夏のイベント大作戦
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穂積室長と大井署
穂積
「特に希望が無ければ、大井署のイベントに参加してくれないかしら」
翼
「大井署、ですか。……え、もしかして、室長と一緒にですか?」
穂積
「そう。警察出張相談なんだけど。場所が、ショッピングモールなのよ」
ショッピング、という単語に、身体が反応してしまう。
行きたい。
穂積
「女子供が多くて、騒々しいったらないの。アンタ、女子供、得意でしょ?」
どうやら、室長は過去にもショッピングモールでの出張相談の経験が、しかも、かなり不愉快な経験があるご様子。
女性と子供で溢れるショッピングモールに、穂積室長が現れたらどうなるか。
何となく想像はつくけど。
翼
「はい、行きます」
穂積
「ありがとう。じゃ、明日ね」
それだけ言うと、室長は、会議があると告げて出て行ってしまった。
如月
「翼ちゃん、ご愁傷さま」
如月さんが、ぼそりと言った。
翼
「えっ?!」
如月
「室長、前回もショッピングモールだったんだよ。何か、担当の署から指名されるみたいでさ」
翼
「指名?……何故ですか?」
如月さんは肩をすくめた。
如月
「さあ?でも、イベント終わって帰ってきても、まだ不機嫌だったよ」
翼
「……」
不機嫌な室長とは、出来ればお近付きになりたくない。
明智
「如月、あまり怯えさせるな。それに、あれは不機嫌というより、疲れてたんだ」
如月
「そう言えば、前回は明智さんが同行したんですよね?」
明智
「ああ」
明智さんは頷いてから、何故か、遠い目をした。
明智
「午後二時までの予定だったが、終了したのは五時だった」
藤守
「三時間も延びてるやん!」
明智
「終われなかったんだ」
翼
「……」
小笠原
「謎が深まっただけ」
私は溜め息をついた。
翌日、私は室長の車の助手席に乗せてもらって、大きなショッピングモールに到着した。
仕事なのは分かってるけど、念のため、財布には普段より少し多めに入れてきちゃった。
その事を告げると、室長は声を立てて笑った。
穂積
「終わってからなら、買い物してもいいわよ」
資料の入った段ボール箱を抱え、半歩前を歩く室長は、特に不機嫌な様子もなく、いつもと変わらない。
翼
「ありがとうございます」
私は笑顔で返事をした。
いつも通り、優しいよね?
何が室長を不機嫌にするのか分からないまま、私は室長に付いて、一階の正面入り口ロビーに向かった。
大井署の人たちが昨日のうちに用意してくれてあったらしいテーブルや椅子を組み立て、『警察出張相談』と染め抜かれたのぼりを立てる。
私は辺りを見回してみたけど、どうやら、今日、ここは室長と二人だけみたい。
リーフレットを段ボール箱から出して準備していると、室長が若い女性に声を掛けられた。
女性客
「すみません、お手洗いはどちらでしょうか?」
室長は壁に貼られた案内図をざっと見て、丁寧に場所を説明する。
女性はお礼を言った後も振り返り振り返り、室長が指示した方へ去って行った。
その後も何人も同じような女性が現れ、室長が手際良くさばいているにも関わらず、相談を始める前から、辺りは不穏な空気に包まれていった。
そして。
現在に至る。
私たちは1階正面入り口のロビーから、催事用のセンターフロア(しかもステージの上!)に移動させられていた。
一段高い円形ステージの床の周りには水が張られた堀があり、それをたくさんの花々が彩っている。
ステージとフロアを繋ぐ階段には相談者の作る長蛇の列、そして壇上には無機質な長テーブルとパイプ椅子、そこに室長と私。
入り口のロビーで出張相談を始めて三十分、室長を中心に人だかりが出来て、入り口を塞いでしまったのが原因だ。
最近は見慣れてきていたけど、やっぱり、室長って人目を引くんだな。
それにしても、まさか、こんな派手な場所に移動させられるとは。
意外だったのは、室長の反応だ。
絶対に嫌がると思っていたのに、素直に移動に応じ、花のステージに立った(今は座ってるけど)。
そして、買い物客の質問や相談に、一つ一つ真面目に対応している。
最初はきゃあきゃあ騒いでいた買い物客も、室長の真剣な表情に気圧されたのか見惚れているのか、今はだいぶ大人しくなっていた。
携帯カメラのシャッター音だけは、相変わらずそこここで鳴り続けているけど。
私は室長の隣に座って、PCで情報を出したり、相談の終わった人に『お気軽にご相談を』のリーフレットと『あなたの街の警察署』なんてロゴの入ったボールペンを手渡すのが主な仕事だ。
時には書類の書き方を教えたり、実際に届けを受け付けたりもした。
それでも大半は、相談の受け答えをする室長の横で、話を聞く事が出来た。
中にはこんな人も。
相談者
「I am sorry, please let me know about an alien registration card.」
……ええと。エイリアン、だから、外国の……、ああ、外国人登録証の事かな?
穂積
「Yes, please.」
室長は、もはや私には聞き取る事も出来ない早口で繰り出される難しい英語に、流暢な英語で返事をしていた。
その後も、何人か外国の人が相談に来た。
相談者
「When falling ill suddenly in Japan, what should I do?」
穂積
「How to call an ambulance is taught.
Furthermore, the hospital in which the staff who can speak English is present is taught.」
室長の綺麗な発音を聞きながら、私は、主催者が室長を指名する、その理由の一つが分かった気がした。
それは、ただ英語が話せるからではなく、相手が本当に必要としている情報を察し、与える事が出来るからだ。
今だって、『日本で急に病気になったらどうすればいいですか?』って聞かれたのに対して、救急車の呼び方を教えたのはもちろん、英語の話せるスタッフがいる病院をいくつか、リストアップしたメモを渡していた。
全ての相談に対して、室長はそんな風にしていた。
相手が女性でも男性でも、子供でも外国人でも、相談者に対する室長の態度は変わらなかった。
豊富な知識と、的確な判断。そして、相手の気持ちになって考えること。
私は感嘆の溜め息をつきながら、室長の応対を見つめていた。
穂積
「櫻井、『フロアで見学中のお客様に、置き引きにご注意下さい』ってアナウンス流してきて」
私は驚いて、フロアを眺めた。
いつの間にかまた人が増え、室長の言う通り、荷物を傍らに置いたままでこちらを見ている人が何人もいる。
相談をさばきながら、そんな事まで考えていたなんて。
穂積
「ついでに昼食を済ませて来てちょうだい」
翼
「はい。あの、室長は?……何か買って来ましょうか?」
室長は微笑んでくれたけど、その時にはもう、次の相談者が座ってしまった。
穂積
「アンタが食べない方が、心配」
翼
「あの、私、すぐに帰って来ますから!」
私は後も見ずに席を立ち、室長の指示通りにアナウンスをし、地下のイートインで冷やしうどんを掻き込んで、化粧室へ寄って、たぶん二十分とかからずに帰って来た。
室長は苦笑したけれど、席に戻った私の頭を、一度だけ撫でてくれた。
結局、室長は、私が悩んだ末に買って来たゼリー飲料を、握り潰すようにして飲んだ他には、食事を摂らなかった。
そして午後四時、奇跡的に相談が絶えた瞬間を逃さずに、出張相談を切り上げた。
穂積
「二時間オーバーだわ、ごめんね櫻井」
翼
「いいえ!明智さんの時は、終了が五時だったと聞いてましたし」
それに、と私は付け加えた。
翼
「室長の応対、とても勉強になりました」
段ボール箱をガムテープで閉めながら、室長が苦笑いした。
穂積
「本当に前向きね」
テーブルや椅子などは、後から大井署が引き上げに来るというので朝のように置き、段ボール箱だけを室長の車に積んだ。
そのまま帰るとばかり思っていた私は、室長が車をロックしたので、少しビックリした。
穂積
「何?買い物したいんでしょ?」
翼
「えっ、でも、室長、お疲れだし」
室長は、私の髪をくしゃくしゃと撫でた。
穂積
「平気よ。アンタの買い物にも興味あるし。最後に何か食べて、捜査室にお土産買って、帰りましょう」
私は、分かりやすく笑顔になってしまった。
翼
「はい!」
穂積
「それじゃ、オカマも終ー了ー」
室長は、パン、と手を叩いた。
穂積
「……で?何を買いたいんだ?」
それから、室長は服や靴を選ぶ私に付き合ってくれ、CDを買ってくれ、夕飯にハンバーグステーキをご馳走してくれ、お土産にとタコ焼きを買ってくれた。
私はすっかり満足したけど、室長はどうなんだろう。
翼
「いろいろと、ありがとうございました。でも、すみません、私ばっかり楽しんでしまって」
車に戻って、室長にお礼を言った。本当に楽しくて、時間を忘れてしまうほどだったから。
助手席の私に、室長は微笑んだ。
穂積
「俺も、楽しかったよ」
どきん、と胸が高鳴った。
車のエンジンをかけると、室長はまた、パン、と手を叩いた。
穂積
「さー、警視庁に帰るわよー」
オカマモード復活だ。
室長は男言葉の方が、絶対にいいのにな。
翼
「……残念……」
つい、口に出してしまって、私は真っ赤になった。
ちらりと盗み見ると、室長はクスクス笑っている。
翼
「うう……」
恥ずかしい。
室長の腕が伸びてきて、大きな掌が、私の髪を撫でた。
穂積
「来年も、俺とショッピングモールに決定、だな」
笑顔で見つめられて、私は赤い顔のまま、頷くしかない。
それを見届けて、室長は笑いながら、アクセルを踏み込んだ。
~穂積編 END~
~~夏のイベント大作戦・END~
穂積
「特に希望が無ければ、大井署のイベントに参加してくれないかしら」
翼
「大井署、ですか。……え、もしかして、室長と一緒にですか?」
穂積
「そう。警察出張相談なんだけど。場所が、ショッピングモールなのよ」
ショッピング、という単語に、身体が反応してしまう。
行きたい。
穂積
「女子供が多くて、騒々しいったらないの。アンタ、女子供、得意でしょ?」
どうやら、室長は過去にもショッピングモールでの出張相談の経験が、しかも、かなり不愉快な経験があるご様子。
女性と子供で溢れるショッピングモールに、穂積室長が現れたらどうなるか。
何となく想像はつくけど。
翼
「はい、行きます」
穂積
「ありがとう。じゃ、明日ね」
それだけ言うと、室長は、会議があると告げて出て行ってしまった。
如月
「翼ちゃん、ご愁傷さま」
如月さんが、ぼそりと言った。
翼
「えっ?!」
如月
「室長、前回もショッピングモールだったんだよ。何か、担当の署から指名されるみたいでさ」
翼
「指名?……何故ですか?」
如月さんは肩をすくめた。
如月
「さあ?でも、イベント終わって帰ってきても、まだ不機嫌だったよ」
翼
「……」
不機嫌な室長とは、出来ればお近付きになりたくない。
明智
「如月、あまり怯えさせるな。それに、あれは不機嫌というより、疲れてたんだ」
如月
「そう言えば、前回は明智さんが同行したんですよね?」
明智
「ああ」
明智さんは頷いてから、何故か、遠い目をした。
明智
「午後二時までの予定だったが、終了したのは五時だった」
藤守
「三時間も延びてるやん!」
明智
「終われなかったんだ」
翼
「……」
小笠原
「謎が深まっただけ」
私は溜め息をついた。
翌日、私は室長の車の助手席に乗せてもらって、大きなショッピングモールに到着した。
仕事なのは分かってるけど、念のため、財布には普段より少し多めに入れてきちゃった。
その事を告げると、室長は声を立てて笑った。
穂積
「終わってからなら、買い物してもいいわよ」
資料の入った段ボール箱を抱え、半歩前を歩く室長は、特に不機嫌な様子もなく、いつもと変わらない。
翼
「ありがとうございます」
私は笑顔で返事をした。
いつも通り、優しいよね?
何が室長を不機嫌にするのか分からないまま、私は室長に付いて、一階の正面入り口ロビーに向かった。
大井署の人たちが昨日のうちに用意してくれてあったらしいテーブルや椅子を組み立て、『警察出張相談』と染め抜かれたのぼりを立てる。
私は辺りを見回してみたけど、どうやら、今日、ここは室長と二人だけみたい。
リーフレットを段ボール箱から出して準備していると、室長が若い女性に声を掛けられた。
女性客
「すみません、お手洗いはどちらでしょうか?」
室長は壁に貼られた案内図をざっと見て、丁寧に場所を説明する。
女性はお礼を言った後も振り返り振り返り、室長が指示した方へ去って行った。
その後も何人も同じような女性が現れ、室長が手際良くさばいているにも関わらず、相談を始める前から、辺りは不穏な空気に包まれていった。
そして。
現在に至る。
私たちは1階正面入り口のロビーから、催事用のセンターフロア(しかもステージの上!)に移動させられていた。
一段高い円形ステージの床の周りには水が張られた堀があり、それをたくさんの花々が彩っている。
ステージとフロアを繋ぐ階段には相談者の作る長蛇の列、そして壇上には無機質な長テーブルとパイプ椅子、そこに室長と私。
入り口のロビーで出張相談を始めて三十分、室長を中心に人だかりが出来て、入り口を塞いでしまったのが原因だ。
最近は見慣れてきていたけど、やっぱり、室長って人目を引くんだな。
それにしても、まさか、こんな派手な場所に移動させられるとは。
意外だったのは、室長の反応だ。
絶対に嫌がると思っていたのに、素直に移動に応じ、花のステージに立った(今は座ってるけど)。
そして、買い物客の質問や相談に、一つ一つ真面目に対応している。
最初はきゃあきゃあ騒いでいた買い物客も、室長の真剣な表情に気圧されたのか見惚れているのか、今はだいぶ大人しくなっていた。
携帯カメラのシャッター音だけは、相変わらずそこここで鳴り続けているけど。
私は室長の隣に座って、PCで情報を出したり、相談の終わった人に『お気軽にご相談を』のリーフレットと『あなたの街の警察署』なんてロゴの入ったボールペンを手渡すのが主な仕事だ。
時には書類の書き方を教えたり、実際に届けを受け付けたりもした。
それでも大半は、相談の受け答えをする室長の横で、話を聞く事が出来た。
中にはこんな人も。
相談者
「I am sorry, please let me know about an alien registration card.」
……ええと。エイリアン、だから、外国の……、ああ、外国人登録証の事かな?
穂積
「Yes, please.」
室長は、もはや私には聞き取る事も出来ない早口で繰り出される難しい英語に、流暢な英語で返事をしていた。
その後も、何人か外国の人が相談に来た。
相談者
「When falling ill suddenly in Japan, what should I do?」
穂積
「How to call an ambulance is taught.
Furthermore, the hospital in which the staff who can speak English is present is taught.」
室長の綺麗な発音を聞きながら、私は、主催者が室長を指名する、その理由の一つが分かった気がした。
それは、ただ英語が話せるからではなく、相手が本当に必要としている情報を察し、与える事が出来るからだ。
今だって、『日本で急に病気になったらどうすればいいですか?』って聞かれたのに対して、救急車の呼び方を教えたのはもちろん、英語の話せるスタッフがいる病院をいくつか、リストアップしたメモを渡していた。
全ての相談に対して、室長はそんな風にしていた。
相手が女性でも男性でも、子供でも外国人でも、相談者に対する室長の態度は変わらなかった。
豊富な知識と、的確な判断。そして、相手の気持ちになって考えること。
私は感嘆の溜め息をつきながら、室長の応対を見つめていた。
穂積
「櫻井、『フロアで見学中のお客様に、置き引きにご注意下さい』ってアナウンス流してきて」
私は驚いて、フロアを眺めた。
いつの間にかまた人が増え、室長の言う通り、荷物を傍らに置いたままでこちらを見ている人が何人もいる。
相談をさばきながら、そんな事まで考えていたなんて。
穂積
「ついでに昼食を済ませて来てちょうだい」
翼
「はい。あの、室長は?……何か買って来ましょうか?」
室長は微笑んでくれたけど、その時にはもう、次の相談者が座ってしまった。
穂積
「アンタが食べない方が、心配」
翼
「あの、私、すぐに帰って来ますから!」
私は後も見ずに席を立ち、室長の指示通りにアナウンスをし、地下のイートインで冷やしうどんを掻き込んで、化粧室へ寄って、たぶん二十分とかからずに帰って来た。
室長は苦笑したけれど、席に戻った私の頭を、一度だけ撫でてくれた。
結局、室長は、私が悩んだ末に買って来たゼリー飲料を、握り潰すようにして飲んだ他には、食事を摂らなかった。
そして午後四時、奇跡的に相談が絶えた瞬間を逃さずに、出張相談を切り上げた。
穂積
「二時間オーバーだわ、ごめんね櫻井」
翼
「いいえ!明智さんの時は、終了が五時だったと聞いてましたし」
それに、と私は付け加えた。
翼
「室長の応対、とても勉強になりました」
段ボール箱をガムテープで閉めながら、室長が苦笑いした。
穂積
「本当に前向きね」
テーブルや椅子などは、後から大井署が引き上げに来るというので朝のように置き、段ボール箱だけを室長の車に積んだ。
そのまま帰るとばかり思っていた私は、室長が車をロックしたので、少しビックリした。
穂積
「何?買い物したいんでしょ?」
翼
「えっ、でも、室長、お疲れだし」
室長は、私の髪をくしゃくしゃと撫でた。
穂積
「平気よ。アンタの買い物にも興味あるし。最後に何か食べて、捜査室にお土産買って、帰りましょう」
私は、分かりやすく笑顔になってしまった。
翼
「はい!」
穂積
「それじゃ、オカマも終ー了ー」
室長は、パン、と手を叩いた。
穂積
「……で?何を買いたいんだ?」
それから、室長は服や靴を選ぶ私に付き合ってくれ、CDを買ってくれ、夕飯にハンバーグステーキをご馳走してくれ、お土産にとタコ焼きを買ってくれた。
私はすっかり満足したけど、室長はどうなんだろう。
翼
「いろいろと、ありがとうございました。でも、すみません、私ばっかり楽しんでしまって」
車に戻って、室長にお礼を言った。本当に楽しくて、時間を忘れてしまうほどだったから。
助手席の私に、室長は微笑んだ。
穂積
「俺も、楽しかったよ」
どきん、と胸が高鳴った。
車のエンジンをかけると、室長はまた、パン、と手を叩いた。
穂積
「さー、警視庁に帰るわよー」
オカマモード復活だ。
室長は男言葉の方が、絶対にいいのにな。
翼
「……残念……」
つい、口に出してしまって、私は真っ赤になった。
ちらりと盗み見ると、室長はクスクス笑っている。
翼
「うう……」
恥ずかしい。
室長の腕が伸びてきて、大きな掌が、私の髪を撫でた。
穂積
「来年も、俺とショッピングモールに決定、だな」
笑顔で見つめられて、私は赤い顔のまま、頷くしかない。
それを見届けて、室長は笑いながら、アクセルを踏み込んだ。
~穂積編 END~
~~夏のイベント大作戦・END~