20. 私の正体
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するとその時、ルーピンが意を決した様子でフォーラに向かって『頑張れ』と声を発さずに口を動かし伝えてきたではないか。今こうして彼が自分を応援しているのは何故?もしかすると彼は昨日の事を殆ど覚えていないのだろうか?
しかしいずれにせよ、改めてルーピンの前で変身すれば失望されるのは間違いないだろう。昨日までのフォーラは彼の部屋で黒猫に関する真実を伝えようと思っていた筈だった。それなのに、何故今の自分はこんなにもその行為を拒否したいのだろうか?
フォーラにはその答えを考える暇は到底なかった。ダンブルドアにはフォーラを苦しませようなどという悪気は一切なく、唯々彼女の変身を楽しみにしているのが見て取れた。それに、今ここにいる全ての人がフォーラの変身を待ちわびている。彼女はルーピンから視線を外すと、心の中で呟いた。
(これはきっと、神様が意気地なしの私にくれた最後のチャンスなのよ。ルーピン先生には改めて真実を知ってもらわなきゃ……。ダンブルドア先生がお声を掛けてくださらなかったら、ずっとモヤモヤした気持ちを抱えたまま過ごすことになったかもしれない)
本当は苦しかったしつらかった。ルーピンへの隠し事を改めて彼の目の前で見られてしまうのは嫌で仕方がなかった。だが、彼女はここで逃げるわけにはいかなかった。
フォーラは息を大きく吸い込んだ。もしかしたらこの後泣いてしまうかもしれない。ルーピンに嫌な目で見られるかもしれない。けれどもフォーラはもうそれでいいと思った。彼女は意を決してダンブルドアのテーブルを目掛けて飛んだ。するとあっという間に彼女は黒猫の姿で机の上に着地した。これには大広間にいた全員がワッと声をあげて拍手喝采した。
フォーラは生徒たちを振り返った後で、そっとルーピンに視線を移した。彼は拍手する手を止めたまま、こちらを驚いた様子で見ていた。フォーラはそれ以上ルーピンと目を合わせることができずにサッと視線を逸らした。ルーピンは昨日、目の前でフォーラが黒猫に変身したことを覚えていなかった。フォーラはたった今見た彼の反応からして、彼がこの場で初めて黒猫の正体を認識したのだと直ぐに理解した。きっともう嫌われたに違いない。彼の秘密を無断で覗いていた、はしたない自分のことを嫌わない筈がないのだ。
フォーラはテーブルから降りて人の姿に戻った。再び大広間に拍手が起こった。
「素晴らしいのう!どのくらいの期間で変身できるようになったのかね?」
「二、三ヶ月程でしょうか……。」フォーラが肩を竦めて言った。
「おお!それは更に素晴らしい!一般的には二年から五年、もしかするとそれ以上かかるものじゃ。本来、相当の学問と修養を要するからのう。そのような難易度のものを短期間で習得するとは、類まれなる変身術のセンスがあると見受けられる。スリザリンに五十点!」
スリザリンのテーブルからワッと歓喜の声があがった。しかしフォーラは素直にそれを喜ぶことができなかった。
「皆、ミス・ファントムにもう一度大きな拍手じゃ」
大広間からもう一度拍手があった後で、フォーラは元いた席へと向かった。テーブルとテーブルの間を歩くと、着席している生徒たちがその横を通る自分を先程よりも好奇的な目で見ているのが感じられた。だがフォーラはそれをちっとも嬉しいと思わなかった。
「フォーラ、凄いじゃないか!学期が始まってから覚えたい術があると言っていたけど、今まで隠していたのはあれだったのか!」
「どうして早く言ってくれなかったの?フォーラがアニメーガスだったなんて知らなかったわ!ご両親が学校にいらしたのは、そういう理由だったのね」
ドラコたちが口々にフォーラに称賛の言葉を伝えた。フォーラはそれらに曖昧に微笑むことしかできなかった。今声を出してしまったら、確実に涙が溢れて止まらなくなってしまう。
程なくしてダンブルドアの話が終わり、彼は他の先生方に連絡事項がないか確認した。すると今度はスネイプが立ち上がってダンブルドアを見た。ダンブルドアは頷くと自席に座った。
「あ―――オホン。素晴らしい変身の後に話すのは至極躊躇われる、残念なお知らせを皆にせねばなるまい」スネイプは、残念と言うには程遠いニタリとした笑みを見せた。
「闇の魔術に対する防衛術のリーマス・ルーピン先生だが、彼は昨日危険を犯した。先ず生徒諸君は初耳だろうが、彼は人狼だ。そして彼は昨日、複数の生徒に危害を加えかねん状態であった」
その話を聞いた途端、全校生徒が騒ついた。まさかルーピンが人狼だなどと生徒たちは誰も想定していなかったからだ。フォーラに至っては、スネイプが突然その秘密を公表してしまったことに驚いていた。
「静かにせんか!」スネイプの怒鳴り声で再び大広間が静まり返った。
「つまりだ。今我輩が発した言葉の意味を、ルーピン先生になら簡単にご理解いただけようとは思いますがな」そう言ってスネイプはルーピンを見た。それに答えるようにしてルーピンは立ち上がると、生徒全員に向かって発言した。
「スネイプ先生の言うとおり、私は人狼だ。今まで隠していて本当にすまなかった」ルーピンは瞳を伏せ、自身の不甲斐なさに下唇を噛んだ。彼は再び前を向いて続けた。「そして昨日の満月の夜、私が生徒を襲おうとしてしまったことも……記憶は曖昧ながら事実だ。私は本当に危険なことをしてしまったんだ。償わなければならないと思っている。ダンブルドア先生にはこの学校で過ごすチャンスをいただいたのに」
ダンブルドアはまさかスネイプがその話をするとは想定外だったようで、ルーピンの言葉を遮った。
「待つんじゃ。償いなど他にも方法があるじゃろう」ダンブルドアはルーピンが言わんとしている事が何なのかを悟っていた。
しかしいずれにせよ、改めてルーピンの前で変身すれば失望されるのは間違いないだろう。昨日までのフォーラは彼の部屋で黒猫に関する真実を伝えようと思っていた筈だった。それなのに、何故今の自分はこんなにもその行為を拒否したいのだろうか?
フォーラにはその答えを考える暇は到底なかった。ダンブルドアにはフォーラを苦しませようなどという悪気は一切なく、唯々彼女の変身を楽しみにしているのが見て取れた。それに、今ここにいる全ての人がフォーラの変身を待ちわびている。彼女はルーピンから視線を外すと、心の中で呟いた。
(これはきっと、神様が意気地なしの私にくれた最後のチャンスなのよ。ルーピン先生には改めて真実を知ってもらわなきゃ……。ダンブルドア先生がお声を掛けてくださらなかったら、ずっとモヤモヤした気持ちを抱えたまま過ごすことになったかもしれない)
本当は苦しかったしつらかった。ルーピンへの隠し事を改めて彼の目の前で見られてしまうのは嫌で仕方がなかった。だが、彼女はここで逃げるわけにはいかなかった。
フォーラは息を大きく吸い込んだ。もしかしたらこの後泣いてしまうかもしれない。ルーピンに嫌な目で見られるかもしれない。けれどもフォーラはもうそれでいいと思った。彼女は意を決してダンブルドアのテーブルを目掛けて飛んだ。するとあっという間に彼女は黒猫の姿で机の上に着地した。これには大広間にいた全員がワッと声をあげて拍手喝采した。
フォーラは生徒たちを振り返った後で、そっとルーピンに視線を移した。彼は拍手する手を止めたまま、こちらを驚いた様子で見ていた。フォーラはそれ以上ルーピンと目を合わせることができずにサッと視線を逸らした。ルーピンは昨日、目の前でフォーラが黒猫に変身したことを覚えていなかった。フォーラはたった今見た彼の反応からして、彼がこの場で初めて黒猫の正体を認識したのだと直ぐに理解した。きっともう嫌われたに違いない。彼の秘密を無断で覗いていた、はしたない自分のことを嫌わない筈がないのだ。
フォーラはテーブルから降りて人の姿に戻った。再び大広間に拍手が起こった。
「素晴らしいのう!どのくらいの期間で変身できるようになったのかね?」
「二、三ヶ月程でしょうか……。」フォーラが肩を竦めて言った。
「おお!それは更に素晴らしい!一般的には二年から五年、もしかするとそれ以上かかるものじゃ。本来、相当の学問と修養を要するからのう。そのような難易度のものを短期間で習得するとは、類まれなる変身術のセンスがあると見受けられる。スリザリンに五十点!」
スリザリンのテーブルからワッと歓喜の声があがった。しかしフォーラは素直にそれを喜ぶことができなかった。
「皆、ミス・ファントムにもう一度大きな拍手じゃ」
大広間からもう一度拍手があった後で、フォーラは元いた席へと向かった。テーブルとテーブルの間を歩くと、着席している生徒たちがその横を通る自分を先程よりも好奇的な目で見ているのが感じられた。だがフォーラはそれをちっとも嬉しいと思わなかった。
「フォーラ、凄いじゃないか!学期が始まってから覚えたい術があると言っていたけど、今まで隠していたのはあれだったのか!」
「どうして早く言ってくれなかったの?フォーラがアニメーガスだったなんて知らなかったわ!ご両親が学校にいらしたのは、そういう理由だったのね」
ドラコたちが口々にフォーラに称賛の言葉を伝えた。フォーラはそれらに曖昧に微笑むことしかできなかった。今声を出してしまったら、確実に涙が溢れて止まらなくなってしまう。
程なくしてダンブルドアの話が終わり、彼は他の先生方に連絡事項がないか確認した。すると今度はスネイプが立ち上がってダンブルドアを見た。ダンブルドアは頷くと自席に座った。
「あ―――オホン。素晴らしい変身の後に話すのは至極躊躇われる、残念なお知らせを皆にせねばなるまい」スネイプは、残念と言うには程遠いニタリとした笑みを見せた。
「闇の魔術に対する防衛術のリーマス・ルーピン先生だが、彼は昨日危険を犯した。先ず生徒諸君は初耳だろうが、彼は人狼だ。そして彼は昨日、複数の生徒に危害を加えかねん状態であった」
その話を聞いた途端、全校生徒が騒ついた。まさかルーピンが人狼だなどと生徒たちは誰も想定していなかったからだ。フォーラに至っては、スネイプが突然その秘密を公表してしまったことに驚いていた。
「静かにせんか!」スネイプの怒鳴り声で再び大広間が静まり返った。
「つまりだ。今我輩が発した言葉の意味を、ルーピン先生になら簡単にご理解いただけようとは思いますがな」そう言ってスネイプはルーピンを見た。それに答えるようにしてルーピンは立ち上がると、生徒全員に向かって発言した。
「スネイプ先生の言うとおり、私は人狼だ。今まで隠していて本当にすまなかった」ルーピンは瞳を伏せ、自身の不甲斐なさに下唇を噛んだ。彼は再び前を向いて続けた。「そして昨日の満月の夜、私が生徒を襲おうとしてしまったことも……記憶は曖昧ながら事実だ。私は本当に危険なことをしてしまったんだ。償わなければならないと思っている。ダンブルドア先生にはこの学校で過ごすチャンスをいただいたのに」
ダンブルドアはまさかスネイプがその話をするとは想定外だったようで、ルーピンの言葉を遮った。
「待つんじゃ。償いなど他にも方法があるじゃろう」ダンブルドアはルーピンが言わんとしている事が何なのかを悟っていた。