Pre・honeymoon *ともぴ様からの頂き物
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
●~~~●葵’s view point●~~~●
どうしよぉか。
あんなにバリ旅行を楽しみにしてる、翼には言えない…。
もぉ10日近く家に帰っていないオレは、外に出たついでに
着替えを取りに…家に寄った。
このところ事件が立て込んでて仕事の目途がたたなくて、
もしかすると行けないかもしれないなんて…。
ィャ…。何が何でも行くけど、
明日の(実際には明後日の夜中1時)出発はムリっぽいんだよなぁ。
でもキャンセルするにも…。もぉ前日だし…。
キャンセル料も、だいぶかかるだろうなぁ。
そんなことを考えながら、家に着くと…。リビングに灯りが…。
葵「翼?来てるの?」
オレは、靴を脱ぎながら言うと…。
翼「葵?帰って来れたの…?
急に来ちゃって…。ゴメンね。葵、忙しそうだったから…。
とりあえず(明日からの旅行の)荷作りだけしておこうかと…。
あ、ごはん…食べた?何か、作ろっか?」
翼は喋りながら、まだ玄関に居たオレのところに飛んで来てくれた。
手料理も食べたかったし、せっかくの申し出だったんだけど。
葵「……あ、ゴメン。オレ、すぐラボに戻らなきゃ…いけないんだ。
今も着替えを取りに寄っただけで…」
一緒に食事なんかしたら…。絶対ラボに戻りたくなくなる。
翼も帰したくなくなってしまう。
それに、明日出発が100%無理になる。だからオレは敢えて断った。
翼「だったら。わたしが、荷作りついでに着替えも
用意しておくから…その間にシャワーしてきたら?」
翼の、その一言で…。オレは、気づいた。
今日はシャワーする時間さえも、とってなかったんだった…。
葵「え……。うわ、臭う?」
翼「臭わないよ…。ってか、ワカンナイや。
葵のにおい、好きだから…」
もぉ。ホント。翼は、カワイイなぁ。
思わず、ぎゅ~っと抱きしめてしまった。
葵「うん。オレも、翼のにおい…好きだよ。
じゃあ…着替え、お願いしていい?」
オレは、翼から離れると…。
翼「もちろんッ!」
翼の満面の笑みを見て、なんだか…ものすごく後ろめたくなった
オレは、さっき考えていたコトを口にした。
今迄も仕事で約束を破ったコトがある(必ず、埋合せはしたけれど)。
でも約束を破ったコトに対して(きっとガマンしているとは思うが)
責められたコトは1度もない。
今日の翼は、とっても機嫌がよさそげだし、
オレの仕事も理解してくれているから平気だろうと思って。
葵「………ごめん。翼…」
翼「え?こんなの、ぜんぜん…平気だよぉ」
着替えを用意させるコトに対して謝ってると勘違いしているみたいだ。
すぐに訂正しないと…。
葵「……オレ…さ。明日からの、バリ…。行けないかも…」
翼「え……」
一瞬、時が止まってしまったのかと思った。ってくらい、
翼の反応がない。動かない。喋らない。
オレの言葉がショック過ぎて、理解できなかったのだろうか…?
2~3分くらい経ったか…ィャ実際は数十秒だったのかも
しれないが…。オレにとっては、だいぶ長く感じられた。
沈黙は、翼によって破られた。
翼「なんで?なんで?
葵だって、すごく楽しみにしてたでしょお?ヤダよぉ…」
ホラぁ。って言いながら、オレにバリ島のガイドブックを見せる。
カラフルなポストイットがいっぱい付いている。
2人でガイドブックを見て、想像しながら…ペタペタ貼ったんだ。
それが最近のオレ達の、休日の楽しみになっていた。
どうやら…オレは、伝え方をしくじってしまった…ようだ。
葵「急に驚かしてゴメン。もしかしたら…って、仮定の話だよ?
今、ね。ものすごく忙しくて、人手が全然足りてないんだ。
オレが携わってた急ぎの案件があって…。
このところ、ずっとラボにこもって頑張っていたんだけど、
見通しが立ってない状態だから…他の人にも頼めないんだよ」
翼の両腕を掴んで、オレは少し屈んで目線を合わせて伝えた。
でも。オレの話を聞きながら、翼の瞳に涙が
どんどん溜まっているコトに気付いたら、
どうにも良心の呵責に耐えかねて目を逸らしてしまった。
翼「ヤダヤダヤダヤダ…絶対にヤダ」
翼は頭を左右に振りながら言った。
葵「翼…。お願い。解って欲しい…。
オレだって、こんなコト言いたくないんだ。
翼がどれだけ楽しみにしていたか、傍で見ていて
1番よく知ってるから…」
翼「葵…わかんないよ。
だって、だって。今回のは、ただの旅行じゃないんだよ?」
もちろん、わかっている。今回のが、ただのバリ旅行でないことくらい…。
だから。出来るだけ、キャンセルはしたくないと思っていたからこそ…。
このところ、ずっと(家に帰らずに仕事をして)悪あがきをしていたワケで。
来年の1月、オレ達は明治神宮で挙式する…予定だけど。
オレの最初の希望はハネムーンを兼ねての青い海、青い空のハワイか
どこかで2人だけの海外挙式を…と思っていた。
う余曲折あったが、2人の両親の達ての希望もあり日本で…
しかも、翼の両親が挙げたという神社に決めた。
翼は、自分の父親の反対にあい日本での挙式になってしまったから…。
オレに対して心苦しいと思ってのコトかもしれない。
青い海はないけど、神社も開放的な空間だと思って納得して決めたのだから
翼が引け目を感じるコトなど、まったくないのだが…。
だから…。今回のバリ旅行で、挙式は無理でもウェディングフォトだけは
撮影したいと切望していた。
葵「解ってるよ…。行けないって断言したワケじゃない。
必ず、必ず行くから。ここは、翼にも納得して欲しいんだけどッ!」
オレはだんだんイライラしてきて…語尾が強くなってしまった。
翼の方も勢いが止まらないのか…平行線で。
オレが何て言っても、珍しく…聞く耳を持たないってカンジだった。
翼「じゃあ、いいもん。
仕事が忙しくって葵が行けないなら、室長と行くからッ!」
その言葉を聞いた途端…何かがプッツリとキレた。
小さい頃から自分を取り繕ってイイ子のフリをしていたから、
表面上は冷静を装って、何事もなかったかのように振る舞えるハズの…
このオレが。
葵「なんで、ここで穂積が出てくるんだよッ!」
翼がビクビクッとして身体を強張らせたのが分かった。
怖がらせるつもりはなかったけど…。ガマンが出来なかったんだ。
翼は更に続けた。
翼「だって。万が一、葵が行けない時は、室長に
声をかけろって言われてるんだもん」
この局面で穂積の名前を出してきた…翼に対して、
オレは不信感を抱いてしまった。
後で冷静に考えれば、穂積は翼の上司であり…
父親なんかを気取ってるんだから…。
翼は、オレの分が無駄になるのなら…もったいないって意味で
言ったのだろぉ。
穂積本人も(たぶん…)マジで言ったんじゃない(…ハズ?)。
それなのに…。寝不足で思考力が低下していたせいか、
平静でいられなかったオレは…。
葵「あぁ…そぉ。オレじゃなくていいのなら…。
穂積と2人で行けばいいだろ?」
あぁ…マズい。ダメだ…。
このまま一緒に居たら言わなくていいコトまで口走って、
どんどん傷つけてしまう。
一刻も早く、この場から逃げ出したい。そして頭を冷やしたい…。
翼「葵は…いいんだ?
わたしが室長とバリに行っても…。一緒の部屋でも…」
翼の瞳には、今にも涙がこぼれそうに溜まっている。
そんなの…、いいワケないじゃないかッ!
翼と付合う前までのオレなら、穂積とブッキングなんて
メンドくさいし…即、バイバイすれば良いって思っただろう。
けど。翼はダメだ。穂積にも…誰にだって渡せない。
いくら…翼に対して甘々なオレでも、穂積と一緒に旅行なんて
許せるワケがないッ!
葵「……ッ……。
穂積はオレと違って、君に優しくしてくれるんだろうね。
じゃあ…。オレ、もぉ(仕事に)行くから…」
結局、オレはシャワーもしないで、着替えも持たないで…
部屋を出てしまった。翼を1人残して…。