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ウテナ
サイクリング楽しかったねー
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アンシー
はい、
お天気も良くて。 -
ウテナ
ほんとにね。
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ウテナ
また遊びに行きたいね
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アンシー
はい。
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ウテナ
じゃあ、
今日もはじめようか -
アンシー
そうしましょう
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ON AIR
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アンシー
ウテナとアンシーの
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アンシー
読むラジオ♡
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ウテナ
始まったばかりで
悪いんだけどさー -
ウテナ
ボク、
明日サッカーの試合があるから
早起きしなくちゃいけないんだ -
アンシー
あら
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ウテナ
でも、
-
ウテナ
早起きしなくちゃいけない日に
限って -
ウテナ
夜遅くになっても
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ウテナ
なかなか寝付けない事って
あるよね -
アンシー
遠足の前の日
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アンシー
みたいなことですか?
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ウテナ
そうそう
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ウテナ
楽しみな事があると
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ウテナ
わくわくして
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ウテナ
ぜんぜん寝れないんだ
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アンシー
分かります
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ウテナ
だろ?
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アンシー
はい
-
ウテナ
今、それ。
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アンシー
まあ大変
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ウテナ
どうしよ
-
ウテナ
朝4時に起きれるかな?
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アンシー
それでしたら
ウテナ様 -
アンシー
もうお休みになられたほうが
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アンシー
よろしいかと
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ウテナ
だよね
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ウテナ
ラジオなんか
やってる場合じゃ
-
ウテナ
ないよ
-
アンシー
そうですよ
ウテナ様 -
アンシー
早急に
手を打たなければ -
ウテナ
わかった
-
ウテナ
じゃ
-
ウテナ
寝よっかな
-
アンシー
お休みさないませ
-
ウテナ
スヤァ…
-
アンシー
……
-
ウテナ
……
-
アンシー
……
-
ウテナ
だめだ…
-
ウテナ
ぜんぜん
眠くならないよ -
アンシー
羊さんを
数えてみたら -
アンシー
いかがでしょう?
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ウテナ
数えるのに
集中しちゃって -
ウテナ
眠くなった
ためしがないよ -
アンシー
わかりました
ウテナ様 -
アンシー
私が子守唄を
歌って差し上げます -
ウテナ
えっ…
-
ウテナ
うた…?
-
ウテナ
姫宮の…?
-
ウテナ
それはちょっと
-
アンシー
お気に
召しませんか? -
ウテナ
うーん、
歌はまた -
ウテナ
あとにして
もらえるかな -
ウテナ
そうだ、
-
ウテナ
何か
お話してよ -
ウテナ
姫宮
-
アンシー
まあウテナ様ったら
-
アンシー
小さい子どもみたい
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ウテナ
いいだろ
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ウテナ
読み聞かせとか
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ウテナ
あんまり
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ウテナ
してもらったこと
ないんだから… -
アンシー
わかりました
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アンシー
ウテナ様のために
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アンシー
とっておきの
絵本を -
アンシー
用意して
差し上げます -
アンシー
少々お待ちください。
-
アンシー
(ゴソゴソ)
-
ウテナ
(わくわく)
-
アンシー
お待たせいたしました
-
アンシー
お待たせし過ぎたかも
しれません -
ウテナ
そんなに
待ってないよ -
アンシー
今日は
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アンシー
『七ずきんちゃん』を
-
アンシー
読んで差し上げますね
-
ウテナ
七ずきんちゃん…?
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ウテナ
赤ずきんちゃんじゃ
なくて?? -
アンシー
古典も最新版に
アップデートされてるんですよ -
ウテナ
ん?
-
ウテナ
あ、そう
-
アンシー
ではウテナ様、
ちゃんとお布団に横になって。 -
ウテナ
うん
-
アンシー
目を閉じて
リラックスした状態で
聞いてくださいね -
ウテナ
むにゃむにゃ…
なんだか -
ウテナ
もう
眠くなってきたぞ… -
令和版
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ネオお伽噺
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『七ずきんちゃん』
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アンシー
むかしむかし
ある学園に -
アンシー
七ずきんちゃんという
とても可愛らしくて -
アンシー
とても意地の悪い
女の子がいました。
-
アンシー
七ずきんちゃんには
-
アンシー
高等部に在籍する
お兄さまがおりました。 -
アンシー
七ずきんちゃんは
お兄さまのことが
大好き。 -
アンシー
しかしお兄さまは
-
アンシー
妹である
七ずきんちゃんよりも -
アンシー
七ずきんちゃんの
大嫌いな友だちばかりを
可愛がっているのです。 -
アンシー
それが気に喰わない
七ずきんちゃん。
-
アンシー
今日こそは
一緒にランチをと思い、 -
アンシー
パンと葡萄酒と
-
アンシー
世界の果てからの手紙を持って
-
アンシー
お兄さまのいる
高等部の校舎へ -
アンシー
突撃することにしました。
-
アンシー
七ずきんちゃんは
鳳学園中等部校舎の廊下を -
アンシー
てくてくと
歩きはじめます -
アンシー
一番はじめの
曲がり角で -
アンシー
生徒指導の先生と
鉢合わせました。 -
アンシー
『まあ桐生さん!』
『なぜ学校にワインを持ち込んでいるの!?』 -
アンシー
『没収です!』
-
アンシー
葡萄酒を取り上げられて
しまいました。
-
アンシー
それでも七ずきんちゃんは
廊下を進み続けます。 -
アンシー
次の曲がり角で
-
アンシー
大嫌いな友だちと
鉢合わせました。
-
アンシー
『あんたのせいよ!』
『あんたがお兄さまをたぶらかしたから!』 -
アンシー
『お兄さまはわたくしに冷たくなったのよ!』
-
アンシー
『絶対に許さないんだから!』
-
アンシー
七ずきんちゃんは
-
アンシー
いろいろな鬱憤を
その嫌いな友だちにぶつけたことで
-
アンシー
少し気分が良くなりました。
-
アンシー
もう少しで
高等部の校舎です。 -
アンシー
七ずきんちゃんも
早く
お兄さまに会いたいという思いで -
アンシー
少し駆け足になりました。
-
アンシー
すると背後から
-
アンシー
なにか大きな音が
聞こえてきました。 -
アンシー
『暴れ馬だー!』
-
アンシー
『暴れ馬が出たぞー!』
-
アンシー
いつものことです。
-
アンシー
七ずきんちゃんは
さっと身をかわして -
アンシー
暴れ馬をやり過ごしました。
-
アンシー
『暴れカンガルーだー!』
『暴れカンガルーが出たぞー!』 -
アンシー
いつものことです。
-
アンシー
『つわぶき!』
-
アンシー
七ずきんちゃんは
しもべを呼びました。 -
アンシー
しもべはどこからともなく
やってきて、
-
アンシー
暴れカンガルーを
ノックアウトしました。
-
アンシー
『よくやったわ、つわぶき』
『あとでご褒美をあげるわね -
アンシー
『はい!七実さん!』
-
アンシー
よく訓練されたしもべのおかげで
-
アンシー
七ずきんちゃんは
ようやく -
アンシー
お兄さまのいる
高等部校舎へと
たどり着きました。 -
アンシー
『冬芽なら』
『中庭の薔薇園にいるはずだが』
-
アンシー
生徒会の女が
そう教えてくれました。 -
アンシー
せっかく高等部校舎まで来たのに…。
-
アンシー
七ずきんちゃんは
モーモー言いながら -
アンシー
中庭へと戻りました。
-
アンシー
中庭の薔薇園には
庭番の侍女がいます。
-
アンシー
お兄さまは
その侍女のことも
気に入っているので
-
アンシー
七ずきんちゃんは
侍女のことが
大嫌いでした。 -
アンシー
『幹!』
-
アンシー
七ずきんちゃんは
-
アンシー
物陰から
庭番侍女のことを
盗み見ていた -
アンシー
男友達を
呼び寄せました。 -
アンシー
『あの女を連れて』
『少しのあいだ、どこかに消えて頂戴』 -
アンシー
『今日だけはお兄さまを独占したいのよ』
-
アンシー
庭番侍女は
『薔薇に水を 薔薇に水を』と
嘆いていましたが -
アンシー
おとなしく
七ずきんちゃんの
友だちに -
アンシー
連れていかれました。
-
アンシー
『ああ、』
『やっとお兄さまと』 -
アンシー
『お話しできるわ』
-
アンシー
七ずきんちゃんは
居ても立っても居られなくて
-
アンシー
薔薇園のなかに
飛び込みました。
-
アンシー
そこにはお兄さまと、
-
アンシー
名前も知らない女がいました。
-
アンシー
『お兄さま、誰?その人』
-
アンシー
『七実には関係ない』
-
アンシー
『こんなところで、ナニをしていたの?』
-
アンシー
『七実には言っても分からないコトだ』
-
アンシー
『どうして胸元をはだけているの?』
-
アンシー
『オトナだからだよ』
-
アンシー
『どうして見つめ合っているの?』
-
アンシー
『オトナ同士だからだよ』
-
アンシー
『どうしてわたくしの方を見てくれないの?』
-
アンシー
『もう妹と遊ぶような歳じゃないからさ』
-
アンシー
七ずきんちゃんは
悲しくなりました。
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アンシー
それでも、
黙って帰ることは -
アンシー
七ずきんちゃんのプライドが
許しませんでした。 -
アンシー
『これを、お兄さまに』
-
アンシー
七ずきんちゃんは
持参したパンと、 -
アンシー
世界の果てからの手紙を
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アンシー
お兄さまの背中に
投げつけました。 -
アンシー
『さようなら』
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アンシー
『大好きなお兄さま』
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アンシー
七ずきんちゃんは
そのまま振り返りもせず、 -
アンシー
中庭をあとにしました。
-
アンシー
めでたし
めでたし。 -
アンシー
いかがでしたか?
ウテナ様 -
ウテナ
むにゃむにゃ…パン…
-
アンシー
なんて健やかな寝言…
ウテナ様は可愛いですね -
アンシー
それでは、
本日のラジオはこのへんで -
アンシー
ばっははーい
-
THE END
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