16. 竜座を見上げて
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「例えばだが、君の家で数か月前に開かれたクリスマスパーティー。僕はあの日、玄関先で初めて君を見た時、君と対面していたのにいつもみたいには話し掛けなかった。あれは実は……話し掛けなかったんじゃなくて、話し掛けられなかったんだ。君が思っていたより、いや、想像以上に綺麗だったから。……つまり、僕が言いたいのはそういうことだ。分かったか?」
辺りの暗さでフォーラは気付かなかったが、今やドラコの顔は真っ赤になっていた。一方のフォーラは彼の言葉を噛み砕いているところだった。確かに兄妹なら『相手が綺麗だったから話し掛けられない』なんてことはそうそうないだろう。
「え、ええ。きっと分かったと思うわ。」
(あら……?私、どうしたのかしら。ドラコがそんなことを言うから、何となく顔が熱い気がする。だってドラコったら、あの時はパーティーの途中でやっと『似合っている』とは言ってくれたけど、『綺麗』だなんて一言も……。ああもう、どうしてこんなにそわそわするのかしら)
フォーラは今のドラコの言葉に対して照れを感じたのに加え、真に受けている自分に対しても羞恥心を感じた。一方のドラコは先程から何も言わなくなってしまった彼女に戸惑った。
(フォーラ、どうしたんだ?そんなに急に黙られると不安になるじゃないか。彼女は鈍いから、もしかして『分かった』と言いながらやっぱり僕の言ったことの半分も理解していないんじゃ?そうだとしたら、僕だけ随分な辱めを受けたような感じだ。くそ、やっぱり言うんじゃなかった。身体が熱い)
二人の間に少しだけ無言の時間が流れた。しかしそれを先に断ち切ったのはフォーラだった。
「あのねドラコ。貴方の話を聞いたら、私の方も……ドラコのことを身内と似たような存在だと思っていたけれど、少し違ったみたい。」
「え?それはどういう……」
「その、私ね、クリスマスパーティーの日にドラコがうちに来てくれて、私が他のお客様の出迎えのために貴方から離れた後で、メイドのマリアに私の顔が赤いことを指摘されたの。そんな風になっていることに私は自分では気付いていなくって。あの時の私は、ドラコにドレスを褒めてもらえるかしらって本当は少し期待していたの。キングス・クロス駅で貴方と別れる前や、パーティー前にお手紙で『きっと似合う』って励ましてもらっていたから。だけど会場で出会って直ぐの貴方は何も言ってくれなくて―――確かそんな話を会場でも貴方にしたわよね―――だから何だか自分だけ舞い上がっていたみたいで恥ずかしくなってしまったし、不安だったわ。やっぱり似合っていなかったのかしらって。それで赤くなってしまっていたみたい。兄妹間ではあまりそういうことは起こらないでしょうから……ドラコの言っていることは、そういうこと、よね……?」
ドラコはフォーラの話を聞き終えた時、直ぐには言葉が出てこなかった。フォーラは唯々自分を親戚の一人のように思っていて、微塵も異性として意識されていないのだろうと思っていた。けれど本当はそこまで極端なことはなかったようだ。
「あ、ああ。そういうことだ。……なんだ、フォーラも同じだったんだな。」
(まあ、流石に僕らも十四歳になる年だし。いつまでも性別のあやふやな幼い友人同士というわけでもないか)
ドラコはフォーラの心の中にたとえ少しでも異性としての自分がいるということだけで大変嬉しく思い、無意識に笑みを零したのだった。
それから半刻程して二人はその部屋を出た。二人は廊下を歩いている途中ですれ違った天文学のシニストラ先生が、隣を歩く呪文学のフリットウィック先生に「最近とある部屋に魔法をかけて、天気や日照に関わらず一日中星空が見えるようにしたんですよ」と話しているのを聞いた。
「見つからなくて、よかったわ。」
「本当だな」
二人は部屋に入る前とはほんの少しだけ違う印象となった目の前の幼馴染に、互いに安堵の笑みを向け合ったのだった。
辺りの暗さでフォーラは気付かなかったが、今やドラコの顔は真っ赤になっていた。一方のフォーラは彼の言葉を噛み砕いているところだった。確かに兄妹なら『相手が綺麗だったから話し掛けられない』なんてことはそうそうないだろう。
「え、ええ。きっと分かったと思うわ。」
(あら……?私、どうしたのかしら。ドラコがそんなことを言うから、何となく顔が熱い気がする。だってドラコったら、あの時はパーティーの途中でやっと『似合っている』とは言ってくれたけど、『綺麗』だなんて一言も……。ああもう、どうしてこんなにそわそわするのかしら)
フォーラは今のドラコの言葉に対して照れを感じたのに加え、真に受けている自分に対しても羞恥心を感じた。一方のドラコは先程から何も言わなくなってしまった彼女に戸惑った。
(フォーラ、どうしたんだ?そんなに急に黙られると不安になるじゃないか。彼女は鈍いから、もしかして『分かった』と言いながらやっぱり僕の言ったことの半分も理解していないんじゃ?そうだとしたら、僕だけ随分な辱めを受けたような感じだ。くそ、やっぱり言うんじゃなかった。身体が熱い)
二人の間に少しだけ無言の時間が流れた。しかしそれを先に断ち切ったのはフォーラだった。
「あのねドラコ。貴方の話を聞いたら、私の方も……ドラコのことを身内と似たような存在だと思っていたけれど、少し違ったみたい。」
「え?それはどういう……」
「その、私ね、クリスマスパーティーの日にドラコがうちに来てくれて、私が他のお客様の出迎えのために貴方から離れた後で、メイドのマリアに私の顔が赤いことを指摘されたの。そんな風になっていることに私は自分では気付いていなくって。あの時の私は、ドラコにドレスを褒めてもらえるかしらって本当は少し期待していたの。キングス・クロス駅で貴方と別れる前や、パーティー前にお手紙で『きっと似合う』って励ましてもらっていたから。だけど会場で出会って直ぐの貴方は何も言ってくれなくて―――確かそんな話を会場でも貴方にしたわよね―――だから何だか自分だけ舞い上がっていたみたいで恥ずかしくなってしまったし、不安だったわ。やっぱり似合っていなかったのかしらって。それで赤くなってしまっていたみたい。兄妹間ではあまりそういうことは起こらないでしょうから……ドラコの言っていることは、そういうこと、よね……?」
ドラコはフォーラの話を聞き終えた時、直ぐには言葉が出てこなかった。フォーラは唯々自分を親戚の一人のように思っていて、微塵も異性として意識されていないのだろうと思っていた。けれど本当はそこまで極端なことはなかったようだ。
「あ、ああ。そういうことだ。……なんだ、フォーラも同じだったんだな。」
(まあ、流石に僕らも十四歳になる年だし。いつまでも性別のあやふやな幼い友人同士というわけでもないか)
ドラコはフォーラの心の中にたとえ少しでも異性としての自分がいるということだけで大変嬉しく思い、無意識に笑みを零したのだった。
それから半刻程して二人はその部屋を出た。二人は廊下を歩いている途中ですれ違った天文学のシニストラ先生が、隣を歩く呪文学のフリットウィック先生に「最近とある部屋に魔法をかけて、天気や日照に関わらず一日中星空が見えるようにしたんですよ」と話しているのを聞いた。
「見つからなくて、よかったわ。」
「本当だな」
二人は部屋に入る前とはほんの少しだけ違う印象となった目の前の幼馴染に、互いに安堵の笑みを向け合ったのだった。