気づいたのか、ヨクはこちら見ると、花のような笑顔で飛んで来た。
ヨク
「アオイエルさま」
アオイエル
「やぁ、ヨク。元気で頑張ってるね」
俺はそっとかがみこみ、ヨクと目線を合わせながら、その柔らかな頬をなでる。
ヨクが、俺の隣に立つ美女を見上げて、聞いてきた。
ヨク
「だぁれ?」
ルイデス
「あ、あ~ら、可愛い子ねぇ、ちょっとこっちへいらっしゃい?」
声をかけられ、ようやくルイデスが、少し裏返った声でヨクに近づいたと思ったら、その腕に小さな身体を抱き上げた。
『この、ロリコンが』
『黙れ、マザコン野郎』
『おい、それは今関係ない話だろう』
ヨク
「つばさ・・・」
ルイデス
「え?」
ヨク
「大きなつばさ・・・すてき」
しまった・・・。
理性で制御できなくなったルイデスの背には
大きな翼が顕現していた。
・・・しかも、真っ黒・・・。
ヨクには、天界にあってはならないその翼の意味が、まだ分からなかったらしい。
そっと翼に手を伸ばした。
ルイデス
「ああ、アンタの翼も、いつか大きくなるわ。遠くまで飛べるように・・・ね」
ヨクはルイデスにポンポンと頭を撫でられ、くすぐったそうに微笑む。
ルイデス
「ワタシは、このタラシ・・・いえ、天使の友達よ。ルイっていうの」
ヨク
「ル、イ・・・?」
すると、ヨクは、小首をかしげ、何かを思い出そうとするような表情を見せた。
ルイデスはスッとヨクの身体を地に降ろす。
ルイデス
「いいのよ、名前なんか覚えなくって。それより、仕事しなさい。ぽやぽやしてると、・・・食べちゃうわよ」
妖しく凄まれて、さっと俺の後ろに隠れるヨク。
でも、その視線はルイデスから離れない。
泣き笑いの表情を隠す様に、ルイデスの方が背を向けてしまった。
自分のことを思い出して欲しい。
けれど、思い出してはいけない。
いや、魂になった時点で、それ以前の記憶は無くなっているはずだ。
ルイデスが無言で噛みしめた唇から、あの日、翼を失った時の、時空を超えた慟哭が、再び聞こえて来るような気がした。
アオイエル
「ヨク、ほら、もうお行き。あっちの花をもう少し世話してやって」
ヨク
「はい」
ヨクの姿が指示した方向へ消えたあと、俺はルイデスの肩を抱いてその耳元に囁いてやった。
アオイエル
「ふふ、可愛いでしょ。彼女が、オトナの女性の姿に成長したら・・・楽しみだね」
すると、勢いを取り戻し、元能天使、現悪魔特有の、殺気溢れる眼差しを俺に向け、
ルイデス
「貴様、手出しやがったら・・・!」
拳を向けるから。
アオイエル
「なら、見張りに来ればいい。どうせお前にとっちゃ、ここの門にはられた結界なんて有ってないようなもんだろ」
ルイデス
「アオイエル・・・」
アオイエル
「そうすれば、悪魔の動向を見張るのも簡単だ。何しろ、お前のほうから顔を出してくれるんだから手間が省けて一石二鳥ってね」
俺はようやく安心して、かつてと同じように友の背を叩くのだ。
ルイデス
「すまない・・・。彼女を、・・・翼を、頼む」
アオイエル
「誰に言ってるんだ、エセ悪魔」
ルイデス
「・・・そうだったな」
ルイデスは、ようやく不敵に笑い、天空の狭間へと姿を消した。
ルイデスとヨク。
二人が邂逅してから、
ヨクが、ルイデスの立っていた場所を見つめ、
時折何かを探すような視線を巡らせる。
それに気づくたび、俺の胸は、奥底をかき乱されるように苦しくなる。
何の痛みなのか、答えを探してはいけない気がした。
理由はいずれ嫌でも分かる日が来る。
今は取り戻すことだけを考えればいいのだから・・・。