3. 二人きりのコンパートメント
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
フォーラが自宅に着いてからは、何故彼女がウィーズリー家の近くに倒れていたのかについて家族や使用人含めて沢山議論した。しかしフォーラが家を出て以降の事を何も覚えていなかったため、誰か魔法使いや魔女が彼女を拉致しようとしたのではないかとか、それなら何故道端に彼女は置き去りにされていたのかという意見が尽きなかった。しかし結局答えはフォーラの記憶に頼るしかなく、その頼みの綱がないことには何の解決にもならなかったのだった。
そのような出来事がフォーラの夏休みの記憶の中で最も印象深く刻まれた数日後、ついに彼女はホグワーツ特急に乗るべくキングス・クロス駅に到着していた。フォーラは紅色の特急を背に、プラットフォームで両親から念を押されていた。
「三年生がホグズミード村へ行く休暇の件は許可のサインをしたけれども、くれぐれもシリウス・ブラックには気を付けるんだよ。夏休みにあんな事もあったし……分かってくれるね」
フォーラは父親の言葉に何度も頷き、両親の頬にキスをしてとうとう列車に乗り込んだ。彼女は両親に手を振ろうと思い、列車が発車するのを車両の入口で待った。すると誰かがプラットフォームの人混みを掻き分けてこちらに走ってくるではないか。そしてそのプラチナブロンドヘアの人物はあっという間にフォーラのいる入口に駆け上がってきたのだった。
「……ドラコ!」
薄青いその綺麗な瞳をこちらに向けて微笑んでいるのは、正しく幼馴染のドラコだった。フォーラは夏休み中に会った時よりも彼の背がまた少し伸びているような気がした。
「フォーラ、久しぶりだな」
するとマルフォイ夫婦がフォーラの両親の隣にやって来た。
「ドラコ、フォーラ嬢と仲良くするんだぞ」
プラチナブロンドの長い髪をなびかせてルシウスが言葉を投げかけると、ドラコは「勿論です」と頷いた。そしてそれぞれの親子が互いに『元気で』といった挨拶を交わした時、丁度列車が走りだした。フォーラとドラコは、互いの両親が列車のカーブで見えなくなるまで手を振り続けたのだった。
それからの二人は空いたコンパートメントを見つけると、そこに荷物を置いた。今回は珍しくパンジーやルニー、クラッブとゴイルもいない。
「後でみんなを探しにいってみましょうか。」
「そうだな―――少し休んだら行こう。もしかしたら向こうが僕たちを見つけるかもしれないし」
フォーラは目の前に座るドラコを改めて目に入れると、彼がやはり夏休み中に会った時よりも身長を伸ばしているのは気のせいではないと思った。それに当然といえば当然なのだが、彼の全体的な見た目は入学当時よりも随分成長していた。勿論大人にはまだまだ遠いが、それなりに男らしさが伺えるようになってきているのは確かだった。
(私も……少しは成長したかしら)
フォーラは気が付かないうちにドラコをまじまじと見つめていた。そのためドラコは少々落ち着かない様子で視線を動かした後、改めてフォーラを見た。
「……僕の顔に何か付いてるか?」その質問にフォーラは我に返ると、小さく驚きの声を漏らした。
「えっ!あ、ごめんなさい。ドラコが少し大人びたなと思っただけなの。」
「そうかな?まあ確かに、背も入学当初に比べたら随分伸びたと思う。でもそれを言うならフォーラだって、入学した頃に比べたら随分きれいに……」
ドラコはそこまで言いかけて、自分が普段言わないような言葉を伝えようとしていたと気付いて少々狼狽えた。しかしここで言葉を切ってしまうのも不自然だと思い、喉の奥に突っ掛かっていた締め括りの言葉を無理矢理続けた。
「……なったと思う」
「もうドラコったら、そんなこと思っていないでしょう。」フォーラが口を尖らせて言った。彼女はドラコが声を詰まらせた原因が、思ってもいない言葉を発しようとしたからだと思ったのだ。一方のドラコは自分の発言に幾らか気恥ずかしさを覚え、ふいと顔を窓の方に向けてしまった。
「さあ、どうだかな」
それからはお互いに夏休みをどう過ごしたかについて話して過ごした。ドラコは主に家族で旅行に行っていたらしい。
「僕が君の家にお世話になった後に、長期で出掛けていたんだ。君も誘えばよかったな」
「そんな、折角ご家族での旅行なのに、お邪魔になってしまうわ。楽しめたみたいでよかったわね。」
「ああ―――ところで、フォーラの方は何か変わったことはなかったのか?」
「ええと」フォーラは困ってしまった。ウィーズリー家での話をしてしまってもいいのだろうか?話せばドラコは酷く心配するに決まっていた。しかし何かの拍子に自分以外の誰かから、あの日の事が彼の耳に入るかもしれない。そうなれば彼はフォーラの口から直接事の次第を聞けなかったことを残念に思うかもしれない。
「私の方は、父様の実家のお屋敷に暫く滞在していたわ。そうしたら―――」
フォーラはあの日の事をドラコに話して聞かせた。記憶喪失になったこと、ウィーズリー家にお世話になったこと……。その間、ドラコは驚きや心配、怒りを含む様々な表情を見せたが、黙って彼女が話し終えるまで聞き入っていた。
「倒れる前の記憶がなかったのか……。外に出るなんて、最近は物騒だし気を付けなきゃ駄目だろう。脱獄したシリウス・ブラックのこともある。奴は十三人もマグルを殺した経歴の持ち主だ。もしかしたら君がそいつとばったり出会っていて、証拠隠滅のために記憶を弄られたっていう可能性もあり得なくはないんだからな」
フォーラはどのみちドラコに心配を掛けさせてしまうことになって申し訳なく思った。しかし彼女にとっては、彼がそこまで自分に親身になってくれていることへの嬉しさの方が強く感じられた。
「やっぱり、話してよかった。」フォーラが幾らか嬉しそうに呟くと、ドラコはため息交じりに彼女をジロリと見やった。
「ところで」
フォーラはドラコが腕を組んでこちらを真剣かつ眉間に皺が出来るほど見ていることに気が付いた。最早睨まれていると言った方が正しいかもしれない。そんな彼女は恐る恐る質問した。
「な、なあにドラコ……?」
「ウィーズリーの男どもに何もされてないだろうな!?」
「えっ?」
「特にあの双子だ。フォーラにもしもの事があってみろ、ただじゃおかないからな」
ドラコの握り拳が、彼の腕組みした隙間からチラリと覗いているのをフォーラは見た。
「そんな、大丈夫よドラコ。私、親切にしていただいただけだもの。」
「ならいいが、もし奴らに既に何かされていたり、されそうになったりしたら直ぐに僕に言うんだぞ」
あまりにドラコが真剣に言うものだから、フォーラは彼を宥めようと何度も頷いた。
そのような出来事がフォーラの夏休みの記憶の中で最も印象深く刻まれた数日後、ついに彼女はホグワーツ特急に乗るべくキングス・クロス駅に到着していた。フォーラは紅色の特急を背に、プラットフォームで両親から念を押されていた。
「三年生がホグズミード村へ行く休暇の件は許可のサインをしたけれども、くれぐれもシリウス・ブラックには気を付けるんだよ。夏休みにあんな事もあったし……分かってくれるね」
フォーラは父親の言葉に何度も頷き、両親の頬にキスをしてとうとう列車に乗り込んだ。彼女は両親に手を振ろうと思い、列車が発車するのを車両の入口で待った。すると誰かがプラットフォームの人混みを掻き分けてこちらに走ってくるではないか。そしてそのプラチナブロンドヘアの人物はあっという間にフォーラのいる入口に駆け上がってきたのだった。
「……ドラコ!」
薄青いその綺麗な瞳をこちらに向けて微笑んでいるのは、正しく幼馴染のドラコだった。フォーラは夏休み中に会った時よりも彼の背がまた少し伸びているような気がした。
「フォーラ、久しぶりだな」
するとマルフォイ夫婦がフォーラの両親の隣にやって来た。
「ドラコ、フォーラ嬢と仲良くするんだぞ」
プラチナブロンドの長い髪をなびかせてルシウスが言葉を投げかけると、ドラコは「勿論です」と頷いた。そしてそれぞれの親子が互いに『元気で』といった挨拶を交わした時、丁度列車が走りだした。フォーラとドラコは、互いの両親が列車のカーブで見えなくなるまで手を振り続けたのだった。
それからの二人は空いたコンパートメントを見つけると、そこに荷物を置いた。今回は珍しくパンジーやルニー、クラッブとゴイルもいない。
「後でみんなを探しにいってみましょうか。」
「そうだな―――少し休んだら行こう。もしかしたら向こうが僕たちを見つけるかもしれないし」
フォーラは目の前に座るドラコを改めて目に入れると、彼がやはり夏休み中に会った時よりも身長を伸ばしているのは気のせいではないと思った。それに当然といえば当然なのだが、彼の全体的な見た目は入学当時よりも随分成長していた。勿論大人にはまだまだ遠いが、それなりに男らしさが伺えるようになってきているのは確かだった。
(私も……少しは成長したかしら)
フォーラは気が付かないうちにドラコをまじまじと見つめていた。そのためドラコは少々落ち着かない様子で視線を動かした後、改めてフォーラを見た。
「……僕の顔に何か付いてるか?」その質問にフォーラは我に返ると、小さく驚きの声を漏らした。
「えっ!あ、ごめんなさい。ドラコが少し大人びたなと思っただけなの。」
「そうかな?まあ確かに、背も入学当初に比べたら随分伸びたと思う。でもそれを言うならフォーラだって、入学した頃に比べたら随分きれいに……」
ドラコはそこまで言いかけて、自分が普段言わないような言葉を伝えようとしていたと気付いて少々狼狽えた。しかしここで言葉を切ってしまうのも不自然だと思い、喉の奥に突っ掛かっていた締め括りの言葉を無理矢理続けた。
「……なったと思う」
「もうドラコったら、そんなこと思っていないでしょう。」フォーラが口を尖らせて言った。彼女はドラコが声を詰まらせた原因が、思ってもいない言葉を発しようとしたからだと思ったのだ。一方のドラコは自分の発言に幾らか気恥ずかしさを覚え、ふいと顔を窓の方に向けてしまった。
「さあ、どうだかな」
それからはお互いに夏休みをどう過ごしたかについて話して過ごした。ドラコは主に家族で旅行に行っていたらしい。
「僕が君の家にお世話になった後に、長期で出掛けていたんだ。君も誘えばよかったな」
「そんな、折角ご家族での旅行なのに、お邪魔になってしまうわ。楽しめたみたいでよかったわね。」
「ああ―――ところで、フォーラの方は何か変わったことはなかったのか?」
「ええと」フォーラは困ってしまった。ウィーズリー家での話をしてしまってもいいのだろうか?話せばドラコは酷く心配するに決まっていた。しかし何かの拍子に自分以外の誰かから、あの日の事が彼の耳に入るかもしれない。そうなれば彼はフォーラの口から直接事の次第を聞けなかったことを残念に思うかもしれない。
「私の方は、父様の実家のお屋敷に暫く滞在していたわ。そうしたら―――」
フォーラはあの日の事をドラコに話して聞かせた。記憶喪失になったこと、ウィーズリー家にお世話になったこと……。その間、ドラコは驚きや心配、怒りを含む様々な表情を見せたが、黙って彼女が話し終えるまで聞き入っていた。
「倒れる前の記憶がなかったのか……。外に出るなんて、最近は物騒だし気を付けなきゃ駄目だろう。脱獄したシリウス・ブラックのこともある。奴は十三人もマグルを殺した経歴の持ち主だ。もしかしたら君がそいつとばったり出会っていて、証拠隠滅のために記憶を弄られたっていう可能性もあり得なくはないんだからな」
フォーラはどのみちドラコに心配を掛けさせてしまうことになって申し訳なく思った。しかし彼女にとっては、彼がそこまで自分に親身になってくれていることへの嬉しさの方が強く感じられた。
「やっぱり、話してよかった。」フォーラが幾らか嬉しそうに呟くと、ドラコはため息交じりに彼女をジロリと見やった。
「ところで」
フォーラはドラコが腕を組んでこちらを真剣かつ眉間に皺が出来るほど見ていることに気が付いた。最早睨まれていると言った方が正しいかもしれない。そんな彼女は恐る恐る質問した。
「な、なあにドラコ……?」
「ウィーズリーの男どもに何もされてないだろうな!?」
「えっ?」
「特にあの双子だ。フォーラにもしもの事があってみろ、ただじゃおかないからな」
ドラコの握り拳が、彼の腕組みした隙間からチラリと覗いているのをフォーラは見た。
「そんな、大丈夫よドラコ。私、親切にしていただいただけだもの。」
「ならいいが、もし奴らに既に何かされていたり、されそうになったりしたら直ぐに僕に言うんだぞ」
あまりにドラコが真剣に言うものだから、フォーラは彼を宥めようと何度も頷いた。