13. 彼女の一番じゃない
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(あっ!あちらにセブルスさんがいらっしゃるわ。今年も来てくださったのね)
スネイプはいつもと変わらぬ黒装束だった。なんとも彼らしい。恐らく例年の如くシェードにせがまれて無理矢理ここへ来させられたのだろう。
(あとでご挨拶に伺いたいわ)
するとフォーラはマリアに飲み物の入ったグラスを渡されたことで、乾杯が近いことに気付かされた。そしてフォーラも周囲の大人たちと同様に立ち上がると、父の乾杯の音頭を見守った。
「それでは、この素晴らしいイブの日に乾杯!」
その言葉の後に続いて、会場にいたみんながグラスを掲げて乾杯した。フォーラが近くにいた来賓たちと会釈をしながらグラスを掲げ合っていると、おもむろに彼女は後方から肩を軽くポンポンと叩かれた。振り返ってみると、そこにいたのはセドリックだった。
「ディゴリーさん。」
「セドリックでいいよ。フォーラ、乾杯だ」
二人はグラスを掲げ合うと、中のものを一口飲んだ。広間は音楽に合わせて踊る人たちや、鮮やかな料理に舌鼓を打つ人で賑わっていた。
「それにしても、今日ここへ伺ってみてびっくりしたよ。噂には聞いていたけど中々に盛大だね」
「確かに、このパーティーは毎回力が入っていると思います。父は特にお知り合いが多いので、こういう機会に沢山の方とお喋りしておもてなしをしたいみたいで。」
「なるほど。ということは、君のお父様はお忙しい人なんだね」
「そうみたいです。今日いらしているお客様は、父の勤め先の同僚の方も多いんですよ。私、楽しそうにお仕事のことを話す父を応援しているんです。」
微笑んで話すフォーラにセドリックも笑みを返した。そして彼はグラスをテーブルに置くと、彼女に片手を差し出した。
「君はすごく優しい人だね。そこで、そんな素敵なお嬢さんをダンスに誘おうと思うんだけど、どうかな、断られると思う?」
フォーラはまさかそのような声が掛かるとは思わず少々驚いた。そして彼女は無意識に辺りに軽く視線を向けた。いつもパーティーで最初に手を取り合う筈のドラコとは、まだきちんと挨拶を交わせていない。しかし彼の姿はここからでは見つけられなかった。誰かと話しているのだろうか。
「ええと―――いいえ、断る筈がありません。きっとあなたと一緒に踊りたいと思っていますよ。」
フォーラはドラコを探すのを諦めると、セドリックの手を取って二人で広間の中央にあるダンススペースに進んだ。
一方のドラコはというと、彼もまたフォーラに話し掛けようとしていたところだった。しかしそれは憚られた。何故って、あのセドリック・ディゴリーが先にフォーラに声を掛けていたからだ。
(何だってあいつは馴れ馴れしくフォーラをダンスに誘っているんだ)
「初対面のくせに」
ドラコがボソリと呟けば、彼の胸には妙な虚しさが顕著に押し寄せてしまった。ドラコとしては、フォーラとセドリックの二人が踊っているのを見ている自分が酷く滑稽に思えた。自分の方が彼女と仲が良い筈なのに、どうして彼女は初対面の彼と先に踊っているのかと。―――ドラコはそんな自分の考えに首を横に振った。
(それは僕が先に誘いにいかなかったからだ。そんなことは分かってる。当然の結果だ)
それにこういった場でのダンスなんて、どんな人と踊っても何ら不思議なことではないのだ。しかもフォーラは主催者側の人間なのだから尚のことだろう。ドラコは自分の嫉妬心に今更ながら呆れた。
さて、そうこうしている内に一曲目が終わった。フォーラとセドリックが互いの手を離してダンススペースから戻ってくる様子が、ドラコのいる場所からでも視認できた。チャンスがあるとすれば今だろう。もし今フォーラに会いにいかなければ、あの二人はこの後も終始一緒にいることになってしまうかもしれない。ドラコはそれだけはどうしても避けたかった。
ドラコは意を決してフォーラの方へ向かった。するとその間に偶然にもセドリックは父親に呼ばれたようで、フォーラはその場に一人取り残された。そんな彼女の視線は次に始まった曲に合わせてダンスをする人々の方に向いていた。彼女の後方にいたドラコは、もうあと三歩も行けば彼女に触れられそうな距離まで来ていた。
(何と声を掛ければいい?名前を呼ぶ?それともさっきのディゴリーみたいにフォーラの肩を叩く?それにしてもディゴリーのやつ、彼女の肩が出ているのをいいことに、さり気なく触るなんて)
セドリックにそのような邪な考えはなかったのだが、フォーラにお熱のドラコのことだ。そのように捉えてしまうのは仕方のないことだった。
(僕だってフォーラの肩に触れたい。だったら僕も同じようにすればいい。……ああくそ、早く行けよ。軽く肩を叩いて呼ぶだけだろう)
ドラコはフォーラの肩に手を伸ばした。あとはもう一歩だけ踏み出して触れるだけだ。彼の指の先にはフォーラの白い首筋と曲線を描く肩があり、彼は思わず生唾を飲んだ。
「……ドラコ?」
するとその時、不意にフォーラがドラコの方を振り返った。フォーラは視線の先の彼を『どうしたのだろう』という目で見つめた。何故ならドラコが自分の方に手を伸ばしたまま固まっていたからだ。
ドラコは自身の手と彼女の顔を交互に見つめ、我に返ると急いでその手を隠した。彼は自分の目が泳いでしまっていることや、顔色がほんのり赤くなっているのを自覚していた。
「や、やあ。ここに来てから、まだ君ときちんと話をしてないと思ってね」
「そっそうよね。」
フォーラはぎこちなく返答しながら、自分が改めてドレス姿でドラコの前に立っていることを認識し直していた。それによって彼女は内心焦りを帯びていた。
スネイプはいつもと変わらぬ黒装束だった。なんとも彼らしい。恐らく例年の如くシェードにせがまれて無理矢理ここへ来させられたのだろう。
(あとでご挨拶に伺いたいわ)
するとフォーラはマリアに飲み物の入ったグラスを渡されたことで、乾杯が近いことに気付かされた。そしてフォーラも周囲の大人たちと同様に立ち上がると、父の乾杯の音頭を見守った。
「それでは、この素晴らしいイブの日に乾杯!」
その言葉の後に続いて、会場にいたみんながグラスを掲げて乾杯した。フォーラが近くにいた来賓たちと会釈をしながらグラスを掲げ合っていると、おもむろに彼女は後方から肩を軽くポンポンと叩かれた。振り返ってみると、そこにいたのはセドリックだった。
「ディゴリーさん。」
「セドリックでいいよ。フォーラ、乾杯だ」
二人はグラスを掲げ合うと、中のものを一口飲んだ。広間は音楽に合わせて踊る人たちや、鮮やかな料理に舌鼓を打つ人で賑わっていた。
「それにしても、今日ここへ伺ってみてびっくりしたよ。噂には聞いていたけど中々に盛大だね」
「確かに、このパーティーは毎回力が入っていると思います。父は特にお知り合いが多いので、こういう機会に沢山の方とお喋りしておもてなしをしたいみたいで。」
「なるほど。ということは、君のお父様はお忙しい人なんだね」
「そうみたいです。今日いらしているお客様は、父の勤め先の同僚の方も多いんですよ。私、楽しそうにお仕事のことを話す父を応援しているんです。」
微笑んで話すフォーラにセドリックも笑みを返した。そして彼はグラスをテーブルに置くと、彼女に片手を差し出した。
「君はすごく優しい人だね。そこで、そんな素敵なお嬢さんをダンスに誘おうと思うんだけど、どうかな、断られると思う?」
フォーラはまさかそのような声が掛かるとは思わず少々驚いた。そして彼女は無意識に辺りに軽く視線を向けた。いつもパーティーで最初に手を取り合う筈のドラコとは、まだきちんと挨拶を交わせていない。しかし彼の姿はここからでは見つけられなかった。誰かと話しているのだろうか。
「ええと―――いいえ、断る筈がありません。きっとあなたと一緒に踊りたいと思っていますよ。」
フォーラはドラコを探すのを諦めると、セドリックの手を取って二人で広間の中央にあるダンススペースに進んだ。
一方のドラコはというと、彼もまたフォーラに話し掛けようとしていたところだった。しかしそれは憚られた。何故って、あのセドリック・ディゴリーが先にフォーラに声を掛けていたからだ。
(何だってあいつは馴れ馴れしくフォーラをダンスに誘っているんだ)
「初対面のくせに」
ドラコがボソリと呟けば、彼の胸には妙な虚しさが顕著に押し寄せてしまった。ドラコとしては、フォーラとセドリックの二人が踊っているのを見ている自分が酷く滑稽に思えた。自分の方が彼女と仲が良い筈なのに、どうして彼女は初対面の彼と先に踊っているのかと。―――ドラコはそんな自分の考えに首を横に振った。
(それは僕が先に誘いにいかなかったからだ。そんなことは分かってる。当然の結果だ)
それにこういった場でのダンスなんて、どんな人と踊っても何ら不思議なことではないのだ。しかもフォーラは主催者側の人間なのだから尚のことだろう。ドラコは自分の嫉妬心に今更ながら呆れた。
さて、そうこうしている内に一曲目が終わった。フォーラとセドリックが互いの手を離してダンススペースから戻ってくる様子が、ドラコのいる場所からでも視認できた。チャンスがあるとすれば今だろう。もし今フォーラに会いにいかなければ、あの二人はこの後も終始一緒にいることになってしまうかもしれない。ドラコはそれだけはどうしても避けたかった。
ドラコは意を決してフォーラの方へ向かった。するとその間に偶然にもセドリックは父親に呼ばれたようで、フォーラはその場に一人取り残された。そんな彼女の視線は次に始まった曲に合わせてダンスをする人々の方に向いていた。彼女の後方にいたドラコは、もうあと三歩も行けば彼女に触れられそうな距離まで来ていた。
(何と声を掛ければいい?名前を呼ぶ?それともさっきのディゴリーみたいにフォーラの肩を叩く?それにしてもディゴリーのやつ、彼女の肩が出ているのをいいことに、さり気なく触るなんて)
セドリックにそのような邪な考えはなかったのだが、フォーラにお熱のドラコのことだ。そのように捉えてしまうのは仕方のないことだった。
(僕だってフォーラの肩に触れたい。だったら僕も同じようにすればいい。……ああくそ、早く行けよ。軽く肩を叩いて呼ぶだけだろう)
ドラコはフォーラの肩に手を伸ばした。あとはもう一歩だけ踏み出して触れるだけだ。彼の指の先にはフォーラの白い首筋と曲線を描く肩があり、彼は思わず生唾を飲んだ。
「……ドラコ?」
するとその時、不意にフォーラがドラコの方を振り返った。フォーラは視線の先の彼を『どうしたのだろう』という目で見つめた。何故ならドラコが自分の方に手を伸ばしたまま固まっていたからだ。
ドラコは自身の手と彼女の顔を交互に見つめ、我に返ると急いでその手を隠した。彼は自分の目が泳いでしまっていることや、顔色がほんのり赤くなっているのを自覚していた。
「や、やあ。ここに来てから、まだ君ときちんと話をしてないと思ってね」
「そっそうよね。」
フォーラはぎこちなく返答しながら、自分が改めてドレス姿でドラコの前に立っていることを認識し直していた。それによって彼女は内心焦りを帯びていた。