15. 猫と狼と犬
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それから数日後、ハグリッドがヒッポグリフの件で審議会に出る日が刻々と近付いていた。フォーラは学期が始まってからというもの、授業終わりに暇さえあれば図書室へ向かってヒッポグリフの裁判の事例を調べていた。その中でたまに図書室で切羽詰まった様子のハーマイオニーに出会ったりもした。どうやら彼女は人より多くの授業を受けているらしく、課題が山積みの中、ヒッポグリフの勝訴のための手助けをしているようだった。
(ハーマイオニーは疲れているわ。だから、私が頑張らなくちゃ)
そしてもう季節が三月に入ろうとしていた頃、フォーラはいつもどおり夕方の図書室で例の裁判に役立ちそうな文献を纏めていた。ハーマイオニーも時を同じくして、偶然にも図書室の別の場所で同じような作業を行っていた。そしてハーマイオニーが本を棚に戻そうと席を立ち、一番奥の本棚へ向かった時だった。
「フォーラ、最近はずっと図書室にいるじゃないか。たまには……一緒に談話室で勉強したいって、パーキンソンたちも言っていたぞ」
(マルフォイの声?フォーラが近くにいるのかしら)
「ところで、それは何の本だ?」
「あ、これは、駄目―――」
ハーマイオニーは本棚の隙間から二人の様子を覗いた。彼女の目に入ったのは、ドラコが一冊の本を手に取って眉間に皺を寄せている場面だった。
「フォーラ、これはどういうことだ?何故君が、あのウスノロのデカブツが飼っている野蛮な生き物の手助けをしているんだ。君はあいつに怪我をさせられたんだぞ」
「分かってる……分かっているわ。でも」
「僕は君のためを思って言っているんだ。クリスマス前にもそう伝えた筈だ……何回言えば分かってくれるんだ」
「でも、でもね、あれは……、後ろで見ていたドラコには分からなかったかもしれないけれど、私が悪いの。だから―――」
「ヒッポグリフが君に攻撃したのが君のせいだって?そんな筈ないさ!僕は目の前で君が奴に何も悪さをしていないのをはっきりと見ていた!それにこの間だって、君は熱があったのに教室まで走ってきたりしてあんなことになって、前から君の身体が強くないのは分かっていただろう?いつだって君は僕がどれだけ心配したってしきれないくらいなのに、それを受け入れようとしない!」
フォーラは一瞬言い返そうか迷った―――しかしそれを口に出すことはできなかった。ヒッポグリフの件はアニメーガスであることを黙っている自分が悪いのだし、先日の体調を崩した件だってドラコを含むみんなに迷惑をかけた。それもこれも全て自分の行動が招いた結果なのだ。
それに何より、フォーラは目の前のドラコのつらそうな表情を見ていたら、これ以上彼にそんな顔をさせたくないという気持ちが本当に強まった。そのため彼女は素直に謝罪を伝えた。
「……そうよね……。私少し、ううん、随分自分勝手だったわ。……ごめんなさい。」
(こんなにドラコが心配してくれていたのに、私、彼の気持ちを何も考えられていなかった)
ハーマイオニーは今しがたの会話を聞いて、フォーラがドラコに隠れてヒッポグリフを助けようとしていたことを知ったのだった。
(フォーラったら、そんなこと手紙では一言も)
その日、フォーラは自分が調べた内容と謝罪の文書をハーマイオニーにふくろう便で送った。手紙には、少ない調査内容ではあるが役に立ちそうなものを使ってほしいということや、裁判の件をこれ以上手助けできなくなってしまったこと、そして、情報収集を手伝うと申し出たのに中断することになって本当に申し訳ないということを書き記した。
ハーマイオニーからの返事には『気にしなくていいわ。手伝ってもらえてとっても助かったもの』と書かれていた。フォーラはそれを読んで胸の痛みを抱えつつも、何とか心を落ち着けようとしたのだった。
それから幾日か経ち、次の満月の日がやってきた。しかしフォーラはこの日ルーピンの元へ向かわなかった。
(先生には、もう夜中に外に出るなと言われてしまったわ。だから……)
とはいえ就寝時間を迎えるまでにルーピンの元を訪れて去ればいい話なのだが、そうする気にもなれないのが本音だった。フォーラは彼のベッドで見た悪夢が未だに頭から離れなかった。
(先生は、私が毎月部屋に来るのを楽しみにしてくださっていたのに)
こんなことになるなら、初めから猫の姿で彼の前に現れなければよかった。そして何より、フォーラは実際に行動に移すまでは想像もしなかったような、行き場のない罪悪感や悩みを日に日に抱えていた。彼女にはそれらが本当にもどかしかったし、今までにないくらい自分を責めたりもした。
(私、先生のために頑張っていた筈だったのに。結局本当の私を見てほしいと思うようになってしまうなんて。それに黒猫の姿をした人間が会いにいっていたこと自体、たとえ先生が真実を知らなくても気味の悪いことでしかなかったんだわ。……私にとっては純粋に先生を励まそうとしての行為だった筈だけれど、先生からすれば誰にも見られたくない姿を人に見られてしまったことに変わりない……。私は先生のプライバシーを侵害していただけの最低な人間だったんだわ。私には先生に近付く権利なんてない。今まで本当に最低なことをしていたんだもの……)
(ハーマイオニーは疲れているわ。だから、私が頑張らなくちゃ)
そしてもう季節が三月に入ろうとしていた頃、フォーラはいつもどおり夕方の図書室で例の裁判に役立ちそうな文献を纏めていた。ハーマイオニーも時を同じくして、偶然にも図書室の別の場所で同じような作業を行っていた。そしてハーマイオニーが本を棚に戻そうと席を立ち、一番奥の本棚へ向かった時だった。
「フォーラ、最近はずっと図書室にいるじゃないか。たまには……一緒に談話室で勉強したいって、パーキンソンたちも言っていたぞ」
(マルフォイの声?フォーラが近くにいるのかしら)
「ところで、それは何の本だ?」
「あ、これは、駄目―――」
ハーマイオニーは本棚の隙間から二人の様子を覗いた。彼女の目に入ったのは、ドラコが一冊の本を手に取って眉間に皺を寄せている場面だった。
「フォーラ、これはどういうことだ?何故君が、あのウスノロのデカブツが飼っている野蛮な生き物の手助けをしているんだ。君はあいつに怪我をさせられたんだぞ」
「分かってる……分かっているわ。でも」
「僕は君のためを思って言っているんだ。クリスマス前にもそう伝えた筈だ……何回言えば分かってくれるんだ」
「でも、でもね、あれは……、後ろで見ていたドラコには分からなかったかもしれないけれど、私が悪いの。だから―――」
「ヒッポグリフが君に攻撃したのが君のせいだって?そんな筈ないさ!僕は目の前で君が奴に何も悪さをしていないのをはっきりと見ていた!それにこの間だって、君は熱があったのに教室まで走ってきたりしてあんなことになって、前から君の身体が強くないのは分かっていただろう?いつだって君は僕がどれだけ心配したってしきれないくらいなのに、それを受け入れようとしない!」
フォーラは一瞬言い返そうか迷った―――しかしそれを口に出すことはできなかった。ヒッポグリフの件はアニメーガスであることを黙っている自分が悪いのだし、先日の体調を崩した件だってドラコを含むみんなに迷惑をかけた。それもこれも全て自分の行動が招いた結果なのだ。
それに何より、フォーラは目の前のドラコのつらそうな表情を見ていたら、これ以上彼にそんな顔をさせたくないという気持ちが本当に強まった。そのため彼女は素直に謝罪を伝えた。
「……そうよね……。私少し、ううん、随分自分勝手だったわ。……ごめんなさい。」
(こんなにドラコが心配してくれていたのに、私、彼の気持ちを何も考えられていなかった)
ハーマイオニーは今しがたの会話を聞いて、フォーラがドラコに隠れてヒッポグリフを助けようとしていたことを知ったのだった。
(フォーラったら、そんなこと手紙では一言も)
その日、フォーラは自分が調べた内容と謝罪の文書をハーマイオニーにふくろう便で送った。手紙には、少ない調査内容ではあるが役に立ちそうなものを使ってほしいということや、裁判の件をこれ以上手助けできなくなってしまったこと、そして、情報収集を手伝うと申し出たのに中断することになって本当に申し訳ないということを書き記した。
ハーマイオニーからの返事には『気にしなくていいわ。手伝ってもらえてとっても助かったもの』と書かれていた。フォーラはそれを読んで胸の痛みを抱えつつも、何とか心を落ち着けようとしたのだった。
それから幾日か経ち、次の満月の日がやってきた。しかしフォーラはこの日ルーピンの元へ向かわなかった。
(先生には、もう夜中に外に出るなと言われてしまったわ。だから……)
とはいえ就寝時間を迎えるまでにルーピンの元を訪れて去ればいい話なのだが、そうする気にもなれないのが本音だった。フォーラは彼のベッドで見た悪夢が未だに頭から離れなかった。
(先生は、私が毎月部屋に来るのを楽しみにしてくださっていたのに)
こんなことになるなら、初めから猫の姿で彼の前に現れなければよかった。そして何より、フォーラは実際に行動に移すまでは想像もしなかったような、行き場のない罪悪感や悩みを日に日に抱えていた。彼女にはそれらが本当にもどかしかったし、今までにないくらい自分を責めたりもした。
(私、先生のために頑張っていた筈だったのに。結局本当の私を見てほしいと思うようになってしまうなんて。それに黒猫の姿をした人間が会いにいっていたこと自体、たとえ先生が真実を知らなくても気味の悪いことでしかなかったんだわ。……私にとっては純粋に先生を励まそうとしての行為だった筈だけれど、先生からすれば誰にも見られたくない姿を人に見られてしまったことに変わりない……。私は先生のプライバシーを侵害していただけの最低な人間だったんだわ。私には先生に近付く権利なんてない。今まで本当に最低なことをしていたんだもの……)