天上のセレナーデ *せつな様からの頂き物
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ここは、天界 第二天ラキアの南側。
一面に広がる花畑の中でたわむれる天使たちの姿が美しい。
アオイエル
「君たち、いつも可愛いね」
声をかけると、一介天使たちの鈴を転がすようなさざめきがあがる。
「アオイエル様から声かけられちゃったw」
「いつも素敵よね~~」
「ラファエル様が、是非熾天使にって推薦されてるらしいけど、お断りしてるんですって」
「もったいないわ~~」
「でも、熾天使になってしまわれたら、もうお会いできないのよ」
「いや~~どうしよう!!」
・・・なんて。
でも、それは俺も困るな。
俺は、権天使の一人で、天界での規則、決まりごとを担う、地上界で言う警察のような仕事をしている。
といっても、実際に悪魔と闘ったりするわけじゃない。
そんな野蛮な仕事は能天使にまかせて、天界と地上界を巡回し、悪しき者、堕落する天使、悪魔に漬け込まれる人間が居ないかを見張っている。
さっき一介天使の話に出て来たラファエル様は、いくつかの階級の天使をまとめ上げるだけでなく、様々なことで傷ついた万物を癒す医者のような仕事も行っている、四大天使の一人だ。
今の俺は、癒しの仕事をラファエル様と共に行うのがメインなんだよ。
この天界は、神に近い場所が七、人間界に近い方が一と、7つに分けられていて、
天使にも、その能力と位が授けられている。
当然上に上がる程、神聖かつ高貴な天使が存在していることになるけど、
そこが俺にとっての至高の場所かというとそうでもない。
何故って?
だって、一介天使を含めて、こんなに可愛い人間のお嬢さんたちと離れてしまうってことでしょ?
神様のためにも自らに与えられた職務は、誠意をもって果たさないと・・・だからね。
あー、そうだ。
力天使が昇天させた魂の行く末を決めるのも、俺たち権天使の仕事なんだよ。
だから・・・、そこの可愛いお嬢さん、清く正しく天寿を全うしたら、俺のところに是非来てくれるかな。
一緒に気持ち良くなること、しよう?
天国の花園で、俺がいっぱい癒してあげる。再び素敵なレディに生まれ変わるその日まで・・・ね。
???
「なーにが、天国の花園で癒してあげるだぁ?下心エロでドピンクのエセ天使が」
ドスの効いた声に、心臓が破裂するかと思うくらい驚いた。
振り向くとそこには、久しぶりに見る、金髪の長身。
・・・ただし、妖艶な女性の姿で、
相変わらず口の悪い、かつて天使だったルイデスが立っていた。
アオイエル
「・・・悪いけど、本物の天使だから。堕天しただれかさんと違って」
ルイデス
「おい、無駄によく通る声で言うんじゃねぇ」
俺は冷静さを装って、彼を一瞥する。
黒い羽を巧みに誤魔化して姿を変え、門を潜り抜ける魔力を、早くも身に着けたらしい。
しかもかつての職務を考えれば、勝手知ったるこの場所に潜り込むことなど簡単だった筈だ。
アオイエル
「そろそろ・・・来ると思ってた」
ルイデス
「・・・まぁ、ほぼ予定通りだったな」
アオイエル
「何、その美女姿。もう、サタンを誑かして思い通りの地位を手に入れたの?さすがだね」
ルイデス
「バーカ。お前じゃあるまいし、ちゃんと正攻法でやったさ。サタン・・・ルシファー様は頭の良い方だ。きちんと向き合えば、俺の価値も利用方法も理解される」
・・・それは、彼が堕天するときに、口にしたことだった。
魔界の制御がうまく働かなくなっていることを、誰より近くで気付いていたのだ。コイツは。
アオイエル
「ルイシェルらしい」
ルイデス
「・・・もう、その名で呼ぶな。俺は天使の称号エルを返した男だ」
アオイエル
「そう・・・、だったね」
ルイデス───かつて、能天使ルイシェルとして素晴らしい力を発揮していた、戦友。
能天使は、我々天使の中でもっとも過酷な、悪魔を捕らえることがその職務だ。
日々悪魔と闘う殺伐とした生活であり、常に戦闘態勢を強いられる為、平穏な天界内ではなく、悪魔が出没しやすい危険な『第一天』と『第二天』の狭間に住んでいる。
悪魔と直接対峙するため、狡猾な悪魔から、誘惑されたり誑かされてしまう危険もあり、実際、堕天使となってしまう確率が高いのも、能天使なのだ。
権天使である俺は、どれ程長い年月を彼と共有したのだろう。
情報を集め、作戦を練り、負った傷を癒しながら、彼の能力を最大限引き出せるよう、数えきれないほどの戦闘を共にこなしてきた。
その彼が堕天した。
もちろん、自らの意志で。
ルイシェルには、神以上に、唯一無二である大切な存在ができてしまった。
それは、天使にとってはあってはならないことだ。
下界で心を奪われ、掟を破ったために命を落とした乙女、櫻井翼。
天使を堕落させた罪深い人間として、死後消されてしまう運命だったその魂を、
彼が堕天することで自らの咎と公表し、救ったのだ。
彼が色々な問題をすべて自ら負ったことは明白だった。
純真で清らかなまま死んだ乙女は
俺とラファエル様の特別な采配で、天使となった。
今は、その名をヨクと呼ばれる、一介天使として存在する。
『余計なことをしやがって』
ルイシェルは、そう呟いて天界を去った。
彼女が天使として再生する姿を見ることも叶わないまま。
彼女をもし、現世に転生させたとしても、また人間になれるとは限らない。
地上の生命の寿命は短い上、
前世の記憶も残らない。
なのにお前は追いかけるのだろう・・・いつまでも、どこまでも。
俺の方が、悪魔になったそんなお前を見ていられる自信がなかったのかもしれない。
一面に広がる花畑の中でたわむれる天使たちの姿が美しい。
アオイエル
「君たち、いつも可愛いね」
声をかけると、一介天使たちの鈴を転がすようなさざめきがあがる。
「アオイエル様から声かけられちゃったw」
「いつも素敵よね~~」
「ラファエル様が、是非熾天使にって推薦されてるらしいけど、お断りしてるんですって」
「もったいないわ~~」
「でも、熾天使になってしまわれたら、もうお会いできないのよ」
「いや~~どうしよう!!」
・・・なんて。
でも、それは俺も困るな。
俺は、権天使の一人で、天界での規則、決まりごとを担う、地上界で言う警察のような仕事をしている。
といっても、実際に悪魔と闘ったりするわけじゃない。
そんな野蛮な仕事は能天使にまかせて、天界と地上界を巡回し、悪しき者、堕落する天使、悪魔に漬け込まれる人間が居ないかを見張っている。
さっき一介天使の話に出て来たラファエル様は、いくつかの階級の天使をまとめ上げるだけでなく、様々なことで傷ついた万物を癒す医者のような仕事も行っている、四大天使の一人だ。
今の俺は、癒しの仕事をラファエル様と共に行うのがメインなんだよ。
この天界は、神に近い場所が七、人間界に近い方が一と、7つに分けられていて、
天使にも、その能力と位が授けられている。
当然上に上がる程、神聖かつ高貴な天使が存在していることになるけど、
そこが俺にとっての至高の場所かというとそうでもない。
何故って?
だって、一介天使を含めて、こんなに可愛い人間のお嬢さんたちと離れてしまうってことでしょ?
神様のためにも自らに与えられた職務は、誠意をもって果たさないと・・・だからね。
あー、そうだ。
力天使が昇天させた魂の行く末を決めるのも、俺たち権天使の仕事なんだよ。
だから・・・、そこの可愛いお嬢さん、清く正しく天寿を全うしたら、俺のところに是非来てくれるかな。
一緒に気持ち良くなること、しよう?
天国の花園で、俺がいっぱい癒してあげる。再び素敵なレディに生まれ変わるその日まで・・・ね。
???
「なーにが、天国の花園で癒してあげるだぁ?下心エロでドピンクのエセ天使が」
ドスの効いた声に、心臓が破裂するかと思うくらい驚いた。
振り向くとそこには、久しぶりに見る、金髪の長身。
・・・ただし、妖艶な女性の姿で、
相変わらず口の悪い、かつて天使だったルイデスが立っていた。
アオイエル
「・・・悪いけど、本物の天使だから。堕天しただれかさんと違って」
ルイデス
「おい、無駄によく通る声で言うんじゃねぇ」
俺は冷静さを装って、彼を一瞥する。
黒い羽を巧みに誤魔化して姿を変え、門を潜り抜ける魔力を、早くも身に着けたらしい。
しかもかつての職務を考えれば、勝手知ったるこの場所に潜り込むことなど簡単だった筈だ。
アオイエル
「そろそろ・・・来ると思ってた」
ルイデス
「・・・まぁ、ほぼ予定通りだったな」
アオイエル
「何、その美女姿。もう、サタンを誑かして思い通りの地位を手に入れたの?さすがだね」
ルイデス
「バーカ。お前じゃあるまいし、ちゃんと正攻法でやったさ。サタン・・・ルシファー様は頭の良い方だ。きちんと向き合えば、俺の価値も利用方法も理解される」
・・・それは、彼が堕天するときに、口にしたことだった。
魔界の制御がうまく働かなくなっていることを、誰より近くで気付いていたのだ。コイツは。
アオイエル
「ルイシェルらしい」
ルイデス
「・・・もう、その名で呼ぶな。俺は天使の称号エルを返した男だ」
アオイエル
「そう・・・、だったね」
ルイデス───かつて、能天使ルイシェルとして素晴らしい力を発揮していた、戦友。
能天使は、我々天使の中でもっとも過酷な、悪魔を捕らえることがその職務だ。
日々悪魔と闘う殺伐とした生活であり、常に戦闘態勢を強いられる為、平穏な天界内ではなく、悪魔が出没しやすい危険な『第一天』と『第二天』の狭間に住んでいる。
悪魔と直接対峙するため、狡猾な悪魔から、誘惑されたり誑かされてしまう危険もあり、実際、堕天使となってしまう確率が高いのも、能天使なのだ。
権天使である俺は、どれ程長い年月を彼と共有したのだろう。
情報を集め、作戦を練り、負った傷を癒しながら、彼の能力を最大限引き出せるよう、数えきれないほどの戦闘を共にこなしてきた。
その彼が堕天した。
もちろん、自らの意志で。
ルイシェルには、神以上に、唯一無二である大切な存在ができてしまった。
それは、天使にとってはあってはならないことだ。
下界で心を奪われ、掟を破ったために命を落とした乙女、櫻井翼。
天使を堕落させた罪深い人間として、死後消されてしまう運命だったその魂を、
彼が堕天することで自らの咎と公表し、救ったのだ。
彼が色々な問題をすべて自ら負ったことは明白だった。
純真で清らかなまま死んだ乙女は
俺とラファエル様の特別な采配で、天使となった。
今は、その名をヨクと呼ばれる、一介天使として存在する。
『余計なことをしやがって』
ルイシェルは、そう呟いて天界を去った。
彼女が天使として再生する姿を見ることも叶わないまま。
彼女をもし、現世に転生させたとしても、また人間になれるとは限らない。
地上の生命の寿命は短い上、
前世の記憶も残らない。
なのにお前は追いかけるのだろう・・・いつまでも、どこまでも。
俺の方が、悪魔になったそんなお前を見ていられる自信がなかったのかもしれない。