銀杏の魔法
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~拍手御礼SS~
*銀杏の魔法*
~翼vision~
公園の銀杏の葉が、はらはらと黄色い葉を散らしている。
休日の私は、金色の絨毯が敷かれたようになった遊歩道を歩きながら、一枚の葉を手に歩いていた。
冬の青空を見ながら、手にした葉をくるくるともてあそんでいると、何となく、一句詠めそうな気がしてくる。
翼
「銀杏の葉のはらはらと降り積もる……」
……続きが浮かばない。
???
「山頭火ですか?それともあなた?」
肩越しにくすくす笑う声が聞こえて、私は、弾かれたように振り向いた。
そこには、長い黒髪の、すらりとした青年が立って微笑んでいる。
翼
「ジョンスミス!」
ジョンスミスの手にもまた、黄色い銀杏の葉が一枚。
JS
「『これはもともと一枚の葉が二つに分かれたのでしょうか?
それとも二枚の葉がたがいに相手を見つけて一つになったのでしょうか?』」
私が知っているくらい、それは有名な詩の一節だった。
翼
「……『あなたはわたしの歌をきくたびにお感じになりませんか?
わたしが一枚でありながら、あなたと結ばれた二ひらの葉であることを……』」
私がゲーテの詩の続きを引用すると、ジョンスミスは満足そうに頷いた。
JS
「でも、あなたの葉の片割れが僕じゃないのは、とても残念」
私と並んで歩きながら、ジョンスミスは溜め息をついた。
翼
「……」
私は、隣を歩く人の、きれいな横顔を見上げた。
翼
「……私、今、とっても、あなたと腕を組んで歩きたい気持ちなんですけど。……もしかして、お得意の暗示をかけたんですか?」
JS
「いいえ、それは冬の魔法です」
ジョンスミスは私の方を見て、微笑んだ。
JS
「でも、ルイルイに嫉妬されますからね。僕が暗示をかけた事にしておきましょう」
そう言うと、彼は、私に左腕を差し出した。
JS
「どうぞ」
私は、差し出された腕に自分の腕を絡めて、再び、銀杏の絨毯の上を歩き出した。
はらはらと銀杏の葉が降り積もる。
優しい腕にもたれて、指を絡めると、彼はそっと握り返してくれた。
~END~