1. マグルと車と一匹の猫
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それを聞いてフォーラはロンを見つめた。彼は自分の顔がみるみる赤くなっていくのを感じた。フォーラはまだ殆ど現状を掴めていなかったが、自分を助けてくれた彼にお礼を言った。
「……ロナルド、ありがとう……。」フォーラはまだ頭が混乱していて笑顔を向けられなかったが、それでもロンは十分嬉しそうだった。
「い、いや、いいんだ。それより、なんで君は倒れてたの?」
「私……。」
フォーラは続きの言葉が出てこなかった。自分は倒れていたらしい。しかし何故倒れていた?倒れる前に一体何があった?それらはフォーラの記憶には全く残っていなかった。祖父母の屋敷を出たところで記憶は止まっていた。
「……分からないの。祖父母のところにいて、私だけ屋敷を出たわ。その後なにがあったのか分からない……覚えてないもの……。」フォーラが少し泣き出しそうな顔で言ったものだから、その表情に三人とも狼狽えた。しかしジョージが何とか彼女を宥めた。
「だ、大丈夫さフォーラ。今、母さんが君の両親に手紙を書いてる。ふくろう便が着き次第、君の両親は君を迎えにくる筈さ」
そしてジョージはフォーラの頭をよしよしと撫でた。知らない土地に一人でいるのがつらいのは当たり前だろう。
「っう……グスッ……うん、ありがとう、ジョージ……。」
「!」ジョージはそのまま硬直してしまった。何故ならフォーラが彼の服をキュッと掴み、頭を彼の胸にもたれ掛けて泣いていたからだ。
「ロン、後はジョージに任せようぜ。あんまり人が多いのもアレだろ」
フレッドはロンが複雑そうな表情をしているのを見かねてそのように提案すると、一緒に上階へと連れ立った。その際にフレッドがリビングの方を軽く振り返ってみると、フォーラの姿は先程よりも随分つらそうに見えたのだった。
ジョージは突然二人きりになってしまってどうすればいいのか分からなかったし、いつもよりうるさい心臓の音がフォーラに聞こえやしないかとハラハラした。しかし彼はそんな自分のことよりも、目の前でうずくまって泣く彼女の頭や背中をひたすら撫で続けることに集中した。
それからどれ程経っただろうか。フォーラはやがて泣き止むと、ようやく身体をジョージから離して座り直した。ジョージも彼女を撫でていた手を離した。
「……ふ……ヒック……ジョージ、ありがとう……それから、ごめんなさい。」
「いや、いいんだ。気にするなよ。それより目が赤い。涙、拭いたほうがいいぜ」ジョージが近くにあったタオルでフォーラの涙を拭った。
「迷惑かけてばかりだわ……本当にごめんなさい……。」
ジョージはフォーラに近付いて涙を拭いていたせいで、彼女の潤んだ瞳が間近にこちらを見上げていて言葉に詰まったし、自分の心臓から変な動悸がするのを感じた。彼は一度視線を泳がせた後で、再び彼女に落ち着いた風を装った目を向けた。
「大丈夫だよ。俺は全然、君に関して迷惑だなんて思ったことは―――」ジョージがそのように言いかけた時、丁度上階から下りてきたモリーが、ジョージの言葉に被せるようにして声を掛けた。
「ジョージ、その子もう目が覚めたのね!よかったわ!ちょっとフレッド邪魔よ、さっさとどいて!」
「何だよママ、いいとこだったのに!」
どうやらフレッドは二人の様子をずっと階段の上の方から見守っていたらしかった。ジョージは一部始終見られていたことへの恥ずかしさのあまり、真っ赤になってその場に立ち上がった。そしてそれに気付いたフレッドが上へ逃げるのをジョージは走って追いかけたのだった。
「フレッド!許さないからな!」
「―――全く、あの子たちったらどうしたのかしらね?さあフォーラ、私はあの息子たちの母親のモリーよ、よろしくね。今、あなたのご両親にふくろう便を出したわ。それで勝手に決めてしまって申し訳ないのだけど、今日はうちで一日あなたを預かると書いておいたの。今日は嵐になるみたいだし、何より直ぐに移動するよりは、もう少しここで落ち着いてもらった方が良いかと思って」
「あ……本当に、いろいろしてくださって本当にありがとうございます。服まで貸していただいて。」
申し訳なさそうな様子のフォーラに、モリーはそんな事は気にしなくていいと朗らかに笑った。
「一日だけだけど、ゆっくりしていってちょうだいね。自分の家だと思ってくれればいいですからね」
「は、はい。ありがとうございます。」
(ウィーズリー家のお母様 は、とてもお優しい方なのね)
「今、一番下の娘のジニーは旅行疲れでお昼寝中だから、起きるまでリビングかどこかで過ごしてちょうだいね。あなたの寝床はジニーの部屋に作るわ。コーヒーかなにか飲むかしら?」
それからのフォーラはダイニングでモリーとひとしきりお喋りをした。その中で、どういうわけかここに来るまでの記憶がないことも話して聞かせた。そうして暫く後、モリーが家事に取り掛かるタイミングで、フォーラは彼女から『双子の部屋で軽く時間を潰してきてはどうか』と提案された。
そういうわけでフォーラは現在、お言葉に甘えて双子の部屋に上がり込んでいた。フレッド、ジョージがそこにいて、ロンは自分の部屋に篭っているようだった。
「ねえ、ロナルドはここに来ないのかしら。」フォーラが尋ねると、フレッドが返答した。
「来たくないんだよ。ほっとくのが一番」
フレッドはロンがこの場にいない理由を分かっていたが、あえてそれを口に出さなかった。実際、ロンは先程の一階でのフォーラとジョージの姿に幾らかやきもちを妬いていたし、未だに彼女に対してどう接すればいいか分からずにいるようだった。
「……やっぱり、ロナルドは私が嫌いなのね。」
「え?どうして?」ジョージが尋ねた。何せ今やロンはフォーラのことを気に掛けている様子なのが見え見えだ。ジョージはフォーラから見たロンが自分と同じ見え方でないことに少々驚いた。
「私、出逢った時からロナルドに嫌われているみたい。だから、正直言って私も……いつの間にか彼のことを嫌いになっていたわ。だけど最近、本当はいい人なんじゃないかって、そう思っていたところだったの。……ごめんなさい、彼と兄弟の貴方たちにするべき話じゃなかった。」
フレッドとジョージは互いに顔を見合わせた。
(この子は随分大きな勘違いをしてるみたいだ)
「フォーラ、奴はそりゃあ最初は君が嫌いだったみたいだ。ロンの嫌ってるマルフォイと、君の仲が良いからさ。でも今じゃあ君と仲良くなりたがってる。なあ相棒」
「ああ」フレッドの言葉にジョージが頷いた。
「……本当?」フォーラにはその発言が少し信じられなかった。これまであんなに嫌がられていたというのに。
「でも、御礼を伝えてもロナルドはいつもそっけないように見えるし、目も合わせたくないみたい。」
フレッドとジョージは再び互いに目配せし合った。
(ロンってなんて分かり易いんだろう。きっとフォーラを前にして緊張してるんだ。それにフォーラの方は鈍感すぎる。目に見えて意識されてるっていうのに)
しかしジョージはフォーラが鈍感のままでいいと思った。今までどおり彼女はこのままロンの好意に気付かなくていいのだと。
「……ロナルド、ありがとう……。」フォーラはまだ頭が混乱していて笑顔を向けられなかったが、それでもロンは十分嬉しそうだった。
「い、いや、いいんだ。それより、なんで君は倒れてたの?」
「私……。」
フォーラは続きの言葉が出てこなかった。自分は倒れていたらしい。しかし何故倒れていた?倒れる前に一体何があった?それらはフォーラの記憶には全く残っていなかった。祖父母の屋敷を出たところで記憶は止まっていた。
「……分からないの。祖父母のところにいて、私だけ屋敷を出たわ。その後なにがあったのか分からない……覚えてないもの……。」フォーラが少し泣き出しそうな顔で言ったものだから、その表情に三人とも狼狽えた。しかしジョージが何とか彼女を宥めた。
「だ、大丈夫さフォーラ。今、母さんが君の両親に手紙を書いてる。ふくろう便が着き次第、君の両親は君を迎えにくる筈さ」
そしてジョージはフォーラの頭をよしよしと撫でた。知らない土地に一人でいるのがつらいのは当たり前だろう。
「っう……グスッ……うん、ありがとう、ジョージ……。」
「!」ジョージはそのまま硬直してしまった。何故ならフォーラが彼の服をキュッと掴み、頭を彼の胸にもたれ掛けて泣いていたからだ。
「ロン、後はジョージに任せようぜ。あんまり人が多いのもアレだろ」
フレッドはロンが複雑そうな表情をしているのを見かねてそのように提案すると、一緒に上階へと連れ立った。その際にフレッドがリビングの方を軽く振り返ってみると、フォーラの姿は先程よりも随分つらそうに見えたのだった。
ジョージは突然二人きりになってしまってどうすればいいのか分からなかったし、いつもよりうるさい心臓の音がフォーラに聞こえやしないかとハラハラした。しかし彼はそんな自分のことよりも、目の前でうずくまって泣く彼女の頭や背中をひたすら撫で続けることに集中した。
それからどれ程経っただろうか。フォーラはやがて泣き止むと、ようやく身体をジョージから離して座り直した。ジョージも彼女を撫でていた手を離した。
「……ふ……ヒック……ジョージ、ありがとう……それから、ごめんなさい。」
「いや、いいんだ。気にするなよ。それより目が赤い。涙、拭いたほうがいいぜ」ジョージが近くにあったタオルでフォーラの涙を拭った。
「迷惑かけてばかりだわ……本当にごめんなさい……。」
ジョージはフォーラに近付いて涙を拭いていたせいで、彼女の潤んだ瞳が間近にこちらを見上げていて言葉に詰まったし、自分の心臓から変な動悸がするのを感じた。彼は一度視線を泳がせた後で、再び彼女に落ち着いた風を装った目を向けた。
「大丈夫だよ。俺は全然、君に関して迷惑だなんて思ったことは―――」ジョージがそのように言いかけた時、丁度上階から下りてきたモリーが、ジョージの言葉に被せるようにして声を掛けた。
「ジョージ、その子もう目が覚めたのね!よかったわ!ちょっとフレッド邪魔よ、さっさとどいて!」
「何だよママ、いいとこだったのに!」
どうやらフレッドは二人の様子をずっと階段の上の方から見守っていたらしかった。ジョージは一部始終見られていたことへの恥ずかしさのあまり、真っ赤になってその場に立ち上がった。そしてそれに気付いたフレッドが上へ逃げるのをジョージは走って追いかけたのだった。
「フレッド!許さないからな!」
「―――全く、あの子たちったらどうしたのかしらね?さあフォーラ、私はあの息子たちの母親のモリーよ、よろしくね。今、あなたのご両親にふくろう便を出したわ。それで勝手に決めてしまって申し訳ないのだけど、今日はうちで一日あなたを預かると書いておいたの。今日は嵐になるみたいだし、何より直ぐに移動するよりは、もう少しここで落ち着いてもらった方が良いかと思って」
「あ……本当に、いろいろしてくださって本当にありがとうございます。服まで貸していただいて。」
申し訳なさそうな様子のフォーラに、モリーはそんな事は気にしなくていいと朗らかに笑った。
「一日だけだけど、ゆっくりしていってちょうだいね。自分の家だと思ってくれればいいですからね」
「は、はい。ありがとうございます。」
(ウィーズリー家のお
「今、一番下の娘のジニーは旅行疲れでお昼寝中だから、起きるまでリビングかどこかで過ごしてちょうだいね。あなたの寝床はジニーの部屋に作るわ。コーヒーかなにか飲むかしら?」
それからのフォーラはダイニングでモリーとひとしきりお喋りをした。その中で、どういうわけかここに来るまでの記憶がないことも話して聞かせた。そうして暫く後、モリーが家事に取り掛かるタイミングで、フォーラは彼女から『双子の部屋で軽く時間を潰してきてはどうか』と提案された。
そういうわけでフォーラは現在、お言葉に甘えて双子の部屋に上がり込んでいた。フレッド、ジョージがそこにいて、ロンは自分の部屋に篭っているようだった。
「ねえ、ロナルドはここに来ないのかしら。」フォーラが尋ねると、フレッドが返答した。
「来たくないんだよ。ほっとくのが一番」
フレッドはロンがこの場にいない理由を分かっていたが、あえてそれを口に出さなかった。実際、ロンは先程の一階でのフォーラとジョージの姿に幾らかやきもちを妬いていたし、未だに彼女に対してどう接すればいいか分からずにいるようだった。
「……やっぱり、ロナルドは私が嫌いなのね。」
「え?どうして?」ジョージが尋ねた。何せ今やロンはフォーラのことを気に掛けている様子なのが見え見えだ。ジョージはフォーラから見たロンが自分と同じ見え方でないことに少々驚いた。
「私、出逢った時からロナルドに嫌われているみたい。だから、正直言って私も……いつの間にか彼のことを嫌いになっていたわ。だけど最近、本当はいい人なんじゃないかって、そう思っていたところだったの。……ごめんなさい、彼と兄弟の貴方たちにするべき話じゃなかった。」
フレッドとジョージは互いに顔を見合わせた。
(この子は随分大きな勘違いをしてるみたいだ)
「フォーラ、奴はそりゃあ最初は君が嫌いだったみたいだ。ロンの嫌ってるマルフォイと、君の仲が良いからさ。でも今じゃあ君と仲良くなりたがってる。なあ相棒」
「ああ」フレッドの言葉にジョージが頷いた。
「……本当?」フォーラにはその発言が少し信じられなかった。これまであんなに嫌がられていたというのに。
「でも、御礼を伝えてもロナルドはいつもそっけないように見えるし、目も合わせたくないみたい。」
フレッドとジョージは再び互いに目配せし合った。
(ロンってなんて分かり易いんだろう。きっとフォーラを前にして緊張してるんだ。それにフォーラの方は鈍感すぎる。目に見えて意識されてるっていうのに)
しかしジョージはフォーラが鈍感のままでいいと思った。今までどおり彼女はこのままロンの好意に気付かなくていいのだと。