13. 彼女の一番じゃない
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「よくお似合いで、本当によかったです!」
フォーラはそれを聞いて、先日駅のホームでドラコに同じようなことを言われたのを思い出した。
『フォーラはきっと、何を着ても似合うに決まってるさ』
「あら?お嬢様、少しお顔が赤いようですが、大丈夫ですか?」マリアの問いにフォーラはハッと我に返った。そして彼女は特段何でもない風を装ってマリアと共に続きの作業に取り掛かった。
(きっとドラコにあんなことを言われたからだわ。ドラコったら、本当に似合うかどうかは見てもらわないと分からないのに。彼ってたまに、本当に素直な様子で私のことを褒めたり励ましたりしてくれる時があるのよね。それが嬉しくもあって、少し気恥ずかしくもあるというか。きっと、私が相変わらずドレスが得意でないのを気にしてくれていたのかも。……お世辞じゃなくて、本当に似合ってるって思ってもらえればいいんだけど)
その後、マリアと別れたフォーラは小休止を挟んだ後で、母親と一緒に軽くダンスの練習を行った。フォーラがここ暫く踊っていなかったため、改めてステップを確認したのだ。
「フォーラ、やっぱり少し忘れているわね。たまに学校でドラコ君と踊ってみてはどう?」リプトニアが冗談めかして言うものだから、フォーラは幾らか口を尖らせた。
「もう母様ったら、そんなこと学校で誰もしていないのに、恥ずかしくってできないわ。」
それからの日々はあっという間に過ぎていった。その間、フォーラはドラコからふくろう便を一通もらっていて、そこには『似合うものは用意してもらえたか?』とか『楽しみにしてる』といった旨が綴られていた。しかしフォーラはパーティーの準備で多忙だったため、彼への返事をきちんと文章に起こす時間が取れなかったのだった。
そしてパーティー前夜、ドラコはフォーラからの返事がないことに少しばかり寂しさを抱いていた。
(フォーラのことだ。きっと忙しくて纏まった文章が書けないんだろう。それとも、手紙の内容は余計なお世話だったかな。……それにしても彼女に手紙を出すのは久しぶりだった。好きになってから始めて送った手紙だったけど、何も変なことは書いていなかったよな?例えば歯の浮くようなセリフとか……。ああ、早く明日になってくれないかな。フォーラのドレス姿、一昨年より綺麗なんだろうか?きっとそうに決まってる)
さて、翌日のクリスマスイブのパーティー開始時刻は夕方からとなっていた。正装に身を包んだドラコが両親と共にファントム家の門を通り抜けると、眼前の屋敷は暗がりを照らすクリスマスツリーなどの装飾によって美しく輝いていた。何度見てもこの屋敷の飾りつけは本当にセンスが良かった。
ルシウスが屋敷の玄関ベルを鳴らすと、両開きの扉が独りでに開かれた。そしてドラコはその先の光景に少々目を見開いた―――そこには、来賓を出迎えるフォーラの姿があったからだ。彼女は薄青色のホームパーティーに相応しい、飾りすぎないドレスを着ていた。髪はハーフアップにして優雅に纏められていた。そんな彼女の後ろにはマリアが付き添っていた。
フォーラの方も出迎えた客がマルフォイ一家だと分かり、少々落ち着かない様子でお辞儀をしてマリアと共に挨拶した。
「メリークリスマス。ようこそいらっしゃいました。」
「メリークリスマス、フォーラ嬢。今日は一段と愛らしいじゃあないか。なあ、ドラコ」ルシウスの問い掛けにドラコはなんと答えればいいか迷ってしまった。そのため彼は直ぐには言葉が出てこず、一瞬の間があった後に何とか相槌を打った。
「そ、そうですね」
ドラコは彼女から僅かに視線を逸らしてそのように取り繕うことしかできなかった。あまりにも目の前にいるフォーラを直視するのが躊躇われたことに加え、両親の前で『そうですね』と言う以外の気の利いた褒め言葉を発することに、些 か気恥ずかしさがあったのも理由に含まれた。
それからフォーラは彼らを邸宅の中へと案内した。一行が会場である広間へ続く廊下を進んでいた時、ドラコは彼女の胸にブローチが輝いていることに気が付いた。それは二人がまだ一年生の時に、クリスマスプレゼントとしてドラコが彼女に贈った物だった。羽の形を模し、ドラコの瞳の色に似た色の石があしらわれているのだ。贈って以来、中々彼女が身に着けているところを見る機会がなかったため、てっきり何処かに仕舞い込んだままだろうと思っていたのだが。
(ドレスの色とよく合ってる)
まさかブローチの石の色にドレスを合わせたのではないか?そんな自惚れた考えがドラコの頭の中をよぎった。
(いや、まあまさかそんなことはないだろう。きっと偶然だ)
ただ、偶然であろうとなかろうと、ドラコにとってはフォーラが自分からの贈り物を大切な日に身に着けてくれていることが嬉しくて仕方なかったのだった。
短い道中、ルシウスやナルシッサがフォーラと話していたこともあり、ドラコは彼女と言葉を交わす機会なく広間へと促された。中に入ってみると、もう既に幾らか来賓の姿があった。シェードとリプトニアは先客の相手をしていたが、こちらに気が付くや否や話し相手に軽く会釈をし、マルフォイ一家に声を掛けにやって来た。
ドラコがふとフォーラを見やると、彼女は次の来賓を迎えるために丁度マリアと共に玄関の方へ続く廊下を振り返ったところだった。フォーラの両親が「すまない、頼んだよ」と二人を見送ったことから考えて、どうやらフォーラは玄関からの来賓の対応を任されているらしかった。ドラコは大広間から出ていくフォーラを目で追った。すると彼女も一瞬彼の方を見たではないか。
(何か、言った方が)
ドラコがそう思ったのも束の間、フォーラはサッと目を伏せると、その場からそそくさと立ち去ってしまったのだった。
(やっぱりフォーラはドレス姿が相変わらず恥ずかしいのか?よく似合っているんだからもっと堂々としていればいのに。僕が想像していたよりもずっと綺麗なんだから)
フォーラはそれを聞いて、先日駅のホームでドラコに同じようなことを言われたのを思い出した。
『フォーラはきっと、何を着ても似合うに決まってるさ』
「あら?お嬢様、少しお顔が赤いようですが、大丈夫ですか?」マリアの問いにフォーラはハッと我に返った。そして彼女は特段何でもない風を装ってマリアと共に続きの作業に取り掛かった。
(きっとドラコにあんなことを言われたからだわ。ドラコったら、本当に似合うかどうかは見てもらわないと分からないのに。彼ってたまに、本当に素直な様子で私のことを褒めたり励ましたりしてくれる時があるのよね。それが嬉しくもあって、少し気恥ずかしくもあるというか。きっと、私が相変わらずドレスが得意でないのを気にしてくれていたのかも。……お世辞じゃなくて、本当に似合ってるって思ってもらえればいいんだけど)
その後、マリアと別れたフォーラは小休止を挟んだ後で、母親と一緒に軽くダンスの練習を行った。フォーラがここ暫く踊っていなかったため、改めてステップを確認したのだ。
「フォーラ、やっぱり少し忘れているわね。たまに学校でドラコ君と踊ってみてはどう?」リプトニアが冗談めかして言うものだから、フォーラは幾らか口を尖らせた。
「もう母様ったら、そんなこと学校で誰もしていないのに、恥ずかしくってできないわ。」
それからの日々はあっという間に過ぎていった。その間、フォーラはドラコからふくろう便を一通もらっていて、そこには『似合うものは用意してもらえたか?』とか『楽しみにしてる』といった旨が綴られていた。しかしフォーラはパーティーの準備で多忙だったため、彼への返事をきちんと文章に起こす時間が取れなかったのだった。
そしてパーティー前夜、ドラコはフォーラからの返事がないことに少しばかり寂しさを抱いていた。
(フォーラのことだ。きっと忙しくて纏まった文章が書けないんだろう。それとも、手紙の内容は余計なお世話だったかな。……それにしても彼女に手紙を出すのは久しぶりだった。好きになってから始めて送った手紙だったけど、何も変なことは書いていなかったよな?例えば歯の浮くようなセリフとか……。ああ、早く明日になってくれないかな。フォーラのドレス姿、一昨年より綺麗なんだろうか?きっとそうに決まってる)
さて、翌日のクリスマスイブのパーティー開始時刻は夕方からとなっていた。正装に身を包んだドラコが両親と共にファントム家の門を通り抜けると、眼前の屋敷は暗がりを照らすクリスマスツリーなどの装飾によって美しく輝いていた。何度見てもこの屋敷の飾りつけは本当にセンスが良かった。
ルシウスが屋敷の玄関ベルを鳴らすと、両開きの扉が独りでに開かれた。そしてドラコはその先の光景に少々目を見開いた―――そこには、来賓を出迎えるフォーラの姿があったからだ。彼女は薄青色のホームパーティーに相応しい、飾りすぎないドレスを着ていた。髪はハーフアップにして優雅に纏められていた。そんな彼女の後ろにはマリアが付き添っていた。
フォーラの方も出迎えた客がマルフォイ一家だと分かり、少々落ち着かない様子でお辞儀をしてマリアと共に挨拶した。
「メリークリスマス。ようこそいらっしゃいました。」
「メリークリスマス、フォーラ嬢。今日は一段と愛らしいじゃあないか。なあ、ドラコ」ルシウスの問い掛けにドラコはなんと答えればいいか迷ってしまった。そのため彼は直ぐには言葉が出てこず、一瞬の間があった後に何とか相槌を打った。
「そ、そうですね」
ドラコは彼女から僅かに視線を逸らしてそのように取り繕うことしかできなかった。あまりにも目の前にいるフォーラを直視するのが躊躇われたことに加え、両親の前で『そうですね』と言う以外の気の利いた褒め言葉を発することに、
それからフォーラは彼らを邸宅の中へと案内した。一行が会場である広間へ続く廊下を進んでいた時、ドラコは彼女の胸にブローチが輝いていることに気が付いた。それは二人がまだ一年生の時に、クリスマスプレゼントとしてドラコが彼女に贈った物だった。羽の形を模し、ドラコの瞳の色に似た色の石があしらわれているのだ。贈って以来、中々彼女が身に着けているところを見る機会がなかったため、てっきり何処かに仕舞い込んだままだろうと思っていたのだが。
(ドレスの色とよく合ってる)
まさかブローチの石の色にドレスを合わせたのではないか?そんな自惚れた考えがドラコの頭の中をよぎった。
(いや、まあまさかそんなことはないだろう。きっと偶然だ)
ただ、偶然であろうとなかろうと、ドラコにとってはフォーラが自分からの贈り物を大切な日に身に着けてくれていることが嬉しくて仕方なかったのだった。
短い道中、ルシウスやナルシッサがフォーラと話していたこともあり、ドラコは彼女と言葉を交わす機会なく広間へと促された。中に入ってみると、もう既に幾らか来賓の姿があった。シェードとリプトニアは先客の相手をしていたが、こちらに気が付くや否や話し相手に軽く会釈をし、マルフォイ一家に声を掛けにやって来た。
ドラコがふとフォーラを見やると、彼女は次の来賓を迎えるために丁度マリアと共に玄関の方へ続く廊下を振り返ったところだった。フォーラの両親が「すまない、頼んだよ」と二人を見送ったことから考えて、どうやらフォーラは玄関からの来賓の対応を任されているらしかった。ドラコは大広間から出ていくフォーラを目で追った。すると彼女も一瞬彼の方を見たではないか。
(何か、言った方が)
ドラコがそう思ったのも束の間、フォーラはサッと目を伏せると、その場からそそくさと立ち去ってしまったのだった。
(やっぱりフォーラはドレス姿が相変わらず恥ずかしいのか?よく似合っているんだからもっと堂々としていればいのに。僕が想像していたよりもずっと綺麗なんだから)