9. ジョージの災難
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そうして双子が朝食を摂り終えた頃、どういうわけかジョージはおもむろに勢いよく立ち上がった。その拍子に隣にいたフレッドが驚いて椅子から転げ落ちそうになった。
「おい!ジョージ、驚かせる……な……」
フレッドが見上げたジョージの表情は、心の底から何かを決意したようなものだった。それはまるで本当に今から告白でもしにいくのかと聞きたくなるような感じで、それに伴う羞恥心もその表情に含まれているように見えた。そんなジョージ本人はぼんやりと思考を巡らせていた。
(ああ、だめだ。そんなに物が喉を通らなかった。もう飯より何より、早くフォーラのところへ行きたい……。それから凄く抱きしめたい。フォーラ!)
ジョージはそのような謎の衝動に駆られ、勢いに任せて先程までフォーラがいた辺りの席を振り返った。しかし残念ながらもう既にそこには彼女の姿はなかった。
がっくりと項垂れる挙動不審なジョージを見て、フレッドはいよいよ彼をマダム・ポンフリーのところに連れていこうと決心した。すると、何とその隙にジョージは大広間を勢いよく出ていってしまったではないか。フレッドはジョージを引き留める間もなく、あまりにも様子のおかしい双子の片割れに対して嫌な予感がせずにはいられなかった。
(多分、これは俺の勘だけどさ……奴を追いかけた方がいいと思わないか?確実に)
「ああもうまったく」
フレッドはもうすっかりいなくなってしまったジョージを捕まえるため、彼もまた急いで大広間を出たのだった。
それから少し経った頃。フォーラは友人たちが各自自由行動を取る兼ね合いで解散した後、こっそりアニメーガスになる練習をするために、例の人気のない階段の踊り場の手前までやって来ていた。
(全身を変身させるコツがいまいち掴めないのよね……。どうすればいいのかしら?)
ここ最近のフォーラは随分煮詰まっていた。猫の耳や尻尾はもう生やすことができたものの、どうしても完全な猫に変身できないのだ。恐らく練習の仕方に問題があるのは何となく分かっていたが、本を参考にしても改善の方法は中々見つからなかった。
フォーラはそれらを歩きながら思案していたため、階段の一番下の段が目前に迫っていたことに全く気付かなかった。そのせいで彼女は段差に躓 き、両手を前に突き出す形でその場につんのめってしまったのだった。
「きゃっ……!」
このままでは階段に倒れ込んでしまう。フォーラがそう思った丁度その時、彼女の身体に去年のクリスマスやこの間の夏休みの時と同じ感覚が走った。フォーラが階段に倒れるまでの間に彼女の身体はたちまち小さくなり、同時に身体中が黒い艶やかな毛で覆われた。そして黒い手足の先には鋭い爪が生え、黒い耳がぴんと立った。そして仕舞いには、頬や眉の辺りに敏感なセンサーのような髭も何本か生えた。それらは本当に一瞬の出来事で、スタッと四本足で階段に着地した黒猫、もといフォーラは今起こった事に大変驚いていた。
(で、できた……!?)
できたと言うには随分偶然の産物ではあった。しかし身体を見渡す限り、確実に今の自分は黒猫で間違いなさそうだった。フォーラは興奮で速まる動悸を落ち着かせようと、何故今自分が上手く変身できたのか考えを巡らせた。
(私、たった今ここで転びそうになって、それで……両手を前に突き出していたわ。もしかすると猫がジャンプしているようだったかもしれない。―――そうだわ、そもそも猫は四足歩行よ。それなら今みたいにすれば自然と猫になれるということかしら?)
となると逆に人の姿に戻るとしたらどうだろうか?試しにフォーラは人になることをイメージしつつ、後脚だけで立ってみることにした。ヒョイと立ち上がってみると、何とその過程でみるみる自分の身体が人の姿に戻っていくではないか。そして次に瞬きする頃には、彼女はきちんと靴を履いて服を着た状態でその場に立っていて、彼女の全身は何事もなかったかのようにすっかり元どおりだった。
「こ、これは……やったわ!できたのね……!」
フォーラは再び猫に変身してみた。先程のような偶然ではなく自分の意志で、猫が跳ねるように両手を前に突き出し、自分は猫だと強く思いながら前に勢いよく倒れた―――というよりも最早倒れ始めた頃には既に猫になっていたと言う方が正しい。フォーラは大きな瞳で自分の身体を再度くるくると見回した。彼女はこんなにも早くアニメーガスの力を習得できたことがあまりにも嬉しくて、酷く驚いて、兎に角気分が高揚した。実際、彼女の習得の早さは傍からすれば才能と言っても過言ではなかっただろう。
フォーラはそのままの姿で周囲を見渡してみた。地面に近い位置に視線があるせいで普段の景色が随分と違って見えた。例えばふと視界に入った窓辺はこの小さな体には少々高すぎるように感じた。普段なら窓の一番下の縁が肘を置けるくらいの位置にあるというのに。彼女が城の中の飼い猫たちを思い出してみると、猫たちは大抵、今フォーラがいる位置から容易に窓辺までジャンプして飛び乗ることができていた。
フォーラは好奇心に身を任せ、自分もホグワーツの猫たちと同じように窓の縁に向かって後ろ足を蹴って飛んでみた。残念ながら一回目は上手く身体の感覚が掴めず、目的地に飛び乗ることはできなかった。しかし二度目に挑戦してみると、彼女は普段の自分にはあり得ない跳躍力を抜群に発揮して、軽々と窓辺の出っ張りに着地した。
(これは、なんというか……凄く楽しい……!)
フォーラは自分の中に沸々とした高揚感が更に湧き上がるのを感じずにはいられなかった。するとその拍子に窓に映った自分が視界に入った。今自分は本当に黒猫の姿なのだと視認することで、彼女はより一層アニメーガスの力を手に入れたことを実感した。
「おい!ジョージ、驚かせる……な……」
フレッドが見上げたジョージの表情は、心の底から何かを決意したようなものだった。それはまるで本当に今から告白でもしにいくのかと聞きたくなるような感じで、それに伴う羞恥心もその表情に含まれているように見えた。そんなジョージ本人はぼんやりと思考を巡らせていた。
(ああ、だめだ。そんなに物が喉を通らなかった。もう飯より何より、早くフォーラのところへ行きたい……。それから凄く抱きしめたい。フォーラ!)
ジョージはそのような謎の衝動に駆られ、勢いに任せて先程までフォーラがいた辺りの席を振り返った。しかし残念ながらもう既にそこには彼女の姿はなかった。
がっくりと項垂れる挙動不審なジョージを見て、フレッドはいよいよ彼をマダム・ポンフリーのところに連れていこうと決心した。すると、何とその隙にジョージは大広間を勢いよく出ていってしまったではないか。フレッドはジョージを引き留める間もなく、あまりにも様子のおかしい双子の片割れに対して嫌な予感がせずにはいられなかった。
(多分、これは俺の勘だけどさ……奴を追いかけた方がいいと思わないか?確実に)
「ああもうまったく」
フレッドはもうすっかりいなくなってしまったジョージを捕まえるため、彼もまた急いで大広間を出たのだった。
それから少し経った頃。フォーラは友人たちが各自自由行動を取る兼ね合いで解散した後、こっそりアニメーガスになる練習をするために、例の人気のない階段の踊り場の手前までやって来ていた。
(全身を変身させるコツがいまいち掴めないのよね……。どうすればいいのかしら?)
ここ最近のフォーラは随分煮詰まっていた。猫の耳や尻尾はもう生やすことができたものの、どうしても完全な猫に変身できないのだ。恐らく練習の仕方に問題があるのは何となく分かっていたが、本を参考にしても改善の方法は中々見つからなかった。
フォーラはそれらを歩きながら思案していたため、階段の一番下の段が目前に迫っていたことに全く気付かなかった。そのせいで彼女は段差に
「きゃっ……!」
このままでは階段に倒れ込んでしまう。フォーラがそう思った丁度その時、彼女の身体に去年のクリスマスやこの間の夏休みの時と同じ感覚が走った。フォーラが階段に倒れるまでの間に彼女の身体はたちまち小さくなり、同時に身体中が黒い艶やかな毛で覆われた。そして黒い手足の先には鋭い爪が生え、黒い耳がぴんと立った。そして仕舞いには、頬や眉の辺りに敏感なセンサーのような髭も何本か生えた。それらは本当に一瞬の出来事で、スタッと四本足で階段に着地した黒猫、もといフォーラは今起こった事に大変驚いていた。
(で、できた……!?)
できたと言うには随分偶然の産物ではあった。しかし身体を見渡す限り、確実に今の自分は黒猫で間違いなさそうだった。フォーラは興奮で速まる動悸を落ち着かせようと、何故今自分が上手く変身できたのか考えを巡らせた。
(私、たった今ここで転びそうになって、それで……両手を前に突き出していたわ。もしかすると猫がジャンプしているようだったかもしれない。―――そうだわ、そもそも猫は四足歩行よ。それなら今みたいにすれば自然と猫になれるということかしら?)
となると逆に人の姿に戻るとしたらどうだろうか?試しにフォーラは人になることをイメージしつつ、後脚だけで立ってみることにした。ヒョイと立ち上がってみると、何とその過程でみるみる自分の身体が人の姿に戻っていくではないか。そして次に瞬きする頃には、彼女はきちんと靴を履いて服を着た状態でその場に立っていて、彼女の全身は何事もなかったかのようにすっかり元どおりだった。
「こ、これは……やったわ!できたのね……!」
フォーラは再び猫に変身してみた。先程のような偶然ではなく自分の意志で、猫が跳ねるように両手を前に突き出し、自分は猫だと強く思いながら前に勢いよく倒れた―――というよりも最早倒れ始めた頃には既に猫になっていたと言う方が正しい。フォーラは大きな瞳で自分の身体を再度くるくると見回した。彼女はこんなにも早くアニメーガスの力を習得できたことがあまりにも嬉しくて、酷く驚いて、兎に角気分が高揚した。実際、彼女の習得の早さは傍からすれば才能と言っても過言ではなかっただろう。
フォーラはそのままの姿で周囲を見渡してみた。地面に近い位置に視線があるせいで普段の景色が随分と違って見えた。例えばふと視界に入った窓辺はこの小さな体には少々高すぎるように感じた。普段なら窓の一番下の縁が肘を置けるくらいの位置にあるというのに。彼女が城の中の飼い猫たちを思い出してみると、猫たちは大抵、今フォーラがいる位置から容易に窓辺までジャンプして飛び乗ることができていた。
フォーラは好奇心に身を任せ、自分もホグワーツの猫たちと同じように窓の縁に向かって後ろ足を蹴って飛んでみた。残念ながら一回目は上手く身体の感覚が掴めず、目的地に飛び乗ることはできなかった。しかし二度目に挑戦してみると、彼女は普段の自分にはあり得ない跳躍力を抜群に発揮して、軽々と窓辺の出っ張りに着地した。
(これは、なんというか……凄く楽しい……!)
フォーラは自分の中に沸々とした高揚感が更に湧き上がるのを感じずにはいられなかった。するとその拍子に窓に映った自分が視界に入った。今自分は本当に黒猫の姿なのだと視認することで、彼女はより一層アニメーガスの力を手に入れたことを実感した。