8. スネイプの特別な授業
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生徒たちが続々と談話室に戻ってくる中、フォーラも友人たちと部屋に入ったのだが、彼女はとうとう堪 えていた涙を流して声を震わせた。
「ハリーは大丈夫かしら……?まさか、死んでいないわよね?」
普段のドラコであれば、ハリーについては『あいつなんていなくなればいい』という嫌味の一つでも言いそうなものだった。しかし現在のドラコはフォーラが泣き出してしまったのを宥めるのに必死で、流石にハリーの悪態を吐くどころではなかった。
「兎に角泣き止むんだ。ダンブルドアが奴の落下速度を地面スレスレで落としていたから、きっと大丈夫だ」
「そ、そうなの?本当に……?」
「そうよフォーラ。それにね、『例のあの人』でも殺せなかったような奴があれくらいで死なないわよ。大丈夫!ね!」ルニーがそう言ってフォーラの頭をクシャクシャとかき回しながら撫で、顔を上げさせた。フォーラの顔は涙で濡れてはいたが、ルニーの行動に驚いて涙は何とか止まったようだった。
「それに、死んでいたら今頃学校中大騒ぎよ?」パンジーがそのように続いた。
「そう、そうよね。うん……ごめんなさい、取り乱してしまって。」
フォーラは友人たちの言葉によって、涙を拭いながらようやく落ち着きを取り戻したのだった。
その後暫くして、パンジーとルニーは図書室に用があるとかで二人揃っていなくなってしまった。彼女たちの去り際、ルニーがドラコを振り返ってニヤリとしたのを彼は見逃さなかった。
ドラコとフォーラは幾らか騒がしい談話室に残ることになり、ドラコは少々焦る気持ちを落ち着かせるべく肘掛け椅子に深く座り直した。ドラコとしては急にフォーラと二人きりにされてもどうすればいいか分からなかった。何せ彼が彼女への好意を自覚してから二人きりになるのは、ホグズミード休暇の日に彼女と校庭で和解した時の事を除けば初めてだったからだ。
以前は普通に話せていた筈なのに、ドラコはこれまでフォーラとどんな会話をしていたか、どう過ごしていたか、そんな事が頭の中から殆ど消え去っているような気分だった。それ故に彼は自然と自身の心臓の鼓動が速まるのを自覚した。
「ドラコ?」フォーラはそんなドラコの様子に違和感を覚えて声を掛けた。
ドラコはフォーラが涙で赤くなった瞳でこちらを見つめる姿に何だか心をかき乱される気がした。そのせいで彼は彼女を直視できずに視線を外し、いかにも冷静さを保った風の声を発した。
「何だ?」そんなドラコを見たフォーラは、先程までの違和感が杞憂だったと思い直した。
「ううん、何でもないの。ドラコに何か気掛かりな事でもあったのかと思ったけれど、気のせいだったみたい。」
ドラコは何とかその場を誤魔化せたと安堵したものの、二人の間に再び沈黙が訪れた。普段ならフォーラと一緒にいる時にふと訪れる静けさなんて、別に苦ではなかった筈なのだ。それがどうして今はこんなにも気持ちが焦ってしまうのかとドラコは困惑した。
(何か、何でもいいから会話を)
フォーラを意識し始めた途端にこんな調子では何とも格好悪いではないか。この時ドラコは、恋とはこういうものなのかと本当に心の底から実感していた。そんな彼は話題を探す間にフォーラの方を一度チラと盗み見た。彼女はもうすっかり涙を流していなかったが、まだその瞳は赤く潤んでいた。
(それにしてもフォーラのやつ、ポッターにまで涙を流すとは。全くどれだけお人好しなんだ)
ドラコはそこまで考えて、話題作りのためとはいえ、ふとよくない考えが浮かんだ。
(もし……もしもだ。僕が今回のポッターのようになったら、彼女はどんな風になってしまうんだろう?今みたいに泣いて心配してくれるだろうか?それとも、それ以上に?)
「どうしたの?」ドラコの何か言いたげな様子にフォーラが声を掛けた。ドラコは少々躊躇いを見せた後、意を決して彼女に尋ねた。
「少し気になったんだが、もし僕がポッターみたいに―――そもそも僕があんな失態を晒すなんてあり得ないが―――僕が今回のポッターみたいに箒から落ちてしまったら、君はどう思う?」
ドラコが静かにそう言った後でフォーラを見やると、彼女はこちらをじっと見て動かずにいたものだから、彼は思わずたじろいだ。
「な、何だよ」
「だって、何てことを質問するんだろうって思ったの。」そう言って笑ったフォーラの表情には、やや困惑の色が伺えた。「そうね……やっぱり、凄く泣いてしまうと思うわ。」
「そ、そうか」
(ポッターの時よりも、ということでいいのか?もしそうなら嬉しいが……。それとも同じ程度の心配だろうか?どちらにせよ、それは僕がフォーラに向ける感情とは種類が違うんだろう。僕の方は、もし彼女に何かあったとしたら、きっと他の友人が同じ目に遭う以上に心配してしまう自信がある)
すると不意にフォーラがドラコの服の袖を軽く引いた。それに気付いたドラコが首を傾げて彼女を見やると、二人の視線が重なった。
「ドラコも、箒に乗るときは絶対に気をつけてね。私、ドラコが箒から落ちてしまったり怪我してしまったりするのは本当に耐えられない。想像もしたくないくらいなんだから。」
ドラコには目の前のフォーラが心の底からそのように思ってくれているのが伝わってきた。そのため彼は嬉しくて照れくさくて、思わずそっぽを向いた。
「あ、ああ、気をつけるよ。君に泣かれちゃ、たまったものじゃないからね」
(フォーラが僕をそういう目で見ていなくったって、こんなにも特別に想われていることは十分理解できる。今はそれで十分だ。今はまだ……)
「ハリーは大丈夫かしら……?まさか、死んでいないわよね?」
普段のドラコであれば、ハリーについては『あいつなんていなくなればいい』という嫌味の一つでも言いそうなものだった。しかし現在のドラコはフォーラが泣き出してしまったのを宥めるのに必死で、流石にハリーの悪態を吐くどころではなかった。
「兎に角泣き止むんだ。ダンブルドアが奴の落下速度を地面スレスレで落としていたから、きっと大丈夫だ」
「そ、そうなの?本当に……?」
「そうよフォーラ。それにね、『例のあの人』でも殺せなかったような奴があれくらいで死なないわよ。大丈夫!ね!」ルニーがそう言ってフォーラの頭をクシャクシャとかき回しながら撫で、顔を上げさせた。フォーラの顔は涙で濡れてはいたが、ルニーの行動に驚いて涙は何とか止まったようだった。
「それに、死んでいたら今頃学校中大騒ぎよ?」パンジーがそのように続いた。
「そう、そうよね。うん……ごめんなさい、取り乱してしまって。」
フォーラは友人たちの言葉によって、涙を拭いながらようやく落ち着きを取り戻したのだった。
その後暫くして、パンジーとルニーは図書室に用があるとかで二人揃っていなくなってしまった。彼女たちの去り際、ルニーがドラコを振り返ってニヤリとしたのを彼は見逃さなかった。
ドラコとフォーラは幾らか騒がしい談話室に残ることになり、ドラコは少々焦る気持ちを落ち着かせるべく肘掛け椅子に深く座り直した。ドラコとしては急にフォーラと二人きりにされてもどうすればいいか分からなかった。何せ彼が彼女への好意を自覚してから二人きりになるのは、ホグズミード休暇の日に彼女と校庭で和解した時の事を除けば初めてだったからだ。
以前は普通に話せていた筈なのに、ドラコはこれまでフォーラとどんな会話をしていたか、どう過ごしていたか、そんな事が頭の中から殆ど消え去っているような気分だった。それ故に彼は自然と自身の心臓の鼓動が速まるのを自覚した。
「ドラコ?」フォーラはそんなドラコの様子に違和感を覚えて声を掛けた。
ドラコはフォーラが涙で赤くなった瞳でこちらを見つめる姿に何だか心をかき乱される気がした。そのせいで彼は彼女を直視できずに視線を外し、いかにも冷静さを保った風の声を発した。
「何だ?」そんなドラコを見たフォーラは、先程までの違和感が杞憂だったと思い直した。
「ううん、何でもないの。ドラコに何か気掛かりな事でもあったのかと思ったけれど、気のせいだったみたい。」
ドラコは何とかその場を誤魔化せたと安堵したものの、二人の間に再び沈黙が訪れた。普段ならフォーラと一緒にいる時にふと訪れる静けさなんて、別に苦ではなかった筈なのだ。それがどうして今はこんなにも気持ちが焦ってしまうのかとドラコは困惑した。
(何か、何でもいいから会話を)
フォーラを意識し始めた途端にこんな調子では何とも格好悪いではないか。この時ドラコは、恋とはこういうものなのかと本当に心の底から実感していた。そんな彼は話題を探す間にフォーラの方を一度チラと盗み見た。彼女はもうすっかり涙を流していなかったが、まだその瞳は赤く潤んでいた。
(それにしてもフォーラのやつ、ポッターにまで涙を流すとは。全くどれだけお人好しなんだ)
ドラコはそこまで考えて、話題作りのためとはいえ、ふとよくない考えが浮かんだ。
(もし……もしもだ。僕が今回のポッターのようになったら、彼女はどんな風になってしまうんだろう?今みたいに泣いて心配してくれるだろうか?それとも、それ以上に?)
「どうしたの?」ドラコの何か言いたげな様子にフォーラが声を掛けた。ドラコは少々躊躇いを見せた後、意を決して彼女に尋ねた。
「少し気になったんだが、もし僕がポッターみたいに―――そもそも僕があんな失態を晒すなんてあり得ないが―――僕が今回のポッターみたいに箒から落ちてしまったら、君はどう思う?」
ドラコが静かにそう言った後でフォーラを見やると、彼女はこちらをじっと見て動かずにいたものだから、彼は思わずたじろいだ。
「な、何だよ」
「だって、何てことを質問するんだろうって思ったの。」そう言って笑ったフォーラの表情には、やや困惑の色が伺えた。「そうね……やっぱり、凄く泣いてしまうと思うわ。」
「そ、そうか」
(ポッターの時よりも、ということでいいのか?もしそうなら嬉しいが……。それとも同じ程度の心配だろうか?どちらにせよ、それは僕がフォーラに向ける感情とは種類が違うんだろう。僕の方は、もし彼女に何かあったとしたら、きっと他の友人が同じ目に遭う以上に心配してしまう自信がある)
すると不意にフォーラがドラコの服の袖を軽く引いた。それに気付いたドラコが首を傾げて彼女を見やると、二人の視線が重なった。
「ドラコも、箒に乗るときは絶対に気をつけてね。私、ドラコが箒から落ちてしまったり怪我してしまったりするのは本当に耐えられない。想像もしたくないくらいなんだから。」
ドラコには目の前のフォーラが心の底からそのように思ってくれているのが伝わってきた。そのため彼は嬉しくて照れくさくて、思わずそっぽを向いた。
「あ、ああ、気をつけるよ。君に泣かれちゃ、たまったものじゃないからね」
(フォーラが僕をそういう目で見ていなくったって、こんなにも特別に想われていることは十分理解できる。今はそれで十分だ。今はまだ……)