警視庁戦隊!サクラダモン!! 2
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ここはお馴染み警視庁。
ピーポ ピーポ ピーポくん 警察官だよ(HA!)
「みんなでピーポくんのうたを歌おう!」
翼
「ん?……何でしょう?」
♪頭の上には アンテナ(アンテナ)
♪ぱっちりおめめを見開いて
♪大きなお耳で情報キャッチ
♪僕らの警察官……
刑事部緊急特命捜査室の扉の外から、何やら場違いに明るいメロディが聴こえてきた。
やがて扉が開いて、歌いながらツーステップを踏んで登場したのは警視庁のマスコットキャラクター、ピーポ。
ピーポ
「♪みんなのためにパトロール
♪街の安全守るため
♪正義のためにがんばるぞ
♪僕らの警察官……」
藤守
「よう、ピーポ。ご機嫌やね」
ピーポ
「……今からサビに入るところだったのに……」
藤守に遮られたピーポは小声でぶつぶつと文句を言ったが、顔はいつもの笑顔のままだ。
明智
「気のせいか、今日は落ち着いてるな、ピーポ?」
如月
「そうですね。いつもなら『大変だよ!大変だよ!』って飛び込んで来るのに」
如月の指摘を受けて、ハッと我にかえる広報課のアイドル、ピーポ。
ピーポ
「そうだ!大変だよ、大変だよ!」
小笠原
「急に慌てた」
ピーポ
「宿敵JSから、挑戦状が届いたんだよ!」
全員
「何だってえ?!」
*警視庁戦隊!サクラダモン!! 第2話*
説明するわ!
警視庁戦隊サクラダモンとは、首都東京の治安を守る為、特命を帯びて日夜戦う正義のヒーローなの!
普段は刑事部に所属する六人の男女によって構成される、『緊急特命捜査室』という部署。
だ・け・ど。
広報課のマスコット、ピーポのアンテナが事件や危険をキャッチすると、『警視庁戦隊サクラダモン』として、正義の活動を開始しなければならないのよ!
小野瀬
「何でナレーションがオカマなんだよ!」
藤守
「小野瀬さん、まあまあ。抑えて抑えて」
明智
「後々面倒な事になりそうな気がする」
小野瀬
「明智くん、珍しく意見が一致したね」
明智
「ところで小野瀬さん。今、なぜか室長が居ないので、JSからの挑戦状を開封してもらえますか」
小野瀬
「いいよ。……って、どうして、全員そんなに遠くに行くの?」
小笠原
「開けようとしたら、アブナイ☆ガスとか出そうだから」
明智
「小野瀬さん、お願いします」
小野瀬
「……覚えてろよ」
如月
「小野瀬さん、ペーパーナイフです」
小野瀬の足元の床に、ペーパーナイフを滑らせる如月。
小野瀬
「せめて手渡ししてよ……あと、みんなで拝むのはやめて」
悲しげに呟きながらも、周囲からの無言の圧力に、もう開けるしかないと覚悟を決める小野瀬。
小野瀬
「開けるよ。せーの」
ピッ、と音を立てて、A4サイズの茶封筒の封が切られた。
中に手を入れた小野瀬が取り出したのは、1枚の白い便箋。
小野瀬
「これだけみたい」
小笠原
「ガスも出ないみたい」
淡々と言って近くに戻って来る小笠原たちを無言で睨んでから、小野瀬は、手にした便箋の文字を読み始める。
小野瀬
「『け…い、しちぉうセんたい、せクうタ:モソのみ、な、ちま…』」
全員
「幼稚園児か!」
翼
「でも、日本語が書けないなんて、彼、意外な所に弱点があるんですね」
ちょっと可愛い、と言って小野瀬の後ろからJSの手紙を覗き込む翼に、男性陣は面白くない様子だ。
小野瀬
「まあいい……仕方ないから勘で読もう。えーと、『お前たちの仲間を預かっている。無事に返して欲しければ、今夜八時、日の出埠頭まで来い』」
明智
「残業か……」
藤守
「明智さん、気にするの、そこやないでしょ!」
如月
「あれ?でも、室長以外は全員揃ってますよ」
小笠原
「……室長だったら、放っておいても平気じゃない?」
如月
「もし捕まってたとしても、そのうち自力で帰って来そうですよね」
小野瀬
「そうだね。しかし、穂積なんかを人質にしたら、食費がかさんでしょうがないだろうなぁ」
明智
「たくさん食べますからね。あと『酒も出せ』とか」
藤守
「『つまみは無ぇのか』とか」
如月
「『マッサージしろ』とか」
翼
「『飽きたから帰る』とか?」
全員
「あるあるー」
げらげら笑いながら、全員が帰り支度を始めた。どうやら穂積を助けに行く気はない。
低い声
「ちょおっと待ったあ!」
翼
「え?」
小野瀬
「む?」
一同を振り向かせたのは、なんとピーポだ。
ピーポ
「お前たち、なぜ気付かないんだ!このピーポ、緑色だろ!怪しいだろ!」
怒鳴りながら、ピーポが自分の太鼓腹をぼすぼす叩く。
藤守
「あ、ホンマや。なんか変だと思った」
ピーポ改めピーポ(偽者)
「嘘つけ!」
小笠原
「言われてみれば、登場も変だったし」
翼
「その声だと可愛くない」
ピーポ(偽者)
「うるさい!いいか、本物のピーポを助けたければ、今夜、必ず日の出埠頭に来い。分かったな!」
吐き捨てるように言ったピーポ(偽者)は、あっという間に一同に背を向け、逃げ出した。
しかし。
ピーポ(偽者)
「ぷぎゃっ」
明智・如月
「はい、確保」
出口で待ち構えていた二人の柔道有段者が、左右からあっさりピーポ(偽者)を押さえ込む。
明智
「お前、何者だ!」
如月
「明智さん、脱がせてみましょう!」
明智
「よし」
二人がピーポ(偽者)の頭に手をかけると、突然、藤守と翼がピーポ(偽者)にしがみついた。
そして、明智と如月の手からピーポ(偽者)を守るようにイヤイヤをする。
藤守
「やめてー!夢を壊さんといてー!」
翼
「そうです!ピーポに中の人なんていません!」
明智
「お前ら……」
呆れ顔になりながらも、捜査室きってのピュアなコンビに泣きつかれては、明智も手が出せない。
小野瀬
「じゃあ、事件解決まで、このままどこかに閉じ込めておこう」
小野瀬の出した妥協案に涙目の二人も同意し、ピーポ(偽者)は連行されて行った。
小笠原
「……で?行くの?行かないの?」
騒動の途中から欠伸混じりだった小笠原が、億劫そうに訊いた。
明智
「警視庁のマスコットを見捨てる訳にはいかないだろう。行くぞ。『警視庁戦隊』出動だ!」
全員
「イエッサー、ボス代行!」
小野瀬
「何か締まらないなぁ。って、えっ?俺も行くの?!」
日の出埠頭の一角、緑色の全身タイツを着た五十人ほどの戦闘員に囲まれて、手足を拘束された警視庁のマスコットが転がされている。
黄色い顔は青ざめ、表情は硬いが、いつもの柔和な笑顔を崩さないのはさすがアイドル。
その大きな顔の前に、黒髪の青年が屈み込んだ。
JS
「偽ピーポが戻って来ないところをみると、捕まったかな?まあいいや。彼の任務は、僕のメッセージを警視庁戦隊に届ける事だったからね」
どうやら、書いた本人も、例のメッセージの内容を読み取ってもらえるかどうか、不安だったらしい。
文章力に自信が無いなら他の奴に代筆させるか、映像メッセージをDVDで届けるかすれば良かったのに。
まあ、そうは言っても、今どき直筆で手紙を書くという姿勢は評価してやってもいい。
JS
「ありがとう」
ピーポ
「?」
その時、闇を割く数条のヘッドライトの光と共に、覆面パトカーが2台、埠頭に乗り込んできた。
停車と同時に一斉に車のドアが開き、シートベルトを外した警察官たちが次々に降り立つ。
明智
「そこまでだ、JS!」
藤守
「ピーポを返せや!」
JSは悠然と立ち上がり、現れた緊急特命捜査室のメンバーの顔を睥睨した。
途中、翼にだけは、笑顔で小さく手を振って。
如月
「JS!人質とは卑怯だぞ!」
JS
「人質は、君たちを誘き寄せるための手段さ。約束通り、無事に返すよ、おチビさん」
如月
「ムキーッ!チビって言った!」
小野瀬
「俺たちを誘き寄せた理由は何だ?」
JS
「おや、ボスが見えないのに頭数が揃ってると思ったら、凄腕鑑識官どの。ちょうどいい。さあ、僕の新兵器をご覧あれ」
JSが指を鳴らすと、背後の倉庫の扉がゴゴゴ……と音を立てながら、重々しく開いてゆく。
倉庫の中、強いライトを当てられて浮かび上がったのは、巨大な機械だ。
明智
「何だ?」
眩しそうに腕で光を遮りながらも、対象を見定めようと目を細める明智。
JS
「説明するより試してみる方が早いよね」
そう言うと自らピーポの戒めを解き、機械に向かって走り出すJS。
明智
「みんな!変身だ!」
危険を察知して、明智が叫んだ。
全員
「おう!」
それぞれが警棒を手にし、一列に並んだ捜査室のメンバーたち!
全員
「変身!」
号令と共に、彼らの全身は輝き始め、閃光とともに、全員が、バトルスーツに変身してゆく!
全員
『警視庁戦隊!サクラダモン!!』
説明するわ!
警視庁戦隊サクラダモンのヒーロー&ヒロインたちが身につけるこのバトルスーツは、潜在能力を高め、防御力、攻撃力を常人の五倍にまでパワーアップする、超ハイテクなアイテムなの!
パワーアップして、引き続き製法特許出願中よ!
JS
「今だ!」
翼
「きゃあっ?」
突然、変身中の翼に向かって、JSの新兵器から光線が照射された!
藤守
「櫻井!」
如月
「翼ちゃん!」
光線を当てられた翼以外のメンバーは瞬時にバトルスーツへの変身を終え、異変を訴える翼に駆け寄り……息を呑んだ。
何と、光線の当たっている部分の翼の動きだけが、スローモーションになっていた。
変身途中だった彼女のビジネススーツはジャケットが溶け、ブラウスはすっかり透けて今にも崩れ落ちそう、ブラのストラップも虫が喰うように侵食が進んで、カップからは形の良い胸が半ばあらわになっている。
当の翼は自分の淫らな姿態に気付いてはいるが、首から下には光線が当たっていて思うように動かない。
必死に身体を隠そうともがくが、その動きは緩慢で、かえって見る者を刺激するだけ。
薄紙を剥ぐように翼の柔肌が徐々に明らかになり、現場には抵抗する翼の悲鳴だけが虚しく響く。
服の消えた素肌には炙り出しのようにピンクのバトルスーツの装着も進んではゆくのだが、蒸発して消える下着の速度の方が速くて、翼はほぼ半裸になってしまう。
なんとか腕で胸を隠した翼だが、屈む動きが間に合わない。
小野瀬
「こ……これは……反相対性理論ハイパー微速度光線……」
翼
「いやあぁーんっ」
翼が涙とともに悲鳴を絞り出した、その時!
ゴッ!ドッカーン!!
轟音と共に倉庫の中の機械が停止し、光線の照射が止まった。
直後に翼の身体が目の眩むような光を発し、バトルスーツが装着された!
驚いて我にかえる戦隊メンバーたち、そして、舌打ちとともに振り返るJS。
もうもうと煙を上げる機械の傍らに、逆光になっているビジネススーツの長身が浮かび上がった。
翼改め櫻井ピンク
「室長!」
穂積のシルエットの中で、碧色の双眸が怒りを含んだ光を放つ。
穂積
「……てめえら……」
地の底から沸き上がるような穂積の声。
穂積
「俺の女に何しやがる!!」
怒声とともに、その場に立つ総てのものが消し飛んだ。
小野瀬
「痛ててて……」
瓦礫の中から、土埃にまみれた男たちが起き上がった。
全員が呻きながら、壊れた機械の破片や気を失った全身タイツの戦闘員の下から這い出す。
衝撃を受け止めてくれたバトルスーツは、気を失った事で解除され、明智たちは普段のビジネススーツに戻っていた。
明智
「……JSは……」
明智の視線の先、爆発の前にJSが居たはずの場所には、巨大な黒いクレーターが出来ている。
震え上がる明智の横で、藤守が悲鳴を飲み込んだ。
すぐに、明智もその原因を知る事になる。
雑魚寝のように散らばって倒れている戦隊メンバーを見渡せる場所で、瓦礫に腰掛け、片方の膝に翼を座らせた穂積が、自分達を見下ろしていた。
その美貌には極上の笑み。
視線を移した先には、穂積のハンカチを手に、まだくすんくすんとしゃくり上げている翼の涙。
目が合った翼に、つん、と横を向かれて、明智たちのダメージはMAXに達する。
穂積
「ふ」
穂積の漏らした笑いが事件の終焉を告げ、同時に、彼らへの制裁の始まりを告げた。
全員
「ぎゃーーーーっ……!!」
警視庁戦隊サクラダモン!
首都東京の治安を守る為、特命を帯びて日夜戦う正義のヒーロー!
彼らの活躍は、人知れず続く!
次回のサクラダモンは、『穂積vs山田太郎、意外な真相?!』よ!お楽しみに!
今回のナレーションは、魅惑のオカマボイス、貴女の生活に潤いを。穂積泪でした。
またいつかお会いする日があるかしら!どうかしら?!
それでは皆様ご一緒に!
『警視庁戦隊!サクラダモン!!』
…あら、ワタシ今回、この決めゼリフ言ってないわ。
あと、ピーポはどうしたっけ?
……ま、いっか。
では改めて。
『警視庁戦隊!サクラダモン!!』
~END~