恋人の日・明智編
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山田
「皆っさ~ん、おっはようございま~す」
朝食の号令と同時に、ニコニコしながら、話題の人物が現れた。
藤守
「げ、山田!」
山田
「香ばしくていい匂~い」
山田くんは藤守さんを無視して、鼻をくんくんさせた。
明智
「食うか?」
明智さんが、焼きおにぎりをトングで持ち上げて、山田くんが抜かりなく差し出したお皿に乗せてあげている。
山田
「ありがとうございまーす」
藤守
「……なんで馴染んでんねん」
朝からビールを飲みながら、室長が山田くんを呼んだ。
穂積
「山田、今日のスケジュールは?」
山田
「はぁい、ボス。本日はこの後オリエンテーリング、二時間のフィールドアスレチック、昼食を挟んで午後からはカッターレースを予定しておりま~す」
小笠原
「……」
藤守兄
「今日はもう帰京する日だろう?何故そんなハードスケジュールなんだ!」
山田
「おやおや、やだなぁ。研修合宿でしょ?心身ともに鍛えて帰って頂かないと」
藤守
「そして何故山田がスケジュール決めてんねん……」
如月
「えー?楽しそうじゃないですかぁ。やりましょうよ!」
小野瀬
「如月くん、野外では本当にイキイキしてるよね……」
穂積
「OK。じゃ、朝食を食べ終わったら、オリエンテーリングの組み合わせを決めるわよ」
室長の言葉に、何故か、みんなが一斉に私を見た。
翼
「?」
如月
「翼ちゃん!俺とペアを組んで頑張ろうね!」
如月さんが、Vサインを送ってくる。
藤守兄
「如月!抜け駆けは許さんぞ!」
小野瀬
「ペア決めは公正に、くじ引きだよ」
穂積
「で、ワタシと小野瀬が『脅かし役』ね」
藤守
「それ、昨夜の肝試しですやん!」
山田
「ちなみにわたしが審判を務めさせて頂きます」
藤守
「お前は参加せんでええねん!」
今日の予定が決まり、朝食を囲んでまたいつものように大騒ぎが始まった中、傍らに来た明智さんと、私は、そっと笑顔を交わしあう。
明智
「……また、室長に助けてもらってしまったな」
明智さんが小声で囁いた。
翼
「そうですね」
頷いてから、私は、明智さんの横顔を見上げた。
明智さん。
合宿はまだまだこれからで、恋人の時間は帰るまでお預けだけど。
今はひとつでも多く、共通の思い出を作れたらいいな。
いつか、二人で一緒に過ごすのが当たり前になった頃、懐かしく思い出して、笑いながら語り合えるように。
明智さんと、大好きなみんなと、満天の星と明るい太陽の下で大騒ぎして過ごした、この夏の日の事を。
私の視線に気付いて、明智さんがこちらを振り向いた。
明智
「ん?」
翼
「ううん」
私は明智さんを見つめ返して、微笑む。
明智さんはほんの少し首を傾げてから、誰にも見えないように手を繋いでくれた。
今回はちょっぴり暴走しちゃったけど、本当は、私、とっても嬉しかった。
暗くて独りぼっちの場所に、明智さんが来てくれた時。
その後、好きだよ、って言って、抱き締めてくれた時。
出来ることならもう少し、もう少しだけ、二人きりでいたかったな。
室長や小野瀬さんには、内緒だけど。
~END~
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