13. 彼女の一番じゃない
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「君の服も髪も、凄く似合っているじゃないか。思っていたよりうんと良かったから驚いたよ」
ドラコは先程の自分が狼狽えたことを消し去るように余裕ぶって感想を伝えた。彼は『よし、これでいつものドラコ・マルフォイだ』と、そう思った。
「え……あ、ありがとう!」
するとフォーラが大変嬉しそうに照れて笑ったものだから、ドラコはその表情に惹きつけられた。それによっていつものドラコ・マルフォイはあっという間に何処かへ消えてしまった。
「な、なんだ。随分大袈裟に喜ぶんだな」
「だって……ドラコは駅でも手紙でも私のことを励ましてくれていたのに、実際にここで会ったら中々何も言ってくれないんだもの。欲しがりな自覚はあるけれど、やっぱり似合っているか不安だった分、こうして褒められたのが嬉しくて安心したの。」
ドラコは余裕な姿を見せる筈だったのに、自分の言葉で顔を綻ばせるフォーラによって、すっかり彼女の目を見ることすらままならなくなっていることに気付いた。
「あっ、私だけが褒めてもらうのは違うわよね。ドラコもすっかり一昨年よりも背が伸びて、ドレスローブが前よりもっと似合っているわ。とっても格好良いと思う。」
「ああ。ありがとう」
(ああもう調子が狂う。彼女はこんなにも可愛かったか?いや、僕が長い間彼女の隣にいすぎて感覚が麻痺していただけで、確かに元から可愛かった。好きになる前から彼女はこんな人だった)
「ところで、ドラコは誰かと踊らないの?」
「僕が踊るとしたら、相手はきっと君しかいないだろうけど」
ドラコは辺りを軽く見渡し、いつもどおり自分と歳の近そうな女性が殆ど見当たらないことを確認した。
「そうよね、父様や母様のお客様が多いから。ごめんなさい。」
「何も謝る必要なんてないさ。僕は君がいればそれで十分だ。相手が多くても疲れるだけだろう?」
「それならよかったわ。……あっそういえば、ハッフルパフでシーカーをしているセドリック・ディゴリーさんが、今この広間に来ているの。ドラコはもうお顔を合わせたかしら。」
「いや、直接は会ってない。だけど君と彼が踊っているところは見かけた」
「そうだったのね。彼にご挨拶してくる?あちらの方に向かっていかれたけど。」フォーラの問いにドラコは首を横に振った。
「いいんだ、わざわざ行かなくても出会った時に挨拶するさ。それより……フォーラは僕とは踊ってくれないのか?」ドラコが片手を差し出しながら意を決して尋ねた。
目の前のドラコからの誘い文句に、フォーラは自身の胸の奥の方が何だかくすぐられるような気分になった。
「も、勿論踊るわ!」
ドラコはその返答に笑みを零したのだが、不意にフォーラの顔色に気付いて言及した。
「フォーラ?頬が赤いぞ。大丈夫か?」
フォーラは少し前にアリアからも同じことを言われたのを思い出した。
「えっ本当?うーん……多分やっぱり私、少しだけこの格好でいるのが気恥ずかしいのかも。セドリックの時は何ともなかった筈なのだけど。きっとドラコとはいつも一緒にいるから、普段と違う姿を見られるのがソワソワするのね。」
ドラコはフォーラの意見に同意できると思った。実際、彼もドレスローブで彼女の前に立っているのは少しばかりこそばゆかった。
「そんなことを言われたら、僕だって君と同じようなものだ。まあ今日は誰も彼もそんな格好なんだから、そういうことは言いっこなしだ。それで?踊るんだったら、さっさと僕のこの宙に浮いた無様な手の上に君の手を載せてくれ。次の曲が始まってしまう」
「え、ええ。」
そうしてダンススペースに繰り出した二人の耳に入ってきたのは、聞き覚えのある曲だった。二人はその音やリズムに合わせて揃ってステップを踏み出した。
「ねえドラコ、この曲って……。」
「ああ、一昨年もこのワルツで踊った」
「二階のバルコニーでね。」
「そうだったな、少し懐かしい」
そんな短い会話を紡ぎながら、二人は若年ながらも随分と優雅なステップを踏んで舞った。その度にフォーラのハーフアップの髪が揺れた。彼女のブローチが動きに合わせて照明に反射し、キラキラと煌めくのも視界に入ってきた。それに彼女の瞳が伏せ目気味になった時には睫毛 の長さがよく分かった。触れている彼女の手はさらりとしていて心地よい。ドラコは自分でも気付かないうちに、腕の中にいる彼女にすっかり見とれていた。彼女の腰に当てたドラコの手はいつもより熱を帯びていた。
(凄く近い。それに、ものすごく心臓がうるさい)
その時、ふとフォーラが顔をこちらに上げた。するとドラコは彼女とばっちり目が合ってしまったのをきっかけに、すぐさま意識を連れ戻した。
(僕としたことが、フォーラに見とれていた。ばれてないか?)
ドラコはフォーラに何も言えず、しかも目も背けられずにいた。すると彼女がドラコの様子を特に不審がることもなく微笑んできたものだから、彼は無意識のうちに余計な考えを一切何処かに追いやってしまった。そして彼も自然とホッとした気持ちで笑みを返したのだった。
その頃のセドリックは、彼の父親に連れられてフォーラの両親に挨拶をしているところだった。その間にちらりとフォーラのことを目で探せば、ダンススペースで彼女と誰かが一緒に踊っている姿が目に入った。
(あれはスリザリンのシーカーじゃないか。彼も来ていたのか)
セドリックのいる位置からドラコの表情が一瞬垣間見えた。セドリックはドラコが年下のシーカーであること以外あまり認知していなかったが、今のドラコを見ただけで分かることが一つあった。
(ああ、彼はきっと彼女のことを大切に思っているんだろうね。彼の表情がそう言ってる)
ドラコは先程の自分が狼狽えたことを消し去るように余裕ぶって感想を伝えた。彼は『よし、これでいつものドラコ・マルフォイだ』と、そう思った。
「え……あ、ありがとう!」
するとフォーラが大変嬉しそうに照れて笑ったものだから、ドラコはその表情に惹きつけられた。それによっていつものドラコ・マルフォイはあっという間に何処かへ消えてしまった。
「な、なんだ。随分大袈裟に喜ぶんだな」
「だって……ドラコは駅でも手紙でも私のことを励ましてくれていたのに、実際にここで会ったら中々何も言ってくれないんだもの。欲しがりな自覚はあるけれど、やっぱり似合っているか不安だった分、こうして褒められたのが嬉しくて安心したの。」
ドラコは余裕な姿を見せる筈だったのに、自分の言葉で顔を綻ばせるフォーラによって、すっかり彼女の目を見ることすらままならなくなっていることに気付いた。
「あっ、私だけが褒めてもらうのは違うわよね。ドラコもすっかり一昨年よりも背が伸びて、ドレスローブが前よりもっと似合っているわ。とっても格好良いと思う。」
「ああ。ありがとう」
(ああもう調子が狂う。彼女はこんなにも可愛かったか?いや、僕が長い間彼女の隣にいすぎて感覚が麻痺していただけで、確かに元から可愛かった。好きになる前から彼女はこんな人だった)
「ところで、ドラコは誰かと踊らないの?」
「僕が踊るとしたら、相手はきっと君しかいないだろうけど」
ドラコは辺りを軽く見渡し、いつもどおり自分と歳の近そうな女性が殆ど見当たらないことを確認した。
「そうよね、父様や母様のお客様が多いから。ごめんなさい。」
「何も謝る必要なんてないさ。僕は君がいればそれで十分だ。相手が多くても疲れるだけだろう?」
「それならよかったわ。……あっそういえば、ハッフルパフでシーカーをしているセドリック・ディゴリーさんが、今この広間に来ているの。ドラコはもうお顔を合わせたかしら。」
「いや、直接は会ってない。だけど君と彼が踊っているところは見かけた」
「そうだったのね。彼にご挨拶してくる?あちらの方に向かっていかれたけど。」フォーラの問いにドラコは首を横に振った。
「いいんだ、わざわざ行かなくても出会った時に挨拶するさ。それより……フォーラは僕とは踊ってくれないのか?」ドラコが片手を差し出しながら意を決して尋ねた。
目の前のドラコからの誘い文句に、フォーラは自身の胸の奥の方が何だかくすぐられるような気分になった。
「も、勿論踊るわ!」
ドラコはその返答に笑みを零したのだが、不意にフォーラの顔色に気付いて言及した。
「フォーラ?頬が赤いぞ。大丈夫か?」
フォーラは少し前にアリアからも同じことを言われたのを思い出した。
「えっ本当?うーん……多分やっぱり私、少しだけこの格好でいるのが気恥ずかしいのかも。セドリックの時は何ともなかった筈なのだけど。きっとドラコとはいつも一緒にいるから、普段と違う姿を見られるのがソワソワするのね。」
ドラコはフォーラの意見に同意できると思った。実際、彼もドレスローブで彼女の前に立っているのは少しばかりこそばゆかった。
「そんなことを言われたら、僕だって君と同じようなものだ。まあ今日は誰も彼もそんな格好なんだから、そういうことは言いっこなしだ。それで?踊るんだったら、さっさと僕のこの宙に浮いた無様な手の上に君の手を載せてくれ。次の曲が始まってしまう」
「え、ええ。」
そうしてダンススペースに繰り出した二人の耳に入ってきたのは、聞き覚えのある曲だった。二人はその音やリズムに合わせて揃ってステップを踏み出した。
「ねえドラコ、この曲って……。」
「ああ、一昨年もこのワルツで踊った」
「二階のバルコニーでね。」
「そうだったな、少し懐かしい」
そんな短い会話を紡ぎながら、二人は若年ながらも随分と優雅なステップを踏んで舞った。その度にフォーラのハーフアップの髪が揺れた。彼女のブローチが動きに合わせて照明に反射し、キラキラと煌めくのも視界に入ってきた。それに彼女の瞳が伏せ目気味になった時には
(凄く近い。それに、ものすごく心臓がうるさい)
その時、ふとフォーラが顔をこちらに上げた。するとドラコは彼女とばっちり目が合ってしまったのをきっかけに、すぐさま意識を連れ戻した。
(僕としたことが、フォーラに見とれていた。ばれてないか?)
ドラコはフォーラに何も言えず、しかも目も背けられずにいた。すると彼女がドラコの様子を特に不審がることもなく微笑んできたものだから、彼は無意識のうちに余計な考えを一切何処かに追いやってしまった。そして彼も自然とホッとした気持ちで笑みを返したのだった。
その頃のセドリックは、彼の父親に連れられてフォーラの両親に挨拶をしているところだった。その間にちらりとフォーラのことを目で探せば、ダンススペースで彼女と誰かが一緒に踊っている姿が目に入った。
(あれはスリザリンのシーカーじゃないか。彼も来ていたのか)
セドリックのいる位置からドラコの表情が一瞬垣間見えた。セドリックはドラコが年下のシーカーであること以外あまり認知していなかったが、今のドラコを見ただけで分かることが一つあった。
(ああ、彼はきっと彼女のことを大切に思っているんだろうね。彼の表情がそう言ってる)