14. 憧れのあなた①
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「えっ、あっ……。その、ええと、私……!そろそろ昼食に向かいます!プレゼント、ありがとうございました。それじゃ……!」
フォーラは殆どルーピンの顔を見ることができなかった。彼女は急いで自分の鞄をひっ掴むと、駆け足で一目散に教室を出た。そして廊下をひた走りながら、先程のルーピンの言葉を思い返していた。
『おや、それは嬉しいな。私は君に随分好かれているみたいだ』
(確かにそうだけど、でも……!図星すぎて先生の顔を見ることができなかった。思い出すだけでまた顔が熱くなってしまうわ!それに、こんな風に逃げ出してしまって、幾らあの場にいることが耐えられなかったからって、先生に対してなんて失礼なことをしてしまったの!)
その頃ルーピンは、フォーラが急いで出ていった扉のあたりを見つめていた。
(フォーラのさっきの表情。急にあんな風になるなんて、大丈夫かな)
それにしたって自分も大丈夫だろうか?ルーピンが自身にそのように問い掛けた時、彼の脳裏には先程フォーラが見せた表情が自然と浮かんでいた。
『あ……ありがとうございます!私もすっごく嬉しい!』
フォーラの満面の笑みがつい珍しくて、あの時のルーピンは驚きのあまり続きの言葉を発するのが一歩遅れていた。
(私と対面する時の彼女は、いつもどういうわけか緊張しているようだった。今回のような溌溂とした目一杯の笑顔はなかなか見ることができなかったから、少し意外だったな。―――それにしても、私が『自惚れだね』と言った後の彼女の様子……あれは……いや、それこそ本当に自惚れだ。仮にそうでなかったとしても、彼女の気持ちを少しでも嬉しいと思ってしまうなんてどうかしている。私からすれば彼女は子供だし、逆に彼女からすれば私は三十歳をとっくに過ぎたおじさんなんだ。だからそんなこと、あるわけない)
さて、その頃のドラコは大広間で昼食を摂りながら、フォーラがやってくるのを今か今かと待っていた。彼はフォーラがルーピンに教室で呼び止められていたことに対して気が気でなかったのだ。
「ドラコ、眉間に皺が寄ってるわ」ルニーにそう言われ、ドラコはため息を吐いた後で自身の額を手のひらで揉んだ。
(そうだった。フォーラにはあまり心配してほしくないと言われていたんだった)
パンジーは落ち着かない様子のドラコをチラと見た後で、少しばかり俯いた。
(ドラコがフォーラへの気持ちを自覚した時、私はルニーに『ドラコから身を引こうと考えてる』って強がりで言ったけど……。正直言って、今だってフォーラが少し羨ましい。嫉妬だってしているわよ。だけど私、フォーラのことも好きなんだもの……。ドラコが彼女のために頑張るのを邪魔することも、彼女がドラコといつもどおり仲良く過ごすのを遠慮させることも、どっちもできないし、したくない)
この数年のパンジーは普段からフォーラに対し、ドラコのことに関して『羨ましい!』という台詞を素直に口に出してきた。しかし今学年にドラコがフォーラのことを好きだと判明してからは、そういったことは一度だってフォーラに言わないようにしていた。それはパンジーの意中の相手がドラコであることを、フォーラの意識から取り除こうとした結果だった。今後ドラコが頑張って、もしいつかフォーラがドラコを恋愛対象として好きになることがあったとしたら、フォーラはきっとパンジーの目を気にして素直な気持ちをドラコに伝えられなくなってしまうだろう。パンジーはそのように考えていた。
(私って本当に健気だわ。勿論、ドラコのことはまだきっと好き。だけど、こんな風に誰かを想って苦しんでいるドラコは、私の好きなドラコじゃないんだわ。……正直言って、自分でも驚くくらい初めの頃より彼への気持ちが離れていることも自覚してるんだもの。それに何より、そんな風な貴方を見て、余計に苦しくなっている自分が嫌よ)
最近のドラコは以前よりつらそうな顔をすることが多くなっていた。いつもその原因はフォーラだったが、だからといってパンジーには彼女を責めるつもりなどなかった。
(だって、フォーラはドラコから恋愛的な意味で好かれているって知らないんだから。本当は私がドラコを元気にできたらよかったんだけど、きっとそれは無理なんでしょうね)
「パーキンソン、どうかしたのか?」ドラコはパンジーが上の空になっていることに気付いてそのように尋ねた。すると彼女は軽くハッとして直ぐに彼の方を見た。
「あ、ううんなんでも。ねえドラコ、これも美味しいわよ。ほら!」
「?ああ」
するとパンジーは料理の皿をドラコに渡しながら、彼に小声で言葉を伝えた。
「そんな顔してちゃ、いつまで経ってもフォーラのことを落とせないわよ」
これにはドラコも驚いた。正直なところ、彼はパンジーに好意を持たれている自覚があったからだ。そしてそばに座っていたルニーもパンジーの発言に少しばかり意外だという反応を見せた。ルニーは前からパンジーがドラコを諦めようとしているのを認識していたが、きっと心の整理はまだだろうと思っていた。それだけに、パンジーがこうして自らはっきりとドラコを応援したことは、彼女の中で幾らかドラコと線を引くことができた証拠なのだろうと思えた。
「パーキンソン」
「何?どうかした?」
「あ、いや……その。ありがとう」ドラコが幾らか気恥ずかしそうに素直な言葉を発したものだから、パンジーは思わず小さなため息を吐いて笑みを見せた。
(ああもうこの人は……そういうところ、本当に嫌になっちゃう!)
フォーラは殆どルーピンの顔を見ることができなかった。彼女は急いで自分の鞄をひっ掴むと、駆け足で一目散に教室を出た。そして廊下をひた走りながら、先程のルーピンの言葉を思い返していた。
『おや、それは嬉しいな。私は君に随分好かれているみたいだ』
(確かにそうだけど、でも……!図星すぎて先生の顔を見ることができなかった。思い出すだけでまた顔が熱くなってしまうわ!それに、こんな風に逃げ出してしまって、幾らあの場にいることが耐えられなかったからって、先生に対してなんて失礼なことをしてしまったの!)
その頃ルーピンは、フォーラが急いで出ていった扉のあたりを見つめていた。
(フォーラのさっきの表情。急にあんな風になるなんて、大丈夫かな)
それにしたって自分も大丈夫だろうか?ルーピンが自身にそのように問い掛けた時、彼の脳裏には先程フォーラが見せた表情が自然と浮かんでいた。
『あ……ありがとうございます!私もすっごく嬉しい!』
フォーラの満面の笑みがつい珍しくて、あの時のルーピンは驚きのあまり続きの言葉を発するのが一歩遅れていた。
(私と対面する時の彼女は、いつもどういうわけか緊張しているようだった。今回のような溌溂とした目一杯の笑顔はなかなか見ることができなかったから、少し意外だったな。―――それにしても、私が『自惚れだね』と言った後の彼女の様子……あれは……いや、それこそ本当に自惚れだ。仮にそうでなかったとしても、彼女の気持ちを少しでも嬉しいと思ってしまうなんてどうかしている。私からすれば彼女は子供だし、逆に彼女からすれば私は三十歳をとっくに過ぎたおじさんなんだ。だからそんなこと、あるわけない)
さて、その頃のドラコは大広間で昼食を摂りながら、フォーラがやってくるのを今か今かと待っていた。彼はフォーラがルーピンに教室で呼び止められていたことに対して気が気でなかったのだ。
「ドラコ、眉間に皺が寄ってるわ」ルニーにそう言われ、ドラコはため息を吐いた後で自身の額を手のひらで揉んだ。
(そうだった。フォーラにはあまり心配してほしくないと言われていたんだった)
パンジーは落ち着かない様子のドラコをチラと見た後で、少しばかり俯いた。
(ドラコがフォーラへの気持ちを自覚した時、私はルニーに『ドラコから身を引こうと考えてる』って強がりで言ったけど……。正直言って、今だってフォーラが少し羨ましい。嫉妬だってしているわよ。だけど私、フォーラのことも好きなんだもの……。ドラコが彼女のために頑張るのを邪魔することも、彼女がドラコといつもどおり仲良く過ごすのを遠慮させることも、どっちもできないし、したくない)
この数年のパンジーは普段からフォーラに対し、ドラコのことに関して『羨ましい!』という台詞を素直に口に出してきた。しかし今学年にドラコがフォーラのことを好きだと判明してからは、そういったことは一度だってフォーラに言わないようにしていた。それはパンジーの意中の相手がドラコであることを、フォーラの意識から取り除こうとした結果だった。今後ドラコが頑張って、もしいつかフォーラがドラコを恋愛対象として好きになることがあったとしたら、フォーラはきっとパンジーの目を気にして素直な気持ちをドラコに伝えられなくなってしまうだろう。パンジーはそのように考えていた。
(私って本当に健気だわ。勿論、ドラコのことはまだきっと好き。だけど、こんな風に誰かを想って苦しんでいるドラコは、私の好きなドラコじゃないんだわ。……正直言って、自分でも驚くくらい初めの頃より彼への気持ちが離れていることも自覚してるんだもの。それに何より、そんな風な貴方を見て、余計に苦しくなっている自分が嫌よ)
最近のドラコは以前よりつらそうな顔をすることが多くなっていた。いつもその原因はフォーラだったが、だからといってパンジーには彼女を責めるつもりなどなかった。
(だって、フォーラはドラコから恋愛的な意味で好かれているって知らないんだから。本当は私がドラコを元気にできたらよかったんだけど、きっとそれは無理なんでしょうね)
「パーキンソン、どうかしたのか?」ドラコはパンジーが上の空になっていることに気付いてそのように尋ねた。すると彼女は軽くハッとして直ぐに彼の方を見た。
「あ、ううんなんでも。ねえドラコ、これも美味しいわよ。ほら!」
「?ああ」
するとパンジーは料理の皿をドラコに渡しながら、彼に小声で言葉を伝えた。
「そんな顔してちゃ、いつまで経ってもフォーラのことを落とせないわよ」
これにはドラコも驚いた。正直なところ、彼はパンジーに好意を持たれている自覚があったからだ。そしてそばに座っていたルニーもパンジーの発言に少しばかり意外だという反応を見せた。ルニーは前からパンジーがドラコを諦めようとしているのを認識していたが、きっと心の整理はまだだろうと思っていた。それだけに、パンジーがこうして自らはっきりとドラコを応援したことは、彼女の中で幾らかドラコと線を引くことができた証拠なのだろうと思えた。
「パーキンソン」
「何?どうかした?」
「あ、いや……その。ありがとう」ドラコが幾らか気恥ずかしそうに素直な言葉を発したものだから、パンジーは思わず小さなため息を吐いて笑みを見せた。
(ああもうこの人は……そういうところ、本当に嫌になっちゃう!)