Pre・honeymoon *ともぴ様からの頂き物
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ちょうど駅に着いた頃だったか、少し落ち着いてきて気付く。
あんな…瞳いっぱいに、涙を溜めて…。
きっと今ごろ…翼は、泣いているに違いない。
あぁ…。もぉ…。オレって、バカ?
も少し、言い方を考えたら良かったんだ。
結論を先に言えば、ショックで拒絶反応を起こして……。
オレが…。どんな理由を言ったとしても、言い訳に感じて…。
理解できなかったのかもしれない。
だいたいオレも、穂積の名前が出ただけでキレるなんて…。
ゼンゼン余裕がなさすぎ…。
あぁ…。もしもドラえもんが居たら…。
今すぐ、タイムマシンで数時間前の世界へ戻って………。
ィャィャ。現実逃避はやめろ。
とにかく今、オレがすべきコトは仕事だ。
何としても仕事を終わらせて…。
予定通り、一緒にバリに行くコトだと思い…。
後ろ髪ひかれる思いで、警視庁へと向かった。
翌朝。オレは、仮眠室で休んでいた細野から紙袋を受け取った。
中には着替えと…。
仕事しながら片手でも食べれるように、という心遣いだろう。
オレの好きな生ハム&チーズサンドとエビ&アボカドサンドが
入っていた。
すぐにでも捜査室に飛んで行って、昨日のコトを謝って…。
抱きしめて、お礼も言いたかったが…。
ホントに仕事から手が離せなかった。
1度、家に戻っていたら羽田までは約1時間かかる。
タイムリミットまで。あと15時間…か。
とにかく…このサンドウィッチを食べて、死ぬ気で頑張ろう。
・
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そろそろ23時になる。
ふと、傍らにあるスマホを見るとランプが点滅している。
確認すると…退庁時に翼がくれた着信メールの知らせだった。
さて、もぉ片付けないと…な。
急ぎの鑑定は、なんとか細野に引継ぎが出来るところまで終わらせた。
一刻も早く羽田に向かおう。
その時、ばぁん!って音がして、ラボの扉が乱暴に開かれた。
葵「やっぱり…お前かよ。うちの備品を、あんまり乱暴に扱うな!」
穂積「ぉいッ!まだ居るのかよ!間に合わなくなるぞ!」
葵「ここの、後片付けしたら出られる…。
直接、羽田まで行くよ。今、タクシーを呼ぶから」
穂積「お前、ホント…A型だなぁ…。そんなの…フトシに任せろよ!」
フトシ「御大、それくらい自分に任せてください。
お願いですから…(穂積さん怖いし)」
葵「ゴメン…。太田、悪いけど…お願い出来るかな。
じゃあ、みんな…忙しい中、ホントに悪いけど…。
4日間、よろしくね」
穂積「小野瀬ぇ~、オレが車を出してやるよ」
葵「いいよ。お前に、借りを作りたくない」
穂積「ばぁか!遠慮するな!行くぞ!」
葵「おいッ!」
穂積「のんびりしてると間に合わなくなるぞ!」
葵「ホント、強引だよ…お義父さん」
穂積「誰がお義父さんだぁ?」
葵「とにかく安全運転で頼むよ」
穂積「オレに任せろ!絶対に、間に合うように送り届けるから。
オレだって、アイツを泣かせたくないからな。事故なんか起こせねぇ」
穂積…。お前の親切を有難く受取るよ。
帰国後、なに言われるか…が今から恐怖だけど、な。
渋滞している車中で…。オレは、翼にメールを返信した。
穂積「ヤバいな。奥の手を使うか…」
葵「なんだよ?ソレ…」
穂積「コレ(オレの携帯)で、藤守に電話してくれ…。
ワンギリでいいから」
葵「なんだ?ぉぃイタ電か…?」
とりあえず、心の中で藤守くんに詫びながら穂積に言われた通りにする。
穂積「アホか?上司のオレがそんなコトするかッ!」
夜中だし首都高が混んでなければ、霞が関インターから羽田空港まで
車でも30分弱で着くのに…。
こいつの車に乗ってから既に30分は経っている。
なんとか浜崎橋ジャンクションは過ぎたけど、
あとどれくらいかかるのか…不明だ。
芝浦出口で高速を降りてみたが…一般道も混んでいる。
今さら後悔しても遅いが…、車でなく電車にすれば良かったか。
なんだよッ!もぉ昨日から裏目裏目じゃないか。
ってか、さそり座の運勢…最悪か?
ふと…スマホのトップページに目をやると。
占い好きの、翼がリンクを貼っていた12星座占いの順位が
表示されている。
翼「葵は、さそり座だから…。
毎日さそり座の順位が見られるようにしておくね」
さそり座は12位…。やはり…orz。
穂積「なんだよ!さっきから黙って…。心配するな…。オレに任せろ!」
葵「コレ…。お前の車だろ?覆面パトじゃあ…ないよな?」
穂積「当たり前だ!ってか、お前…オレがプライベートで
覆面パト使って渋滞などお構いなしに…
他の車をガンガン追抜いて行くと思ってるのか?」
葵「……ホッとしたよ…」
穂積「コノヤロー…。思ってたってコトじゃねぇか。
おッ…?意外と速かったな…」
穂積がルームミラーをチラリと見て、言った。
葵「何…?」
オレは、後ろを振り返った。
穂積「おい!あんまり、オレの方に寄ってくるなよ」
葵「冷たいなぁ~。キスした仲なのに…」
穂積「お前、いつ迄そのネタ…引っ張る気だよ。まったく…。
オイ。リアシートにメットがあるだろ?
ソレ取って、付けろ」
葵「え…」
穂積がハザードランプのボタンを押して、車を路肩に寄せた。
穂積「小野瀬、ここで降りろ…」
葵「え…」
我ながら情けないが…。展開の速さに付いていけずに、
さっきから「え…」しか言ってない。
とりあえず言われた通りオレは、メットを装着しながら…
降りる支度をする。
いつの間にか、穂積の車の前には1台のバイクがハザードランプを
点滅させて停車している。
よく見ると…。
葵「藤守くんか…」
穂積「そぉだ。ここからはバイク移動だ」
葵「穂積…。お前、スゴいな…」
お礼を言うより、つい感心してしまった。
渋滞も予測していて、藤守くんを待機させていたんだ。
バイクでなら渋滞もカンケーないし…。
さっきのワンギリで、藤守くんが出動して…。
(この時は分からなかったが、小笠原くんが穂積の居場所を特定し、
藤守くんに指示していたらしい)
穂積がキャリアとはいえ、20代後半で警視庁に新設された
緊急特命捜査室の室長に大抜擢されたのも理解できる。
常に、先手先手を読んで、決して恩着せがましくなく…
コッチの方が恩を感じるように仕向ける…。
穂積に支援者が多いのも納得できる。
それこそが、桜田門の悪魔たる所以なのだろう。
長い付合いで、この悪魔のコトを大体は把握しているとはいえ、
まだまだだな…と思ってしまった。