冬の鉄道捜査線
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小野瀬さんと東急東横線
~翼vision~
小野瀬
「つまり、『犯行グループ』とはいうものの、連携しているわけではなく、警察に恨みを持つ連中が、互いの犯行に刺激されて、めいめいに事件を起こしているわけだ」
小野瀬さんはそう言うと、ラボの椅子をぐるりと回してこちらを向いた。
翼
「はい。小笠原さんによれば、ネット上にも、同時期に事件を起こそう、というような呼び掛けは無いそうです」
小野瀬
「犯人どうしも面識が無く、背後で操っているものの存在も無いなら、個々の事件を解決していけば、この連続犯罪は鎮静に向かうかな」
翼
「刑事部でも、そういう見方が大勢を占めてきたそうです」
小野瀬さんは、にこりと笑った。
小野瀬
「それを聞いて、少しは電車も安心かな。午後から、付き合いで中華街に行かなくちゃならなくてね」
翼
「いいなあ」
反射的に言ってしまった。中華街、と聞いただけで、あの雑多な異空間と、肉まんや甘栗が目に浮かぶ。
翼
「行きたいなあ」
私がうっとりしながら呟くと、小野瀬さんは悪戯っぽく笑った。
小野瀬
「一緒に行く?」
翼
「えっ、いいんですか?」
小野瀬
「もちろん。大学時代の友人と会って食事するだけだからね。きみは、元町で買い物でもしてたらいいよ」
翼
「……」
すごく魅力的なお誘いだ。
翼
「うう、でも、駄目です。室長に叱られます」
私はぶんぶんと首を横に振った。
小野瀬
「ここ数日、事件は起きていないじゃない。最近は休みを返上して働いていたんだから、穂積だって半日ぐらいは許してくれるよ」
意外に、小野瀬さんが粘ってくれる。
嬉しいけど、どうしても、室長の顔が頭から離れない。
私が返事をしないでいると、小野瀬さんの表情が険しくなった。
小野瀬
「それとも、俺の誘いより、穂積の束縛の方が上?」
翼
「そんな!」
滅多に聞かない不機嫌な声に、私は慌てて首を横に振った。
翼
「ごめんなさい。……私、本当に、一緒に行きたいです。でも……」
真顔でじっと私の顔を見ていた小野瀬さんが、ぷ、と噴き出した。
小野瀬
「ごめんね。ちょっと、いじめすぎたかな」
翼
「え?」
きょとんとする私に、小野瀬さんは、優しく、頭を撫でてくれた。
小野瀬
「実はね、穂積にはもう許可をもらってある。急ぎの分析と引き換えにね。だから、心配しなくていいんだ」
ウインクとともに微笑んでくれる小野瀬さん。
それを聞いた途端、ぱあっ、と世界が明るくなった気がした。
本当に、一緒に行けるんだ!
小野瀬
「一緒に行ってくれるよね?」
翼
「はい!」
私が元気よく頷くと、小野瀬さんは穏やかに微笑んでから私に顔を近付け、唇にキスをくれた。