11. 仲違いの終わり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
満月の日の翌朝、ドラコが談話室に下りていくとフォーラは既に起き出していて、部屋の一角にあるソファに座って眠そうに目を擦っていた。
「フォーラ、おはよう」
彼女はドラコの声に反応して挨拶を返した。すると彼は手にしていた毛布を彼女の方へ差し出した。
「これ、ありがとう。昨日は気が付いたら談話室で寝ていたんだ」
「ううん、いいのよ。偶然貴方を見かけたの。風邪を引いていなさそうでよかったわ。でも、ちゃんとベッドで寝なきゃ駄目じゃない。」フォーラが毛布を受け取りながらそのように言うと、ドラコはしどろもどろになりつつも謝罪した。
「それにしても、僕がソファで眠った後に談話室に下りてくるなんて、夜も遅かっただろう。君は眠れなかったのか?今も眠そうだ」
フォーラは思わずドキリとした。何せ彼女は眠れなかったわけではなく、自らの意志で遅くまで起きて活動していたのだから。それに、夜中に自分が気にかけている人狼の元に黒猫姿で会いにいったなどとドラコに知られたら、きっと彼は相当怒るだろう。いや、それだけでは済まない筈だ。
「そうなの、眠れなくて……。」
フォーラは嘘を吐いてしまった罪悪感から、無意識に少しばかり俯いて口籠ってしまった。ドラコはどうしたのだろうと首を傾げた。
「なんだ、元気がないな。何かあったのか?」
「え!?あ、ううん、そんなことないわ。」フォーラはなるべく自然に見えるような笑みを作った。
(最近のフォーラはたまに様子のおかしい時があるな。この間なんかは顔が真っ赤だったし、今度は無理に笑って見せている。僕としては何かあったなら相談くらいしてほしいけど)
ドラコはこのところ、少しばかりもどかしさのようなものを感じていた。フォーラのことを意識している自覚を持ち始めてから、どうにも彼女に対して余計に過保護な気持ちになってしまうのだ。しかしその考えはよくないとドラコ自身理解していた。以前のホグズミード休暇の日、つまりドラコがフォーラを拒絶して和解したあの日、彼女からは『自分のことを心配しすぎだ』という旨を伝えられたばかりだったからだ。
(そうはいっても、やっぱり最近の様子は気にかかる。それに近頃はフォーラときちんと話す機会もすっかり減ってる。彼女が放課後に一人で術の練習に行ってしまうからだ。例えば二人で少しでも出かけたりできれば、きっと色々落ち着いて話せるし、彼女が悩みや何かを抱えているなら相談にも乗ってあげられるのに)
ドラコがそう思ってふと談話室の掲示板に目をやった時、一枚の新しい貼紙が視界に入った。そこに書かれていたのは、クリスマス前最後のホグズミード行きの日程だった。
(こ、これだ)
「ホグズミード休暇は二週間後なのね。」フォーラもドラコの視線で掲示に気付いたようだった。
「あ、ああ。そうみたいだな」
(どうしよう。心臓がうるさい。たった一言『一緒にホグズミードへ行こう』と誘うだけなのに)
「前はドラコと喧嘩してしまって行けなかったから、今から凄く楽しみよ。」
ドラコが隣に立つフォーラの方を見やれば、彼女は微笑んでこちらを見ていた。その表情から彼女が言葉どおり本当に外出を楽しみにしているのが伺えた。そんな彼女を見ていたら、ドラコの心臓の鼓動がまた少し速まった。
(そ、……そんな顔で、僕を見つめるな!)
ドラコはパッと目の前の掲示に顔を向けてフォーラから目を逸らした。その様子に彼女が首を傾げているのがドラコの視界の端から確認できた。彼は少しの間黙っていたのだが、意を決したのだろう、咳払いをしてから彼女に向き直った。
「あー、フォーラ?」
「なあに?」
ドラコはフォーラと自分の視線がバッチリ合ったことに妙な気恥ずかしさを感じていた。しかし彼は思い切って勢いに任せて言葉を発した。
「ホグズミードに―――その、僕と一緒に行かないか」
するとそれを聞いたフォーラはキョトンとした表情でこちらを見つめていた。ドラコはなかなか返事をくれないフォーラに、羞恥と苛立ちの感情を纏めてぶつけた。
「何だよ、人がせっかく誘ってるのに。……僕と一緒は嫌なのか?」
最初は強気だったドラコの声も、不安感によって仕舞いには寂しさと自信のなさが混じった声色に変化していた。フォーラは相変わらず頭に疑問符を浮かべていた。
「ドラコ?貴方ったら勘違いしているわ。私、そもそもドラコと行こうと思っていたんだもの。その、勝手に当たり前のことだと思っていたから、改めて一緒に行こうと提案してもらって少しだけ驚いてしまって。それで、貴方の質問の『僕と一緒は嫌か』どうかについては私、寧ろドラコと一緒は好きよ。」
「えっ」まさかフォーラにそんなことを言われるとは思わず、ドラコは彼女から顔を背け、じわじわと赤くなっていく顔を見られないよう努めながら返答した。
「あ……そ、そうか。ならいいんだ」
(フォーラが、僕と一緒がいいって、自分から!しかも、これは二人で行くってことでいいのか?そういうことだよな?)
そこへ丁度パンジーとルニーが女子寮から下りてきた。ドラコはフォーラが二人に挨拶をするのを横目に見ながら、にやけそうになる口元を片手で抑えた。
(フォーラと二人なんて、これは……デートってやつだよな?うんそうだ。多分デートだ。何だか恥ずかしい響きだな。いやそれにしても、本当に楽しみだ)
「二人ともおはよう。あのね、今度のホグズミードの日程が決まったみたいなの。たった今ドラコと話していたのだけど、みんなで行きましょう?」
「「行くわ!」」
「えっ」ドラコは突然の不意打ちに驚いてしまった。すると目の前の女子三人がこちらを振り向いて、どうしたのだろうといった視線を向けてきた。そのためドラコは困惑した表情を直ぐに取り去り、咳払いをして「何でもない」と答えた。そしてその場を離れて一足先に朝食会場の大広間へ向かった。
(た……確かにフォーラは二人でとは言ってなかったけど、でも、それにしたって)
「ああ、くそっ」
ドラコは自分の早とちりによってとてつもない羞恥心に襲われていた。そのため彼は肌寒い廊下では冷ませない程に頬を火照らせたまま、周囲の人々を縫うようにして廊下を進んでいったのだった。
「フォーラ、おはよう」
彼女はドラコの声に反応して挨拶を返した。すると彼は手にしていた毛布を彼女の方へ差し出した。
「これ、ありがとう。昨日は気が付いたら談話室で寝ていたんだ」
「ううん、いいのよ。偶然貴方を見かけたの。風邪を引いていなさそうでよかったわ。でも、ちゃんとベッドで寝なきゃ駄目じゃない。」フォーラが毛布を受け取りながらそのように言うと、ドラコはしどろもどろになりつつも謝罪した。
「それにしても、僕がソファで眠った後に談話室に下りてくるなんて、夜も遅かっただろう。君は眠れなかったのか?今も眠そうだ」
フォーラは思わずドキリとした。何せ彼女は眠れなかったわけではなく、自らの意志で遅くまで起きて活動していたのだから。それに、夜中に自分が気にかけている人狼の元に黒猫姿で会いにいったなどとドラコに知られたら、きっと彼は相当怒るだろう。いや、それだけでは済まない筈だ。
「そうなの、眠れなくて……。」
フォーラは嘘を吐いてしまった罪悪感から、無意識に少しばかり俯いて口籠ってしまった。ドラコはどうしたのだろうと首を傾げた。
「なんだ、元気がないな。何かあったのか?」
「え!?あ、ううん、そんなことないわ。」フォーラはなるべく自然に見えるような笑みを作った。
(最近のフォーラはたまに様子のおかしい時があるな。この間なんかは顔が真っ赤だったし、今度は無理に笑って見せている。僕としては何かあったなら相談くらいしてほしいけど)
ドラコはこのところ、少しばかりもどかしさのようなものを感じていた。フォーラのことを意識している自覚を持ち始めてから、どうにも彼女に対して余計に過保護な気持ちになってしまうのだ。しかしその考えはよくないとドラコ自身理解していた。以前のホグズミード休暇の日、つまりドラコがフォーラを拒絶して和解したあの日、彼女からは『自分のことを心配しすぎだ』という旨を伝えられたばかりだったからだ。
(そうはいっても、やっぱり最近の様子は気にかかる。それに近頃はフォーラときちんと話す機会もすっかり減ってる。彼女が放課後に一人で術の練習に行ってしまうからだ。例えば二人で少しでも出かけたりできれば、きっと色々落ち着いて話せるし、彼女が悩みや何かを抱えているなら相談にも乗ってあげられるのに)
ドラコがそう思ってふと談話室の掲示板に目をやった時、一枚の新しい貼紙が視界に入った。そこに書かれていたのは、クリスマス前最後のホグズミード行きの日程だった。
(こ、これだ)
「ホグズミード休暇は二週間後なのね。」フォーラもドラコの視線で掲示に気付いたようだった。
「あ、ああ。そうみたいだな」
(どうしよう。心臓がうるさい。たった一言『一緒にホグズミードへ行こう』と誘うだけなのに)
「前はドラコと喧嘩してしまって行けなかったから、今から凄く楽しみよ。」
ドラコが隣に立つフォーラの方を見やれば、彼女は微笑んでこちらを見ていた。その表情から彼女が言葉どおり本当に外出を楽しみにしているのが伺えた。そんな彼女を見ていたら、ドラコの心臓の鼓動がまた少し速まった。
(そ、……そんな顔で、僕を見つめるな!)
ドラコはパッと目の前の掲示に顔を向けてフォーラから目を逸らした。その様子に彼女が首を傾げているのがドラコの視界の端から確認できた。彼は少しの間黙っていたのだが、意を決したのだろう、咳払いをしてから彼女に向き直った。
「あー、フォーラ?」
「なあに?」
ドラコはフォーラと自分の視線がバッチリ合ったことに妙な気恥ずかしさを感じていた。しかし彼は思い切って勢いに任せて言葉を発した。
「ホグズミードに―――その、僕と一緒に行かないか」
するとそれを聞いたフォーラはキョトンとした表情でこちらを見つめていた。ドラコはなかなか返事をくれないフォーラに、羞恥と苛立ちの感情を纏めてぶつけた。
「何だよ、人がせっかく誘ってるのに。……僕と一緒は嫌なのか?」
最初は強気だったドラコの声も、不安感によって仕舞いには寂しさと自信のなさが混じった声色に変化していた。フォーラは相変わらず頭に疑問符を浮かべていた。
「ドラコ?貴方ったら勘違いしているわ。私、そもそもドラコと行こうと思っていたんだもの。その、勝手に当たり前のことだと思っていたから、改めて一緒に行こうと提案してもらって少しだけ驚いてしまって。それで、貴方の質問の『僕と一緒は嫌か』どうかについては私、寧ろドラコと一緒は好きよ。」
「えっ」まさかフォーラにそんなことを言われるとは思わず、ドラコは彼女から顔を背け、じわじわと赤くなっていく顔を見られないよう努めながら返答した。
「あ……そ、そうか。ならいいんだ」
(フォーラが、僕と一緒がいいって、自分から!しかも、これは二人で行くってことでいいのか?そういうことだよな?)
そこへ丁度パンジーとルニーが女子寮から下りてきた。ドラコはフォーラが二人に挨拶をするのを横目に見ながら、にやけそうになる口元を片手で抑えた。
(フォーラと二人なんて、これは……デートってやつだよな?うんそうだ。多分デートだ。何だか恥ずかしい響きだな。いやそれにしても、本当に楽しみだ)
「二人ともおはよう。あのね、今度のホグズミードの日程が決まったみたいなの。たった今ドラコと話していたのだけど、みんなで行きましょう?」
「「行くわ!」」
「えっ」ドラコは突然の不意打ちに驚いてしまった。すると目の前の女子三人がこちらを振り向いて、どうしたのだろうといった視線を向けてきた。そのためドラコは困惑した表情を直ぐに取り去り、咳払いをして「何でもない」と答えた。そしてその場を離れて一足先に朝食会場の大広間へ向かった。
(た……確かにフォーラは二人でとは言ってなかったけど、でも、それにしたって)
「ああ、くそっ」
ドラコは自分の早とちりによってとてつもない羞恥心に襲われていた。そのため彼は肌寒い廊下では冷ませない程に頬を火照らせたまま、周囲の人々を縫うようにして廊下を進んでいったのだった。