フトシの恋 *ともぴ様からの頂き物
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~epilogue~
オレと翼の結婚式当日。
先ほど。神前式を終え、オレは披露宴前に衣装替えをした。
今度は、翼が選んでくれたタキシード。
今日の主役は翼なんだから。オレなんか、なんでもいいのに…。
って言ったら…。
翼「ダメだよぉ。葵は人気者だから…もしかしたら広報の取材で、
写真が載っちゃうかもしれないでしょお?
葵が安っぽいのとか着てたら、わたしが嫌味言われちゃうよ」
小野瀬「じゃあ載せないようにするよ」
翼「ってか、逆に載ってくれた方がいいのッ!
だって葵が結婚したって、庁内に行き渡るから、ねぇ(`△´)Ψ。」
なので、コレは少々割高ではあるが…。
カシミアを使用した高級感あふれるタキシードらしい(笑)。
この明治神宮は、翼の両親が結婚式を挙げた場所だ。
最近は明治神宮の御苑の方にあるパワースポットが大人気らしい。
オレは青い空と青い海のある…出来たらハワイで、
ハネムーンも兼ねての海外ウェディングを希望していたので、
その気持ちを優先しようとする翼と、
海外なんてとんでもないと考えるお義父さんの狭間で
情けなくもオロオロしてた…オレ。
お互い頑固で、引かないので一触即発状態?
ところがお義母さんは、そんな状態に慣れているのか、
まったく動じなかった。
結局…。親子2代、同じ場所で式を挙げるというコトにも、
魅力を感じてしまったのだ。
神前式は、とても神聖で厳かな雰囲気がして日本古来の趣がある。
明治神宮に下見に行った時、2人の周りをアゲハ蝶が舞っていた。
蝶は、死者の使いと言われている。
両親の離婚後、亡くなるまで一緒に暮らしてた祖母からの
「結婚式は、ここでしなさい」
という伝言を蝶から受取ったオレは、こう言っていた。
小野瀬「翼…。ココにしようか。式場」
でもオレは何より、
翼の白無垢姿が見たかったってのが1番の理由だけど。
彼女は彼女で、オレの紋付き袴姿をみんなに
見せびらかしたかったらしいけど、ね。
イヤ。バカップルなのは、分かってる。
仕方ない。きっと新婚なんて、こんなモンだ。
翼「だってぇ。浴衣も剣道着も、あんなに似合うんだから、
絶対!紋付き袴だって似合うハズだもん。
咲季ちゃんやお義母さんにも葵の和装を見て貰いたいじゃない?」
神前式で1番心配だったのは、誓盃の儀。
いわゆる三々九度の盃なんだけど…。
小盃、中盃、大盃の3つの盃を3口に分けて頂くから
三々九度らしい。
でも。なぁ~んか、イヤな予感がしてたんだよねぇ。
ィャ…。オレは飲めないならば、
口を付けるだけでいいって聞いてたから…。
そうするつもりだったのに。
穂積が…さ。
穂積「(手を挙げながら)ハぁイッ!
小野瀬が呑めないから、オレが代わりに呑んでやるッ!」
って言って、隣にいた明智くんと藤守くんが止めてくれてるのに…。
彼らを引きずってまでオレの隣に来て、
3口に分けて呑むところ1口で呑みやがったのだ。
しかも巫女さんに、お代わりまでしてやがる。
巫女さんも神主さんもボーゼンとしてるよ。あ~あ…。
むこうの方で明智くんと藤守くんが手を合わせてる。
暴走する穂積を止められなくて詫びているんだろぉケド…。
お義父さんを見ると、あまりの怒りでワナワナしてる。
スゲーな…穂積って。
あの、お義父さんに負けてないよ。ってか、勝ってやがる?
桜田門のアクマって…警視庁の外でも(`△´)Ψ健在かよ。
ィャ…。いつの間にか大魔王にパワーアップしやがった。
今日の結婚式に…。
翼も、お義父さんもオレの両親に出席して貰うつもりでいた。
当然のことながら…。オレは、呼ぶつもりがなかったんだけど。
翼「そんなコト言ったら、お父さん。また怒り出すよ。
結婚だって認めてくれないかもぉ…」
って脅すんだよ。ホント、翼って【どえす】だよな。
でも…。オレの両親にも参列して貰って、
来てくれた全員に祝福して貰えて良かったと思っている。
何より、翼が1番喜んでくれている。
彼女が幸せな顔をして笑っているのが、オレにとっても幸せ。
付合い初めの頃、オレの家族とは関わって欲しくなかった。
それは、もう頑なに思っていた。
例え、どんなに彼女を悲しませても。それで、彼女とスレ違ってしまっても。
でも…。翼は咲季を自分の妹のように、とっても大事にしてくれた。
翼の家族も、だ。
お陰で、オレの頑なだった心も段々と溶けていった。
スタッフ「新郎様。新婦様のご支度が整いました」
小野瀬「ハイ。(ゆっくり振り返ると)」
翼「葵。ステキぃ~。紋付き袴姿も、すごぉく様になってて
とってもカッコ良かったけど。
やっぱり、そのタキシード。よく似合ってるぅ。カッコいぃ~」
小野瀬「翼。キミだって、すごく綺麗だよ。
どうしよう。みんなに見せたくないな…」
スタッフ「ホント、お2人とも素敵ですよ。
美男美女のカップルですね」
小野瀬「ありがとうございます」
スタッフ「では、行きましょうか?みなさん、お待ちですよ」
2人で「ハイ」
オレ達が披露宴会場の扉前でスタンバっていると…。
穂積「オイッ!」
翼「し、室長!」
小野瀬「お前、もぉ…会場で座って呑んでろよッ!
明智くんと藤守くんは?」
穂積「あいつらは、巻いてきた(`△´)Ψ。
オレは、まだやることがあるからな(笑)」
小野瀬「やるコトって、なんだよ」
穂積「お前、中で待ってろ」
小野瀬「はぁ?オレ達、2人で入場するんだけど…」
穂積「とりあえず、お前一人だけ先に入れ!」
小野瀬「はぁ???
お前、オレ達の結婚式をメチャクチャにするなよぉ」
穂積「蹴り飛ばすぞッ!
早く中に入って待ってろって言ってんだろッ」
小野瀬「分かった…。オレだけ入場するよ。
ホントっ。ムカつくな。お前…」
穂積「よぉし、いい子だなぁ。小野瀬ぇ」
オレは、ひとりで入場した。
係の人に、その場で待ってるように言われた。
会場内はザワついてる。拍手もまばら…。
そりゃあ…そぉだろ。なんで、オレ1人で入らなきゃいけないんだよ。
ってか、なんかオレ…花嫁に逃げられたダメオトコっぽいよな。
司会者「続きまして…新婦のご入場です!
どうぞ、拍手でお迎えください」
ジェームズ・ブラントの“You'er beautiful”のメロディーが流れた。
翼は穂積と腕を組んで、一緒に入場してきた。
司会者「挙式は神前式だったので、
どうしてもバージンロードを歩きたいってご要望で、
新婦の、職場の上司である穂積さんと一緒のご入場となりました」
あの、司会者。きっと、アクマ(`△´)Ψに脅されたんだろうなぁ。
翼は、オレの方に1歩ずつ近づいてくる。
お義父さんは、大丈夫か?つい、心配になって様子を見てしまう。
少々、怒りでプルプル(ノ`△´)ノしているようだが…。
さっきよりは、マシかな?
勝手にプログラムを変えた穂積には、たいへんムカついてるけど…。
翼が嬉しそうな顔をしているから許してやろう。
だけど、この曲…って。
確かに。とてもキレイな曲なんだけど、実は失恋の歌だよな。
しかも。あのPVって、雪の中…ジェームズ・ブラウンが
歌いながら服を脱いでいって最後に海に飛び込むんだ。
それが自殺っぽいって。
まぁ。オレだってアイツが、自殺なんて考えてるとは思わないけど…。
そんなコトを考えてたら、翼はすぐ其処まで来ていた。
小野瀬「翼。おいで…」
穂積が腕を解き、翼をオレに託して…。
穂積「小野瀬、幸せにしてやってくれよ!」
小野瀬「トーゼン。おい。お前、長生きしろよな」
翼は、オレと腕を組んだ。
やっと揃った2人が1歩ずつ歩き出すと、
更に歓声と拍手があがる。
穂積「当たり前だろ。お前もな…」
穂積がオレ達の背中に向かって呟いた。
アイツの声は歓声に埋もれてしまったけど、
でもオレには聞こえていた。
穂積…。祝福してくれて、ありがとう。
~You'er beautiful~
~END~