フトシの恋 *ともぴ様からの頂き物
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~AOI's view point~
バタンと閉まるドアの音。
小野瀬「太田、出て行ったよ。もう誰もいないから…。
翼…おいで?そんな隅っこ方で小さくなってないで…」
オレは壁の方を向いて、しゃがみ込んで耳まで真っ赤になっている
翼に向かって言うと。
少々おびえ気味の…彼女が、ゆっくりと立ち上がり振り返った。
翼「もぉダメだよ。葵ぃ。人が来ちゃうしぃ…」
小野瀬「いいよ。来たって。もぉ結婚するんだし。
今さら…誰に隠すことないでしょお?」
翼「だって……ここ…職場…だもん…」
オレは、自分の唇に人差し指を付けて…。
もう喋らないで…と無言で伝えた。
小野瀬「だって。って言わないの。
来て。ちょっとでいいから、充電させて。
中々ゆっくり逢えないんだから…さ。
今日もエステに行くんでしょ?さぁ。おいで…」
と言って両手を広げると、
翼はオレに吸い寄せられるように近づいてきた。
小野瀬「捕まえた…」
抱きしめると、恥ずかしいのか…オレの胸に顔を付けたままだ。
翼「葵、ゴメンね。なかなか時間が取れなくて。
わたしも…充電、したいよ」
小野瀬「寂しかった…。翼は?」
翼「わたしも、寂しかったッ!
葵に逢いたかったし…。葵に触れたかったよ?」
小野瀬「同じ気持ちでいてくれて、嬉しいよ。翼。
オレも触れたかった。捜査室に行って、さらっちゃおうかと思った…」
翼「葵ってば…。でも。あと少し…で、一緒に暮らせるよ」
オレ達の結婚式まで、あと10日。
新婚旅行は彼女の希望で、まだ行かないんだけど。
翼「だって。ただでさえ、この時期は忙しくて。
わたし達の結婚でラボと捜査室の皆さんに、
ご迷惑をかけてしまうのに…。
さらに新婚旅行で休むなんて、とんでもないよッ!
新婚旅行は、連休が取れる時でいいから……」
って言うんだよねぇ。
オレが、あの悪魔(`△´)Ψに頭を下げて、
翼の休みを貰うくらいワケないのに…さ。
でもオレとの結婚で迷惑をかけるからって言われたら…
強行突破も出来なくて。
あぁ。オレって、ほんとヤッセンボ…かも。
先週の休日に、翼の荷物を引越し屋さんに運び入れて貰った。
彼女が来てくれたら新婚生活がスタート出来る状態になっている。
この日…。
まさか…このあと、太田が事件に巻き込まれてしまうなんて、
予想もしてなかった…。
~1日目~
バンッ。
オレは、焦っていた。
だからノックもせずに、勢いよく緊急特命捜査室のドア開けてしまった。
小野瀬「オイッ!穂積…!!太田が事件に巻き込まれたって???」
オレは穂積のところまで大股で歩いて行き、詰め寄った。
穂積「オイオ~イ。小野瀬ぇ。ドアが壊れるだろぉ?
修理代をお前個人に請求するぞぉ~」
お前だって、うちのドア…
いつも勢いよく開けて壊しかけてるだろうがッ。
小野瀬「そんなコトより、太田だよッ!」
穂積「あぁ。フトシねぇ…。アイツは、今のところ…被疑者なのよ」
藤守「“ストーカー暴行致傷殺人未遂事件”っス」
如月「被害者は小川ミカさん、22歳」
小野瀬「あぁ…。太田の、行きつけの食堂の…娘さんだ」
小笠原「うん。昨夜22時35分、被害者 小川ミカさんが帰宅途中、
何者かに襲われた」
明智「連絡を受けた近くの交番の巡査が事件現場に向かう途中、
公園に居た太田仁志(25)を職質したところ、彼が素直に
「小川ミカさんが戻って来るのを待っている」とか言ったので、
彼女が働いていた食堂の店主である父親に確認したところ、
昼夜問わず通って来ていたという証言を受けて、
太田くんがストーカーであると断定されてしまったようですね」
穂積「鑑識官という職業柄、証拠の隠滅やねつ造の恐れもありえるので
現在は身柄を勾留されている」
小野瀬「いや。ちょっと待ってよ。そのミカさんに確認すれば、
太田がストーカーかどうかなんて、わかるんじゃないの?」
翼「それが…。小川ミカさんは、電信柱に頭を強打したらしく
意識不明の重体です」
穂積「しかも、彼女はストーカー被害に遭っていたのは間違いない」
小野瀬「それが、太田だと???」
翼「イエ…。太田さんとは……。でも、彼女…。
昨日ストーカーの被害届を所轄に出そうとして、とりやめているんです」
穂積「今の段階では小川ミカさんの意識が回復しない限り、
フトシの嫌疑は晴れない」
小野瀬「だったら…。真のストーカーを見つければいいんだよな?
そいつが犯人の可能性が高いんだから」
藤守「小野瀬さん。フトシを信じたい気持ちは分かりますけど…」
小野瀬「頼む。みんなッ。被疑者は、絶対に太田じゃあないッ!
ミカさんに、乱暴するハズない!彼を…彼を助けてやって欲しい…」
穂積「小野瀬ぇ。ここに捜査依頼は来ていない。手助けしたくても…」
小野瀬「穂積…。例えば、これが太田でなくて…捜査室の誰かが
巻き込まれてしまったとしても同じコトが言えるかッ?」
穂積「………」
小野瀬「頼む…。頼む。みんな…」
オレはいつもの落ち着きを失って狼狽えまくっていて…、
土下座でもなんでもするつもりで、膝をつこうとしたら…。
とつぜん穂積が怒鳴った。
穂積「やめろッ!小野瀬ぇ~」
みんな「小野瀬さんッ!」
翼がオレの傍に寄り添って、抱き起そうとする。
穂積「分かった。小野瀬。ちょっと待ってろ…」
と言って、穂積は席を外した。
明智「室長、きっと刑事部長のところへ行ったんですよ」
翼「大丈夫です。わたしも太田さんを信じます。
きっと嫌疑は晴れます」
小野瀬「翼…」
翼はソファに腰を下ろしたオレの手をしっかりと握って、
隣に座ってくれている。
如月「オレ。部下を見捨てない…小野瀬さんのコト、
見直しちゃいました」
藤守「あぁ。小野瀬さんが、こんなに情に厚い人だったとは…」
明智「今日はミートパイを焼いてきたんで、小野瀬さんにも
明智スペシャルを入れて差しあげます」
小野瀬「えッ?(オレは明智くんが入れた紅茶より、翼の
入れたコーヒーがいいけど…。明智くんの心遣いに感謝して)
明智くん…。ありがとう」
たぶん明智くんは、翼がオレの傍から離れないようにと
気を遣ってくれたんだ。
小笠原「小野瀬さん。結婚式までに片付けなきゃね」
小野瀬「小笠原…。あぁ。そぉだな…」
ホントに。ホントに。結婚式までに…。
オレと翼の結婚式まで…あと9日。