18. クルックシャンクスのお願い
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ルーピン自身、最近フォーラに避けられていることは薄々感じていた。正直彼女には気に入られている自信があっただけに、理由なんて到底分からなかった。しかしそのわけを聞こうにも、生徒にわざわざ気のせいかもしれないことを問うのは過敏になりすぎだと思ったり、気付かない内に自分が彼女を傷つけていたとしたらその質問は無神経だと考えたりで、ルーピンはなかなか行動に移すことができずにいた。
(彼女は何人もいる生徒の内の一人だろう。生徒全員に好かれるなんて到底不可能なんだから、そこまで気にしすぎない方がいい筈なのに。私は何をどうしてこんなに)
それから幾日か経ったある日のこと。フォーラはマグル学の授業の帰りで、これから大広間に行って昼食を摂ろうと思っていたところだった。スリザリン生でこの授業を受けている同学年は彼女だけだった。そんな彼女は一人で廊下を歩いていたのだが、視線の先に偶然にもルーピンの後ろ姿が飛び込んできた途端、彼女は反射的に黒猫姿になって物陰に隠れてしまった。
(もう、どうして!身体が勝手に。……ううん、本当は自分の意思だって分かっているわ。だって今は、先生と二人きりで面と向かって顔を合わせられる自信がないんだもの)
その時、フォーラの視界の端で何やらオレンジ色の物体がちらついた。それがこちらに近付いてきている気がしたものだから彼女が何だろうと目を向けると、見覚えのあるオレンジ色の猫がそばでこちらをじっと見据えていた。フォーラはこの猫に以前も品定めするような視線を向けられた気がすると思った。彼女はハーマイオニーの飼い猫との間に流れる沈黙に耐えかねて、とうとう話し掛けた。
〈こんにちは〉
〈あなたは猫のふりをするのが下手だな。前から思っていたことだけど〉
フォーラは自分が猫でないのを見破られて動揺した。
〈ど、どうして私が猫じゃないと分かったの?〉
〈僕にかかればそんなことは簡単だ。それに僕は、あなたが信用たる人かそうでないかを判断することもできる〉クルックシャンクスはツンとした様子で答えた。
フォーラには彼がハッタリでも何でもなく、唯々真実を述べているように感じられた。彼女は彼にどこまで自分のことを見透かされているのかと緊張して何も言葉を返せずにいた。すると彼は少し苛立った様子で切り出した。
〈心配しなくても、あなたが人間だということは誰にもばらさないさ。そもそも、僕の言葉は人に通じないんだから〉
フォーラは図星を突かれて少々驚いた。彼は何て勘が鋭いのだろう。
〈因みに僕は、あなたがさっき見ていた人間のことを好きなのも知っている〉
〈えっ〉
〈夜中にあの人間のところへ向かう黒い猫をたまに見かけていたし、その時のあなたがどういう想いでいるのか、大体の感情は伝わってきていたからね〉
フォーラはこの猫にそんなことまでばれているなんて思いもしなかった。それに彼がわざわざそのようなことを伝えてくる狙いが分からなかった。恐らく察するに、彼は単に雑談をしに来たわけではなさそうだが……。フォーラは恐る恐る彼の真意を尋ねてみた。
〈あの……あなたは、何か私に用があるんじゃ?〉
クルックシャンクスはフォーラのその質問に丸い目を更に丸くして答えた。
〈おやよく分かったね、そのとおりだよ。僕はあなたにお願いがあって来たんだ。話を切り出す手間が省けて助かったよ。いいかい、よく聞いて。僕の飼い主の住む場所にはネズミを飼っている人間がいるだろう。彼に伝えてほしいことがある。お願いできるかい〉
フォーラは『飼い主の住む場所』というのがきっとグリフィンドール寮のことだろうと思った。そしてネズミを飼っている人間というと、彼女の脳裏に浮かんだのはロンの姿だった。
〈伝えてほしいこと?〉
〈ああ、そうだ。彼の飼っているネズミ、そいつがあなたと同じ種類の人間だってことをね〉
フォーラはクルックシャンクスがあまりにもサラリと言ってのけた内容に、返す言葉が見つからなかった。彼女は一呼吸置いてからようやく言葉を発した。
〈……ええと、まさか、そんな〉
〈嘘じゃないよ。あのネズミ、今は何処かに行ってしまって見つからないけど、見つけ次第あなたにも捕まえてほしい。勿論見かけたらで構わない〉
〈そんな、私……そんな事信じられない。だってスキャバーズはずっとロンのペットだったでしょう?それに彼から聞いた話では、スキャバーズを食べたのはあなただと……〉
〈嫌だな!あんな薄汚いネズミ人間、僕が食べるわけないじゃないか!よく考えてみるんだ。普通のネズミが十何年も生きると思うかい?ネズミの飼い主に、あのネズミが一体何年生きたか聞いてみればいい。兎に角僕はあなたに頼むのが一番早いと考えている。ネズミを捕まえたらこの城の長 に突き出せばいいんだ。僕のその仕事を手伝ってくれないか〉
フォーラはクルックシャンクスの話を聞き終えたが、正直まだ腑に落ちないことばかりだった。しかしその中で最も気になったのは次の件だった。
〈でも……ネズミを捕まえる『仕事』を、あなたは一体誰に頼まれたの?〉
フォーラの質問にクルックシャンクスは黙ってしまった。しかし彼は程なくして口を開いた。
〈そのネズミのせいで罪を背負った人間に。ああ、でも今は動物だ。それじゃあ頼んだよ〉
〈ちょっと、待って……!〉
フォーラは廊下を走り去ったクルックシャンクスを追いかけたが、途中で彼を見失ってしまった。彼の言っていた話は本当なのだろうか?それとも単にからかわれただけなのだろうか?しかし後者にしては話が出来すぎているようにも感じた。急に現れて去っていった彼にフォーラは心底困惑したし、どうすればいいのか直ぐには判断できなかった。
(彼、最後に罪がどうとか言っていたわ。もし本当にロンのネズミがアニメーガスで、そのせいで罪を被らされた人がいるんだとしたら?兎に角、ロンにスキャバーズのことを伝えるには……)
(彼女は何人もいる生徒の内の一人だろう。生徒全員に好かれるなんて到底不可能なんだから、そこまで気にしすぎない方がいい筈なのに。私は何をどうしてこんなに)
それから幾日か経ったある日のこと。フォーラはマグル学の授業の帰りで、これから大広間に行って昼食を摂ろうと思っていたところだった。スリザリン生でこの授業を受けている同学年は彼女だけだった。そんな彼女は一人で廊下を歩いていたのだが、視線の先に偶然にもルーピンの後ろ姿が飛び込んできた途端、彼女は反射的に黒猫姿になって物陰に隠れてしまった。
(もう、どうして!身体が勝手に。……ううん、本当は自分の意思だって分かっているわ。だって今は、先生と二人きりで面と向かって顔を合わせられる自信がないんだもの)
その時、フォーラの視界の端で何やらオレンジ色の物体がちらついた。それがこちらに近付いてきている気がしたものだから彼女が何だろうと目を向けると、見覚えのあるオレンジ色の猫がそばでこちらをじっと見据えていた。フォーラはこの猫に以前も品定めするような視線を向けられた気がすると思った。彼女はハーマイオニーの飼い猫との間に流れる沈黙に耐えかねて、とうとう話し掛けた。
〈こんにちは〉
〈あなたは猫のふりをするのが下手だな。前から思っていたことだけど〉
フォーラは自分が猫でないのを見破られて動揺した。
〈ど、どうして私が猫じゃないと分かったの?〉
〈僕にかかればそんなことは簡単だ。それに僕は、あなたが信用たる人かそうでないかを判断することもできる〉クルックシャンクスはツンとした様子で答えた。
フォーラには彼がハッタリでも何でもなく、唯々真実を述べているように感じられた。彼女は彼にどこまで自分のことを見透かされているのかと緊張して何も言葉を返せずにいた。すると彼は少し苛立った様子で切り出した。
〈心配しなくても、あなたが人間だということは誰にもばらさないさ。そもそも、僕の言葉は人に通じないんだから〉
フォーラは図星を突かれて少々驚いた。彼は何て勘が鋭いのだろう。
〈因みに僕は、あなたがさっき見ていた人間のことを好きなのも知っている〉
〈えっ〉
〈夜中にあの人間のところへ向かう黒い猫をたまに見かけていたし、その時のあなたがどういう想いでいるのか、大体の感情は伝わってきていたからね〉
フォーラはこの猫にそんなことまでばれているなんて思いもしなかった。それに彼がわざわざそのようなことを伝えてくる狙いが分からなかった。恐らく察するに、彼は単に雑談をしに来たわけではなさそうだが……。フォーラは恐る恐る彼の真意を尋ねてみた。
〈あの……あなたは、何か私に用があるんじゃ?〉
クルックシャンクスはフォーラのその質問に丸い目を更に丸くして答えた。
〈おやよく分かったね、そのとおりだよ。僕はあなたにお願いがあって来たんだ。話を切り出す手間が省けて助かったよ。いいかい、よく聞いて。僕の飼い主の住む場所にはネズミを飼っている人間がいるだろう。彼に伝えてほしいことがある。お願いできるかい〉
フォーラは『飼い主の住む場所』というのがきっとグリフィンドール寮のことだろうと思った。そしてネズミを飼っている人間というと、彼女の脳裏に浮かんだのはロンの姿だった。
〈伝えてほしいこと?〉
〈ああ、そうだ。彼の飼っているネズミ、そいつがあなたと同じ種類の人間だってことをね〉
フォーラはクルックシャンクスがあまりにもサラリと言ってのけた内容に、返す言葉が見つからなかった。彼女は一呼吸置いてからようやく言葉を発した。
〈……ええと、まさか、そんな〉
〈嘘じゃないよ。あのネズミ、今は何処かに行ってしまって見つからないけど、見つけ次第あなたにも捕まえてほしい。勿論見かけたらで構わない〉
〈そんな、私……そんな事信じられない。だってスキャバーズはずっとロンのペットだったでしょう?それに彼から聞いた話では、スキャバーズを食べたのはあなただと……〉
〈嫌だな!あんな薄汚いネズミ人間、僕が食べるわけないじゃないか!よく考えてみるんだ。普通のネズミが十何年も生きると思うかい?ネズミの飼い主に、あのネズミが一体何年生きたか聞いてみればいい。兎に角僕はあなたに頼むのが一番早いと考えている。ネズミを捕まえたらこの城の
フォーラはクルックシャンクスの話を聞き終えたが、正直まだ腑に落ちないことばかりだった。しかしその中で最も気になったのは次の件だった。
〈でも……ネズミを捕まえる『仕事』を、あなたは一体誰に頼まれたの?〉
フォーラの質問にクルックシャンクスは黙ってしまった。しかし彼は程なくして口を開いた。
〈そのネズミのせいで罪を背負った人間に。ああ、でも今は動物だ。それじゃあ頼んだよ〉
〈ちょっと、待って……!〉
フォーラは廊下を走り去ったクルックシャンクスを追いかけたが、途中で彼を見失ってしまった。彼の言っていた話は本当なのだろうか?それとも単にからかわれただけなのだろうか?しかし後者にしては話が出来すぎているようにも感じた。急に現れて去っていった彼にフォーラは心底困惑したし、どうすればいいのか直ぐには判断できなかった。
(彼、最後に罪がどうとか言っていたわ。もし本当にロンのネズミがアニメーガスで、そのせいで罪を被らされた人がいるんだとしたら?兎に角、ロンにスキャバーズのことを伝えるには……)