17. スニッチと君の声
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さて、それから数日が経ち、スリザリン対グリフィンドールのクィディッチ寮杯決勝戦が近付いていた。ドラコは殆ど毎日グラウンドに出向いてチーム練習をしていた。フォーラは頻繁に友人たちと一緒に練習を見にいったが、最近の彼は今までで一番気合が入っているように見えた。
校内の状況として、つい先日はスリザリンとグリフィンドールの生徒たちの緊張状態が極限に達し、互いに殴り合いの喧嘩にまで発展した。廊下で二つの寮生同士がすれ違えば睨み合っていたし、それ程みんな自分の寮に優勝してほしいと思っていた。だからこそドラコの強い熱気も当然だった。
そして迎えた試合当日。フォーラを含むいつもの女子三人は、競技場全体が見渡せる一番上の観客席の最後尾で試合を観戦した。解説のリー・ジョーダンというグリフィンドール寮の男子生徒の声が拡声器越しに会場中に響いた。
『―――グリフィンドールは五十点差をつけた後にスニッチを取らないと、スリザリンの優勝が確定してしまいます!ところで皆さんお待ちかね、ハリー・ポッターが新しく手に入れた箒のファイアボルトですが、ワールドカップの公式箒に認定されたことは有名ですね―――』
「ジョーダン!箒の解説はやめなさい!」彼の横でマクゴナガルが叱咤した。
パンジーは不安そうにフォーラの隣でずっとそわそわしていた。
「ああもう、ドラコったら早くスニッチを捕まえないと!五十点差になったら大変よ!」
しかしパンジーの懇願空しく、試合が進むにつれてグリフィンドールのゴール得点が続き、点差は徐々に開いていった。
(くそっ、スニッチは何処なんだ?さっきからずっと探しているのに見当たらない。ポッターの奴は今のところスニッチを見たふりしかしない。そうやって僕の時間稼ぎをしているのは分かってるんだ。兎に角早く見つけないと)
その時、グリフィンドール側の観客席から歓声があがった。ドラコは辺りを見渡した。どうやらグリフィンドールがゴールを決めて、とうとう五十点差になってしまったようだ。これ以上は本当にまずい。ドラコはぐるぐるとフィールドをまわって目を凝らした。彼の焦りを煽るようにジョーダンの声が会場に響いた。
『ついに五十点差です!グリフィンドール頑張れ!いけ!叩け!つぶせ!あっと、すみません先生。分かってます。分かってますよ!さーて、スリザリンのシーカーですが、なかなかスニッチを見つけられません。このままではおいしい―――あっいや、まずいですね!あっとグリフィンドール、ゴールを決めに攻めています!攻める攻める!』
今やハリーは本格的にスニッチを見つけにかかろうとしていた。動き方が途端に機敏なものに変わったのだ。こうなってしまうともう時間がない。ドラコは辺りを見渡した―――。
「ドラコ!!頑張って……!!」
ドラコは思わず声のした方向を振り返った。というのも、一番近くの観客席からフォーラの声が聞こえた気がしたからだ。案の定、観客席の一番上の段には彼女がいた。そしてその時ドラコの視界に何か光る物が見えた気がした。
(いた!!)
スニッチはフォーラたちの数メートル頭上、観客席から出っ張った柱の周りをぐるぐると旋回していた。最早ドラコは柱にぶつかるのも気にせず、急スピードでスニッチに向かって飛んだ。そして彼はその手をグッと前に伸ばした。ハリーはドラコの数メートル後ろにいて、ドラコの行動に瞬時に反応した。二人は今や離れているとは言い難い距離になっていた。
(だけど僕の方が近い。速く、早く掴むんだ、早く!!)
ドラコの横目に、ハリーの手がスニッチを掴もうと伸びているのが見えた。ドラコは更に手を伸ばそうとした―――。
ピーッという長いホイッスルの後、ドラコは観客席の柱をよけ切れず箒ごと横向きにぶつかって、一番上の観客席にドサリと崩れ落ちた。ハリーの方は何とか衝突は回避したようだった。
ドラコの近くにいた生徒たちは彼のそばまで急いで駆けつけた。その中でも最も彼の近くにいたフォーラが、仰向けに倒れているドラコのそばに屈み込み、彼の肩に触れて顔を覗き込んだ。
「ドラコ、しっかりして、ドラコ!大丈夫!?何処か痛む……!?」
ドラコは声を掛けられて間もなく、軽く呻き声を上げながらのそりと上体を起こし、切れた唇から出た血をユニフォームで拭った。そして全身の痛みに耐えつつ、何とか握り拳を前に差し出してその手を開いたのだった。
その時、スリザリン側の観客席から大きな歓声があがった。みんなハリーとドラコのどちらがスニッチを掴んだのか今の今まで分からなかったのだ。ドラコの手の中には金色のスニッチが光り輝いていた。彼の周りで歓喜する声に負けないようにフォーラは声を張った。
「ドラコ……!すごい、凄いわ!おめでとう!本当に―――」
しかしフォーラは途中まで言い掛けた言葉を最後まで発することができなかった。何故ならドラコがスニッチを掴んだまま、彼女を勢いよく両腕で抱き締めたからだ。フォーラはあまりにも突然のことに声が出なかった。
パンジーとルニーはその状況を見て「きゃあ!」と驚きの声をあげた。しかしそんな事はドラコの耳に入っていないようで、彼はフォーラの顔が見えるように彼女の両腕を掴んでパッと身体を離した。
「本当に、君のおかげだ!ありがとう、凄くうれしい!ありがとう!」
フォーラは再びドラコにぎゅっときつく抱き締められて身動きが取れなかった。しかしそれは彼女には何の問題もない事だった。
「おめでとう……!」
それから直ぐにドラコはフォーラから離れると、箒にサッと乗り直して彼女に手を軽く振った。そして彼は観客席のそばを飛んでいたチームメンバーと合流し、空中で肩を叩き合いながら歓喜した。彼らはそのまま芝生の上に足をおろすとドラコがキャプテンに肩車され、向こうからやってきたダンブルドアから寮杯を受け取ったのだった。
スリザリン生は観客席から地上へ詰めかけて同寮の選手たちの元へ走り、あっという間にメンバーは囲まれてしまった。パンジーもルニーもその流れに続いた。
フォーラもみんなと同様にフィールドに駆け込もうかと思った。しかし彼女は観客席でふと脚が止まってしまった。その理由は彼女自身もよく分からなかったのだが、ただ一つ確実に言えることは、彼女の脳裏には先程ドラコに抱きしめられた時の記憶が浮かんでいたということだった。
フォーラは観客席からフィールドを眺め、みんなに祝福されて囲まれているドラコを見つけて笑みを零した。そして彼女はようやく階段を下りていったのだった。
校内の状況として、つい先日はスリザリンとグリフィンドールの生徒たちの緊張状態が極限に達し、互いに殴り合いの喧嘩にまで発展した。廊下で二つの寮生同士がすれ違えば睨み合っていたし、それ程みんな自分の寮に優勝してほしいと思っていた。だからこそドラコの強い熱気も当然だった。
そして迎えた試合当日。フォーラを含むいつもの女子三人は、競技場全体が見渡せる一番上の観客席の最後尾で試合を観戦した。解説のリー・ジョーダンというグリフィンドール寮の男子生徒の声が拡声器越しに会場中に響いた。
『―――グリフィンドールは五十点差をつけた後にスニッチを取らないと、スリザリンの優勝が確定してしまいます!ところで皆さんお待ちかね、ハリー・ポッターが新しく手に入れた箒のファイアボルトですが、ワールドカップの公式箒に認定されたことは有名ですね―――』
「ジョーダン!箒の解説はやめなさい!」彼の横でマクゴナガルが叱咤した。
パンジーは不安そうにフォーラの隣でずっとそわそわしていた。
「ああもう、ドラコったら早くスニッチを捕まえないと!五十点差になったら大変よ!」
しかしパンジーの懇願空しく、試合が進むにつれてグリフィンドールのゴール得点が続き、点差は徐々に開いていった。
(くそっ、スニッチは何処なんだ?さっきからずっと探しているのに見当たらない。ポッターの奴は今のところスニッチを見たふりしかしない。そうやって僕の時間稼ぎをしているのは分かってるんだ。兎に角早く見つけないと)
その時、グリフィンドール側の観客席から歓声があがった。ドラコは辺りを見渡した。どうやらグリフィンドールがゴールを決めて、とうとう五十点差になってしまったようだ。これ以上は本当にまずい。ドラコはぐるぐるとフィールドをまわって目を凝らした。彼の焦りを煽るようにジョーダンの声が会場に響いた。
『ついに五十点差です!グリフィンドール頑張れ!いけ!叩け!つぶせ!あっと、すみません先生。分かってます。分かってますよ!さーて、スリザリンのシーカーですが、なかなかスニッチを見つけられません。このままではおいしい―――あっいや、まずいですね!あっとグリフィンドール、ゴールを決めに攻めています!攻める攻める!』
今やハリーは本格的にスニッチを見つけにかかろうとしていた。動き方が途端に機敏なものに変わったのだ。こうなってしまうともう時間がない。ドラコは辺りを見渡した―――。
「ドラコ!!頑張って……!!」
ドラコは思わず声のした方向を振り返った。というのも、一番近くの観客席からフォーラの声が聞こえた気がしたからだ。案の定、観客席の一番上の段には彼女がいた。そしてその時ドラコの視界に何か光る物が見えた気がした。
(いた!!)
スニッチはフォーラたちの数メートル頭上、観客席から出っ張った柱の周りをぐるぐると旋回していた。最早ドラコは柱にぶつかるのも気にせず、急スピードでスニッチに向かって飛んだ。そして彼はその手をグッと前に伸ばした。ハリーはドラコの数メートル後ろにいて、ドラコの行動に瞬時に反応した。二人は今や離れているとは言い難い距離になっていた。
(だけど僕の方が近い。速く、早く掴むんだ、早く!!)
ドラコの横目に、ハリーの手がスニッチを掴もうと伸びているのが見えた。ドラコは更に手を伸ばそうとした―――。
ピーッという長いホイッスルの後、ドラコは観客席の柱をよけ切れず箒ごと横向きにぶつかって、一番上の観客席にドサリと崩れ落ちた。ハリーの方は何とか衝突は回避したようだった。
ドラコの近くにいた生徒たちは彼のそばまで急いで駆けつけた。その中でも最も彼の近くにいたフォーラが、仰向けに倒れているドラコのそばに屈み込み、彼の肩に触れて顔を覗き込んだ。
「ドラコ、しっかりして、ドラコ!大丈夫!?何処か痛む……!?」
ドラコは声を掛けられて間もなく、軽く呻き声を上げながらのそりと上体を起こし、切れた唇から出た血をユニフォームで拭った。そして全身の痛みに耐えつつ、何とか握り拳を前に差し出してその手を開いたのだった。
その時、スリザリン側の観客席から大きな歓声があがった。みんなハリーとドラコのどちらがスニッチを掴んだのか今の今まで分からなかったのだ。ドラコの手の中には金色のスニッチが光り輝いていた。彼の周りで歓喜する声に負けないようにフォーラは声を張った。
「ドラコ……!すごい、凄いわ!おめでとう!本当に―――」
しかしフォーラは途中まで言い掛けた言葉を最後まで発することができなかった。何故ならドラコがスニッチを掴んだまま、彼女を勢いよく両腕で抱き締めたからだ。フォーラはあまりにも突然のことに声が出なかった。
パンジーとルニーはその状況を見て「きゃあ!」と驚きの声をあげた。しかしそんな事はドラコの耳に入っていないようで、彼はフォーラの顔が見えるように彼女の両腕を掴んでパッと身体を離した。
「本当に、君のおかげだ!ありがとう、凄くうれしい!ありがとう!」
フォーラは再びドラコにぎゅっときつく抱き締められて身動きが取れなかった。しかしそれは彼女には何の問題もない事だった。
「おめでとう……!」
それから直ぐにドラコはフォーラから離れると、箒にサッと乗り直して彼女に手を軽く振った。そして彼は観客席のそばを飛んでいたチームメンバーと合流し、空中で肩を叩き合いながら歓喜した。彼らはそのまま芝生の上に足をおろすとドラコがキャプテンに肩車され、向こうからやってきたダンブルドアから寮杯を受け取ったのだった。
スリザリン生は観客席から地上へ詰めかけて同寮の選手たちの元へ走り、あっという間にメンバーは囲まれてしまった。パンジーもルニーもその流れに続いた。
フォーラもみんなと同様にフィールドに駆け込もうかと思った。しかし彼女は観客席でふと脚が止まってしまった。その理由は彼女自身もよく分からなかったのだが、ただ一つ確実に言えることは、彼女の脳裏には先程ドラコに抱きしめられた時の記憶が浮かんでいたということだった。
フォーラは観客席からフィールドを眺め、みんなに祝福されて囲まれているドラコを見つけて笑みを零した。そして彼女はようやく階段を下りていったのだった。