Pre・honeymoon *ともぴ様からの頂き物
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Pre・honeymoon
●~~~●翼’s view point●~~~●
キリのいいところで仕事を終えた わたしは、捜査室の皆さんに挨拶をした。
翼「すみません。みなさん。
ご存知かも知れませんが、明日からの4日間、お休み…を頂きました。
帰ってきたらバリバリ働きますので、お休みの間のコト宜しくお願いします」
藤守「おぃッ!バリに行くから、バリバリって…。お前…ベッタベタやん」
翼「ち、違いますぅ~…。そんな、つもりで言ったんじゃあ…」
じ、実は…。内心、満点大笑いのつもりで言ったんですけどぉ…。
明智「ベッタベタ…。そぉなのか?
オレは…櫻井、巧いなッ!って思ったんだけど…」
如月「ねぇねぇ。翼ちゃ~ん。お土産、忘れないでねぇ~」
え~~~~ッ!絶賛は、明智さんだけぇ…?
わたし達の、お笑いセンスを完璧にスルーした如月さんが…
お土産の話題に触れてきた。
藤守「(ちょっぴり小声で)ぉぃッ!『捜査室の皆さんで、どうぞ』
とか言って、お手軽にチョコとかクッキーで済ますんやないぞ」
翼「エッ…。それ…って、ダメなんですかぁ?」
そぉする気マンマンだったわたしが、瞳を見開いたビックリ顔で
藤守さんに聞いた瞬間、後ろから両頬を左右に引っ張られた。
翼「ッ…ぃ…ぁ゛ぃ…ぉ……」
わたしは自分の頬を掴む手をタップアウトしながら…。
痛い、放してほしい、降参だと訴えた。
室長「(低ぅ~い男言葉で)この、アホのこがぁ~~~~ッ!」
ちょっ…室長。いつの間に、わたしの背後に回ってたの??
目の前に居たハズなのに、ぜんぜん気配を感じなかったよぉ。
わたしの頬から手を放すと、いつものオカマ口調に戻って…。
室長「そぉ~んなの、ダメに決まってるでしょ~?
ちゃ~~んと1人1人に、お土産を持ってくるのよぉ~。
なんてったって…。4日も、お休みあげるんだから当然でしょ~?」
そぉ言って、わたしの右頬を右手の甲で軽くペシペシ叩いた。
ホント。室長は相変わらずの、地獄耳だなぁ~。
と心の中で呟いた。
翼「でも。みなさんに“個別おみや”なんて…。
そんなぁ…行く前から、とっても悩んでしまいますよぅ…」
室長「いいのよ。それで…。
それなら、イヤでも捜査室を忘れないでしょお?
そんなに簡単に、誰かさんとのラブラブな時を…のんびり4日間も
過ごさせてたまるモンですか…」
藤守「あぁ…。室長、すっかりお前のお父さんモードになっとるわ…」
明智「櫻井、悪いな…。お土産のリクエストが出来るなら…。
オレは、むこうの…調味料がいい」
翼「明智さん、了解ですッ。
みなさんも、何かリクエストがありましたら伺いたいのですが…」
如月「オレはぁ…。翼ちゃんが選んでくれたモノがいいなぁ~」
藤守「オレも、お前のセンスに任せるわ…」
うわッ…。センスに任せるとかって、1番苦手なのにぃ…。
これは、もぉ要相談事項だね。
翼「室長と小笠原さんは、何かご希望がありますか?」
小笠原「別にナシ!バリの、お土産なんかに興味ないから…」
室長「あんた、相変わらず…可愛くないわねぇ~。
そんな、元も子もないような言い方すんじゃないわよ」
そう言いながら、パシッと小笠原さんに強烈なデコピンを
御見舞いすると…。
小笠原「痛ッ…。暴力上司ぃ、マジで訴えるからね?」
室長「ほぅ?上司って認識は、ちゃんとあるようだな。
なら、その上司に向かって…タメ口きいてんじゃねぇよッ!
いつになったら…お前は敬語が使えるようになるんだぁ?
(手をボキボキ鳴らして逃げようとした小笠原さんを捕まえて)
ぉッ?いい度胸だな…。お前、オレから逃げ出せると思ってるのか?
100年早いんだよッ!
(口調をコロッと変えて…)櫻井~、わたしは何でもいいわよぉ。
(暴れる小笠原さんを羽交い絞めにしながらも、涼しげな顔で…)
でも、そぉねぇ~。出来るなら日常的に使えるものがいいわね~。
い~い?櫻井。アンタも小野瀬も1つずつ選んで、わたしには必ず
2つ持ってきなさぁ~い!」
翼「りょ、了解デス。し、室長…早く、早く…離してあげて下さい。
小笠原さん、白目むいちゃってますぅぅ。オチちゃいますよぉ」
室長「仕方ねぇな…。オイ!櫻井に感謝しろよ?」
拘束していた室長の手が緩んだ隙に逃げ出した小笠原さんは
パーテーションの向こうにあるソファへ倒れこんだ。
ぜぃぜぃ息をしながらもブチブチ文句を言っているようなので、
安心して…。
翼「では、お名残惜しいですが…。お先に失礼します。
みなさん。居ない間のコト、くれぐれも宜しくお願いします」
ペコリと頭を下げ、捜査室を後にした。
わたしは大崎駅付近にあるカフェで軽く食事を摂った後、
葵の部屋でクリームイエローのワンピースに着替えて、
2人分の荷物を詰めた大きなキャリーケースと
ドレスとタキシードが入ったガーメントバッグ、
2冊のパスポートを持って羽田空港へと向かった。
葵は、来てくれるのだろうかと思いながら…。
実は昨日…、葵とケンカをしてしまった。
付き合い始めて2年以上経つけど、初めてのケンカ…。
葵の家族関係に戸惑っていた頃、
わたしが一方的に絶交を言い渡したことはあったけど。
その時の教訓で、お互いに言いたいコトをガマンしないで
言い合うってルールが出来た。
基本的に、わたしは葵に対して不満に思ってるところは全然ない。
わたしの…どんなワガママも、葵が叶えてくれちゃうので、
今までケンカになったコトすらなかった。
けど。今回は、ちょっと違った。
科警研に籍を置く、技官である葵の仕事は激務…で、休みも不規則。
わたしが葵の身体を心配しない日がないくらい、いつだって…
慢性的に忙しい。
なぜならば、毎日のように他部署からも仕事は舞い込んでくるのに。
うちの室長は葵にばかり急ぎの仕事を依頼するから…。
でも、それは決して嫌がらせではなく(違いますよね?室長…)
技官としての能力を認めていて、葵が出す鑑定結果を信頼してるから
…なんだと思うけど。
明日から4日間の…、まとまった休みを取るために葵は、
もぉ1週間以上も家に戻らず…我武者羅に仕事をこなしていた。
昨日もラボに泊まり込むため、外出した合間を縫っての…
少しの時間を利用して着替えを取りに戻っただけの葵。
わたしは、ずっと家へ帰って来れずにいた…そんな葵の代わりに、
旅行の荷作りをするために彼の部屋へ訪れていた。
ただでさえ3日も徹夜していて、頭の中が飽和状態で…
思考能力が落ちてきているところに、わたしからの攻撃に…。
最初は葵も、なんとか軽くあしらおうとしていたけど。
どう言っても聞き分けのないわたしに、とうとうキレた。
そして出かける前に…。葵は、ひとこと。
葵「……ッ……。
穂積は、オレと違って君に優しくしてくれるんだろうね。
じゃあ。オレ、もぉ(仕事に)行くから…」
そう言って、まったく振り返らずに葵は出て行った。
ドアが閉まった瞬間、わたしの瞳から大粒の涙が
こぼれ落ちたコトなんて…もちろん葵は知らない。
翼「(葵に負けないくらい忙しい室長なんかと)
一緒に行けるワケ、ないじゃない……」
伝えたい相手は既に居ないのに、そぉつぶやいた。
~ほんの10分前~
葵「翼?来てるの?」
葵んちのリビングで、大きなキャリーケースに
2人分の着替えや洗面道具などを詰め込んでいたところ…。
葵の声が聞こえた。
わたしは急いで玄関へ向かいながら、
翼「葵?帰って来れたの…?
急に来ちゃって…。ゴメンね。葵、忙しそうだったから…。
とりあえず(明日からの旅行の)荷作りだけしておこうかと…。
あ、ごはん…食べた?何か、作ろっか?」
葵「……あ、ゴメン。オレ、すぐラボに戻らなきゃ…いけないんだ。
今も着替えを取りに寄っただけで…」
翼「だったら。わたしが、荷作りついでに着替えも
用意しておくから…その間にシャワーしてきたら?」
葵「え……。うわ、臭う?」
翼「臭わないよ…。ってか、ワカンナイや。
葵のにおい、好きだから…」
そう言ったら、葵がぎゅっと抱きしめてくれた。
あぁ…そぉいえば、葵に抱きしめられるのって…久しぶりかもぉ…。
葵「うん。オレも、翼のにおい…好きだよ。
じゃあ…着替え、お願いしていい?」
翼「もちろんッ!」
それくらい任せてぇ、任せてぇと満面の笑みで、返事をすると…。
葵「………ごめん。翼…」
声を絞り出すような感じで…、なんだか…辛そうに葵が言った。
てっきり葵が着替えを用意することに対して、
大げさに謝っていると思った、わたしは…。
翼「え?こんなの、ぜんぜん…平気だよぉ」
ノーテンキに返した。
葵「……オレ…さ。明日からの、バリ…。行けないかも…」
翼「えッ……」
えッ…えッ?!今、なんて?
もしかして、わたしの聞き間違い…?
バリに行けないかも…って言わなかった??
一瞬、何を言われたのか理解できなくてフリーズ状態だったけど、
なんとか復旧して。
翼「なんで?なんで?
葵だって、すごく楽しみにしてたでしょお?ヤダよぉ…」
ホラぁ。って言いながら、葵にバリ島のガイドブックを見せると。
葵「急に驚かしてゴメン。もしかしたら…って、仮定の話だよ?
今、ね。ものすごく忙しくて、人手が全然足りてないんだ。
オレが携わってた急ぎの案件があって…。
このところ、ずっとラボにこもって頑張っていたんだけど、
見通しが立ってない状態だから…他の人にも頼めないんだよ」
葵は少し屈んで、わたしの両腕に手を添えて、目線を合わせて…。
なんとか自分の想いが通じるように…と、誠意のこもった眼で
ジッとわたしを見つめてきた。
でも。わたしの瞳に涙がどんどん溜まっていくのに気付くと、
葵は目を逸らしてしまった。
翼「ヤダヤダヤダヤダ…絶対にヤダ」
わたしは頭を左右に振りながら言った。
葵「翼…。○△□※◇☆………」
アレ…?アレ?耳が…変…。全然聞こえないワケじゃないけど、
葵が何て言ってるのか…すごく聞こえ難い。
パニくったせい…なのか、それとも聞きたくないから…なのか、
耳がシャットダウンしちゃったみたいで。
翼「葵…(なんて言ってるのか)わかんないよ。
だって、だって。今回のは、ただの旅行じゃないんだよ?」