12. 狡い私
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それから数日が経った。雪が降りしきるこの日、とうとうフォーラが待ち望んでいたホグズミード休暇の当日となった。
「わあ、凄い。クリスマスカードから飛び出てきたみたいに素敵。」
眼前に広がる光景を目の当たりにして、瞳をキラキラさせながらそう言ったのはフォーラだった。それもその筈、ホグズミード中の茅葺屋根の小さな家や店は、キラキラ光る雪にすっぽりと覆われ、戸口という戸口には柊 のリースが飾られていた。そして村に点在する木々には魔法でキャンドルがくるくると巻きつけられていた。ドラコは前回の外出許可日に、自分のせいでフォーラと一緒にホグズミードを見て回れなかったことを申し訳なく思っていた分、今の楽しそうな彼女を見て安堵した。
「あっちには、色々なお菓子を売っている『ハニーデュークス』っていう店があって、郵便局にはたっくさん梟がとまってるわ。きっとびっくりするわよ。その奥にはバタービールの美味しい『三本の箒』って名前のパブがあるの。後で行きましょ!」パンジーがフォーラに提案すると、フォーラは満面の笑みで頷いた。
「ええ、行くわ!」
パンジーやルニー、ドラコでさえ日頃フォーラが思い切り弾けるように笑うところをあまり見ないからだろう。彼女が突然見せた輝かしい笑顔に一同は少々驚いていた。その眩しさといったら、三人共が思わず目を細めたくなるくらいだった。特にドラコは、彼女の無邪気な様子によって跳ねた心臓を鎮めるのに一苦労した。
それから四人はそれぞれ必要なクリスマスプレゼントを買うために、手頃なギフトショップを順番に見て回ることにした。ここにいるメンバーの物を選ぶ際は、お互いにわざと別々のお店に先に立ち寄ったりして、何をプレゼントするか内緒にし合ったりした。
「私、もうドラコのプレゼントはさっき選んできたわ!後は次の店であなたたち二人の分を見るつもり!」パンジーが笑顔で言った。
そうしてみんなで笑い合いながら道ゆく人を縫うようにしてストリートを進んでいると、フォーラの足元を急に何かが通り抜けた。それによって彼女は思わず立ち止まり、一体何とすれ違ったのか確認しようと後ろを振り返った。
「あ……」そこにいたのは黒い毛皮の大きな犬だった。その犬はフォーラの声に反応したのか、彼女同様に振り返ってこちらをじっと見つめていた。その身体はお世辞にも綺麗とは言い難かったが、こちらを見る灰色の瞳は光に反射して輝いているようだった。
「フォーラ?何処に行ったの?」
自分たちが進んでいた方向からパンジーの呼ぶ声が聞こえた。フォーラは友人たちのいるであろう方向に顔を向けた後で、再び黒い犬の方に視線を戻した。しかしもう既にその場に犬の姿はなかった。周囲を歩く人々は誰もあの犬に見向きもしていなかった。みんなクリスマスムードで野良犬どころではないといった様子だ。だがフォーラは妙にあの犬の瞳が頭から離れなかった。その瞳からは、普段見かけるごく一般的な動物とはまた別の意志を感じたような気がしたのだ。
(何だか、凄く不思議な犬だったかもしれない)
「パンジー、ここよ」
フォーラは急いでみんなの元へ駆け寄り、雪の降るホグズミードの大通りを再び進んだのだった。
「そういえば暫く話していなかったけど、やっとフォーラの敵討ちができそうだ」
三本の箒に入った一同がバタービールを一口飲んだ時、ドラコが不意に切り出した。
「敵討ち……?」
「フォーラ、以前ヒッポグリフに怪我をさせられただろう。あの事を父上経由で理事会に申し立ててもらっていたんだ。あの猛獣好きの、先生とも呼べるか分からない奴に教師をさせるわけにはいかないということをね」
「ドラコ、本当に?私、すっかり貴方はその事を忘れていると思って……」
(安心していたのだけど……)
するとドラコは滅相もないと言った様子で眉間に皺を寄せてフォーラを睨んだ。
「君にあんな事があったのに、忘れるわけがないだろう?ただ、理事の返答からすると奴の解雇については上手くいかなかったらしい。その代わり、あのヒッポグリフが魔法生物処理委員会の審査にかけられることになった」
「それって、つまりどういうこと?」ルニーがドラコに尋ねた。フォーラは少し嫌な予感がした。
「危険と判断されたら、ヒッポグリフは処分される。要するに殺されるということだ」
「そんな……私、そんなの望んでいないわ。敵討ちなんていらないのに。」
あんなに勇ましくて素敵な生き物が殺されてしまうかもしれないなんて。フォーラ自身、あのヒッポグリフと対峙した時の事を思い返せば、自分の瞳は猫のようになっていたとみて間違いなかった。ヒッポグリフはそれを気味悪がって攻撃してきたのだろう。
(ドラコたちからすれば、あの時の事はヒッポグリフのせいにしか見えないわよね。だからこんなにも私のことを心配してくれて、それで……。それなら、私からきちんとアニメーガスのことを話して、ヒッポグリフの審査を取りやめてもらうのはどう?……でも、それだと私がアニメーガスだということが、みんなに知られてしまう。ここにいるメンバーだけじゃない。もしかすると、ルーピン先生にも……。それだけは、どうしても嫌だわ……)
「わあ、凄い。クリスマスカードから飛び出てきたみたいに素敵。」
眼前に広がる光景を目の当たりにして、瞳をキラキラさせながらそう言ったのはフォーラだった。それもその筈、ホグズミード中の茅葺屋根の小さな家や店は、キラキラ光る雪にすっぽりと覆われ、戸口という戸口には
「あっちには、色々なお菓子を売っている『ハニーデュークス』っていう店があって、郵便局にはたっくさん梟がとまってるわ。きっとびっくりするわよ。その奥にはバタービールの美味しい『三本の箒』って名前のパブがあるの。後で行きましょ!」パンジーがフォーラに提案すると、フォーラは満面の笑みで頷いた。
「ええ、行くわ!」
パンジーやルニー、ドラコでさえ日頃フォーラが思い切り弾けるように笑うところをあまり見ないからだろう。彼女が突然見せた輝かしい笑顔に一同は少々驚いていた。その眩しさといったら、三人共が思わず目を細めたくなるくらいだった。特にドラコは、彼女の無邪気な様子によって跳ねた心臓を鎮めるのに一苦労した。
それから四人はそれぞれ必要なクリスマスプレゼントを買うために、手頃なギフトショップを順番に見て回ることにした。ここにいるメンバーの物を選ぶ際は、お互いにわざと別々のお店に先に立ち寄ったりして、何をプレゼントするか内緒にし合ったりした。
「私、もうドラコのプレゼントはさっき選んできたわ!後は次の店であなたたち二人の分を見るつもり!」パンジーが笑顔で言った。
そうしてみんなで笑い合いながら道ゆく人を縫うようにしてストリートを進んでいると、フォーラの足元を急に何かが通り抜けた。それによって彼女は思わず立ち止まり、一体何とすれ違ったのか確認しようと後ろを振り返った。
「あ……」そこにいたのは黒い毛皮の大きな犬だった。その犬はフォーラの声に反応したのか、彼女同様に振り返ってこちらをじっと見つめていた。その身体はお世辞にも綺麗とは言い難かったが、こちらを見る灰色の瞳は光に反射して輝いているようだった。
「フォーラ?何処に行ったの?」
自分たちが進んでいた方向からパンジーの呼ぶ声が聞こえた。フォーラは友人たちのいるであろう方向に顔を向けた後で、再び黒い犬の方に視線を戻した。しかしもう既にその場に犬の姿はなかった。周囲を歩く人々は誰もあの犬に見向きもしていなかった。みんなクリスマスムードで野良犬どころではないといった様子だ。だがフォーラは妙にあの犬の瞳が頭から離れなかった。その瞳からは、普段見かけるごく一般的な動物とはまた別の意志を感じたような気がしたのだ。
(何だか、凄く不思議な犬だったかもしれない)
「パンジー、ここよ」
フォーラは急いでみんなの元へ駆け寄り、雪の降るホグズミードの大通りを再び進んだのだった。
「そういえば暫く話していなかったけど、やっとフォーラの敵討ちができそうだ」
三本の箒に入った一同がバタービールを一口飲んだ時、ドラコが不意に切り出した。
「敵討ち……?」
「フォーラ、以前ヒッポグリフに怪我をさせられただろう。あの事を父上経由で理事会に申し立ててもらっていたんだ。あの猛獣好きの、先生とも呼べるか分からない奴に教師をさせるわけにはいかないということをね」
「ドラコ、本当に?私、すっかり貴方はその事を忘れていると思って……」
(安心していたのだけど……)
するとドラコは滅相もないと言った様子で眉間に皺を寄せてフォーラを睨んだ。
「君にあんな事があったのに、忘れるわけがないだろう?ただ、理事の返答からすると奴の解雇については上手くいかなかったらしい。その代わり、あのヒッポグリフが魔法生物処理委員会の審査にかけられることになった」
「それって、つまりどういうこと?」ルニーがドラコに尋ねた。フォーラは少し嫌な予感がした。
「危険と判断されたら、ヒッポグリフは処分される。要するに殺されるということだ」
「そんな……私、そんなの望んでいないわ。敵討ちなんていらないのに。」
あんなに勇ましくて素敵な生き物が殺されてしまうかもしれないなんて。フォーラ自身、あのヒッポグリフと対峙した時の事を思い返せば、自分の瞳は猫のようになっていたとみて間違いなかった。ヒッポグリフはそれを気味悪がって攻撃してきたのだろう。
(ドラコたちからすれば、あの時の事はヒッポグリフのせいにしか見えないわよね。だからこんなにも私のことを心配してくれて、それで……。それなら、私からきちんとアニメーガスのことを話して、ヒッポグリフの審査を取りやめてもらうのはどう?……でも、それだと私がアニメーガスだということが、みんなに知られてしまう。ここにいるメンバーだけじゃない。もしかすると、ルーピン先生にも……。それだけは、どうしても嫌だわ……)