7. 秘密のアニメーガス
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それからの数日間は学校中がシリウス・ブラックの話でもちきりだった。どうやって城に入り込んだのか、話に尾ひれが付いてどんどん大きくなった。そしてそんな校内の騒めきと共に天候は着実に悪くなり、暫くの間は激しい雨が降り続いた。
そんなある日の午前中最後のスリザリンの授業は変身術だった。フォーラにとって変身術は一番得意と言っても過言ではない科目だった。担当教員のマクゴナガルは教壇に立つと口を開いた。
「今日の授業は『動物もどき 』についてです。みなさん、教科書の一〇七ページを開いて」
アニメーガスとは、人の意識を保ったまま動物に変身できる魔法使いや魔女のことを指す。通常、変身術で動物に変身すると、その人は自分の意志では元の姿に戻れなくなってしまう。しかしアニメーガスにはそれができるのだ。マクゴナガルもトラ猫に変身できるアニメーガスの一人だ。
マクゴナガルがアニメーガスに関する説明を終えると、彼女が「実際に変身してみせるのでよく見ておくように」と生徒たちに伝えた。フォーラはその瞬間をワクワクして待った。そしてマクゴナガルは杖もなく身一つであっという間にトラ猫に変身し、教壇の上を四つ足でウロウロした後、再び元の人の姿に戻った。この一連の動作にはクラス中から拍手が起こった。杖を使っていない時点で、誰から見てもこの魔法はそうそう簡単に習得できるものではないと感じさせられた。
フォーラも他の生徒同様、マクゴナガルが変身した途端一気に驚きを交えた笑顔になり、その素晴らしさに拍手を贈ろうとした―――その時だった。
先生が猫から人の姿に戻る際、妙な目眩がフォーラを襲い、突如として彼女の頭の中でフラッシュバックが起こったのだ。フォーラは何とかふらつく身体を椅子の背にもたれて支え、誰からもその事がばれないように耐えた。しかし彼女の顔色は先程より随分と青くなっていた。
「……っ」
フォーラの頭の中に流れた走馬灯のようなものは、彼女がいきなり黒猫の姿になってしまい、マグルに捕まり、車の荷台の檻に他の動物と一緒に入れられた記憶だった。マクゴナガルの変身を見て、フォーラはこれまでショックで失っていた記憶を完全に取り戻したのだ。何とか檻から出てそのまま土の上に倒れてしまった時のことまでも。
(私、あの時……。そうだわ、去年のクリスマスと同じ事が自分の身に起こっていたんだわ。だからルーピン先生のボガートの授業の時、私が怖いと思う物としてマグルの車が出てきたのね。……何だか一気に思い出してしまったせいかしら、頭が痛い……)
「ミス・ファントム、顔色が優れないようですが、大丈夫ですか?」マクゴナガルの問いかけにクラス中が一斉にこちらを向いたので、驚いたフォーラは咄嗟に返答した。
「あっ、大丈夫です!」
「そうですか?それなら構いませんが、何かあれば直ぐに言ってください。さて―――他にも、ウサギや鳥なんかに変身できる魔法族がいますが、そういった人は限られています。くれぐれも魔法で自分を動物にするような愚かな真似はしないよう―――」
(マクゴナガル先生が猫に変身したように、私も……アニメーガスなの?)
しかし例えそうだとしても、変身したい時にそれができないのでは意味がなかった。とはいえフォーラは一先ず、去年のクリスマスや今年の夏休みに起こった不可解な出来事の原因が分かったことに安堵したのだった。
授業終わりにドラコはフォーラの様子を尋ねた。
「フォーラ、もう体調は大丈夫か?」
「ええ大丈夫よ。心配してくれてありがとう。」
ドラコはフォーラの顔色が授業中よりは遥かに良くなっていたこともあり、彼女の言葉に納得した。
「あっ……そういえば私、今日の授業のことで先生に質問があって。長くなってしまうかもしれないから、先に大広間に行ってみんなで昼食を始めておいてほしいの。」
「?ああ分かった。そうするよ」
その後、ドラコや友人らはフォーラを残して教室を出た。その際ドラコは一度教室の方を振り返ったのだが、もうフォーラの表情は後ろを向いていて確認することはできなかった。
(フォーラのさっきの表情……何となく不安そうに見えた気がするが、気のせいだったか?)
「あの……先生。」
「どうかしましたか?ミス・ファントム。そういえばもう顔色は大丈夫そうですね?」
「あ、はい!ご心配をおかけしてすみません。それでその、授業のことで質問があって来ました。もしよければ、先生がアニメーガスになった時の話をお聞かせ願いたいのですが……どうでしょうか?」
マクゴナガルはフォーラのような変身術の得意な生徒に興味を持ってもらえたことを嬉しく思い、快く頷いた。
「ええ、勿論いいですとも。大広間に向かいながら話しましょう」
それから暫く後、フォーラはマクゴナガルと共に大広間に入った後でお礼を伝えて別れた。フォーラはスリザリン寮のテーブルまで小走りでやってくると、ドラコたちの近くの席に納まった。
「おまたせ!」
「ああ、早かったな。先生と一緒に来たのか」
「ええ、そうよ!」
ドラコはフォーラの溌溂とした声に驚いた。彼はフォーラがこんなに弾むような声色で元気に話す姿を珍しいと思った。きっと好きな科目の話を聞けて喜んでいるのだろう。ドラコも友人らもそのように感じていた。
フォーラは大広間に到着するまでの道中、マクゴナガルからアニメーガスに関する話を色々と教えてもらった。アニメーガスというのは自力で一から努力して習得するもので、基本的には先に兆候を得ることはないという。そして大半の魔法族は習得に長い時間が掛かるそうだ。中には何年も経ってからようやく成功する人もいるらしい。マクゴナガルも完全にアニメーガスの力を習得する頃には、幾らかの季節が過ぎていたそうだ。
そんなある日の午前中最後のスリザリンの授業は変身術だった。フォーラにとって変身術は一番得意と言っても過言ではない科目だった。担当教員のマクゴナガルは教壇に立つと口を開いた。
「今日の授業は『
アニメーガスとは、人の意識を保ったまま動物に変身できる魔法使いや魔女のことを指す。通常、変身術で動物に変身すると、その人は自分の意志では元の姿に戻れなくなってしまう。しかしアニメーガスにはそれができるのだ。マクゴナガルもトラ猫に変身できるアニメーガスの一人だ。
マクゴナガルがアニメーガスに関する説明を終えると、彼女が「実際に変身してみせるのでよく見ておくように」と生徒たちに伝えた。フォーラはその瞬間をワクワクして待った。そしてマクゴナガルは杖もなく身一つであっという間にトラ猫に変身し、教壇の上を四つ足でウロウロした後、再び元の人の姿に戻った。この一連の動作にはクラス中から拍手が起こった。杖を使っていない時点で、誰から見てもこの魔法はそうそう簡単に習得できるものではないと感じさせられた。
フォーラも他の生徒同様、マクゴナガルが変身した途端一気に驚きを交えた笑顔になり、その素晴らしさに拍手を贈ろうとした―――その時だった。
先生が猫から人の姿に戻る際、妙な目眩がフォーラを襲い、突如として彼女の頭の中でフラッシュバックが起こったのだ。フォーラは何とかふらつく身体を椅子の背にもたれて支え、誰からもその事がばれないように耐えた。しかし彼女の顔色は先程より随分と青くなっていた。
「……っ」
フォーラの頭の中に流れた走馬灯のようなものは、彼女がいきなり黒猫の姿になってしまい、マグルに捕まり、車の荷台の檻に他の動物と一緒に入れられた記憶だった。マクゴナガルの変身を見て、フォーラはこれまでショックで失っていた記憶を完全に取り戻したのだ。何とか檻から出てそのまま土の上に倒れてしまった時のことまでも。
(私、あの時……。そうだわ、去年のクリスマスと同じ事が自分の身に起こっていたんだわ。だからルーピン先生のボガートの授業の時、私が怖いと思う物としてマグルの車が出てきたのね。……何だか一気に思い出してしまったせいかしら、頭が痛い……)
「ミス・ファントム、顔色が優れないようですが、大丈夫ですか?」マクゴナガルの問いかけにクラス中が一斉にこちらを向いたので、驚いたフォーラは咄嗟に返答した。
「あっ、大丈夫です!」
「そうですか?それなら構いませんが、何かあれば直ぐに言ってください。さて―――他にも、ウサギや鳥なんかに変身できる魔法族がいますが、そういった人は限られています。くれぐれも魔法で自分を動物にするような愚かな真似はしないよう―――」
(マクゴナガル先生が猫に変身したように、私も……アニメーガスなの?)
しかし例えそうだとしても、変身したい時にそれができないのでは意味がなかった。とはいえフォーラは一先ず、去年のクリスマスや今年の夏休みに起こった不可解な出来事の原因が分かったことに安堵したのだった。
授業終わりにドラコはフォーラの様子を尋ねた。
「フォーラ、もう体調は大丈夫か?」
「ええ大丈夫よ。心配してくれてありがとう。」
ドラコはフォーラの顔色が授業中よりは遥かに良くなっていたこともあり、彼女の言葉に納得した。
「あっ……そういえば私、今日の授業のことで先生に質問があって。長くなってしまうかもしれないから、先に大広間に行ってみんなで昼食を始めておいてほしいの。」
「?ああ分かった。そうするよ」
その後、ドラコや友人らはフォーラを残して教室を出た。その際ドラコは一度教室の方を振り返ったのだが、もうフォーラの表情は後ろを向いていて確認することはできなかった。
(フォーラのさっきの表情……何となく不安そうに見えた気がするが、気のせいだったか?)
「あの……先生。」
「どうかしましたか?ミス・ファントム。そういえばもう顔色は大丈夫そうですね?」
「あ、はい!ご心配をおかけしてすみません。それでその、授業のことで質問があって来ました。もしよければ、先生がアニメーガスになった時の話をお聞かせ願いたいのですが……どうでしょうか?」
マクゴナガルはフォーラのような変身術の得意な生徒に興味を持ってもらえたことを嬉しく思い、快く頷いた。
「ええ、勿論いいですとも。大広間に向かいながら話しましょう」
それから暫く後、フォーラはマクゴナガルと共に大広間に入った後でお礼を伝えて別れた。フォーラはスリザリン寮のテーブルまで小走りでやってくると、ドラコたちの近くの席に納まった。
「おまたせ!」
「ああ、早かったな。先生と一緒に来たのか」
「ええ、そうよ!」
ドラコはフォーラの溌溂とした声に驚いた。彼はフォーラがこんなに弾むような声色で元気に話す姿を珍しいと思った。きっと好きな科目の話を聞けて喜んでいるのだろう。ドラコも友人らもそのように感じていた。
フォーラは大広間に到着するまでの道中、マクゴナガルからアニメーガスに関する話を色々と教えてもらった。アニメーガスというのは自力で一から努力して習得するもので、基本的には先に兆候を得ることはないという。そして大半の魔法族は習得に長い時間が掛かるそうだ。中には何年も経ってからようやく成功する人もいるらしい。マクゴナガルも完全にアニメーガスの力を習得する頃には、幾らかの季節が過ぎていたそうだ。