19. 月下の告白
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それから幾日かが経ち、学校中が期末試験に向けてとうとう追い込みをみせ始めた。図書室は毎日人で溢れかえっていたし、夜の談話室も勉強道具を広げて机にかじりつく生徒が多かった。
フォーラも漏れなく勉強に励んでいたわけだが、最近は度々とある噂話が耳に入ってくるせいで、勉強よりもそのことが気になって仕方なかった。
「闇の魔術に対する防衛術の席は呪われてるから、今年も先生は一年間しかいないかもね」
「ルーピン先生なら来年もいてくれるかも。でも確かにあの科目の先生には毎年何かが起こるし」
「私の友達も、ルーピン先生が今年でやめちゃうかもって、そんな予想を立てているわ」
勉強の合間に聞こえてくるルーピンに関する話題に、フォーラは少々耳が痛くなった。聞きたくない話の筈なのに、自分の意志とは関係なく自然と意識がそちらに集中してしまうのだ。
(先生が辞めてしまうなんて話、ただの噂だって分かっているのに。だけど、もし本当にそうなってしまったらと思うと胸が痛い。……私は先生のことを避けているのにおかしな話だけれど)
もし、ルーピンに事の真偽を尋ねる機会があれば勇気を出して聞いてみよう。フォーラはそのように決めて、今は勉強に集中し直したのだった。
翌日以降、フォーラは防衛術の授業の度にルーピンが今年いっぱいで辞めてしまうのか彼に尋ねようとした。しかし残念ながらそれは叶わなかった。尋ねようとすればするほど、ルーピンの前に立つのが怖くなってしまうのだ。もし本当にルーピンが辞めるとなれば、彼の前でどんな顔をすればいいのか分からない。それを恐れてフォーラは結局彼の元へ行くことができずにいた。
しかしとうとうルーピンのことで悩んではいられなくなった。学期末テストが始まったのだ。スリザリンの三年生の最初の試験は魔法薬学だった。フォーラは恐らくほぼ完璧に近い物を調合して提出することができ、その際のスネイプの反応はなかなか良かったように思えた。
それからフォーラはそつなく他の試験もこなし、次は彼女の最も得意な変身術だった。試験内容はティーカップをウミガメに変えるというもので、これは誰が見ても文句のつけようがない程の出来だった。マクゴナガルからもお褒めの言葉を頂戴した。
「素晴らしい!毎回試験や課題を出す度に、どうしてあなたが私の寮生でなかったのかと悔やまれてならないのですよ」
そして最後の試験は闇の魔術に対する防衛術だった。その内容は、今まで学んできたボガートやレッドキャップ、グリンデローなどの魔法生物を回避しつつ進む、いわゆる障害物競争のようなものだった。フォーラは湖で行われるこの一風変わったテストに少々不安が襲ってきた。何故なら彼女にとってやはり防衛術が最も苦手な科目の一つだったからだ。
そして結果的にフォーラの試験の出来はどうだったかというと、途中グリンデローに足を引っ張られてどうなることかと思ったが、なんと呪文は今まで練習してきた中で一番上手くいった。試験に要したタイムも良好だった。他の生徒に比べるとそれ程でもなかったのだろうが、彼女にとっては十分すぎた。
フォーラがゴール地点から戻ってくると、ルーピンは喜んで彼女を迎えた。
「フォーラ!いやあ良かった。グリンデローは惜しかったが、最初は苦手だった呪文でレッドキャップを上手くかわしていたね。随分上達したじゃないか―――」そう言ってルーピンはフォーラの頭にポンポンと軽く手を載せた。しかしフォーラが返答しなかったものだから、彼はすぐさまハッとしてその手を離した。彼は彼女の試験の成功を喜ぶあまり、自身が彼女に避けられていたことをすっかり忘れてしまっていたのだ。
「あ、いやすまない。嬉しくてつい」
申し訳なさそうにフォーラの顔色を伺うルーピンに、意外にも彼女は顔を上げて微笑んだ。
「いいえ、違うんです。その……私も嬉しくて、お返しする言葉が見つからなくって。こんなに上手くできたのは初めてなんです。先生のおかげです。」
「そうか、それはよかった。これからも頑張るんだよ」
ルーピンは自分の元から離れていくフォーラの後ろ姿を少しばかり目で追った後で、次の生徒の試験に取りかかった。彼は心の中で安心していた。
(避けられていると思っていたのは、もしかすると気のせいだったかな)
フォーラはルーピンの目に届かない所まで来ると、軽く頭を左右に振り、困った顔を隠すように両手で覆った。
(……先生とあんなにちゃんとお話したの、久しぶりで……。それに頭まで撫でられてしまったわ。私、本当なら先生と話すのも許されないような人間なのに……。こんなに嬉しくて、舞い上がって……やっぱり最低だわ)
フォーラは素直に喜べない自分にイライラしたし、喜んでいる自分にもイライラした。こんなに苦しむくらいなら、ルーピンに本当のことを言ってしまった方がいいのではとすら思った程だ。どうして新学期が始まって直ぐの自分はルーピンに惹かれて、彼を励まそうと努めたのだろう。時間を巻き戻してその頃の自分にこの苦しみを教えてあげたかった。
フォーラも漏れなく勉強に励んでいたわけだが、最近は度々とある噂話が耳に入ってくるせいで、勉強よりもそのことが気になって仕方なかった。
「闇の魔術に対する防衛術の席は呪われてるから、今年も先生は一年間しかいないかもね」
「ルーピン先生なら来年もいてくれるかも。でも確かにあの科目の先生には毎年何かが起こるし」
「私の友達も、ルーピン先生が今年でやめちゃうかもって、そんな予想を立てているわ」
勉強の合間に聞こえてくるルーピンに関する話題に、フォーラは少々耳が痛くなった。聞きたくない話の筈なのに、自分の意志とは関係なく自然と意識がそちらに集中してしまうのだ。
(先生が辞めてしまうなんて話、ただの噂だって分かっているのに。だけど、もし本当にそうなってしまったらと思うと胸が痛い。……私は先生のことを避けているのにおかしな話だけれど)
もし、ルーピンに事の真偽を尋ねる機会があれば勇気を出して聞いてみよう。フォーラはそのように決めて、今は勉強に集中し直したのだった。
翌日以降、フォーラは防衛術の授業の度にルーピンが今年いっぱいで辞めてしまうのか彼に尋ねようとした。しかし残念ながらそれは叶わなかった。尋ねようとすればするほど、ルーピンの前に立つのが怖くなってしまうのだ。もし本当にルーピンが辞めるとなれば、彼の前でどんな顔をすればいいのか分からない。それを恐れてフォーラは結局彼の元へ行くことができずにいた。
しかしとうとうルーピンのことで悩んではいられなくなった。学期末テストが始まったのだ。スリザリンの三年生の最初の試験は魔法薬学だった。フォーラは恐らくほぼ完璧に近い物を調合して提出することができ、その際のスネイプの反応はなかなか良かったように思えた。
それからフォーラはそつなく他の試験もこなし、次は彼女の最も得意な変身術だった。試験内容はティーカップをウミガメに変えるというもので、これは誰が見ても文句のつけようがない程の出来だった。マクゴナガルからもお褒めの言葉を頂戴した。
「素晴らしい!毎回試験や課題を出す度に、どうしてあなたが私の寮生でなかったのかと悔やまれてならないのですよ」
そして最後の試験は闇の魔術に対する防衛術だった。その内容は、今まで学んできたボガートやレッドキャップ、グリンデローなどの魔法生物を回避しつつ進む、いわゆる障害物競争のようなものだった。フォーラは湖で行われるこの一風変わったテストに少々不安が襲ってきた。何故なら彼女にとってやはり防衛術が最も苦手な科目の一つだったからだ。
そして結果的にフォーラの試験の出来はどうだったかというと、途中グリンデローに足を引っ張られてどうなることかと思ったが、なんと呪文は今まで練習してきた中で一番上手くいった。試験に要したタイムも良好だった。他の生徒に比べるとそれ程でもなかったのだろうが、彼女にとっては十分すぎた。
フォーラがゴール地点から戻ってくると、ルーピンは喜んで彼女を迎えた。
「フォーラ!いやあ良かった。グリンデローは惜しかったが、最初は苦手だった呪文でレッドキャップを上手くかわしていたね。随分上達したじゃないか―――」そう言ってルーピンはフォーラの頭にポンポンと軽く手を載せた。しかしフォーラが返答しなかったものだから、彼はすぐさまハッとしてその手を離した。彼は彼女の試験の成功を喜ぶあまり、自身が彼女に避けられていたことをすっかり忘れてしまっていたのだ。
「あ、いやすまない。嬉しくてつい」
申し訳なさそうにフォーラの顔色を伺うルーピンに、意外にも彼女は顔を上げて微笑んだ。
「いいえ、違うんです。その……私も嬉しくて、お返しする言葉が見つからなくって。こんなに上手くできたのは初めてなんです。先生のおかげです。」
「そうか、それはよかった。これからも頑張るんだよ」
ルーピンは自分の元から離れていくフォーラの後ろ姿を少しばかり目で追った後で、次の生徒の試験に取りかかった。彼は心の中で安心していた。
(避けられていると思っていたのは、もしかすると気のせいだったかな)
フォーラはルーピンの目に届かない所まで来ると、軽く頭を左右に振り、困った顔を隠すように両手で覆った。
(……先生とあんなにちゃんとお話したの、久しぶりで……。それに頭まで撫でられてしまったわ。私、本当なら先生と話すのも許されないような人間なのに……。こんなに嬉しくて、舞い上がって……やっぱり最低だわ)
フォーラは素直に喜べない自分にイライラしたし、喜んでいる自分にもイライラした。こんなに苦しむくらいなら、ルーピンに本当のことを言ってしまった方がいいのではとすら思った程だ。どうして新学期が始まって直ぐの自分はルーピンに惹かれて、彼を励まそうと努めたのだろう。時間を巻き戻してその頃の自分にこの苦しみを教えてあげたかった。