悪魔は天使に二度恋をする。 *清香様からの頂き物
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とうとうニーナ女王の来日を明日に控え、私は再び警視庁内の会議室へと召集された。
そこには既に捜査室の人々や警視庁警備部のSP達も集まっていて、物々しい雰囲気に気押されてしまいそうになるが、私の姿を見つけて手招きをしてくれた藤守さんや如月さんの元へと近寄ると、少しだけ安心できるような気がする。
末席に座り分厚い警備計画書に目を走らせていると、ドアが開いて警備責任者のおじ様をはじめ警護課の係長など各部所の責任者が入室してきた。
私達の物よりもさらに分厚いファイルをドンッと机に置き、居並ぶ職員を見つめる瞳は恐ろしささえ感じられるほど鋭くて、改めて今回の仕事が重大なものだと再認識させられる。
「今日は明日のトルキア王国ニーナ女王来日の警備計画を再確認する。外事と公安調査庁、入管からそれぞれ女王の来日に関して怪しいと思われる外国人の入国が確認されている。今回はトルキア王国への日系企業の工場誘致、エネルギー関連の情報交換も含めた懇親会と多数の人間が集まるから、とにかく会場の警備には目を光らせろ。未だに後継者の定まっていないニーナ女王にもしもの事があったら日本警察の名折れだからな。」
いつも以上に凄みのあるおじ様の声に改めて背筋を伸ばし、その後に続く警備課係長の話に耳を傾けたのだった。
「明智、藤守、如月、あっ、小野瀬もちょっと来て。」
会議終了後、退室して行く他の職員とともに席を立とうとするとおじ様に呼びとめられた。
何事かと顔を見合せながらもおじ様の元へと集まると。
「明日の女王の来日は俺達でお出迎えだ。羽田に集合してくれ。」
「えっ、俺達は懇親会での警備だけじゃ無かったんですか?」
「随分と急ですね。大丈夫なんでしょうか?」
「これも女王からのご指名だ。最初に俺達に会いたいんだとよ。」
よほど捜査室のメンバーがお気に入りなんだろう、ため息をつきながら話すおじ様達に苦笑いを返すと、人の少なくなった会議室のドアがスッと開いた。
「お邪魔しても平気かな?」
「おっ、とうとう娘が心配で来やがったか。」
「「「小野瀬さん!!」」」
「おとっ…!」
ニッコリと笑顔で入ってきたのはお父さんだった。このところ互いに忙しくて連絡は専らメールばかりで顔を見るのも声を聞くのも久しぶりで思わず驚いてしまう。
「藍、元気そうで良かったよ。穂積にいじめられてない?こいつは人使いが荒いから、心配で心配で。」
「おい、人聞きの悪い事を言うな。」
「だ、大丈夫だよ。みなさん良くして下さってるし。」
「そう、なら良かった。安心したよ。」
いつものようにそっと手の甲で頬を撫でるお父さんに、隣で藤守さんや如月さんが呆れた声を出す。
「なんや、実の娘相手なのに見てて妙に気恥かしい気になるんは…。」
「小野瀬さんらしいって言うか、なんて言うか…。」
「やだな、愛しい娘に愛情表現しているだけだよ?」
「それがいやらしく見えるのが小野瀬さんですからね。」
「おや、明智君は今日も突っかかってくれるね?」
久しぶりに会うメンバーに嬉しさを隠せないお父さんはいつも以上に楽しそうで、見ているこちらまで笑顔になって笑いが漏れてしまった。クスクス笑う私の声に気づいたお父さんが、少し頬を赤らめながら抗議をする。
「ほら、君達がいつまでも子供みたいだから藍に笑われちゃったじゃないか。」
「なんだ、人のせいにしやがって。」
「さすがの小野瀬さんも娘には敵わないんやなぁ。」
「あ、あの…。」
ポンポンと飛び出す言葉の応酬についていけず困っていると、おじ様がポンっと背中を押して私をお父さんの前に押しやった。
「ほら、久しぶりに親子の時間なんだろう。早く連れて行ってやれよ?」
「もともとは穂積と食事の約束してたんじゃないか。お前も来いよ。」
「そんな野暮じゃねぇよ、バーカ。」
「いいじゃないか、それこそ久しぶりに3人で。なっ?」
私の想いを知ってか知らずか、珍しく食い下がるお父さんに連れていかれたのはその昔お父さんとおじ様がよく来ていたというバーだった。先代のマスターの時から『ここだけは出禁にならなかったんだよな』という二人に、いったいどんな事をしてきたんだと想像してみるも追い付くはずなんてなくって。
お父さんとおじ様の間に座り、飛び交う二人のやり取りを聞いているのが楽しくて仕方がなかった。お母さんもこんな風に過ごしていたのかと思うと、羨ましくて堪らなくなってしまうくらいだ。
時間はあっという間に過ぎ、明日の為に早めに切り上げようというおじ様の声を合図に、私は二人の邪魔をしないようお父さんの車を取りに外へ出たのだった。
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そこには既に捜査室の人々や警視庁警備部のSP達も集まっていて、物々しい雰囲気に気押されてしまいそうになるが、私の姿を見つけて手招きをしてくれた藤守さんや如月さんの元へと近寄ると、少しだけ安心できるような気がする。
末席に座り分厚い警備計画書に目を走らせていると、ドアが開いて警備責任者のおじ様をはじめ警護課の係長など各部所の責任者が入室してきた。
私達の物よりもさらに分厚いファイルをドンッと机に置き、居並ぶ職員を見つめる瞳は恐ろしささえ感じられるほど鋭くて、改めて今回の仕事が重大なものだと再認識させられる。
「今日は明日のトルキア王国ニーナ女王来日の警備計画を再確認する。外事と公安調査庁、入管からそれぞれ女王の来日に関して怪しいと思われる外国人の入国が確認されている。今回はトルキア王国への日系企業の工場誘致、エネルギー関連の情報交換も含めた懇親会と多数の人間が集まるから、とにかく会場の警備には目を光らせろ。未だに後継者の定まっていないニーナ女王にもしもの事があったら日本警察の名折れだからな。」
いつも以上に凄みのあるおじ様の声に改めて背筋を伸ばし、その後に続く警備課係長の話に耳を傾けたのだった。
「明智、藤守、如月、あっ、小野瀬もちょっと来て。」
会議終了後、退室して行く他の職員とともに席を立とうとするとおじ様に呼びとめられた。
何事かと顔を見合せながらもおじ様の元へと集まると。
「明日の女王の来日は俺達でお出迎えだ。羽田に集合してくれ。」
「えっ、俺達は懇親会での警備だけじゃ無かったんですか?」
「随分と急ですね。大丈夫なんでしょうか?」
「これも女王からのご指名だ。最初に俺達に会いたいんだとよ。」
よほど捜査室のメンバーがお気に入りなんだろう、ため息をつきながら話すおじ様達に苦笑いを返すと、人の少なくなった会議室のドアがスッと開いた。
「お邪魔しても平気かな?」
「おっ、とうとう娘が心配で来やがったか。」
「「「小野瀬さん!!」」」
「おとっ…!」
ニッコリと笑顔で入ってきたのはお父さんだった。このところ互いに忙しくて連絡は専らメールばかりで顔を見るのも声を聞くのも久しぶりで思わず驚いてしまう。
「藍、元気そうで良かったよ。穂積にいじめられてない?こいつは人使いが荒いから、心配で心配で。」
「おい、人聞きの悪い事を言うな。」
「だ、大丈夫だよ。みなさん良くして下さってるし。」
「そう、なら良かった。安心したよ。」
いつものようにそっと手の甲で頬を撫でるお父さんに、隣で藤守さんや如月さんが呆れた声を出す。
「なんや、実の娘相手なのに見てて妙に気恥かしい気になるんは…。」
「小野瀬さんらしいって言うか、なんて言うか…。」
「やだな、愛しい娘に愛情表現しているだけだよ?」
「それがいやらしく見えるのが小野瀬さんですからね。」
「おや、明智君は今日も突っかかってくれるね?」
久しぶりに会うメンバーに嬉しさを隠せないお父さんはいつも以上に楽しそうで、見ているこちらまで笑顔になって笑いが漏れてしまった。クスクス笑う私の声に気づいたお父さんが、少し頬を赤らめながら抗議をする。
「ほら、君達がいつまでも子供みたいだから藍に笑われちゃったじゃないか。」
「なんだ、人のせいにしやがって。」
「さすがの小野瀬さんも娘には敵わないんやなぁ。」
「あ、あの…。」
ポンポンと飛び出す言葉の応酬についていけず困っていると、おじ様がポンっと背中を押して私をお父さんの前に押しやった。
「ほら、久しぶりに親子の時間なんだろう。早く連れて行ってやれよ?」
「もともとは穂積と食事の約束してたんじゃないか。お前も来いよ。」
「そんな野暮じゃねぇよ、バーカ。」
「いいじゃないか、それこそ久しぶりに3人で。なっ?」
私の想いを知ってか知らずか、珍しく食い下がるお父さんに連れていかれたのはその昔お父さんとおじ様がよく来ていたというバーだった。先代のマスターの時から『ここだけは出禁にならなかったんだよな』という二人に、いったいどんな事をしてきたんだと想像してみるも追い付くはずなんてなくって。
お父さんとおじ様の間に座り、飛び交う二人のやり取りを聞いているのが楽しくて仕方がなかった。お母さんもこんな風に過ごしていたのかと思うと、羨ましくて堪らなくなってしまうくらいだ。
時間はあっという間に過ぎ、明日の為に早めに切り上げようというおじ様の声を合図に、私は二人の邪魔をしないようお父さんの車を取りに外へ出たのだった。
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