16. 竜座を見上げて
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
さて、イースター休暇の一日目は満月だった。フォーラがそれに気付いた時、彼女はルーピンがまだ黒猫の自分を待っているのではという罪悪感に襲われた。狼姿の彼の元へ行きたい気持ちがないわけではなかった。しかし彼女は人間の時に彼と約束したこと―――夜に一人で寮の外へ出ないこと―――は破れなかった。もしその約束を破ってしまったら、再びルーピンに迷惑をかけることになりかねない。
何よりフォーラには、先日彼女が見た夢がルーピンの気持ちを代弁しているように思えてならなかった。あの夢の内容は、フォーラが黒猫だとルーピンに知られてしまい、それまでその能力を隠して狼姿の彼に会いにいっていた分、彼が彼女に嘲笑われていたと受け取って傷付くというものだった。そのため彼女はもうこれ以上ルーピンの知らないところで嘘を吐きたくなかった。
フォーラはルーピンの元へ向かえない罪悪感に悩んだが、結果的にはイースター休暇中に出された大量の課題に助けられた。というのも、その量故に彼女や友人たちは強制的に机に向かうことを余儀なくされていたからだ。そのため彼女はいずれにせよ、ルーピンに対して行動を起こすことすらままならなかった。彼女はこのまま自分がルーピンの元へ足を運ばないことで、もう彼が黒猫のことを忘れてくれればいいとすら思った。
(前も思ったけれど……初めからこんなことしなければよかった。嘘を吐いて、その結果こんなにも自分の首を締めているんだもの)
それから数日後、イースター休暇の最終日となった。フォーラとドラコは休暇前の予定どおり、何とか午前中で課題を片付けられたのだった。
「やったわ、終わった。」
フォーラが椅子の背もたれにグッと背中を付けて伸びをすると、その後すぐにドラコが立ち上がった。彼は両手を上で組むとフォーラ同様に身体を伸ばした。
「ああー、僕も終わった」
すると二人のそばでパンジーとルニーが声を荒げた。
「えーっ、ちょっと待って!二人とも狡い!私まだこんなに終わっていないわ!」
「私もよ!いいなあ、いいなあ」
「その様子じゃ、君たちは晩までかかりそうだな?」
その後、一同は休憩を兼ねて大広間に昼食を摂りに向かった。そして食事を終えるとパンジーとルニーは課題の続きに取り組むために、急いで談話室に戻っていってしまった。そのためフォーラとドラコは本来みんなで行くつもりだった校内探索を二人で行うことにしたのだった。
二人は地下から見て回ることにした。地下は相変わらず薄暗く、しかし二人の寮があるため随分馴染み深かった。幾つか見慣れない部屋や廊下を覗いた次は、上の階を順々に見ていった。その中で新しい発見をした階もあれば、そうでない場所もあった。
そうしてそろそろ最上階の方まで来ただろうかという時、二人はこれまで目にした場所や物に関して話に花を咲かせ始めた。
「一番面白かったのは、消えたり現れたりする廊下かしら。でも、とても不便ね……。」
「そうだな。でもあっちの方は生徒が殆ど行く必要がない場所だから、そんなことは知らない人ばかりだろう」
「ええ、きっとそうね。それから、私は二階の絵画のおじさまのお喋りも面白かったと思うわ。」
「そうか?僕はあんまり好きになれなかった。絵画といえば、絵が扉になっていた部屋があっただろう。あれは期待外れだったな」
「何があるのかワクワクしたのに。部屋の中には何もなかったんだものね。」
二人が天文台に近い階層の探索を始めてから少し経った頃、フォーラは廊下の隅に何となく気になる扉を見つけた。今日これまで見てきた部屋は鍵のかかっているところも多く、そういった部屋は魔法で開錠するのを避けてきた。
「ドラコ、この部屋は開いているわ。」
両開きの大きすぎない扉を押し開けてみると、二人の目には今まで見たことのないような光景が飛び込んできたのだった。
「わあ……!すごい……!」
その小さな部屋には一面を埋め尽くす程の星空が輝いていた。地面は芝生で覆われており、まるで夜の戸外に出て星空を眺めているかのようだった。
「本当に本物の夜の草原にいるみたいだ。まだ明るい時間なのに、三百六十度の星を見渡せるなんて。誰がこの部屋を作ったんだろう」
「本当にそうね……。ねえドラコ、折角だしここで少し休憩していかない?私たち、ずっと歩いていたし。」
「ああ、そうだな。もし先生に見つかっても、その時は素直に謝ればいいか」
入って来たドアを完全に閉めてみると、正に田舎の夜の星空そのものだった。フォーラは自分の住む屋敷から見る星空よりも、ホグワーツの天文塔から見る星空よりも、ここには本当に多くの星が瞬いていると思った。
何よりフォーラには、先日彼女が見た夢がルーピンの気持ちを代弁しているように思えてならなかった。あの夢の内容は、フォーラが黒猫だとルーピンに知られてしまい、それまでその能力を隠して狼姿の彼に会いにいっていた分、彼が彼女に嘲笑われていたと受け取って傷付くというものだった。そのため彼女はもうこれ以上ルーピンの知らないところで嘘を吐きたくなかった。
フォーラはルーピンの元へ向かえない罪悪感に悩んだが、結果的にはイースター休暇中に出された大量の課題に助けられた。というのも、その量故に彼女や友人たちは強制的に机に向かうことを余儀なくされていたからだ。そのため彼女はいずれにせよ、ルーピンに対して行動を起こすことすらままならなかった。彼女はこのまま自分がルーピンの元へ足を運ばないことで、もう彼が黒猫のことを忘れてくれればいいとすら思った。
(前も思ったけれど……初めからこんなことしなければよかった。嘘を吐いて、その結果こんなにも自分の首を締めているんだもの)
それから数日後、イースター休暇の最終日となった。フォーラとドラコは休暇前の予定どおり、何とか午前中で課題を片付けられたのだった。
「やったわ、終わった。」
フォーラが椅子の背もたれにグッと背中を付けて伸びをすると、その後すぐにドラコが立ち上がった。彼は両手を上で組むとフォーラ同様に身体を伸ばした。
「ああー、僕も終わった」
すると二人のそばでパンジーとルニーが声を荒げた。
「えーっ、ちょっと待って!二人とも狡い!私まだこんなに終わっていないわ!」
「私もよ!いいなあ、いいなあ」
「その様子じゃ、君たちは晩までかかりそうだな?」
その後、一同は休憩を兼ねて大広間に昼食を摂りに向かった。そして食事を終えるとパンジーとルニーは課題の続きに取り組むために、急いで談話室に戻っていってしまった。そのためフォーラとドラコは本来みんなで行くつもりだった校内探索を二人で行うことにしたのだった。
二人は地下から見て回ることにした。地下は相変わらず薄暗く、しかし二人の寮があるため随分馴染み深かった。幾つか見慣れない部屋や廊下を覗いた次は、上の階を順々に見ていった。その中で新しい発見をした階もあれば、そうでない場所もあった。
そうしてそろそろ最上階の方まで来ただろうかという時、二人はこれまで目にした場所や物に関して話に花を咲かせ始めた。
「一番面白かったのは、消えたり現れたりする廊下かしら。でも、とても不便ね……。」
「そうだな。でもあっちの方は生徒が殆ど行く必要がない場所だから、そんなことは知らない人ばかりだろう」
「ええ、きっとそうね。それから、私は二階の絵画のおじさまのお喋りも面白かったと思うわ。」
「そうか?僕はあんまり好きになれなかった。絵画といえば、絵が扉になっていた部屋があっただろう。あれは期待外れだったな」
「何があるのかワクワクしたのに。部屋の中には何もなかったんだものね。」
二人が天文台に近い階層の探索を始めてから少し経った頃、フォーラは廊下の隅に何となく気になる扉を見つけた。今日これまで見てきた部屋は鍵のかかっているところも多く、そういった部屋は魔法で開錠するのを避けてきた。
「ドラコ、この部屋は開いているわ。」
両開きの大きすぎない扉を押し開けてみると、二人の目には今まで見たことのないような光景が飛び込んできたのだった。
「わあ……!すごい……!」
その小さな部屋には一面を埋め尽くす程の星空が輝いていた。地面は芝生で覆われており、まるで夜の戸外に出て星空を眺めているかのようだった。
「本当に本物の夜の草原にいるみたいだ。まだ明るい時間なのに、三百六十度の星を見渡せるなんて。誰がこの部屋を作ったんだろう」
「本当にそうね……。ねえドラコ、折角だしここで少し休憩していかない?私たち、ずっと歩いていたし。」
「ああ、そうだな。もし先生に見つかっても、その時は素直に謝ればいいか」
入って来たドアを完全に閉めてみると、正に田舎の夜の星空そのものだった。フォーラは自分の住む屋敷から見る星空よりも、ホグワーツの天文塔から見る星空よりも、ここには本当に多くの星が瞬いていると思った。