22.Sweet seduction(全年齢向け版)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
すると、フォーラはドラコが自分を大好きだと言ってくれたことのお礼を述べた。
「ありがとう。……私……少し前まではドラコと話せない状況だったのに。今では貴方とこんなにも特別なことができて、それがとっても気持ちよくて、とっても幸せで……。……ずっとこうしていられたらいいのに……。」
ドラコは耳元で聞こえる甘美な囁きに、全身が喜びに震えそうだった。彼女の怖さとは正にこういうところだった。彼女は可愛く美しいだけではない、その懐に入ってしまえば、その魅惑的な沼にずぶずぶと足をすくわれるような……自然と彼女の望みを叶えてやりたいと思ってしまう魅力があった。
「ああ、僕も、同じだ……」
するとフォーラがドラコの腰に廻していた腕の力を強め、彼の肩の辺りに顔を埋めた。彼女の口からはくぐもった声が聞こえた。
「今が本当に幸せよ。」
「ああ」
ドラコがフォーラの髪を優しく撫で、その髪にキスを落とした。フォーラはその手つきや吐息が本当に心地よい感覚だと思ったし、自分のことを本当に可愛いと思ってくれていることが伝わってきた。そんな彼女は幸せによる苦しさから、熱の籠った吐息を漏らした。
「私ね……本当は……貴方にどこにも行ってほしくない。いつも隣にいて欲しいわ……。二人とも安全なところで、いつも一緒に過ごしていたい……。」
「!」
ドラコにはフォーラが何を言っているのか、その真意を汲み取ることができた。ドラコがかつてフォーラに打ち明けたこと―――ドラコが近いうちに死喰い人として学生の内にフォーラの傍を離れるかもしれないことについて、あの時の彼女はどんな彼でも受け入れて応援すると言ってくれた。しかし本当は……今彼女が発した言葉こそが本心だったのかもしれない。そう思うとドラコは胸がズキズキと痛みを帯び始めた。
フォーラは腕の力を緩めて抱擁を僅かに解き、ドラコの肩に埋めていた顔を上げて彼と視線を合わせた。彼女の瞳は申し訳なさや羞恥の色、そして物悲しさを含んで潤んでいたものだから、ドラコは自分の腕の中で彼女を哀しませていることを直に目の当たりにして些かショックを受けた。
「ごめんなさい、私ったら、貴方のやりたいことや目標を応援するって言ったのに。それで貴方が幸せになるなら、それでいいって言ったのに………。
今のはただの我儘なの。つい口から零れてしまっただけ。何だか幸せ過ぎて、急に悲しいことも一緒に込み上げてきてしまって……。貴方を応援する気持ちは変わらないから安心して。だからどうかさっきの言葉は忘れて―――」
フォーラが途中まで言葉を発した時、ドラコの指が彼女の目元を光らせている涙をそっと拭った。そして彼はそのまぶたに一つ短いキスを落とした。
「僕の方こそすまない。……君の気持ちを考えずに、自分の野望を押し付けてばかりで……」
ドラコはフォーラの瞳を慈しむように見据え、再び彼女の髪をそっと撫でた。
「……以前君に僕の本心を打ち明けた時、僕は例のあの人たちがやろうとしていること―――魔法界をマグルから守るという目的の達成を手伝うことで、父上の喜ぶ姿が見たいと話したと思う。それに純血の将来のため、僕が少しでも早く彼らのところに身を置くべきだということも」
「ええ、そうだったわね……。」
フォーラは少々眉を下げて彼の話に耳を傾けていた。きっとドラコは、彼自身の意志が強固であることを改めて伝えようとしているのだろう。彼女はそのように悟った。
「正直、君と距離を置いていた期間や君と心を通わせて直ぐの頃は、勿論父上や純血のためにいつでも動くつもりだったし、それなりに固い決心だってしていた」
すると、不意にフォーラの髪に触れるドラコの手が止まった。ドラコが続けた。
「その筈だったのに」
フォーラはドラコの言葉にこれまでとは違う違和感を覚えていた。『筈だった』とは、一体どういうことだろう?
「……ドラコ?」
すると彼は次第にその表情を崩し、物悲しさや彼自身に対する呆れ、そして悔しさの色を濃くしているようだった。
「……僕だって、フォーラの言うとおり―――まだ学生だということに甘えて、いつか父上から声が掛かるその時まで何も知らない振りをして……何も気負わずに、君とずっとこうしていたい。片時も君から離れずに傍にいたい……。
こんなにも君からの幸福で心地いい感情を受け取ってしまって、だからって僕はこれまで自分で考え抜いて決心したことを捨てたいと思ってしまうなんて」
「ありがとう。……私……少し前まではドラコと話せない状況だったのに。今では貴方とこんなにも特別なことができて、それがとっても気持ちよくて、とっても幸せで……。……ずっとこうしていられたらいいのに……。」
ドラコは耳元で聞こえる甘美な囁きに、全身が喜びに震えそうだった。彼女の怖さとは正にこういうところだった。彼女は可愛く美しいだけではない、その懐に入ってしまえば、その魅惑的な沼にずぶずぶと足をすくわれるような……自然と彼女の望みを叶えてやりたいと思ってしまう魅力があった。
「ああ、僕も、同じだ……」
するとフォーラがドラコの腰に廻していた腕の力を強め、彼の肩の辺りに顔を埋めた。彼女の口からはくぐもった声が聞こえた。
「今が本当に幸せよ。」
「ああ」
ドラコがフォーラの髪を優しく撫で、その髪にキスを落とした。フォーラはその手つきや吐息が本当に心地よい感覚だと思ったし、自分のことを本当に可愛いと思ってくれていることが伝わってきた。そんな彼女は幸せによる苦しさから、熱の籠った吐息を漏らした。
「私ね……本当は……貴方にどこにも行ってほしくない。いつも隣にいて欲しいわ……。二人とも安全なところで、いつも一緒に過ごしていたい……。」
「!」
ドラコにはフォーラが何を言っているのか、その真意を汲み取ることができた。ドラコがかつてフォーラに打ち明けたこと―――ドラコが近いうちに死喰い人として学生の内にフォーラの傍を離れるかもしれないことについて、あの時の彼女はどんな彼でも受け入れて応援すると言ってくれた。しかし本当は……今彼女が発した言葉こそが本心だったのかもしれない。そう思うとドラコは胸がズキズキと痛みを帯び始めた。
フォーラは腕の力を緩めて抱擁を僅かに解き、ドラコの肩に埋めていた顔を上げて彼と視線を合わせた。彼女の瞳は申し訳なさや羞恥の色、そして物悲しさを含んで潤んでいたものだから、ドラコは自分の腕の中で彼女を哀しませていることを直に目の当たりにして些かショックを受けた。
「ごめんなさい、私ったら、貴方のやりたいことや目標を応援するって言ったのに。それで貴方が幸せになるなら、それでいいって言ったのに………。
今のはただの我儘なの。つい口から零れてしまっただけ。何だか幸せ過ぎて、急に悲しいことも一緒に込み上げてきてしまって……。貴方を応援する気持ちは変わらないから安心して。だからどうかさっきの言葉は忘れて―――」
フォーラが途中まで言葉を発した時、ドラコの指が彼女の目元を光らせている涙をそっと拭った。そして彼はそのまぶたに一つ短いキスを落とした。
「僕の方こそすまない。……君の気持ちを考えずに、自分の野望を押し付けてばかりで……」
ドラコはフォーラの瞳を慈しむように見据え、再び彼女の髪をそっと撫でた。
「……以前君に僕の本心を打ち明けた時、僕は例のあの人たちがやろうとしていること―――魔法界をマグルから守るという目的の達成を手伝うことで、父上の喜ぶ姿が見たいと話したと思う。それに純血の将来のため、僕が少しでも早く彼らのところに身を置くべきだということも」
「ええ、そうだったわね……。」
フォーラは少々眉を下げて彼の話に耳を傾けていた。きっとドラコは、彼自身の意志が強固であることを改めて伝えようとしているのだろう。彼女はそのように悟った。
「正直、君と距離を置いていた期間や君と心を通わせて直ぐの頃は、勿論父上や純血のためにいつでも動くつもりだったし、それなりに固い決心だってしていた」
すると、不意にフォーラの髪に触れるドラコの手が止まった。ドラコが続けた。
「その筈だったのに」
フォーラはドラコの言葉にこれまでとは違う違和感を覚えていた。『筈だった』とは、一体どういうことだろう?
「……ドラコ?」
すると彼は次第にその表情を崩し、物悲しさや彼自身に対する呆れ、そして悔しさの色を濃くしているようだった。
「……僕だって、フォーラの言うとおり―――まだ学生だということに甘えて、いつか父上から声が掛かるその時まで何も知らない振りをして……何も気負わずに、君とずっとこうしていたい。片時も君から離れずに傍にいたい……。
こんなにも君からの幸福で心地いい感情を受け取ってしまって、だからって僕はこれまで自分で考え抜いて決心したことを捨てたいと思ってしまうなんて」