First Love *清香様からの頂き物
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『1時間後にまた迎えに来るから。』
家まで送ってくれたおじ様はそう言い残して宿泊先のホテルへと戻って行ってしまった。
少しだけ寂しさを感じたものの、シャワーを浴びたり着替えたりするならギリギリだということに気がつくと、何から手をつければいいのか思考が追い付かず慌ててしまう。わたわたとシャワーを浴びて、慣れないながらもお化粧をし、あれこれ悩みながらも着替えをする。
おじ様の隣に立つのに恥ずかしくないよう、『少しは大人っぽく見えるね』とお母さんに言われたお気に入りのワンピースを纏い鏡の前でクルッとチェックをしてると、時間ぴったりに来訪者を告げるエントランスのインターフォンが鳴った。
『穂積だ。準備できたか?』
「は、はい!今降ります!」
『いや、そっちまで迎えに行く。戸締りを確認しておけよ?』
「…はい。」
どこまでも余裕のあるおじ様の声に、果たして心臓が持つのかしら?と思うくらい胸が高鳴るのを感じながらも言われたとおり戸締りを確認して玄関に行くと、タイミングを合わせたかのように今度は玄関のインターフォンが鳴る。そのまま鍵を開けると、なぜだか眉間にしわを寄せたおじ様が立っていた。
「…おじ様?」
「誰だか確認してから開けないと危ないだろうが!変質者やストーカーが多い時代なんだ、用心するに越したことは無いぞ!」
「ご、ごめんなさい!。」
いきなり怒られるとは思わず驚きのあまり反射的に謝ってしまう。しかし何の反応もなく、不思議に思い顔を上げると、目のあったおじ様はなんだか驚いた様子だった。
何に驚いているのか分からず、重なった視線のまま見つめ続けているとスッと視線を外されてしまう。
「あの、おじ様?どうかしましたか?」
「…いや、何でもない。いきなり悪かったな。行こうか。」
玄関ドアを開けて待ってくれているおじ様を待たせないよう、急いで靴を履き立ち上がるとヒールの分だけ背の高いおじ様に近づけた気がする。
「ずいぶん背が高くなったな。」
「ヒールのせいじゃないですか?さすがにもう伸びませんよ。」
「そうか?」
たわいもない会話をしながらエレベーターに乗り、外へ出る。
「雨が降ってきましたね。」
「にわか雨だろう。すぐに止むさ。」
2年前とは違う、お父さんもお母さんもいない二人だけの食事。
案内をするために背中に添えられた手は『大人』として扱ってくれている証しなのだろうか。
タクシーを降りる時に差し出された手は『女性』として見てくれている証しなのだろうか。
おじ様の横顔をそっと覗き見ても答えは出てこないけれど
雨のカーテンが私達を包んでいる間だけは隣にいさせて?
.