14. 憧れのあなた①
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その日の夜、フォーラは何故か今までより元気になったパンジーを不思議に思った。
「ちょっとだけつっかえ事が取れたのよ!」パンジーは笑顔でそのように返すだけだった。
さて、その後のフォーラはパンジーとルニーを交えて女子寮でお喋りをひとしきり楽しんだ。そして暫く後には他の女子生徒たちも続々と中に入ってきたこともあり、各自それぞれが天蓋付きベッドのカーテンを閉めて就寝した。
しかしフォーラだけはベッドの上で起きていて、杖明かりを頼りにこっそり手紙を書いていた。それはハーマイオニーに宛てたものだった。ハグリッドの飼っているヒッポグリフを裁判に勝たせるために、何か手伝えることはないかと尋ねる内容を綴ったのだ。フォーラはクリスマス前、ハグリッドにヒッポグリフのことで手助けしたいと申し出ていた。
それからというもの、フォーラが単独で図書室へ行く回数が少々増えたものだから、彼女はドラコに不満がられる可能性を予想していた。しかしこの時期はクィディッチのレイブンクロー戦が迫っており、ドラコは学期初めから練習ばかりでフォーラのことをあまり気にする余裕がなかった。それに加えて、つい最近ハリーが誰かからの贈り物として『ファイアボルト』という素晴らしい最新型箒を手に入れたことも、ドラコの気が逸れた要因の一つだった。
この一連の出来事は、ドラコに隠れて調べものをしたいフォーラにとって都合がよかった。
(ドラコが訴えた内容を無罪にする手伝いをしているんだもの。そんなことが彼に知られたら、きっと怒るに決まっているから……)
さて、それから一週間後には満月の日がやってきた。ルーピンの体調はその日に近付くにつれて案の定どんどん悪くなっていった。そして就寝時間後の満月の夜、フォーラはまた例のごとく黒猫に変身して寮を抜け出したのだった。
〈やあよく来たね。君はクリスマス休暇の間に、ご主人と家に帰っていたのかな〉狼姿のルーピンが目の前の黒猫に話した。二匹は前回と同じくルーピンの部屋にいた。
〈ええ、ここに来ることができなくてごめんなさい。クリスマスはどうしていたの?〉
〈クリスマスは丁度この姿だった。その前後は少し苦しんだよ。それから君がいなくてちょっと寂しかったな。今日は来てくれるんじゃないかって期待していたんだ〉
フォーラの頭の中で彼の言葉が繰り返された。
(ちょっと寂しかった、だなんて。先生、私に会うのを楽しみにしてくれていたんだわ。とっても嬉しい。……でも……)
〈でも、私は貴方と同じ『ヒト』ではないし、そんなに楽しみにするようなものでもないんじゃ?〉
するとルーピンはピクリと耳を動かし、少々考えるようにしてから静かに話した。
〈いいや、そんなことはないよ。この姿の時に誰か動物がいてくれるだけで、本当に気持ちが落ち着くんだ。前に少しだけ零したけれど、君が来てくれると昔を思い出すんだ〉
〈昔……?〉
〈ああそうだよ。私が学生の頃だ。私の周りにはアニメーガス、ええとつまり、動物になれる魔法使いの友達が数人いたんだ。私が満月の日に狼の姿になった時は、彼らはいつも動物に変身してそばにいてくれた〉
フォーラは思わずどきりとした。ルーピンの口からアニメーガスという単語が出たからだ。ルーピンはそんなフォーラの様子には気付かないまま話し続けた。
〈だけど、今じゃ誰も彼も離れ離れで、もう会うこともない人ばかりだ。だから君が本当の猫でも、こうして一緒にいてくれることが私には嬉しいんだよ〉
狼姿であるためルーピンの表情は十分には読み取れなかったが、彼は嬉しいと言いながらも尻尾と耳が確実に項垂れていた。一体彼はどれ程までに長い間を寂しい想いで過ごしてきたのだろうか……。
その日の真夜中、フォーラは自分の寮に戻ってベッドに潜り混むと、これまでの一連の出来事について考えを巡らせた。以前までの彼女はルーピンに猫の自分が必要とされていることを幸せだと感じていた。しかし今日は少し違った。ルーピンが必要としているのは人間の自分ではなく黒猫だ。今回それを改めて理解するとともに、彼女は心に小さな穴が開いたような感覚に陥っていた。
(私が先生の部屋へ行っているのは、自分が得するためではない筈でしょう?先生の寂しさを紛らわせるためだわ。それに私はその当初の目的どおり、先生の孤独をきっと少しは和らげられていると思う。それで十分な筈なのに。そもそも先生に黒猫が私だと知られてしまったら、きっと嫌われてしまうに決まっているのに。それなのに今になって何だか猫の私しか見てもらえていないことに凄く……。いいえ、それ以上は考えてはいけないわ)
さてそれから数日後、スリザリン対レイブンクローのクィディッチ戦が行われる日がやってきた。ドラコは勿論のこと、他のチームメンバーも応援団すらも落ち着かなかった。みんなソワソワして期待感に満ちていた。
フォーラはドラコ友人らと共に朝食を摂っていたが、どうにもドラコの様子が気になった。彼女はできるだけ彼に落ち着きを取り戻してほしくてそっと声を掛けた。
「ドラコ、そんなに焦らなくてもきっと大丈夫だから、ね。」
フォーラは試合の開始時刻が近付いているせいでドラコが緊張しているのだろうと思っていた。しかし彼がそうなっている理由はそれだけではなかった。
(違う……僕は絶対大丈夫だ。絶対勝つ。勝って、フォーラに僕のことを見てもらうんだ。あんな薄汚れた格好の教師じゃなくて、僕を)
その時、チームキャプテンから「メンバーはグランドに向かうように」と声が掛かった。ドラコは立ち上がったのだが直ぐにはその場を離れなかった。どうしてもフォーラに伝えておきたいことがあったのだ。
「ちょっとだけつっかえ事が取れたのよ!」パンジーは笑顔でそのように返すだけだった。
さて、その後のフォーラはパンジーとルニーを交えて女子寮でお喋りをひとしきり楽しんだ。そして暫く後には他の女子生徒たちも続々と中に入ってきたこともあり、各自それぞれが天蓋付きベッドのカーテンを閉めて就寝した。
しかしフォーラだけはベッドの上で起きていて、杖明かりを頼りにこっそり手紙を書いていた。それはハーマイオニーに宛てたものだった。ハグリッドの飼っているヒッポグリフを裁判に勝たせるために、何か手伝えることはないかと尋ねる内容を綴ったのだ。フォーラはクリスマス前、ハグリッドにヒッポグリフのことで手助けしたいと申し出ていた。
それからというもの、フォーラが単独で図書室へ行く回数が少々増えたものだから、彼女はドラコに不満がられる可能性を予想していた。しかしこの時期はクィディッチのレイブンクロー戦が迫っており、ドラコは学期初めから練習ばかりでフォーラのことをあまり気にする余裕がなかった。それに加えて、つい最近ハリーが誰かからの贈り物として『ファイアボルト』という素晴らしい最新型箒を手に入れたことも、ドラコの気が逸れた要因の一つだった。
この一連の出来事は、ドラコに隠れて調べものをしたいフォーラにとって都合がよかった。
(ドラコが訴えた内容を無罪にする手伝いをしているんだもの。そんなことが彼に知られたら、きっと怒るに決まっているから……)
さて、それから一週間後には満月の日がやってきた。ルーピンの体調はその日に近付くにつれて案の定どんどん悪くなっていった。そして就寝時間後の満月の夜、フォーラはまた例のごとく黒猫に変身して寮を抜け出したのだった。
〈やあよく来たね。君はクリスマス休暇の間に、ご主人と家に帰っていたのかな〉狼姿のルーピンが目の前の黒猫に話した。二匹は前回と同じくルーピンの部屋にいた。
〈ええ、ここに来ることができなくてごめんなさい。クリスマスはどうしていたの?〉
〈クリスマスは丁度この姿だった。その前後は少し苦しんだよ。それから君がいなくてちょっと寂しかったな。今日は来てくれるんじゃないかって期待していたんだ〉
フォーラの頭の中で彼の言葉が繰り返された。
(ちょっと寂しかった、だなんて。先生、私に会うのを楽しみにしてくれていたんだわ。とっても嬉しい。……でも……)
〈でも、私は貴方と同じ『ヒト』ではないし、そんなに楽しみにするようなものでもないんじゃ?〉
するとルーピンはピクリと耳を動かし、少々考えるようにしてから静かに話した。
〈いいや、そんなことはないよ。この姿の時に誰か動物がいてくれるだけで、本当に気持ちが落ち着くんだ。前に少しだけ零したけれど、君が来てくれると昔を思い出すんだ〉
〈昔……?〉
〈ああそうだよ。私が学生の頃だ。私の周りにはアニメーガス、ええとつまり、動物になれる魔法使いの友達が数人いたんだ。私が満月の日に狼の姿になった時は、彼らはいつも動物に変身してそばにいてくれた〉
フォーラは思わずどきりとした。ルーピンの口からアニメーガスという単語が出たからだ。ルーピンはそんなフォーラの様子には気付かないまま話し続けた。
〈だけど、今じゃ誰も彼も離れ離れで、もう会うこともない人ばかりだ。だから君が本当の猫でも、こうして一緒にいてくれることが私には嬉しいんだよ〉
狼姿であるためルーピンの表情は十分には読み取れなかったが、彼は嬉しいと言いながらも尻尾と耳が確実に項垂れていた。一体彼はどれ程までに長い間を寂しい想いで過ごしてきたのだろうか……。
その日の真夜中、フォーラは自分の寮に戻ってベッドに潜り混むと、これまでの一連の出来事について考えを巡らせた。以前までの彼女はルーピンに猫の自分が必要とされていることを幸せだと感じていた。しかし今日は少し違った。ルーピンが必要としているのは人間の自分ではなく黒猫だ。今回それを改めて理解するとともに、彼女は心に小さな穴が開いたような感覚に陥っていた。
(私が先生の部屋へ行っているのは、自分が得するためではない筈でしょう?先生の寂しさを紛らわせるためだわ。それに私はその当初の目的どおり、先生の孤独をきっと少しは和らげられていると思う。それで十分な筈なのに。そもそも先生に黒猫が私だと知られてしまったら、きっと嫌われてしまうに決まっているのに。それなのに今になって何だか猫の私しか見てもらえていないことに凄く……。いいえ、それ以上は考えてはいけないわ)
さてそれから数日後、スリザリン対レイブンクローのクィディッチ戦が行われる日がやってきた。ドラコは勿論のこと、他のチームメンバーも応援団すらも落ち着かなかった。みんなソワソワして期待感に満ちていた。
フォーラはドラコ友人らと共に朝食を摂っていたが、どうにもドラコの様子が気になった。彼女はできるだけ彼に落ち着きを取り戻してほしくてそっと声を掛けた。
「ドラコ、そんなに焦らなくてもきっと大丈夫だから、ね。」
フォーラは試合の開始時刻が近付いているせいでドラコが緊張しているのだろうと思っていた。しかし彼がそうなっている理由はそれだけではなかった。
(違う……僕は絶対大丈夫だ。絶対勝つ。勝って、フォーラに僕のことを見てもらうんだ。あんな薄汚れた格好の教師じゃなくて、僕を)
その時、チームキャプテンから「メンバーはグランドに向かうように」と声が掛かった。ドラコは立ち上がったのだが直ぐにはその場を離れなかった。どうしてもフォーラに伝えておきたいことがあったのだ。