Pre・honeymoon *ともぴ様からの頂き物
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穂積と藤守くんの連携プレーで、なんとか羽田空港に12時前に着いた。
藤守くんに外したメットを渡しながら礼を言って、
オレは翼が待っている3階のHカウンターまで走った。
夜中だから、当然のコトながら店も閉まってるし…。
人が居ないからガランとしてる。
こんな寂しいところで…。翼を長時間、待たせてしまった。
なんて可哀想なコトをしてしまったんだろう。
仕事が忙しいからって、30分前まで1度も連絡を入れずに…。
ずっと不安を抱えてたに違いない…。
その…翼は、今まさにチェックインカウンターに居た。
まさか、キャンセルするつもりか…?
慌てたオレは、声を上げた。
葵「翼ッ!」
翼「…ッあおい~ッ!」
オレの姿を確認すると、今までガマンしていたのか…
翼の大きな瞳から涙が溢れだしている。
代わりに、オレがチェックインした。
葵「遅くなって申し訳ありません。チェックインお願いします」
チェックインが無事終わり、搭乗ゲートへ向かう時に…。
翼「さっき…チェックインカウンターでチケットを見せたら、ね。
まだ何も言ってないのに『チェックインは終了しました』って言われたの。
慌ててキャンセルしたいって言おうとした時『翼!』って声がして…。
葵は、わたしが困っている所を助けに現れたスーパーマンだと思ったよぉ」
翼は、オレをよくスーパーマンに例える。
スーパーマンが、翼のヒーローのようだ。
1人っ子のせいか…所謂、レンジャー物だとか…ライダー物なんかの
テレビ番組を見ないで育ったらしく…
物心がついて観た映画のヒーローがスーパーマンらしい。
葵「遅くなってゴメン…。不安にさせて、ホントにゴメンね」
翼「そんなコトないよ。もしも、葵が間に合わなくて
キャンセルするコトになったとしても…。
絶対に迎えに来てくれると思ってたから、平気だったよ。
でもメールをくれるまでは、ちょっぴり不安だったけどね」
葵「オレは、今日…2人のスーパーマンに助けられたよ」
翼「2人??」
葵「うん。オレにとっては、穂積と藤守くんだなぁ。
ホントに、助かった…。
穂積が車で、ここまで送ってくれるつもりだったんだけど。
渋滞に阻まれた時に、穂積が待機させていた藤守くんが
バイクで現れて、ここまで送ってくれたんだ」
翼「じゃあ戻ったら、お礼しなきゃ…ねッ」
葵「うん。お土産も弾まないと…」
翼「そぉだ…。“お土産”で思い出したよぉ~。
あの…ね。捜査室のみなさん…それぞれ個別に、お土産を
用意しなきゃいけないの。
明智さん以外は任せるって言われてて…。
室長からは、わたしセレクトと葵セレクトのお土産を2つ
寄越しなさいって言われてるの。
もぉ何を用意したらいいのか分からなくて……、
葵も一緒に考えてくれる?」
葵「もちろん!一緒に考えよう。ねぇ。翼…。
一緒に…って、いい言葉だね。なんか、しみじみ思うよ…」
搭乗後、翼がコッソリと言ってきた…。
翼「葵…離陸する時、手ぇ繋いでて」
葵「いいよ」
翼にとっては初めての海外旅行だから、緊張してるのかも
しれない…。オレは指を絡めて、翼の手を握った。
翼「(にっこり笑いながら)ありがと!」
海外に行ったコトがないなんて…。今時、かなり珍しいけど。
翼の父親は判事という職業柄、単身赴任していた期間が長くて、
子供時代は長い休みになると、父親の赴任先へ行って…家族3人で
過ごしていたらしい。
翼が高校生の頃、彼はやっと東京地方裁判所へ戻れたが、
一緒に暮らした期間が短かったからか、今でも家族で過ごすコトを
とても大事にしている。
だから…翼は(修旅や合宿以外で)友達との旅行はおろか、
海外旅行もしたコトがないって話を、パスポートを取りに行く時に
オレは初めて聞いた。
「葵と一緒に旅行したのが家族以外で初めてだったの」と言ってた。
ホントに大事に、大事に育てられた“箱入り娘”なんだなぁと、
つくづく思ったのだった。
ガルーダインドネシア航空GA887便が離陸した。
機体が安定して、シートベルトの着用サインのランプが消えた頃…。
翼「葵…あのね。一昨日は…ゴメ…」
オレは、翼の口唇を人差し指で触った。
葵「それ以上は言わなくていいよ。お互い様だし…」
翼は首を左右に振って…。
翼「うんん。言わせて…。
だって、なかったコトにしちゃダメな気がするの」
葵「じゃあ向こうに着いてからにしよう?
今、夜中だし…。寝ようと思ってる方も居るし、
ボソボソ話してると気になるかもよ」
翼「うん…。そぉだね。ゴメン。葵も疲れてるよね?
もぉ寝よっか…」
葵「翼…、オレの肩に凭れて寝ていいよ」
翼「うん。ありがと…」
ここ数日分の睡眠不足を解消するかのように…オレは爆睡した。
昨晩眠れぬ夜を過ごした、翼もグッスリ眠れたようだ。
気が付いたら機内食を配っていたので、
オレ達は洋食と和食を1つずつ貰った。
なかなか美味しい朝食を摂った後に、出入国カードと
税関申告書の記入をした。
そんなコトをしている間に着陸の準備に入ったので、
オレは、また…翼の手を握ってやる。
バリは入国時にビザを取得するために、ビザ代・1人あたり
25米ドルが必要なんだけど…。
2人でガイドブックを読み込んでいた甲斐があって…。
翼が日本でアメリカドルに両替しておいてくれたから、
スムーズに税関を通過できたので、あまり待たすコトなく
ホテルから迎えに来てくれていた車に乗るコトが出来た。
今は5月末。
日本では、そろそろ梅雨の時期だけど、バリは乾季だ。
今日の午後は早速、ウェディングフォトを撮影する予定。
30過ぎたオレには、かなりの恥ずかしさ…だ。
でも、翼が喜ぶのなら…全然アリだけど。
確かに記念にはなるし、ね。
デイタイムとサンセット、約90分で両方撮ってくれる
お得なプランだそうだ。
日本人カメラマンが撮ってくれるらしいので、
こちらからのリクエストもしやすい。
オレの母親がオレ達のために作ってくれたドレスとタキシード、
翼の母親が習っているプリザーブドフラワーのブーケは
持込みにした。
ヘア&メイクはホテルの部屋まで出張してくれるらしく、
プロにお願いするコトにした。
午後の撮影までは、今回の宿泊プランに含まれているスパを
2人で体験してみた。
お陰で、ここ数日の疲れを癒すコトが出来て、
かなりノンビリと過ごせた。
でっかいGが出現するまでは…。
アレには焦った…。
ってか、オレ…Gの、回想もしたくないんだけど…。
翼「じゃあ。その辺りは、わたしが代わります」
葵「翼に見せちゃった…オレの、情けないトコ…言っちゃう?
みんなに言っちゃう?」
翼「うふふ…。葵、気にしすぎぃ…。
ゼンゼン情けなくないしぃ。
誰にだって、苦手なモノはあるんだから。
それに。わたしも、Gは苦手…だよ。
でも、もし、また出てきたら…。
今度は、わたしが葵のスーパーマンになるよッ!」
葵「そんなコト、翼にさせられないよ。
バトラーを呼ぶから…」
翼「だいじょうぶッ!いざとなれば、ガンバれる!
いつも、葵に甘えっぱなしなんだから…。
G退治くらい出来るってトコ見せるッ!
せっかく日本からゴキジェット持ってきたんだしぃ…」