2. 父の薬
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翌日、まだ早朝だというのに夏の太陽はもう既に東の空に顔を出していた。空は昨日の雨がまるで嘘かのように晴れ渡り、少し開けていた窓の外からは雨上がりの匂いがした。そんな気持ちの良い空気に包まれてフォーラは朝早く起き出していた。彼女は借りていた寝巻を脱ぎ、昨日モリーに洗ってもらった自分の服にいそいそと着替えた。そしてまだ隣で寝ているジニーを起こさないように部屋を出ると、長い階段をそろそろと下りて玄関先の芝生の上で伸びをした。この時間はまだおそらく誰も起き出してはいないだろう。
(この辺りはお爺様とお婆様の屋敷から近いのかしら)
フォーラは西に広がる森を見渡した。何となくあちらに屋敷があるような気がする。彼女はそのようなことを考えながら、ふとウィーズリー家の家屋である『隠れ穴』を振り返った。アンバランスな建造物が、五階以上はあると思しき高さまで伸びるようにそびえ立っていた。
(私のお家と全然雰囲気が違っていて、とってもユニークね。だけど同じところもある。どちらのお家も、とっても温かいわ)
フォーラが自然と隠れ穴の最上階に視線を向けた時、彼女は丁度その最上階の部屋の窓からこちらを見下ろしている人物と目が合った。
「あっ」ロンはまさかこんな早朝にフォーラが庭にいて、最上階の自分と目が合うとは思ってもみなかった。
(ウ、ワ、ええと)
ロンは突然の事にどうすればいいか分からず狼狽えた。そのため彼は一先ずフォーラに手を振ることにした。すると彼女もこの状況に少々驚きつつもこちらに手を振り返してきた。それを見たロンはすぐさま窓から離れると、混乱しっぱなしの頭を整理した。
(ええと、だから、ただ見ていただけなんだ。偶然外を見たら庭にファントムがいて、それで―――とりあえず、庭に下りた方がいいかもしれない)
ロンは超特急で身なりを整えると部屋を飛び出し、寝ている家族を起こさないようにしながら階段を素早く静かに一番下まで下りた。そして彼がドキドキしながら玄関を出ると、そこにはまだ隠れ穴を見上げるフォーラの姿があった。彼女はロンがドアを開ける音に気付いて視線を向けた。
「お、おはよう」先に挨拶をしたのはロンだった。
「ええ、おはよう……。」フォーラは挨拶を返すと、再び隠れ穴に視線を戻して言葉を続けた。「貴方たちのお家って、とても素敵ね。」
「そうかな―――えーと、ありがとう」ロンが頭をかきながら照れ隠しをするように言った。
すると不意にフォーラが視線をロンの方に向けた。彼女の表情には何か躊躇いの色が伺えたのだが、彼女はそれを押しのけるようにして声を発した。
「……あのねロナルド。昨日、私を見つけてくれて……本当に、本当にありがとう。突然の事で気が動転していたり色々あって、まだ貴方にきちんとお礼を言えていなかったから。」
「あ、いや、別にそんなのいいんだ。君が元気でよかったよ」ロンは慌てて返答して言葉を続けた。
「あーその……それで、それにしたってホントに何であんな所に倒れてたんだろうね」
ロンは何か気の利いた話題はないかと探した結果、昨日の出来事しか頭に浮かばなかった自分を恥じた。
「本当にね。でも覚えていないの。一人で家を飛び出したところまでしか……。」
「だけど、君も当然シリウス・ブラックの名前くらい聞いたことがあるだろう?幾ら大人たちの喧嘩があったからって、あんなに危険な奴がアズカバンの外にいるっていうのに、どうしてそんなこと」
フォーラはロンがそのように真剣に問い詰めてくるとは思わず、少し身を竦めた。
「……お爺様と父様 の激しい口論をどうしても聞いていたくなかったの。その場から離れたい気持ちで一杯になって、屋敷を出ることしか考えられなくて。だけど普段の二人はそれなりに仲良しなのよ。でも、純血の話題になると少し雲行きが怪しくなるの。それで私……。」
フォーラは昨日の屋敷での事を思い出して少々物悲しそうな表情を見せた。
「お爺様はお酒が入った勢いで、父様が完全な純血主義でないのは狂っていると罵ったわ。だけど父様と母様は、純血主義や反純血主義のどちらでもないの。それぞれの考えを誰かに押し付けるべきではないと思っているし、人付き合いを有利にこなすには、それが一番だって。だから父様は―――」
するとフォーラは突然続きを話すのを止めてしまった。幾らロンが命の恩人だとはいえ、まだ関係にわだかまりのある彼に、聞かれてもいない話を自分から進んでしていると気付いたからだ。彼女の話が中断されてロンは首を傾げた。
「……ごめんなさい。何でもないの。どんな理由があれ、一人で出歩くなんて貴方の言うとおり確かに危険だったわね。」
瞳を伏せて静かにそう話したフォーラに、ロンは何と言えばいいのか分からなかった。ただ、その大人たちの喧嘩に関する話を聞いて分かったことは、フォーラの家族は純血主義の人々の中に上手く身を置くために苦労しているのだろうということだった。
(ファントムの両親はスリザリンらしいけど、マルフォイみたいなのじゃないってことだよな……)
ロンは初めてホグワーツ特急でフォーラと出会った時に、ドラコと一緒にいるだけで彼女を純血主義だと決めつけたことを後悔していた。
「……ん?ねえファントム、あそこを見て」
すると不意にロンが西に続く森の方を指差した。彼の言葉にフォーラも顔を上げてそちらを見た。
「あれって梟かな」遠くの方で豆粒のように小さく見える鳥が、こちらに向かって飛んでくるのが確かに確認できた。フォーラがよく目を凝らして見ると、徐々に大きくなるその鳥には見覚えがあった。
「エドガーだわ」
(この辺りはお爺様とお婆様の屋敷から近いのかしら)
フォーラは西に広がる森を見渡した。何となくあちらに屋敷があるような気がする。彼女はそのようなことを考えながら、ふとウィーズリー家の家屋である『隠れ穴』を振り返った。アンバランスな建造物が、五階以上はあると思しき高さまで伸びるようにそびえ立っていた。
(私のお家と全然雰囲気が違っていて、とってもユニークね。だけど同じところもある。どちらのお家も、とっても温かいわ)
フォーラが自然と隠れ穴の最上階に視線を向けた時、彼女は丁度その最上階の部屋の窓からこちらを見下ろしている人物と目が合った。
「あっ」ロンはまさかこんな早朝にフォーラが庭にいて、最上階の自分と目が合うとは思ってもみなかった。
(ウ、ワ、ええと)
ロンは突然の事にどうすればいいか分からず狼狽えた。そのため彼は一先ずフォーラに手を振ることにした。すると彼女もこの状況に少々驚きつつもこちらに手を振り返してきた。それを見たロンはすぐさま窓から離れると、混乱しっぱなしの頭を整理した。
(ええと、だから、ただ見ていただけなんだ。偶然外を見たら庭にファントムがいて、それで―――とりあえず、庭に下りた方がいいかもしれない)
ロンは超特急で身なりを整えると部屋を飛び出し、寝ている家族を起こさないようにしながら階段を素早く静かに一番下まで下りた。そして彼がドキドキしながら玄関を出ると、そこにはまだ隠れ穴を見上げるフォーラの姿があった。彼女はロンがドアを開ける音に気付いて視線を向けた。
「お、おはよう」先に挨拶をしたのはロンだった。
「ええ、おはよう……。」フォーラは挨拶を返すと、再び隠れ穴に視線を戻して言葉を続けた。「貴方たちのお家って、とても素敵ね。」
「そうかな―――えーと、ありがとう」ロンが頭をかきながら照れ隠しをするように言った。
すると不意にフォーラが視線をロンの方に向けた。彼女の表情には何か躊躇いの色が伺えたのだが、彼女はそれを押しのけるようにして声を発した。
「……あのねロナルド。昨日、私を見つけてくれて……本当に、本当にありがとう。突然の事で気が動転していたり色々あって、まだ貴方にきちんとお礼を言えていなかったから。」
「あ、いや、別にそんなのいいんだ。君が元気でよかったよ」ロンは慌てて返答して言葉を続けた。
「あーその……それで、それにしたってホントに何であんな所に倒れてたんだろうね」
ロンは何か気の利いた話題はないかと探した結果、昨日の出来事しか頭に浮かばなかった自分を恥じた。
「本当にね。でも覚えていないの。一人で家を飛び出したところまでしか……。」
「だけど、君も当然シリウス・ブラックの名前くらい聞いたことがあるだろう?幾ら大人たちの喧嘩があったからって、あんなに危険な奴がアズカバンの外にいるっていうのに、どうしてそんなこと」
フォーラはロンがそのように真剣に問い詰めてくるとは思わず、少し身を竦めた。
「……お爺様と
フォーラは昨日の屋敷での事を思い出して少々物悲しそうな表情を見せた。
「お爺様はお酒が入った勢いで、父様が完全な純血主義でないのは狂っていると罵ったわ。だけど父様と母様は、純血主義や反純血主義のどちらでもないの。それぞれの考えを誰かに押し付けるべきではないと思っているし、人付き合いを有利にこなすには、それが一番だって。だから父様は―――」
するとフォーラは突然続きを話すのを止めてしまった。幾らロンが命の恩人だとはいえ、まだ関係にわだかまりのある彼に、聞かれてもいない話を自分から進んでしていると気付いたからだ。彼女の話が中断されてロンは首を傾げた。
「……ごめんなさい。何でもないの。どんな理由があれ、一人で出歩くなんて貴方の言うとおり確かに危険だったわね。」
瞳を伏せて静かにそう話したフォーラに、ロンは何と言えばいいのか分からなかった。ただ、その大人たちの喧嘩に関する話を聞いて分かったことは、フォーラの家族は純血主義の人々の中に上手く身を置くために苦労しているのだろうということだった。
(ファントムの両親はスリザリンらしいけど、マルフォイみたいなのじゃないってことだよな……)
ロンは初めてホグワーツ特急でフォーラと出会った時に、ドラコと一緒にいるだけで彼女を純血主義だと決めつけたことを後悔していた。
「……ん?ねえファントム、あそこを見て」
すると不意にロンが西に続く森の方を指差した。彼の言葉にフォーラも顔を上げてそちらを見た。
「あれって梟かな」遠くの方で豆粒のように小さく見える鳥が、こちらに向かって飛んでくるのが確かに確認できた。フォーラがよく目を凝らして見ると、徐々に大きくなるその鳥には見覚えがあった。
「エドガーだわ」