捜査室、始動
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6.捜査室、鳴動</font>
~穂積vision~
「ハイハーイ。ジュース買ってきましたよー!」
扉が開いて、ビニール袋をガシャガシャ言わせながら、如月が戻ってきた。
「ありがとう、如月」
「どういたしまして!はい、室長にはカフェオレ、と、お釣りです。ごちそーさまです!」
如月はニコニコしながら、明智にも缶を差し出す。
「ハイ!明智さんどーぞ!」
「ありがとう。室長、ごちそうさまです」
「ハイ藤守さんはコレですね」
「おー、サンキュ。室長、いつもすんません!」
「……」
「ハイ、小笠原さん。ハイ、小野瀬さん」
「俺にまですまないね、如月くん」
「いえいえ、小野瀬さん。ぜーんぶ室長のオゴリですから」
「ちょっと如月!どうして小野瀬の分まで買って来るのよ!」
「いいじゃないの。ごちそーさま、穂積」
ごちそーさまです、と一同。
「はいはい」
独り言のように呟いて、俺は室内を眺める。
ミーティングテーブルを囲んで、小野瀬が俺の隣に座り、次に藤守、明智の隣には如月が、一人離れて、小笠原だけが自分の席に座っている。
「しかし、改めて見ると、ここはむさ苦しいねえ」
隣で小野瀬が、俺が考えていたのと同じ事を言う。
「うわ、それは禁句ですわ、小野瀬さん」
藤守も同じ考えのようだ。
「可愛い女の子を一人入れて、美味しいコーヒーを淹れてもらえたら、疲れも吹き飛ぶと思わない?」
「……セクハラ」
「毎日毎日、自販機でオゴってもらってたら、穂積が破産しちゃうしね」
「……女子が入るの、俺はあまり賛成出来ません」
「俺もや。刑事の仕事は、女の子には大変なんじゃないすか?」
「そうかな、女の子向きの仕事だってあるような気もするけどなあ」
「例えばどんな仕事ですか?……お茶汲みだけやらせるの、ホントにセクハラになるらしいですよ」
「女性向きの仕事は、男性向きじゃない仕事、でしょ。……女性の取り調べ、とか?」
「アンタたち、意外と女性に差別あるのね」
「……室長は、男女別無くコキ使いそうですね」
「当然」
「俺は歓迎しますよ!後輩!」
「おお、一番下っ端を代わって欲しいか?切実な願いやのー」
不意に、小野瀬がもう一度、全員を見渡して、言った。
「まあでも、真面目な話、女性は必要だと思うよ」
「何だ急に」
「この準備室、イケメン揃いだろ。オカマの穂積が趣味で集めた、って囁かれているからね」
「えええっ」と一同。
「ふん」
俺は吐き捨てた。
「ワタシにそんな趣味は無いわよ」
「オカマ口調で言われても……」
「全然説得力ありませんね……」
俺は藤守と如月につかつかと歩み寄り、二人同時に拳骨を落とした。
のたうち回る二人を尻目に、明智が心配そうな顔をしている。
「室長、本当に女性を入れるんですか?」
「そうねー、役に立ちそうな子がいたら、入れてみてもいいわねー」
明智はそれ以上、何も言わなかった。
女性か。
正直、小野瀬に言われるまで、本気では考えていなかったけど。
警視庁からも一人欲しかったところだし、探してみるか。
俺はこの時、その程度にしか考えていなかった。
後に、この決断が、俺たちに大きな転機をもたらす事になるとは、全く予想していなかったのだ。
~END~