3. 二人きりのコンパートメント
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(ちょっと心配しすぎだけれど……ふふ)
心配される嬉しさと可笑しさが相まってフォーラがクスリと笑うと、ドラコはしかめっ面をした。
「僕は真面目に言っているんだが?」
「ええ、分かっているわ。ありがとうドラコ。」
フォーラにお礼を言われ、ドラコはどういうわけかその笑顔に一瞬何も言えなくなってしまった。しかし直ぐにそんな感覚は解かれていたものだから、彼は強がるように軽くフンと鼻を鳴らした。
「まあ、分かったのならいいさ」
さて、その後も二人は昼前までずっとそのコンパートメントで会話を弾ませていたのだが、結局どの友人も二人のいるコンパートメントに顔を出さなかった。こんな風にホグワーツ特急で幼馴染と二人きりになるのは初めてだったこともあり、それはそれで彼らはこの時間を楽しんだ。その際に二人が特に盛り上がった話題は、ホグズミードという学校付近の魔法族しかいない村についてだった。三年生からは特定の休暇日にその村へ遊びにいけることになっていた。
「私、一度も行ったことがないわ。ドラコはどう?」
「いいや、僕もない。どうも聞く限りでは色々面白い店があるらしい。それから『叫びの屋敷』とかいう幽霊屋敷はイギリスいちの恐さって噂だ」
その幽霊屋敷の話になった途端、フォーラの顔からサッと血の気が引いた。
「そ、そんなお屋敷があるの?私、そこには絶対行きたくないわ!ドラコも行かないわよね?」
ドラコは狼狽えるフォーラが可笑しくて、少しばかり彼女をからかった。
「さあね、面白そうじゃないか?どんな屋敷か見にいきたいよ」ドラコが冗談めかしてそう言えば、フォーラは大層不安げに彼を説得しにかかった。
「だめ、絶対駄目……!とんでもなく恐ろしいゴーストがいるに違にないわ!そうなったらドラコが死んじゃう!」フォーラが大まじめに言うものだから、ドラコは少し彼女をからかいたい気持ちが強まった。
「どんな奴がいるんだろうな……もしかしたら殺人鬼の霊なんかがワッ!」
「きゃっ!」
ドラコの脅かしに短く悲鳴を上げたフォーラは、ドラコの目の前の席で少し涙目になりながら身を縮めた。ドラコはそれを見てこれはやりすぎたかもしれないと思った。
「フォーラ、ごめん。そこまでびっくりさせるつもりはなかったんだ」
ドラコはフォーラの隣まで移動して座り直すと、俯く彼女の背中を何度か軽く撫でた。そうして彼女は次第に落ち着きを取り戻し、ようやく顔を上げて安堵の声を漏らしたのだった。
それから二人が昼ご飯を食べ終えた頃、車窓から見える景色には丘陵 が霞むほどの雨が降りだしていた。二人は食後の休暇を経て、パンジーたちを捜すために後部車両から順に確認しようとコンパートメントを後にしたのだった。
二人が廊下をキョロキョロと見渡しながら進んでいくと、向こうから見覚えのありすぎる双子がこちらにやって来るのが分かった。
「「おやおや、フォーラじゃないか!」」
大袈裟な挨拶をした双子にフォーラは笑いかけ、ドラコは怪訝な表情を向けた。双子は彼女たちを何とも対象的だと思いつつ、ドラコそっちのけでフォーラに話し掛けた。先に口を開いたのはジョージだった。
「フォーラ、あれから大丈夫だったか?」
「え、ええ。家に帰ってからは特段何もなかったわ。心配してくれてありがとう。」
それを聞いた双子は揃って「よかったよかった」と頷きフォーラの髪をくしゃくしゃと撫でた。するとその状況にドラコは妙な焦燥感が沸き起こるのを感じた。そのため彼は無意識にフォーラを庇うように双子との間に割って入ると、目の前の二人に睨みを効かせた。そして彼女の手を引くと、さっさと双子の横を通り過ぎたのだった。
「おやおや。全く愛想のかけらもないヤツだな」フレッドが呆れた素振りで言った。しかしジョージからは返事がなかった。ジョージは微かに眉間に皺を寄せ、フォーラたちが去っていった方向をじっと見つめたのだった。
それからのフォーラとドラコは最後尾の車両のコンパートメントまで辿り着いた。すると、ドラコはその中の一室にいたグリフィンドール生を見逃さなかった。ドラコが開けた引き戸の向こうには、お馴染みのハリーたち三人組がいた。それから奥にもう一人、あちこち継ぎ当てをしたローブを纏い、かなりみすぼらしい姿で寝ている男がいた。ライトブラウンの髪はまだかなり若いのに白髪混じりだ。ドラコはハリーに気を取られるあまり、まだその男に気付いていなかった。
「へえ、誰かと思えば」
ドラコの登場と声に三人は顔をしかめたが、フォーラを見つけるなりハリーとハーマイオニーは彼女に手を振り、ロンは目を泳がせた。ドラコは咳ばらいをして続けた。
「ウィーズリー、君の父親がこの夏やっと小金を手にしたって聞いたよ。エジプト旅行だなんて、母親がショックで死ななかったかい?」
その挑発を受けてロンが出し抜けに立ち上がった拍子に、彼はハーマイオニーの蓋つきバスケットを床に叩き落としてしまった。するとその中から小さく「ギャン」と何かの鳴き声がした。おそらく動物が入っているのだろう。
フォーラはハーマイオニーがそのバスケットを慌てて抱き上げるのを見届けて安堵した後で、ドラコの方に向き直った。
「ドラコ、そうやって喧嘩腰になるのはよくないわ。貴方の悪い癖だと思うの。」フォーラがドラコにぴしゃりと言ったので、周りもドラコも黙って彼女を見つめた。
「フォーラ、だけど」
ドラコの反発を尻目にフォーラがハリーたちに謝ろうと向き直った時、彼女の目にはハーマイオニーが抱えたバスケットの中にいる動物の姿が飛び込んできた。そこにはオレンジがかった毛色に、くしゃっとした顔つきの猫が蓋から顔を覗かせていた。
心配される嬉しさと可笑しさが相まってフォーラがクスリと笑うと、ドラコはしかめっ面をした。
「僕は真面目に言っているんだが?」
「ええ、分かっているわ。ありがとうドラコ。」
フォーラにお礼を言われ、ドラコはどういうわけかその笑顔に一瞬何も言えなくなってしまった。しかし直ぐにそんな感覚は解かれていたものだから、彼は強がるように軽くフンと鼻を鳴らした。
「まあ、分かったのならいいさ」
さて、その後も二人は昼前までずっとそのコンパートメントで会話を弾ませていたのだが、結局どの友人も二人のいるコンパートメントに顔を出さなかった。こんな風にホグワーツ特急で幼馴染と二人きりになるのは初めてだったこともあり、それはそれで彼らはこの時間を楽しんだ。その際に二人が特に盛り上がった話題は、ホグズミードという学校付近の魔法族しかいない村についてだった。三年生からは特定の休暇日にその村へ遊びにいけることになっていた。
「私、一度も行ったことがないわ。ドラコはどう?」
「いいや、僕もない。どうも聞く限りでは色々面白い店があるらしい。それから『叫びの屋敷』とかいう幽霊屋敷はイギリスいちの恐さって噂だ」
その幽霊屋敷の話になった途端、フォーラの顔からサッと血の気が引いた。
「そ、そんなお屋敷があるの?私、そこには絶対行きたくないわ!ドラコも行かないわよね?」
ドラコは狼狽えるフォーラが可笑しくて、少しばかり彼女をからかった。
「さあね、面白そうじゃないか?どんな屋敷か見にいきたいよ」ドラコが冗談めかしてそう言えば、フォーラは大層不安げに彼を説得しにかかった。
「だめ、絶対駄目……!とんでもなく恐ろしいゴーストがいるに違にないわ!そうなったらドラコが死んじゃう!」フォーラが大まじめに言うものだから、ドラコは少し彼女をからかいたい気持ちが強まった。
「どんな奴がいるんだろうな……もしかしたら殺人鬼の霊なんかがワッ!」
「きゃっ!」
ドラコの脅かしに短く悲鳴を上げたフォーラは、ドラコの目の前の席で少し涙目になりながら身を縮めた。ドラコはそれを見てこれはやりすぎたかもしれないと思った。
「フォーラ、ごめん。そこまでびっくりさせるつもりはなかったんだ」
ドラコはフォーラの隣まで移動して座り直すと、俯く彼女の背中を何度か軽く撫でた。そうして彼女は次第に落ち着きを取り戻し、ようやく顔を上げて安堵の声を漏らしたのだった。
それから二人が昼ご飯を食べ終えた頃、車窓から見える景色には
二人が廊下をキョロキョロと見渡しながら進んでいくと、向こうから見覚えのありすぎる双子がこちらにやって来るのが分かった。
「「おやおや、フォーラじゃないか!」」
大袈裟な挨拶をした双子にフォーラは笑いかけ、ドラコは怪訝な表情を向けた。双子は彼女たちを何とも対象的だと思いつつ、ドラコそっちのけでフォーラに話し掛けた。先に口を開いたのはジョージだった。
「フォーラ、あれから大丈夫だったか?」
「え、ええ。家に帰ってからは特段何もなかったわ。心配してくれてありがとう。」
それを聞いた双子は揃って「よかったよかった」と頷きフォーラの髪をくしゃくしゃと撫でた。するとその状況にドラコは妙な焦燥感が沸き起こるのを感じた。そのため彼は無意識にフォーラを庇うように双子との間に割って入ると、目の前の二人に睨みを効かせた。そして彼女の手を引くと、さっさと双子の横を通り過ぎたのだった。
「おやおや。全く愛想のかけらもないヤツだな」フレッドが呆れた素振りで言った。しかしジョージからは返事がなかった。ジョージは微かに眉間に皺を寄せ、フォーラたちが去っていった方向をじっと見つめたのだった。
それからのフォーラとドラコは最後尾の車両のコンパートメントまで辿り着いた。すると、ドラコはその中の一室にいたグリフィンドール生を見逃さなかった。ドラコが開けた引き戸の向こうには、お馴染みのハリーたち三人組がいた。それから奥にもう一人、あちこち継ぎ当てをしたローブを纏い、かなりみすぼらしい姿で寝ている男がいた。ライトブラウンの髪はまだかなり若いのに白髪混じりだ。ドラコはハリーに気を取られるあまり、まだその男に気付いていなかった。
「へえ、誰かと思えば」
ドラコの登場と声に三人は顔をしかめたが、フォーラを見つけるなりハリーとハーマイオニーは彼女に手を振り、ロンは目を泳がせた。ドラコは咳ばらいをして続けた。
「ウィーズリー、君の父親がこの夏やっと小金を手にしたって聞いたよ。エジプト旅行だなんて、母親がショックで死ななかったかい?」
その挑発を受けてロンが出し抜けに立ち上がった拍子に、彼はハーマイオニーの蓋つきバスケットを床に叩き落としてしまった。するとその中から小さく「ギャン」と何かの鳴き声がした。おそらく動物が入っているのだろう。
フォーラはハーマイオニーがそのバスケットを慌てて抱き上げるのを見届けて安堵した後で、ドラコの方に向き直った。
「ドラコ、そうやって喧嘩腰になるのはよくないわ。貴方の悪い癖だと思うの。」フォーラがドラコにぴしゃりと言ったので、周りもドラコも黙って彼女を見つめた。
「フォーラ、だけど」
ドラコの反発を尻目にフォーラがハリーたちに謝ろうと向き直った時、彼女の目にはハーマイオニーが抱えたバスケットの中にいる動物の姿が飛び込んできた。そこにはオレンジがかった毛色に、くしゃっとした顔つきの猫が蓋から顔を覗かせていた。